通勤にかかる時間は、都道府県でどれほど違うのでしょうか。
この記事では、47都道府県の数字を比べます。
使うのは総務省統計局の住宅・土地統計調査で、家計を主に支える人の通勤時間の中位数です。
全国では片道28.1分。
最も長い県と最も短い県では2.58倍の差がありました。
1時間以上かける人の割合まで見ると、差はもっと開きます。
47都道府県の単純平均
25.2分
通勤時間の中位数(令和5年(2023年10月1日現在))
最も多い 神奈川県
47.8分
最も少ない 鳥取県
18.5分
通勤時間が長い5都県
通勤時間が長い上位5都県です。
神奈川県は47.8分、千葉県は45.2分、埼玉県は44.0分、東京都は43.7分、奈良県は38.8分でした。
上位4つはすべて首都圏で、いずれも40分を超えています。
6位以下は大阪府、兵庫県、京都府と続きます。
30分以上かかるのは7都府県で、首都圏4都県と近畿の3府県でした。
神奈川県の47.8分は全国の28.1分の1.70倍。
往復にすると1時間36分を通勤に使っている計算になります。
家賃との相関0.88、通勤時間は住居費と交換されている
以下は、家計を主に支える人の通勤時間にこれだけの差がつく理由についての推測です。
統計から確かめられる話ではなく、ほかの指標との突き合わせから考えたものです。
通勤時間と最も強く連動していたのは、1か月当たり家賃でした。
相関係数はプラス0.88です。
これは通勤時間と住居費が交換されていることを示していると考えられます。
職場に近いほど家賃は高く、遠いほど安い。
どちらを取るかという選択が、県ごとの平均として表れているわけです。
家賃が高い都府県ほど通勤時間も長いのは、その都府県の中心部に働く場所が集まっていて、住む場所が外側に広がっているからでしょう。
人口密度との相関はプラス0.74、人口増減率とはプラス0.76でした。
人が増えている場所ほど通勤に時間がかかるという関係になります。
もっとはっきり出るのが、1時間以上かかる世帯の割合です。
全国では14.87パーセントですが、神奈川県は31.93パーセント、埼玉県31.89パーセント、千葉県31.38パーセント。
3世帯に1世帯近くが片道1時間以上かけています。
対して鳥取県は3.07パーセント、愛媛県3.40パーセント、富山県3.42パーセント。
神奈川県と鳥取県では10.40倍の差になりました。
中位数の2.58倍よりずっと大きな開きです。
中位数は真ん中の人の値なので、長時間通勤の人がどれだけいるかは表れません。
同じ「通勤時間が長い県」でも、全体が少しずつ長いのか、一部に極端に長い人がいるのかで意味は違います。
首都圏は後者にあたります。
住まいの広さとの関係も見ておくと、1住宅当たり延べ面積との相関はマイナス0.59。
通勤時間が長い県ほど住まいは狭いという結果でした。
遠くに住めば広い家に住めるという想像とは逆です。
都府県単位で見ると、通勤時間も家賃も住まいの狭さも、すべて都市の中心からの距離ではなく都府県そのものの性格で決まっているようです。
通勤時間が短い5県
通勤時間が短い下位5県です。
鳥取県は18.5分、宮崎県は18.7分、島根県は18.8分、山形県は18.9分、愛媛県は19.1分でした。
神奈川県の47.8分とは2.58倍の差があります。
20分を下回ったのは7県です。
鳥取県の18.5分は、神奈川県より29.3分短いことになります。
往復にすると1時間近い違いです。
下位に並んだのは山陰と東北、四国、九州の県です。
地方別でも北海道が20.20分で最も短く、四国4県が21.02分、東北6県が21.15分と続きました。
1時間以上かかる世帯の割合で見ると、下位の県はさらに小さくなります。
鳥取県3.07パーセント、愛媛県3.40パーセント。
首都圏の3割前後と比べると、長時間通勤という現象そのものがほとんどない地域だということになります。
地方別に見る通勤時間
地方別に平均を出すと、大都市圏とそれ以外ではっきり分かれます。
最も長いのは関東7都県の36.36分です。
次いで近畿7府県が30.14分、中部9県が22.57分、九州8県が21.85分と続きます。
短いほうは中国5県が21.62分、東北6県が21.15分、四国4県が21.02分、北海道が20.20分でした。
関東と北海道では1.80倍の差があります。
関東と近畿だけが30分を超え、それ以外の6地方は20分から23分のあいだに固まっています。
通勤時間の差は、大都市圏があるかないかでほぼ決まっていることになります。
地図で見る通勤時間
| 項目 | 通勤時間の中位数 |
|---|---|
| 北海道 | 20.2分 |
| 青森県 | 20.1分 |
| 岩手県 | 20.4分 |
| 宮城県 | 26.4分 |
| 秋田県 | 19.7分 |
| 山形県 | 18.9分 |
| 福島県 | 21.4分 |
| 茨城県 | 25.9分 |
| 栃木県 | 24.4分 |
| 群馬県 | 23.5分 |
| 埼玉県 | 44分 |
| 千葉県 | 45.2分 |
| 東京都 | 43.7分 |
| 神奈川県 | 47.8分 |
| 新潟県 | 20.8分 |
| 富山県 | 21.8分 |
| 石川県 | 21.2分 |
| 福井県 | 20分 |
| 山梨県 | 21.9分 |
| 長野県 | 21.4分 |
| 岐阜県 | 23.9分 |
| 静岡県 | 23.1分 |
| 愛知県 | 29分 |
| 三重県 | 24.2分 |
| 滋賀県 | 26.8分 |
| 京都府 | 29.1分 |
| 大阪府 | 36.2分 |
| 兵庫県 | 34.3分 |
| 奈良県 | 38.8分 |
| 和歌山県 | 21.6分 |
| 鳥取県 | 18.5分 |
| 島根県 | 18.8分 |
| 岡山県 | 24.4分 |
| 広島県 | 25.5分 |
| 山口県 | 20.9分 |
| 徳島県 | 21.7分 |
| 香川県 | 22.4分 |
| 愛媛県 | 19.1分 |
| 高知県 | 20.9分 |
| 福岡県 | 26.8分 |
| 佐賀県 | 22分 |
| 長崎県 | 22.3分 |
| 熊本県 | 21.9分 |
| 大分県 | 20.9分 |
| 宮崎県 | 18.7分 |
| 鹿児島県 | 19.3分 |
| 沖縄県 | 22.9分 |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは首都圏と近畿の一帯だけです。
それ以外の地域はほぼ同じ薄さに見えます。
47都道府県の単純平均は25.16分、中央値は22.00分です。
平均が中央値より3.16分長いのは、首都圏の4都県が上に大きく外れているためです。
平均を超えたのは14都府県だけ。
真ん中あたりの県の実感に近いのは、中央値の22.00分のほうだと言えます。
| 順位 | 都道府県 | 通勤時間の中位数(分) | 地方 | 1時間以上かかる世帯の割合 | 1か月当たり家賃 | 人口密度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 神奈川県 | 47.8 | 関東 | 31.93 | 71918 | 3817.4 |
| 2 | 千葉県 | 45.2 | 関東 | 31.38 | 62210 | 1212.3 |
| 3 | 埼玉県 | 44.0 | 関東 | 31.89 | 63141 | 1930.6 |
| 4 | 東京都 | 43.7 | 関東 | 22.19 | 88295 | 6444.7 |
| 5 | 奈良県 | 38.8 | 近畿 | 26.96 | 53041 | 348.1 |
| 6 | 大阪府 | 36.2 | 近畿 | 17.71 | 59778 | 4596.0 |
| 7 | 兵庫県 | 34.3 | 近畿 | 18.47 | 58634 | 635.3 |
| 8 | 京都府 | 29.1 | 近畿 | 16.16 | 58185 | 546.4 |
| 9 | 愛知県 | 29.0 | 中部 | 12.01 | 55927 | 1442.0 |
| 10 | 滋賀県 | 26.8 | 近畿 | 14.44 | 51592 | 349.0 |
| 10 | 福岡県 | 26.8 | 九州 | 9.53 | 51895 | 1020.9 |
| 12 | 宮城県 | 26.4 | 東北 | 8.1 | 52147 | 308.7 |
| 13 | 茨城県 | 25.9 | 関東 | 13.21 | 48594 | 460.1 |
| 14 | 広島県 | 25.5 | 中国 | 7.62 | 52366 | 320.1 |
| 15 | 岡山県 | 24.4 | 中国 | 6.56 | 49078 | 257.4 |
| 15 | 栃木県 | 24.4 | 関東 | 8.09 | 47840 | 294.2 |
| 17 | 三重県 | 24.2 | 近畿 | 9.85 | 48233 | 296.3 |
| 18 | 岐阜県 | 23.9 | 中部 | 11.18 | 46693 | 180.4 |
| 19 | 群馬県 | 23.5 | 関東 | 7.24 | 45643 | 297.1 |
| 20 | 静岡県 | 23.1 | 中部 | 6.66 | 52621 | 453.5 |
| 21 | 沖縄県 | 22.9 | 九州 | 4.65 | 50903 | 642.4 |
| 22 | 香川県 | 22.4 | 四国 | 4.74 | 46067 | 488.6 |
| 23 | 長崎県 | 22.3 | 九州 | 5.65 | 44636 | 303.1 |
| 24 | 佐賀県 | 22.0 | 九州 | 7.13 | 46053 | 322.9 |
| 25 | 熊本県 | 21.9 | 九州 | 5.31 | 45671 | 229.0 |
| 25 | 山梨県 | 21.9 | 中部 | 6.2 | 46415 | 177.1 |
| 27 | 富山県 | 21.8 | 中部 | 3.42 | 46184 | 234.7 |
| 28 | 徳島県 | 21.7 | 四国 | 4.59 | 43834 | 165.2 |
| 29 | 和歌山県 | 21.6 | 近畿 | 7.88 | 43084 | 186.3 |
| 30 | 長野県 | 21.4 | 中部 | 5.0 | 47028 | 146.5 |
| 30 | 福島県 | 21.4 | 東北 | 4.96 | 44939 | 126.4 |
| 32 | 石川県 | 21.2 | 中部 | 3.59 | 46957 | 262.3 |
| 33 | 高知県 | 20.9 | 四国 | 3.59 | 43093 | 92.4 |
| 33 | 山口県 | 20.9 | 中国 | 4.72 | 42956 | 209.6 |
| 33 | 大分県 | 20.9 | 九州 | 4.77 | 42880 | 171.1 |
| 36 | 新潟県 | 20.8 | 中部 | 3.76 | 47581 | 166.8 |
| 37 | 岩手県 | 20.4 | 東北 | 4.87 | 44532 | 75.0 |
| 38 | 北海道 | 20.2 | 北海道 | 4.09 | 45674 | 60.5 |
| 39 | 青森県 | 20.1 | 東北 | 5.2 | 41884 | 120.8 |
| 40 | 福井県 | 20.0 | 中部 | 3.61 | 47259 | 176.3 |
| 41 | 秋田県 | 19.7 | 東北 | 4.02 | 43107 | 77.1 |
| 42 | 鹿児島県 | 19.3 | 九州 | 4.64 | 40638 | 166.8 |
| 43 | 愛媛県 | 19.1 | 四国 | 3.4 | 42762 | 224.8 |
| 44 | 山形県 | 18.9 | 東北 | 3.56 | 46126 | 108.4 |
| 45 | 島根県 | 18.8 | 中国 | 3.57 | 43665 | 95.7 |
| 46 | 宮崎県 | 18.7 | 九州 | 3.85 | 42084 | 133.6 |
| 47 | 鳥取県 | 18.5 | 中国 | 3.07 | 43935 | 151.4 |
このグラフについての豆知識
通勤時間は片道で、中位数を使っている
この記事の数字は片道の通勤時間です。
往復ではありません。
また平均ではなく中位数を使っています。
中位数は世帯を通勤時間の短い順に並べたとき、ちょうど真ん中に来る世帯の値です。
極端に長い人がいても引っ張られにくいという特徴があります。
対象は家計を主に支える者が雇用者である主世帯です。
自営業の人や、家計を主に支える人が働いていない世帯は含まれません。
自宅で働く世帯は全国で48万3,500世帯あり、この記事の表では別に集計されています。
1時間以上の割合もあわせて見たい
中位数は真ん中の人の値なので、長時間通勤の人がどれだけいるかは表れません。
この記事の表には1時間以上かかる世帯の割合も載せています。
全国では14.87パーセント。
中位数の差は2.58倍でしたが、この割合では10.40倍の開きがありました。
同じランキングでも、どの数字を見るかで印象が変わります。
住宅・土地統計調査は5年ごとに行われ、この記事の数字は令和5年、2023年10月1日現在のものです。
在宅勤務が広がった時期の調査である点も、読むときに意識してください。
順位の並びがにている記事
家計を主に支える人の通勤時間の順位を、当サイトの全記事の並びと突き合わせてみました。
いちばん近かったのは【人口密度】日本の人口37.9%が国土4.1%に集中、47都道府県で比較で、順位相関は0.88でした。
逆に、ほぼ裏返しの並びになったのが【高齢者の割合】を47都道府県で比較すると地域差は16.8ポイント(相関-0.81)でした。
並びが似ていても、そこに関係があるとまでは言えません。
ただ、2つの地図をならべると読み方のヒントにはなります。
地方のなかで見た通勤時間の中位数
| 地方 | 最も多い(分) | 最も少ない(分) |
|---|---|---|
| 東北 | 宮城県 26.4 | 山形県 18.9 |
| 関東 | 神奈川県 47.8 | 群馬県 23.5 |
| 中部 | 愛知県 29.0 | 福井県 20.0 |
| 近畿 | 奈良県 38.8 | 和歌山県 21.6 |
| 中国 | 広島県 25.5 | 鳥取県 18.5 |
| 四国 | 香川県 22.4 | 愛媛県 19.1 |
| 九州 | 福岡県 26.8 | 宮崎県 18.7 |
まとめ
47都道府県の通勤時間の中位数を比べると、最も長い神奈川県は47.8分、最も短い鳥取県は18.5分で、その差は2.58倍でした。
全国では片道28.1分です。
家計を主に支える人の通勤時間の数字には、但し書きが3つつきます。
1つ目は、片道の時間で中位数を使っていること。
2つ目は、家計を主に支える者が雇用者である主世帯が対象であること。
3つ目は令和5年(2023年)の調査であることです。
1か月当たり家賃との相関係数はプラス0.88。
通勤時間と住居費が交換されている関係がはっきり出ました。
1時間以上かかる世帯の割合で見ると、神奈川県31.93パーセントに対し鳥取県3.07パーセントで10.40倍。
中位数の2.58倍よりずっと大きな開きです。
家賃や人口密度を比べた記事とあわせて読んでみてください。
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- 【タクシー代】平均年4,475円、車社会との対比
- 【通勤定期代】平均年7,280円、差は92.9倍
出典
- 統計名: 住宅・土地統計調査(住宅及び世帯に関する基本集計)
- 調査年: 令和5年(2023年10月1日現在)
- 公開元: 総務省統計局
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?tclass=000001207743&cycle=0
- 備考: 住宅数は100戸単位で公表されているため、割合は小数第2位までとした。家計を主に支える者が雇用者である主世帯が対象。通勤時間は片道で、中位数は世帯を短い順に並べたときの真ん中の値
注記: 住宅数は100戸単位で公表されているため、割合は小数第2位までとした。
家計を主に支える者が雇用者である主世帯が対象。
通勤時間は片道で、中位数は世帯を短い順に並べたときの真ん中の値
