【果物の産出額】を47都道府県で比べると農業の7割を占める県も

【果物の産出額】を47都道府県で比べると農業の7割を占める県も

47都道府県で、果物がどこでどれだけ作られているかを比べます。

使うのは農林水産省の生産農業所得統計(令和6年)で、都道府県別の農業産出額が部門ごとに公表されています。

47都道府県の果実の産出額は合計10,111億円。
農業産出額全体108,201億円の9.3パーセントにあたります。
野菜の25,512億円と比べると4割ほどの規模です。
産地がどこに集まっているのか見ていきましょう。

47都道府県の単純平均

215億円

果実の産出額(令和6年(2024年))

最も多い 青森県

1,233億円

最も少ない 滋賀県

11億円

果実の産出額が多い5県

上位5都道府県の果実の産出額
上位5都道府県の果実の産出額 生産農業所得統計(都道府県別農業産出額及び生産農業所得)(令和6年(2024年)) 02004006008001,0001,200青森県: 1,233億円1,233億円長野県: 1,036億円1,036億円山梨県: 913億円913億円和歌山県: 906億円906億円山形県: 738億円738億円青森県長野県山梨県和歌山県山形県
上位5都道府県の果実の産出額
項目果実の産出額
青森県1,233億円
長野県1,036億円
山梨県913億円
和歌山県906億円
山形県738億円
下位5都道府県の果実の産出額
下位5都道府県の果実の産出額 生産農業所得統計(都道府県別農業産出額及び生産農業所得)(令和6年(2024年)) 0510152025滋賀県: 11億円11億円福井県: 12億円12億円富山県: 22億円22億円京都府: 24億円24億円宮城県: 25億円25億円東京都: 25億円25億円滋賀県福井県富山県京都府宮城県東京都
下位5都道府県の果実の産出額
項目果実の産出額
滋賀県11億円
福井県12億円
富山県22億円
京都府24億円
宮城県25億円
東京都25億円

果実の産出額が多い上位5県です。

青森県は1,233億円、長野県は1,036億円、山梨県は913億円、和歌山県は906億円、山形県は738億円でした。
上位5県を合計すると4,826億円で、全国の47.7パーセントを占めます。
47のうち5県で半分近くという集中ぶりです。

上位5県のうち4県は内陸か盆地を抱える県です。
青森県はりんご、長野県はりんごとぶどう、山梨県はぶどうとももで知られています。
和歌山県だけが温暖な海沿いで、みかんや梅の産地です。
寒暖差の大きい土地と、冬でも暖かい土地。
果物の産地は両極に分かれています。

6位以下も497億円、419億円、372億円と続きます。
300億円を超えたのは9県でした。

上位5県はいずれも東北か中部、近畿の県です。
北海道と九州からは1県も入りませんでした。
果樹は寒暖差や日照が効く作物なので、産地の分布が偏りやすいと考えられます。

上位5県のうち4県が内陸か盆地で、和歌山県だけが海沿いです。寒暖差の大きい土地と、冬でも暖かい土地。両極に分かれているのが面白いところでした。

2県だけが農業の7割を果物で占めている

額で上位の県と、割合で上位の県が違います。
その意味をここから考えてみます。
以下は推測です。

農業産出額に占める果実の割合を計算すると、和歌山県が70.5パーセント、山梨県が70.3パーセントで、この2県だけが7割を超えます。
3位は愛媛県の37.2パーセントですから、上位2県は別格です。

野菜の産出額を比べた記事では、割合の1位が高知県の61.8パーセントでした。
果物では2県が7割を超えています。
特定の作物にこれほど寄っている県は、他の部門ではあまり見られません。

一方、額で1位の青森県は割合では29.9パーセント、2位の長野県は32.3パーセントでした。
額が大きい県が、必ずしも果物に特化しているわけではありません。
青森県の農業産出額は4,119億円で全国5位。
米も畜産も大きい県です。

もう1つ、果物への支出を比べた記事の数字も並べてみます。
支出額で1位だったのは山形県の53,608円。
産出額では5位です。
産地と消費地が重なる例ですが、額で1位の青森県は支出では34位でした。
作る量と買う量は別々に動きます。

なお産出額は生産量に販売価格を掛けたものです。
単価の高い果物を作る県ほど、量が少なくても額は大きくなります。

和歌山県と山梨県は、農業の7割が果物。ここまでひとつの部門に寄っている県は、ほかの作物では見かけません。

果実の産出額が少ない6府県

果実の産出額が少ない下位です。
42位が同数で2都県あるため、6府県を掲載します。

滋賀県は11億円、福井県は12億円、富山県は22億円、京都府は24億円、42位は宮城県と東京都の25億円でした。
青森県の1,233億円と滋賀県の11億円では112.09倍の差があります。

下位に並んだのは北陸と近畿の県です。
北陸は米づくりが盛んな地域で、野菜の産出額でも下位に並んでいました。
農業の中心が米にある地域では、果実の産出額は小さくなります。

東京都が43位に入っているのは、農地そのものが限られるためです。
それでも25億円の果実が作られている、という読み方もできます。

なお産出額が小さいことは、果物を作っていないことを意味しません。
地域で消費される分を中心に作っていれば、産出額としては大きくなりません。

下位6府県の産出額を合計しても119億円で、1位の青森県1県の10分の1にも届きません。
果物は産地がはっきり分かれる作物です。

地方別に見る果実の産出額

地方別の平均(果実の産出額)
地方別の平均(果実の産出額) 生産農業所得統計(都道府県別農業産出額及び生産農業所得)(令和6年(2024年)) 0100200300400北海道: 91億円91億円東北: 431億円431億円関東: 82億円82億円中部: 303億円303億円近畿: 173億円173億円中国: 127億円127億円四国: 193億円193億円九州: 189億円189億円北海道東北関東中部近畿中国四国九州
地方別の平均(果実の産出額)
項目果実の産出額の平均
北海道91億円
東北431億円
関東82億円
中部303億円
近畿173億円
中国127億円
四国193億円
九州189億円

地方ごとの平均を並べると、東北と中部の高さが目立ちます。

最も多いのは東北6県の431億円です。
次いで中部9県が303億円、四国4県が193億円、九州8県が189億円と続きます。

少ないほうを見ると、近畿7府県が173億円、中国5県が127億円、北海道が91億円、関東7都県が82億円でした。
最も多い東北と最も少ない関東では5.3倍の差があります。

野菜では関東が最も多かったのに対し、果実では最も少なくなりました。
野菜は消費地の近くで、果物は気候の合う土地で作られるという違いが出ています。

地図で見る果実の産出額

果実の産出額(令和6年(2024年))
果実の産出額(令和6年(2024年)) 生産農業所得統計(都道府県別農業産出額及び生産農業所得)(農林水産省)をもとに作成。単位は億円。 北海道 91億円青森 1,233億円岩手 141億円宮城 25億円秋田 98億円山形 738億円福島 352億円茨城 129億円栃木 91億円群馬 78億円埼玉 52億円千葉 114億円東京 25億円神奈川 86億円新潟 97億円富山 22億円石川 32億円福井 12億円山梨 913億円長野 1,036億円岐阜 59億円静岡 372億円愛知 181億円三重 64億円滋賀 11億円京都 24億円大阪 74億円兵庫 47億円奈良 87億円和歌山 906億円鳥取 71億円島根 45億円岡山 298億円広島 171億円山口 52億円徳島 89億円香川 63億円愛媛 497億円高知 123億円福岡 266億円佐賀 192億円長崎 131億円熊本 419億円大分 157億円宮崎 148億円鹿児島 129億円沖縄 70億円
果実の産出額(億円)
果実の産出額(令和6年(2024年))
項目果実の産出額
北海道91億円
青森県1,233億円
岩手県141億円
宮城県25億円
秋田県98億円
山形県738億円
福島県352億円
茨城県129億円
栃木県91億円
群馬県78億円
埼玉県52億円
千葉県114億円
東京都25億円
神奈川県86億円
新潟県97億円
富山県22億円
石川県32億円
福井県12億円
山梨県913億円
長野県1,036億円
岐阜県59億円
静岡県372億円
愛知県181億円
三重県64億円
滋賀県11億円
京都府24億円
大阪府74億円
兵庫県47億円
奈良県87億円
和歌山県906億円
鳥取県71億円
島根県45億円
岡山県298億円
広島県171億円
山口県52億円
徳島県89億円
香川県63億円
愛媛県497億円
高知県123億円
福岡県266億円
佐賀県192億円
長崎県131億円
熊本県419億円
大分県157億円
宮崎県148億円
鹿児島県129億円
沖縄県70億円

濃い色になるのは東北の北部と中部の内陸、そして紀伊半島です。
逆に色が薄いのは関東と北陸、北海道でした。

47都道府県の単純平均は215億円、中央値は97億円。
平均を超えたのは11県だけで、上位のいくつかが全体を大きく引き上げています。
上下の差は112.09倍と、当サイトが扱ってきた指標のなかでも大きな開きです。
米や野菜のように全国で作られる作物とは、まったく違う分布の形になります。

下の表に47都道府県すべての数値を、農業産出額の合計と果実の割合と並べて掲載しました。
額と割合では、まったく別の県が上位に来ます。

順位都道府県果実の産出額(億円)地方農業産出額果実の割合
1青森県1233東北411929.9
2長野県1036中部320632.3
3山梨県913中部129870.3
4和歌山県906近畿128670.5
5山形県738東北302524.4
6愛媛県497四国133737.2
7熊本県419九州411610.2
8静岡県372中部239615.5
9福島県352東北287412.2
10岡山県298中国188715.8
11福岡県266九州230111.6
12佐賀県192九州137214.0
13愛知県181中部35515.1
14広島県171中国154011.1
15大分県157九州149810.5
16宮崎県148九州37254.0
17岩手県141東北32694.3
18長崎県131九州17457.5
19茨城県129関東54942.3
19鹿児島県129九州56892.3
21高知県123四国122610.0
22千葉県114関東45332.5
23秋田県98東北25723.8
24新潟県97中部31033.1
25栃木県91関東34482.6
25北海道91北海道148170.6
27徳島県89四国10928.2
28奈良県87近畿47518.3
29神奈川県86関東74411.6
30群馬県78関東28682.7
31大阪府74近畿35720.7
32鳥取県71中国8658.2
33沖縄県70九州9097.7
34三重県64近畿12974.9
35香川県63四国9946.3
36岐阜県59中部13734.3
37埼玉県52関東19292.7
37山口県52中国7976.5
39兵庫県47近畿18502.5
40島根県45中国7705.8
41石川県32中部6175.2
42宮城県25東北24941.0
42東京都25関東22611.1
44京都府24近畿8522.8
45富山県22中部8322.6
46福井県12中部5932.0
47滋賀県11近畿8401.3
生産農業所得統計(都道府県別農業産出額及び生産農業所得)(令和6年(2024年)、農林水産省)をもとに作成

このグラフについての豆知識

果実は農業産出額の9.3パーセント

令和6年の農業産出額は全国で108,201億円。
そのうち果実は10,111億円で、9.3パーセントを占めます。
野菜の23.6パーセントと比べると小さな部門です。

産地が動きにくい作物

果樹は植えてから収穫できるまでに数年かかります。
米や野菜のように、その年の値段を見て作るものを変えるということができません。
いったん産地になると、そこから動きにくい。
上位5県で47.7パーセントという集中ぶりは、その性格の表れだと考えられます。

このことは、記事の読み方にも関わります。
米や野菜の産出額なら、数年で順位が入れ替わることがあります。
果実のランキングは、もっと長い時間をかけて形づくられたものだと考えたほうが正確です。

額と割合は別のランキング

この記事の主指標は果実の産出額です。
表には農業産出額に占める果実の割合も載せています。

額で上位に来るのは規模の大きい産地、割合で上位に来るのは果物に特化した県です。
和歌山県は70.5パーセント、山梨県は70.3パーセントと、農業のほとんどが果物という形になっています。
3位の愛媛県が37.2パーセントですから、この2県だけが別格です。

一方、額で1位の青森県は割合では29.9パーセント、2位の長野県は32.3パーセント。
米も畜産も大きい県なので、果物への依存度としては中位にとどまります。
「果物の県」と呼ぶなら和歌山県と山梨県、「果物をたくさん作る県」なら青森県と長野県。
同じ表のなかに、2つの違うランキングが入っていることになります。

産出額は生産量に販売価格を掛けて推計したものです。
実際に農家が受け取った金額そのものではありません。
数字は令和6年(2024年)のものです。

地方のなかで見た果実の産出額

地方最も多い(億円)最も少ない(億円)
東北青森県 1233宮城県 25
関東茨城県 129東京都 25
中部長野県 1036福井県 12
近畿和歌山県 906滋賀県 11
中国岡山県 298島根県 45
四国愛媛県 497香川県 63
九州熊本県 419沖縄県 70
生産農業所得統計(都道府県別農業産出額及び生産農業所得)(令和6年(2024年)、農林水産省)をもとに作成

まとめ

47都道府県の果実の産出額を比べると、青森県は1,233億円、滋賀県は11億円で、その差は112.09倍でした。
全国の合計は10,111億円で、農業産出額全体の9.3パーセントにあたります。
地方別では東北が平均431億円と最も多く、関東が82億円で最も少ない結果になりました。

産出額は生産量に販売価格を掛けて推計した数字で、農家の所得ではありません。
令和6年(2024年)のものです。

農業の7割を果物が占める県が2つありました。
果樹は植え替えに時間がかかるぶん、産地がはっきり分かれる作物です。

額で見るか割合で見るかで、上位の顔ぶれはまったく変わります。
表で両方を見くらべてみてください。

額で1位の青森県は、果物への支出では34位でした。作る量と買う量は、思っていたよりも別々に動きます。

関連記事

出典

  • 統計名: 生産農業所得統計(都道府県別農業産出額及び生産農業所得)
  • 調査年: 令和6年(2024年)
  • 公開元: 農林水産省
  • 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040426672
  • 備考: 農業産出額は生産量に販売価格を掛けて推計したもので、実際の販売額とは異なる。果実の割合は農業産出額の合計に占める果実の割合

注記: 農業産出額は生産量に販売価格を掛けて推計したもので、実際の販売額とは異なる。
果実の割合は農業産出額の合計に占める果実の割合

この記事をシェアする

記事一覧へ戻る

関連記事 Relation Entry