人を雇う事業所は、原則として働く人を雇用保険に入れる義務があります。
仕事を失ったときの給付や、育児休業のときの給付をまかなうしくみです。
この保険を適用している事業所の数は、その地域にどれだけ職場があるかの目安になります。
今回は47都道府県の雇用保険適用事業所数を、2023年の総務省統計局「社会・人口統計体系」のデータを使って比べました。
全国237万3,713所のうち、東京都が39万8,808所で1位。
人口10万人あたりで割り直しても東京都が1位ですが、その差はごくわずかでした。
47都道府県の単純平均
50,505所
雇用保険適用事業所数(2023年)
最も多い 東京都
398,808所
最も少ない 鳥取県
10,875所
雇用保険の適用事業所が多い5都道府県
雇用保険の適用事業所が多い上位5都道府県です。
東京都は39万8,808所、大阪府は19万5,945所、神奈川県は12万4,975所、愛知県は12万4,676所、北海道は10万1,478所でした。
東京都は2位の大阪府の2.04倍あります。
6位以下は福岡県9万9,396所、埼玉県9万7,176所、兵庫県8万7,008所と続きます。
東京都1都だけで全国の16.8パーセント。
上位3都府県で30.3パーセント、上位5都道府県で39.8パーセント、上位10都道府県で58.1パーセントでした。
首都圏の3県がそろって人口あたり下位です
ここからは統計を離れて、雇用保険適用事業所数の背景を推測します。
確かめられた事実ではなく、ほかの数字と並べて考えた見立てとして読んでください。
人口10万人あたりで見ても東京都が1位ですが、顔ぶれは大きく変わります。
1位は東京都の2,831.24所、2位は沖縄県2,349.46所、3位は大阪府2,236.05所。
4位は福井県2,169.22所、5位は宮崎県2,160.94所、6位は香川県2,083.69所と続きます。
逆に人口あたりの下位は奈良県1,467.21所、神奈川県1,354.16所、千葉県1,338.29所、埼玉県1,325.55所。
東京都と埼玉県では2.1倍の開きです。
目を引くのは、埼玉県・千葉県・神奈川県の3県がそろって最下位グループに入ることです。
人口は多いのに、働く場所としての事業所は少ない。
東京都へ通勤する人が多いベッドタウンの姿が、そのまま数字に出ています。
奈良県が下位に入るのも、大阪府への通勤圏という同じ構図で読めます。
沖縄県が人口あたり2位に来るのは対照的です。
小規模な事業所が多く、1つあたりの働き手が少ないため、事業所の数としては多く出るという見方ができますが、この統計からその内訳までは分かりません。
地方別に人口10万人あたりの平均を出すと、四国4県が2,064.8所で最も多く、中部9県が1,829.1所で最も少なくなります。
九州・沖縄8県2,029.2所、北海道1,992.9所と続き、地方ごとの差は小さめです。
実数で見ると順位は変わる
雇用保険の適用事業所が少ない5県
雇用保険の適用事業所が少ない下位5県です。
鳥取県は1万875所、島根県は1万3,165所、高知県は1万3,588所、徳島県は1万4,160所、佐賀県は1万4,846所でした。
東京都の39万8,808所とは36.7倍の差があります。
ただし人口10万人あたりに直すと、開きは2.1倍まで縮みます。
事業所は人口に沿って各地にあり、実数の差は人口の差をほぼそのまま映していると分かります。
47都道府県の中央値は3万989所。
平均は5万504.6所なので、平均が中央値の1.6倍です。
地方別に見る
地方別に合計を出すと、関東が最も大きくなります。
関東7都県が全国の34.4パーセント、近畿7府県が17.7パーセント、中部9県が16.0パーセント、九州・沖縄8県が12.0パーセントと続きます。
少ないほうは東北6県が6.7パーセント、中国5県が5.8パーセント、北海道が4.3パーセント、四国4県が3.1パーセントでした。
関東7都県の34.4パーセントは、東京都39万8,808所の大きさによるものです。
人口10万人あたりの平均では並びが変わります。
四国4県が2,064.8所で1位、九州・沖縄8県が2,029.2所で2位、北海道が1,992.9所で3位。
中部9県は1,829.1所で最下位、関東7都県も1,878.3所で下から3番目でした。
最多と最少の差は1.13倍ほど。
地方の単位で見ると、事業所の密度はほぼ均一です。
地図で見る
| 項目 | 雇用保険適用事業所数 |
|---|---|
| 北海道 | 101,478所 |
| 青森県 | 23,163所 |
| 岩手県 | 21,911所 |
| 宮城県 | 42,110所 |
| 秋田県 | 17,687所 |
| 山形県 | 19,787所 |
| 福島県 | 35,359所 |
| 茨城県 | 45,675所 |
| 栃木県 | 33,040所 |
| 群馬県 | 34,147所 |
| 埼玉県 | 97,176所 |
| 千葉県 | 83,737所 |
| 東京都 | 398,808所 |
| 神奈川県 | 124,975所 |
| 新潟県 | 41,672所 |
| 富山県 | 19,902所 |
| 石川県 | 22,498所 |
| 福井県 | 16,139所 |
| 山梨県 | 15,145所 |
| 長野県 | 38,073所 |
| 岐阜県 | 36,667所 |
| 静岡県 | 64,753所 |
| 愛知県 | 124,676所 |
| 三重県 | 30,210所 |
| 滋賀県 | 21,711所 |
| 京都府 | 47,534所 |
| 大阪府 | 195,945所 |
| 兵庫県 | 87,008所 |
| 奈良県 | 19,015所 |
| 和歌山県 | 18,188所 |
| 鳥取県 | 10,875所 |
| 島根県 | 13,165所 |
| 岡山県 | 35,350所 |
| 広島県 | 53,365所 |
| 山口県 | 24,210所 |
| 徳島県 | 14,160所 |
| 香川県 | 19,295所 |
| 愛媛県 | 26,837所 |
| 高知県 | 13,588所 |
| 福岡県 | 99,396所 |
| 佐賀県 | 14,846所 |
| 長崎県 | 24,932所 |
| 熊本県 | 35,453所 |
| 大分県 | 22,057所 |
| 宮崎県 | 22,517所 |
| 鹿児島県 | 30,989所 |
| 沖縄県 | 34,490所 |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは東京都です。
次いで大阪府、神奈川県、愛知県、北海道が続きます。
淡いのは鳥取県、島根県、高知県、徳島県、佐賀県でした。
47都道府県の平均は5万504.6所、中央値は3万989所です。
東京都の39万8,808所は平均の7.9倍にあたります。
上位3都府県で30.3パーセント、1位と47位で36.7倍の開きがありました。
| 順位 | 都道府県 | 雇用保険適用事業所数(所) | 地方 | 人口10万人あたりの雇用保険適用事業所数 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 398808 | 関東 | 2831.24 |
| 2 | 大阪府 | 195945 | 近畿 | 2236.05 |
| 3 | 神奈川県 | 124975 | 関東 | 1354.16 |
| 4 | 愛知県 | 124676 | 中部 | 1667.46 |
| 5 | 北海道 | 101478 | 北海道 | 1992.89 |
| 6 | 福岡県 | 99396 | 九州 | 1947.80 |
| 7 | 埼玉県 | 97176 | 関東 | 1325.55 |
| 8 | 兵庫県 | 87008 | 近畿 | 1620.26 |
| 9 | 千葉県 | 83737 | 関東 | 1338.29 |
| 10 | 静岡県 | 64753 | 中部 | 1821.46 |
| 11 | 広島県 | 53365 | 中国 | 1949.05 |
| 12 | 京都府 | 47534 | 近畿 | 1875.11 |
| 13 | 茨城県 | 45675 | 関東 | 1616.81 |
| 14 | 宮城県 | 42110 | 東北 | 1859.98 |
| 15 | 新潟県 | 41672 | 中部 | 1960.11 |
| 16 | 長野県 | 38073 | 中部 | 1899.85 |
| 17 | 岐阜県 | 36667 | 中部 | 1898.86 |
| 18 | 熊本県 | 35453 | 九州 | 2074.49 |
| 19 | 福島県 | 35359 | 東北 | 2001.08 |
| 20 | 岡山県 | 35350 | 中国 | 1913.91 |
| 21 | 沖縄県 | 34490 | 九州 | 2349.46 |
| 22 | 群馬県 | 34147 | 関東 | 1795.32 |
| 23 | 栃木県 | 33040 | 関東 | 1741.70 |
| 24 | 鹿児島県 | 30989 | 九州 | 2000.58 |
| 25 | 三重県 | 30210 | 近畿 | 1749.28 |
| 26 | 愛媛県 | 26837 | 四国 | 2078.78 |
| 27 | 長崎県 | 24932 | 九州 | 1967.80 |
| 28 | 山口県 | 24210 | 中国 | 1865.18 |
| 29 | 青森県 | 23163 | 東北 | 1956.33 |
| 30 | 宮崎県 | 22517 | 九州 | 2160.94 |
| 31 | 石川県 | 22498 | 中部 | 2028.67 |
| 32 | 大分県 | 22057 | 九州 | 2012.50 |
| 33 | 岩手県 | 21911 | 東北 | 1884.01 |
| 34 | 滋賀県 | 21711 | 近畿 | 1543.07 |
| 35 | 富山県 | 19902 | 中部 | 1976.37 |
| 36 | 山形県 | 19787 | 東北 | 1928.56 |
| 37 | 香川県 | 19295 | 四国 | 2083.69 |
| 38 | 奈良県 | 19015 | 近畿 | 1467.21 |
| 39 | 和歌山県 | 18188 | 近畿 | 2039.01 |
| 40 | 秋田県 | 17687 | 東北 | 1935.12 |
| 41 | 福井県 | 16139 | 中部 | 2169.22 |
| 42 | 山梨県 | 15145 | 中部 | 1902.64 |
| 43 | 佐賀県 | 14846 | 九州 | 1867.42 |
| 44 | 徳島県 | 14160 | 四国 | 2037.41 |
| 45 | 高知県 | 13588 | 四国 | 2040.24 |
| 46 | 島根県 | 13165 | 中国 | 2025.38 |
| 47 | 鳥取県 | 10875 | 中国 | 2025.14 |
このグラフについての豆知識
雇用保険に入っている事業所の数
雇用保険の適用事業所は、労働者を雇って雇用保険に加入している事業所です。
従業員を1人でも雇えば原則として加入することになるため、人を雇って事業を行っている場所のおおよその数を表します。
全国237万3,713所。
個人で営む店から大企業の事業所まで、規模を問わず1つと数えられます。
ベッドタウンがそろって下位
人口10万人あたりの下位4つは奈良県、神奈川県、千葉県、埼玉県。
いずれも東京都や大阪府への通勤者が多い県です。
住む人は多くても働く場所は都心にある、という通勤圏の性格が数字にはっきり出ました。
人がどこに住み、どこで働いているかを考えるうえで参考になる指標です。
数字は2023年のものです。
10年前とくらべると
全国の雇用保険適用事業所数は、2013年の2,076,032所から2023年の2,373,714所へ、この10年でおよそ14%増えました。
東京都は2013年から1位を守っています。
伸びがいちばん大きかったのは沖縄県で、43%増でした。
順位の並びがにている記事
この雇用保険適用事業所数の並びに近い記事を、全記事の順位から機械で洗い出しました。
0.99という高い相関を示したのが【事業所の数】全国516万、上位5都府県だけで35.4%を占めましたでした。
逆に、ほぼ裏返しの並びになったのが【体育館の数】全国8,111か所、人口が少ない県ほど多いという逆転が起きています(相関-0.73)でした。
並びが似ていても、そこに関係があるとまでは言えません。
ただ、2つの地図をならべると読み方のヒントにはなります。
地方のなかで見た雇用保険適用事業所数
| 地方 | 最も多い(所) | 最も少ない(所) |
|---|---|---|
| 東北 | 宮城県 42110 | 秋田県 17687 |
| 関東 | 東京都 398808 | 栃木県 33040 |
| 中部 | 愛知県 124676 | 山梨県 15145 |
| 近畿 | 大阪府 195945 | 和歌山県 18188 |
| 中国 | 広島県 53365 | 鳥取県 10875 |
| 四国 | 愛媛県 26837 | 高知県 13588 |
| 九州 | 福岡県 99396 | 佐賀県 14846 |
まとめ
雇用保険の適用事業所の数を47都道府県で比べると、最も多い東京都で39万8,808所、最も少ない鳥取県で1万875所でした。
人口10万人あたりの差は2.1倍にとどまります。
雇用保険適用事業所数の統計を読むときの注意点は3つです。
1つ目は、人を雇っている事業所が対象であること。
2つ目は、事業所の規模は問わない数であること。
3つ目は2023年の数字であることです。
人口あたりの下位には奈良・神奈川・千葉・埼玉と、大都市への通勤圏の県がそろって並びました。
住む場所と働く場所のずれが読み取れます。
地方別の人口あたり平均は四国4県2,064.8所が最多、中部9県1,829.1所が最少で、その差は1.13倍ほど。
事業所の数や会社役員の数を比べた記事とあわせて読んでみてください。
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- 【雇用保険に入っている人】全国4,489万人、4分の1が1つの都に集まる
出典
- 統計名: 社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)
- 調査年: 2023年
- 公開元: 総務省統計局
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/regional-statistics/ssdsview/prefectures
- 備考: 指標コードJ6101(雇用保険適用事業所数)の2023年の値。人口10万人あたりは2023年の総人口で割った参考値
注記: 指標コードJ6101(雇用保険適用事業所数)の2023年の値。
人口10万人あたりは2023年の総人口で割った参考値
