農業・林業・漁業を第1次産業とよびます。
全国では働く人の3.25%にすぎませんが、最も高い県と最も低い都では32倍もの開きがあります。
その土地が何で成り立っているかが、はっきり出る指標です。
今回は47都道府県の第1次産業就業者の割合を、令和2年の総務省統計局「国勢調査」のデータを使って比べました。
全国の就業者6,546万人のうち第1次産業は213万人で3.25%。
最も高い県と最も低い都では32.23倍の開きがありました。
47都道府県の単純平均
5.1%
第1次産業就業者の割合(令和2年(2020年10月1日現在))
最も多い 青森県
11.3%
最も少ない 東京都
0.4%
農林漁業で働く人の割合が高い5県
第1次産業で働く人の割合が高い上位5県です。
青森県は11.28パーセント、高知県は10.10パーセント、宮崎県は9.82パーセント、岩手県は9.63パーセント、山形県は8.66パーセントでした。
青森県と最下位の東京都では32.23倍の差があります。
6位以下は熊本県8.64パーセント、秋田県8.62パーセント、長野県8.48パーセントと続きます。
10パーセントを超えたのは青森県と高知県の2県だけでした。
実数では北海道の16.7万人が1位、長野県9.2万人、千葉県7.8万人、茨城県7.7万人、熊本県7.6万人。
北海道は割合では6.32パーセントで18位にとどまります。
農業の産出額が多い県と、農業で働く人が多い県は違う
この分布の背景を、ここから考えてみます。
第1次産業で働く人の割合の統計が答えを持っているわけではないので、以下はほかの数字と照らして立てた推測です。
農業産出額の順位と、この記事の順位はきれいには重なりません。
農業産出額を比べた記事では、1位が北海道、2位が鹿児島県、3位が茨城県、4位が千葉県、5位が宮崎県でした。
ところが第1次産業で働く人の割合では、北海道が18位、茨城県が26位、千葉県が42位。
上位に来るのは青森県、高知県、岩手県といった、産出額では中位の県です。
稼ぐ額の大きさと、働く人の割合の高さは別のものだということになります。
分かれ目は、その県にほかの産業がどれだけあるかでしょう。
千葉県の第1次産業就業者は7.8万人で全国3位ですが、県の就業者総数が328万人と多いため、割合では2.38パーセントにしかなりません。
一方の高知県は就業者総数が34.5万人と少なく、3.5万人でも10.10パーセントになります。
平均年齢との相関係数はプラス0.72。
第1次産業の割合が高い県ほど、県全体の平均年齢も高いという関係がはっきり出ました。
青森県の平均年齢は50.83歳で全国3位、高知県は51.25歳で2位です。
これは因果を示すものではありません。
農林漁業に高齢の従事者が多いという面と、若い人が出ていった県に農林漁業が残っているという面の両方があり得ます。
ただ、この2つの数字が強く連動していることは確かです。
農林漁業で働く人の割合が低い5都府県
第1次産業で働く人の割合が低い下位5都府県です。
東京都は0.35パーセント、大阪府は0.48パーセント、神奈川県は0.76パーセント、埼玉県は1.48パーセント、兵庫県は1.80パーセントでした。
青森県の11.28パーセントとは32.23倍の差があります。
東京都の第1次産業就業者は2.8万人。
数としては決して少なくありませんが、就業者総数が797万人あるため割合は0.35パーセントにとどまります。
1パーセントを下回ったのは東京都、大阪府、神奈川県の3都府県だけでした。
2パーセントを下回ったのは7都府県。
ほとんどが人口500万人を超える都府県です。
地図で見る第1次産業の割合
| 項目 | 第1次産業就業者の割合 |
|---|---|
| 北海道 | 6.3% |
| 青森県 | 11.3% |
| 岩手県 | 9.6% |
| 宮城県 | 4.0% |
| 秋田県 | 8.6% |
| 山形県 | 8.7% |
| 福島県 | 6.2% |
| 茨城県 | 5.2% |
| 栃木県 | 5.2% |
| 群馬県 | 4.5% |
| 埼玉県 | 1.5% |
| 千葉県 | 2.4% |
| 東京都 | 0.4% |
| 神奈川県 | 0.8% |
| 新潟県 | 5.2% |
| 富山県 | 3.0% |
| 石川県 | 2.6% |
| 福井県 | 3.2% |
| 山梨県 | 6.7% |
| 長野県 | 8.5% |
| 岐阜県 | 2.8% |
| 静岡県 | 3.5% |
| 愛知県 | 1.9% |
| 三重県 | 3.2% |
| 滋賀県 | 2.4% |
| 京都府 | 1.9% |
| 大阪府 | 0.5% |
| 兵庫県 | 1.8% |
| 奈良県 | 2.4% |
| 和歌山県 | 8.1% |
| 鳥取県 | 7.8% |
| 島根県 | 6.6% |
| 岡山県 | 4.2% |
| 広島県 | 2.7% |
| 山口県 | 4.1% |
| 徳島県 | 7.6% |
| 香川県 | 4.8% |
| 愛媛県 | 6.7% |
| 高知県 | 10.1% |
| 福岡県 | 2.4% |
| 佐賀県 | 7.5% |
| 長崎県 | 6.7% |
| 熊本県 | 8.6% |
| 大分県 | 6.1% |
| 宮崎県 | 9.8% |
| 鹿児島県 | 8.3% |
| 沖縄県 | 3.9% |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは東北の北部と南九州、四国の南部です。
淡いのは首都圏と近畿、それに愛知県でした。
47都道府県の単純平均は5.11パーセント、中央値は4.83パーセントです。
全国値の3.25パーセントより高いのは、人口の少ない県ほど割合が高いためで、都道府県を平等に扱うと数字は上がります。
8パーセントを超えたのは10県、2パーセントを下回ったのは7都府県。
上位と下位で1桁違う結果になりました。
| 順位 | 都道府県 | 第1次産業就業者の割合(%) | 地方 | 第1次産業就業者数 | 農業就業者数 | 漁業就業者数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 青森県 | 11.28 | 東北 | 70403 | 61771 | 6926 |
| 2 | 高知県 | 10.1 | 四国 | 34801 | 28867 | 3344 |
| 3 | 宮崎県 | 9.82 | 九州 | 52406 | 45837 | 2756 |
| 4 | 岩手県 | 9.63 | 東北 | 60347 | 52666 | 4670 |
| 5 | 山形県 | 8.66 | 東北 | 48737 | 47070 | 519 |
| 6 | 熊本県 | 8.64 | 九州 | 75594 | 69134 | 3971 |
| 7 | 秋田県 | 8.62 | 東北 | 41598 | 38670 | 595 |
| 8 | 長野県 | 8.48 | 中部 | 92133 | 89203 | 197 |
| 9 | 鹿児島県 | 8.31 | 九州 | 63892 | 57165 | 4708 |
| 10 | 和歌山県 | 8.13 | 近畿 | 37648 | 34578 | 2006 |
| 11 | 鳥取県 | 7.77 | 中国 | 22264 | 20323 | 1072 |
| 12 | 徳島県 | 7.64 | 四国 | 26269 | 23467 | 2001 |
| 13 | 佐賀県 | 7.5 | 九州 | 31283 | 27692 | 3177 |
| 14 | 愛媛県 | 6.74 | 四国 | 44086 | 37382 | 5306 |
| 15 | 山梨県 | 6.73 | 中部 | 28644 | 27677 | 106 |
| 16 | 長崎県 | 6.67 | 九州 | 43201 | 32556 | 9974 |
| 17 | 島根県 | 6.58 | 中国 | 22922 | 18959 | 2513 |
| 18 | 北海道 | 6.32 | 北海道 | 166688 | 130963 | 28813 |
| 19 | 福島県 | 6.21 | 東北 | 58549 | 54960 | 1230 |
| 20 | 大分県 | 6.13 | 九州 | 33759 | 29081 | 2922 |
| 21 | 茨城県 | 5.23 | 関東 | 77271 | 74904 | 1634 |
| 22 | 栃木県 | 5.22 | 関東 | 52746 | 51377 | 168 |
| 23 | 新潟県 | 5.17 | 中部 | 58782 | 56187 | 1544 |
| 24 | 香川県 | 4.83 | 四国 | 23074 | 21197 | 1631 |
| 25 | 群馬県 | 4.54 | 関東 | 45773 | 44379 | 99 |
| 26 | 岡山県 | 4.18 | 中国 | 39064 | 36587 | 1170 |
| 27 | 山口県 | 4.09 | 中国 | 26924 | 22767 | 3130 |
| 28 | 宮城県 | 4.03 | 東北 | 47651 | 39948 | 6162 |
| 29 | 沖縄県 | 3.86 | 九州 | 28223 | 25151 | 2876 |
| 30 | 静岡県 | 3.47 | 中部 | 66817 | 61237 | 3883 |
| 31 | 福井県 | 3.24 | 中部 | 13434 | 11842 | 986 |
| 32 | 三重県 | 3.19 | 近畿 | 29285 | 23380 | 4909 |
| 33 | 富山県 | 2.98 | 中部 | 16329 | 14929 | 858 |
| 34 | 岐阜県 | 2.83 | 中部 | 29251 | 27223 | 199 |
| 35 | 広島県 | 2.73 | 中国 | 39064 | 34076 | 3718 |
| 36 | 石川県 | 2.62 | 中部 | 15637 | 13018 | 1925 |
| 37 | 滋賀県 | 2.43 | 近畿 | 17787 | 16871 | 422 |
| 38 | 福岡県 | 2.39 | 九州 | 60792 | 56121 | 3636 |
| 39 | 千葉県 | 2.38 | 関東 | 78211 | 74053 | 3576 |
| 40 | 奈良県 | 2.36 | 近畿 | 14925 | 13993 | 77 |
| 41 | 京都府 | 1.9 | 近畿 | 24631 | 23076 | 739 |
| 42 | 愛知県 | 1.88 | 中部 | 75528 | 71471 | 3337 |
| 43 | 兵庫県 | 1.8 | 近畿 | 48034 | 42306 | 4581 |
| 44 | 埼玉県 | 1.48 | 関東 | 56645 | 56007 | 148 |
| 45 | 神奈川県 | 0.76 | 関東 | 37097 | 35128 | 1388 |
| 46 | 大阪府 | 0.48 | 近畿 | 21410 | 20267 | 846 |
| 47 | 東京都 | 0.35 | 関東 | 27912 | 26441 | 800 |
このグラフについての豆知識
第1次産業の中身
第1次産業は農業、林業、漁業の3つです。
全国213万人の内訳を見ると、農業が最も多く、林業と漁業を大きく上回ります。
漁業就業者が最も多いのは北海道で、次いで長崎県、青森県。
漁獲量を比べた記事で上位に入った県と、おおむね重なります。
国勢調査は住んでいる場所で数える調査なので、勤め先の場所とは一致しません。
産業分類が不詳の人がいる
国勢調査では、産業が分からない「分類不能の産業」として集計される就業者がいます。
そのため第1次・第2次・第3次の割合を足しても100パーセントにはなりません。
全国では第1次3.25パーセント、第2次23.40パーセント、第3次73.35パーセントで、合計は100.00パーセントに近い値になります。
都道府県によっては1パーセント前後の差が出ることもあります。
数字は令和2年、2020年10月1日現在のものです。
順位の並びがにている記事
第1次産業で働く人の割合の並びと似ている記事、そして正反対の記事を挙げます。
並びが最も重なったのは【高齢者の割合】を47都道府県で比較すると地域差は16.8ポイントで、相関は0.81です。
逆に、ほぼ裏返しの並びになったのが【自宅でのテレワーク】有業者の17.7%、実態はほぼ在宅勤務(相関-0.86)でした。
相関は因果ではないので、関係があると決めつけることはできません。
見くらべる手がかりとして使ってください。
地方のなかで見た第1次産業就業者の割合
| 地方 | 最も多い(%) | 最も少ない(%) |
|---|---|---|
| 東北 | 青森県 11.28 | 宮城県 4.03 |
| 関東 | 茨城県 5.23 | 東京都 0.35 |
| 中部 | 長野県 8.48 | 愛知県 1.88 |
| 近畿 | 和歌山県 8.13 | 大阪府 0.48 |
| 中国 | 鳥取県 7.77 | 広島県 2.73 |
| 四国 | 高知県 10.1 | 香川県 4.83 |
| 九州 | 宮崎県 9.82 | 福岡県 2.39 |
まとめ
第1次産業で働く人の割合を比べると、最も高い青森県は11.28パーセント、最も低い東京都は0.35パーセントで、その差は32.23倍でした。
全国では就業者6,546万人のうち3.25パーセントです。
第1次産業で働く人の割合をほかの数字と見くらべる前に、3つ確かめてください。
1つ目は、住んでいる場所で数える調査であること。
2つ目は、分類不能の産業があるため3つの産業を足しても100パーセントにならないこと。
3つ目は令和2年10月1日現在の数字であることです。
農業産出額1位の北海道は、この記事では18位の6.32パーセント。
稼ぐ額の大きさと、働く人の割合の高さは別のものでした。
平均年齢との相関係数はプラス0.72。
農林漁業の割合が高い県ほど、県全体の平均年齢も高くなっています。
農業産出額や耕地面積を比べた記事とあわせて読んでみてください。
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出典
- 統計名: 国勢調査(人口等基本集計)
- 調査年: 令和2年(2020年10月1日現在)
- 公開元: 総務省統計局
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000032143614
- 備考: 就業者数に占める割合。分母は15歳以上就業者数で、産業分類は日本標準産業分類による。分類不能の産業を含むため、産業別の割合を足しても100%にはならない。第1次産業は農業、林業、漁業
注記: 就業者数に占める割合。
分母は15歳以上就業者数で、産業分類は日本標準産業分類による。
分類不能の産業を含むため、産業別の割合を足しても100%にはならない。
第1次産業は農業、林業、漁業
