【農業産出額】が大きい都道府県ランキング、上位5道県で全体の3割を占めます

【農業産出額】が大きい都道府県ランキング、上位5道県で全体の3割を占めます

農業の規模をくらべるとき、とれた量ではなく金額で見る方法があります。
これを農業産出額といい、生産量に販売価格を掛けて推計したものです。
実際にいくら売れたかではなく、その年の生産をお金に直すとどれくらいかを表します。

今回は47都道府県の農業産出額を、令和6年の農林水産省「生産農業所得統計」のデータを使って比べました。

都道府県別の農業産出額を合計すると10兆8,201億円。
1位と47位では65.6倍の開きがありました。
規模が大きいのはどこか、そしてその道県は何を作っているのかを順に見ていきます。

47都道府県の単純平均

2,302億円

農業産出額(令和6年(2024年))

最も多い 北海道

14,817億円

最も少ない 東京都

226億円

農業産出額が大きい5道県

上位5都道府県の農業産出額
上位5都道府県の農業産出額 生産農業所得統計(都道府県別農業産出額及び生産農業所得)(令和6年(2024年)) 04,0008,00012,000北海道: 14,817億円14,817億円鹿児島県: 5,689億円5,689億円茨城県: 5,494億円5,494億円千葉県: 4,533億円4,533億円青森県: 4,119億円4,119億円北海道鹿児島県茨城県千葉県青森県
上位5都道府県の農業産出額
項目農業産出額
北海道14,817億円
鹿児島県5,689億円
茨城県5,494億円
千葉県4,533億円
青森県4,119億円
下位5都道府県の農業産出額
下位5都道府県の農業産出額 生産農業所得統計(都道府県別農業産出額及び生産農業所得)(令和6年(2024年)) 0100200300400500600東京都: 226億円226億円大阪府: 357億円357億円奈良県: 475億円475億円福井県: 593億円593億円石川県: 617億円617億円東京都大阪府奈良県福井県石川県
下位5都道府県の農業産出額
項目農業産出額
東京都226億円
大阪府357億円
奈良県475億円
福井県593億円
石川県617億円

農業産出額が大きい上位5道県です。

北海道は14,817億円、鹿児島県は5,689億円、茨城県は5,494億円、千葉県は4,533億円、青森県は4,119億円でした。
上位5道県を合計すると34,652億円で、全国の32.0パーセントを占めます。

北海道の14,817億円は2位の鹿児島県の2.6倍で、1道だけで全国の13.7パーセントにあたります。

6位以下は熊本県の4,116億円、宮崎県の3,725億円、愛知県の3,551億円、栃木県の3,448億円と続きました。
上位10道県の合計は52,761億円。
農業産出額のほぼ半分が10道県に集まっている計算になります。

5,000億円を超えたのは3道県、逆に1,000億円に届かなかった県が14ありました。

規模の大きい道県は何で稼いでいるのか

この分布の背景を、ここから考えてみます。
農業産出額の統計が答えを持っているわけではないので、以下はほかの数字と照らして立てた推測です。

産出額の大きい道県を部門別に見ると、性格が2つに分かれます。

ひとつは畜産型です。
北海道は畜産が8,399億円で全体の56.7パーセント、鹿児島県は3,622億円で63.7パーセント、宮崎県は2,344億円で62.9パーセントを占めます。
牛や豚、鶏は単価が高く、飼料を確保できれば土地の広さ以上に金額を積み上げられます。

もうひとつは野菜型です。
茨城県は野菜が1,958億円で35.6パーセント、熊本県は1,508億円で36.6パーセント、千葉県は1,430億円で31.5パーセントでした。
いずれも大消費地に近く、収穫から店頭までの距離が短い県です。

逆に、米の比率が高い県は総額が伸びにくいようです。
富山県は米が農業産出額の77.8パーセント、福井県は68.8パーセントを占めますが、産出額そのものは832億円と593億円にとどまります。
米は面積あたりの金額が野菜や畜産より小さいため、田んぼが広くても総額としては大きくなりにくいのだと考えられます。

ただし例外もあります。
新潟県は米の比率が66.7パーセントと高いのに、産出額は3,103億円で12位でした。
作付面積そのものが大きいためです。

つまり農業の規模が大きい道県とは、畜産に力を入れているか、大消費地の近くで野菜を作っているか、あるいは米づくりの面積が飛び抜けて大きいかのいずれかだと言えそうです。

農業産出額が小さい5都府県

農業産出額が小さい下位5都府県です。

東京都は226億円、大阪府は357億円、奈良県は475億円、福井県は593億円、石川県は617億円でした。
北海道の14,817億円と東京都の226億円では65.6倍の差があります。

下位に並んだのは、大都市そのものか、農地が限られる県です。
東京都と大阪府は市街地が県土の多くを占めます。
奈良県、福井県、石川県はいずれも平地が狭く、合計しても1,000億円に届きませんでした。

産出額が小さいことは、農業をしていないという意味ではありません。
東京都の226億円のうち130億円、57.5パーセントは野菜です。
大阪府も166億円で46.5パーセントを野菜が占めます。
農地が少ないぶん、単価の高い野菜に絞っているという読み方ができます。

1,000億円に届かなかった14県の内訳は、近畿4府県、北陸3県、中国3県、関東2都県、四国1県、そして沖縄県でした。

地方別に見る農業産出額

地方別の平均(農業産出額)
地方別の平均(農業産出額) 生産農業所得統計(都道府県別農業産出額及び生産農業所得)(令和6年(2024年)) 02,0004,0006,0008,00010,00012,00014,000北海道: 14,817億円14,817億円東北: 3,059億円3,059億円関東: 2,749億円2,749億円中部: 1,885億円1,885億円近畿: 994億円994億円中国: 1,172億円1,172億円四国: 1,162億円1,162億円九州: 2,669億円2,669億円北海道東北関東中部近畿中国四国九州
地方別の平均(農業産出額)
項目農業産出額の平均
北海道14,817億円
東北3,059億円
関東2,749億円
中部1,885億円
近畿994億円
中国1,172億円
四国1,162億円
九州2,669億円

地方別に平均を出すと、差がはっきりします。

最も大きいのは北海道の14,817億円ですが、1道だけの数字なので他とは単純に比べられません。
県の集まりで見ると、東北6県が平均3,059億円で最も大きく、関東7都県が2,749億円、九州8県が2,669億円と続きます。

小さいほうは中部9県が1,885億円、中国5県が1,172億円、四国4県が1,162億円、近畿7府県が994億円でした。
最も大きい東北と最も小さい近畿では3.1倍の差があります。

東北が上位に来るのは、6県すべてが底堅いためです。
青森県4,119億円、岩手県3,269億円、山形県3,025億円、福島県2,874億円、秋田県2,572億円、宮城県2,494億円と、いずれも2,000億円を超えています。

地図で見る農業産出額

農業産出額(令和6年(2024年))
農業産出額(令和6年(2024年)) 生産農業所得統計(都道府県別農業産出額及び生産農業所得)(農林水産省)をもとに作成。単位は億円。 北海道 14,817億円青森 4,119億円岩手 3,269億円宮城 2,494億円秋田 2,572億円山形 3,025億円福島 2,874億円茨城 5,494億円栃木 3,448億円群馬 2,868億円埼玉 1,929億円千葉 4,533億円東京 226億円神奈川 744億円新潟 3,103億円富山 832億円石川 617億円福井 593億円山梨 1,298億円長野 3,206億円岐阜 1,373億円静岡 2,396億円愛知 3,551億円三重 1,297億円滋賀 840億円京都 852億円大阪 357億円兵庫 1,850億円奈良 475億円和歌山 1,286億円鳥取 865億円島根 770億円岡山 1,887億円広島 1,540億円山口 797億円徳島 1,092億円香川 994億円愛媛 1,337億円高知 1,226億円福岡 2,301億円佐賀 1,372億円長崎 1,745億円熊本 4,116億円大分 1,498億円宮崎 3,725億円鹿児島 5,689億円沖縄 909億円
農業産出額(億円)
農業産出額(令和6年(2024年))
項目農業産出額
北海道14,817億円
青森県4,119億円
岩手県3,269億円
宮城県2,494億円
秋田県2,572億円
山形県3,025億円
福島県2,874億円
茨城県5,494億円
栃木県3,448億円
群馬県2,868億円
埼玉県1,929億円
千葉県4,533億円
東京都226億円
神奈川県744億円
新潟県3,103億円
富山県832億円
石川県617億円
福井県593億円
山梨県1,298億円
長野県3,206億円
岐阜県1,373億円
静岡県2,396億円
愛知県3,551億円
三重県1,297億円
滋賀県840億円
京都府852億円
大阪府357億円
兵庫県1,850億円
奈良県475億円
和歌山県1,286億円
鳥取県865億円
島根県770億円
岡山県1,887億円
広島県1,540億円
山口県797億円
徳島県1,092億円
香川県994億円
愛媛県1,337億円
高知県1,226億円
福岡県2,301億円
佐賀県1,372億円
長崎県1,745億円
熊本県4,116億円
大分県1,498億円
宮崎県3,725億円
鹿児島県5,689億円
沖縄県909億円

日本地図で見ると、色が濃く出るのは北海道と南九州、そして関東の北部です。
淡いのは近畿と北陸、そして大都市を抱える東京都と大阪府でした。

47都道府県の単純平均は2,302億円、中央値は1,540億円です。
平均を超えたのは18道県だけでした。

平均と中央値が760億円ほど離れているのは、上に大きく外れた道県があるためです。
真ん中あたりの県の実感に近いのは、中央値の1,540億円のほうだと言えます。

順位都道府県農業産出額(億円)地方畜産の産出額野菜の産出額米の産出額
1北海道14817北海道839923751841
2鹿児島県5689九州3622704336
3茨城県5494関東128619581399
4千葉県4533関東146414301005
5青森県4119東北1083762955
6熊本県4116九州13471508545
7宮崎県3725九州2344756237
8愛知県3551中部9851354424
9栃木県3448関東1399793998
10岩手県3269東北1864294873
11長野県3206中部2801026635
12新潟県3103中部4713642069
13山形県3025東北4404361311
14福島県2874東北5105411324
15群馬県2868関東13271042273
16秋田県2572東北4383221652
17宮城県2494東北7743211309
18静岡県2396中部605689269
19福岡県2301九州373807536
20埼玉県1929関東250872528
21岡山県1887中国780277481
22兵庫県1850近畿656444627
23長崎県1745九州601556163
24広島県1540中国633308377
25大分県1498九州484438316
26岐阜県1373中部459442333
27佐賀県1372九州368371333
28愛媛県1337四国290226215
29山梨県1298中部8714582
30三重県1297近畿545159377
31和歌山県1286近畿3613896
32高知県1226四国91758162
33徳島県1092四国282429162
34香川県994四国412304162
35沖縄県909九州3671555
36鳥取県865中国328219206
37京都府852近畿156299246
38滋賀県840近畿114128535
39富山県832中部7857647
40山口県797中国220184284
41島根県770中国292143258
42神奈川県744関東16038146
43石川県617中部7893390
44福井県593中部6086408
45奈良県475近畿61122137
46大阪府357近畿1816672
47東京都226関東171301
生産農業所得統計(都道府県別農業産出額及び生産農業所得)(令和6年(2024年)、農林水産省)をもとに作成

このグラフについての豆知識

全国の合計と都道府県の合計は一致しない

農林水産省が公表している令和6年の農業総産出額は10兆7,801億円です。
一方、47都道府県の数字を足すと10兆8,201億円になり、400億円ほど多くなります。

これは誤差ではありません。
ある県で生まれた子牛を別の県が買って育てる、といった県をまたぐ取引があると、都道府県別ではどちらにも計上されます。
全国の数字はその重複を差し引いているため、都道府県の単純合計より小さくなります。

この記事では都道府県を比べることが目的なので、合計も都道府県別の数字を足したものを使っています。

令和6年は米の産出額が7割近く伸びた

令和6年の農業総産出額は前年より1兆2,923億円、13.6パーセント増えました。
伸びの多くは米によるものです。
米の産出額は前年比で1兆331億円、68.0パーセント増の2兆5,524億円となりました。

米の価格が大きく動いた年だったため、米の比率が高い県ほどこの1年で産出額が伸びています。
ランキングを見るときは、これが令和6年という特定の年の姿である点に気をつけてください。

産出額は生産量に販売価格を掛けて推計した数字です。
同じ量を作っても、価格が上がれば産出額は増えます。

順位の並びがにている記事

この農業産出額の並びに近い記事を、全記事の順位から機械で洗い出しました。

0.89という高い相関を示したのが【販売農家の数】全国102万戸、人口あたりでは87倍の差でした。
逆に、ほぼ裏返しの並びになったのが【ぶりへの支出】平均年3,023円、年取り魚の東西(相関-0.6)でした。

似ているからといって理由が同じとはかぎりません。
それでも、2つを重ねると土地の性格が見えてくることがあります。

地方のなかで見た農業産出額

地方最も多い(億円)最も少ない(億円)
東北青森県 4119宮城県 2494
関東茨城県 5494東京都 226
中部愛知県 3551福井県 593
近畿兵庫県 1850大阪府 357
中国岡山県 1887島根県 770
四国愛媛県 1337香川県 994
九州鹿児島県 5689沖縄県 909
生産農業所得統計(都道府県別農業産出額及び生産農業所得)(令和6年(2024年)、農林水産省)をもとに作成

まとめ

47都道府県の農業産出額を比べると、最も大きい北海道は14,817億円、最も小さい東京都は226億円で、その差は65.6倍でした。
都道府県別の合計は10兆8,201億円、上位5道県だけで32.0パーセント、上位10道県では48.8パーセントを占めます。

農業産出額の数字には、但し書きが3つつきます。
1つ目は、産出額が生産量に販売価格を掛けて推計した数字であること。
2つ目は、都道府県の合計が全国の農業総産出額と一致しないこと。
3つ目は、米価が大きく動いた令和6年(2024年)の数字であることです。

規模の大きい道県は、畜産中心の道県と、大消費地の近くで野菜を作る県に分かれていました。
米の比率が高い県は、田んぼが広くても金額としては伸びにくくなります。

農業の規模を1本の数字で見ると北海道が突出しますが、部門別に分けると県ごとの成り立ちが見えてきます。
野菜や果物の産出額を比べた記事とあわせて読むと、その違いがよりはっきりします。

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出典

注記: 農業産出額は生産量に販売価格を掛けて推計したもので、実際の販売額とは異なる。
畜産・野菜・米は部門別の内訳

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