野菜は、米や畜産と並ぶ農業の大きな部門です。
全国の産出額は2兆5,512億円で、農業産出額全体の23.6%を占めます。
とれた量ではなく金額で見るため、高く売れる品目をつくる県が上位に来やすくなります。
今回は47都道府県の野菜の産出額を、令和6年の農林水産省「生産農業所得統計」のデータを使って比べました。
47都道府県の野菜の産出額は合計25,512億円。
農業産出額全体108,201億円の23.6%にあたります。
米や畜産と並ぶ大きな部門です。
どこで多く作られているのか、地図とランキングで見ていきましょう。
47都道府県の単純平均
543億円
野菜の産出額(令和6年(2024年))
最も多い 北海道
2,375億円
最も少ない 富山県
57億円
野菜の産出額が多い5道県
野菜の産出額が多い上位5道県です。
北海道は2,375億円、茨城県は1,958億円、熊本県は1,508億円、千葉県は1,430億円、愛知県は1,354億円でした。
上位5道県を合計すると8,625億円で、全国の33.8パーセントを占めます。
上位に並んだのは北海道と、大都市圏に近い県です。
茨城県と千葉県は首都圏、愛知県は中京圏に隣接しています。
消費地の近くで作るという野菜づくりの性格が、そのまま順位に出ている形です。
熊本県は九州の産地で、冬でも温暖な気候を生かしています。
6位以下も1,042億円、1,026億円、872億円と続きます。
1,000億円を超えたのは7道県でした。
上位5道県のうち4つは人口の多い都府県か、その隣の県です。
野菜は輸送に時間をかけにくい作物なので、消費地との距離が産地の位置を決めているようです。
額で見るか割合で見るかで別の県が出てくる
なぜこういう並びになるのか、ここからは考えてみます。
以下は野菜の産出額の統計から直接読み取れることではなく、別の数字と照らして立てた推測です。
野菜の産出額で1位の北海道は2,375億円ですが、北海道の農業産出額全体は14,817億円。
野菜が占める割合は16.0パーセントにとどまります。
北海道は米も畜産も大きく、野菜はそのうちの一部という位置づけです。
では農業産出額に占める野菜の割合で並べるとどうなるでしょうか。
1位は高知県の61.8パーセント、2位は東京都の57.5パーセント、3位は神奈川県の51.2パーセントでした。
額では12位の高知県が、割合では1位になります。
高知県の野菜の産出額は758億円。
額としては中位ですが、県の農業のなかでは野菜が6割を占めています。
なすやピーマンなどの施設園芸に特化した農業だと言えます。
東京都と神奈川県が割合で上位に入るのは、農地が限られるなかで単価の高い野菜に絞っているためだと考えられます。
都市近郊で野菜を作るのは、輸送距離が短く鮮度で勝負できるという理由もありそうです。
つまり「野菜の県」には2つの意味があります。
たくさん作っている県と、農業の中心が野菜である県。
どちらを指すかで、上位の顔ぶれはまったく変わります。
野菜の産出額が少ない5県
野菜の産出額が少ない下位5県です。
富山県は57億円、福井県は86億円、石川県は93億円、奈良県は122億円、滋賀県は128億円でした。
北海道の2,375億円と富山県の57億円では41.67倍の差があります。
下位に並んだのは北陸3県と近畿2県です。
北陸は米づくりが盛んな地域で、米の収穫量を比べた記事でも新潟県が1位、富山県が12位に入っていました。
農業の中心が米にある地域では、野菜の産出額は小さくなります。
実際、富山県の農業産出額全体は832億円で、そのうち野菜は6.9パーセントしかありません。
米が中心の県だということが数字にも出ています。
なお産出額が小さいことは、野菜を作っていないことを意味しません。
県内で消費される分を中心に作っていれば、産出額としては大きくならないという面もあります。
下位5県のうち3県は北陸、2県は近畿です。
地方別の平均でも近畿7府県が208億円で最も少なくなっています。
地方別に見る野菜の産出額
地方別に平均を出すと、地域差がはっきり出ます。
最も多いのは北海道の2,375億円です。
1道だけの数字なので他と単純には比べられませんが、県の集まりで見ると関東7都県の平均944億円が最も多く、九州8県が662億円、中部9県が473億円と続きます。
少ないほうを見ると、東北6県が446億円、四国4県が429億円、中国5県が226億円、近畿7府県が208億円でした。
最も多い関東と最も少ない近畿では4.5倍の差があります。
首都圏を抱える関東が上位に来るのは、大消費地の近くで野菜を作る構造があるためだと考えられます。
地図で見る野菜の産出額
| 項目 | 野菜の産出額 |
|---|---|
| 北海道 | 2,375億円 |
| 青森県 | 762億円 |
| 岩手県 | 294億円 |
| 宮城県 | 321億円 |
| 秋田県 | 322億円 |
| 山形県 | 436億円 |
| 福島県 | 541億円 |
| 茨城県 | 1,958億円 |
| 栃木県 | 793億円 |
| 群馬県 | 1,042億円 |
| 埼玉県 | 872億円 |
| 千葉県 | 1,430億円 |
| 東京都 | 130億円 |
| 神奈川県 | 381億円 |
| 新潟県 | 364億円 |
| 富山県 | 57億円 |
| 石川県 | 93億円 |
| 福井県 | 86億円 |
| 山梨県 | 145億円 |
| 長野県 | 1,026億円 |
| 岐阜県 | 442億円 |
| 静岡県 | 689億円 |
| 愛知県 | 1,354億円 |
| 三重県 | 159億円 |
| 滋賀県 | 128億円 |
| 京都府 | 299億円 |
| 大阪府 | 166億円 |
| 兵庫県 | 444億円 |
| 奈良県 | 122億円 |
| 和歌山県 | 138億円 |
| 鳥取県 | 219億円 |
| 島根県 | 143億円 |
| 岡山県 | 277億円 |
| 広島県 | 308億円 |
| 山口県 | 184億円 |
| 徳島県 | 429億円 |
| 香川県 | 304億円 |
| 愛媛県 | 226億円 |
| 高知県 | 758億円 |
| 福岡県 | 807億円 |
| 佐賀県 | 371億円 |
| 長崎県 | 556億円 |
| 熊本県 | 1,508億円 |
| 大分県 | 438億円 |
| 宮崎県 | 756億円 |
| 鹿児島県 | 704億円 |
| 沖縄県 | 155億円 |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは北海道と関東の北部、そして九州の一部です。
逆に淡いのは北陸と近畿、中国地方でした。
47都道府県の単純平均は543億円、中央値は371億円です。
平均を超えたのは16道県だけで、上位のいくつかが全体を引き上げています。
上下の差は41.67倍と大きく、産地が集中する指標だと分かります。
下の表に47都道府県すべての数値を、農業産出額の合計と野菜の割合と並べて掲載しました。
額と割合では、まったく別の県が上位に来ます。
| 順位 | 都道府県 | 野菜の産出額(億円) | 地方 | 農業産出額 | 野菜の割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 北海道 | 2375 | 北海道 | 14817 | 16.0 |
| 2 | 茨城県 | 1958 | 関東 | 5494 | 35.6 |
| 3 | 熊本県 | 1508 | 九州 | 4116 | 36.6 |
| 4 | 千葉県 | 1430 | 関東 | 4533 | 31.5 |
| 5 | 愛知県 | 1354 | 中部 | 3551 | 38.1 |
| 6 | 群馬県 | 1042 | 関東 | 2868 | 36.3 |
| 7 | 長野県 | 1026 | 中部 | 3206 | 32.0 |
| 8 | 埼玉県 | 872 | 関東 | 1929 | 45.2 |
| 9 | 福岡県 | 807 | 九州 | 2301 | 35.1 |
| 10 | 栃木県 | 793 | 関東 | 3448 | 23.0 |
| 11 | 青森県 | 762 | 東北 | 4119 | 18.5 |
| 12 | 高知県 | 758 | 四国 | 1226 | 61.8 |
| 13 | 宮崎県 | 756 | 九州 | 3725 | 20.3 |
| 14 | 鹿児島県 | 704 | 九州 | 5689 | 12.4 |
| 15 | 静岡県 | 689 | 中部 | 2396 | 28.8 |
| 16 | 長崎県 | 556 | 九州 | 1745 | 31.9 |
| 17 | 福島県 | 541 | 東北 | 2874 | 18.8 |
| 18 | 兵庫県 | 444 | 近畿 | 1850 | 24.0 |
| 19 | 岐阜県 | 442 | 中部 | 1373 | 32.2 |
| 20 | 大分県 | 438 | 九州 | 1498 | 29.2 |
| 21 | 山形県 | 436 | 東北 | 3025 | 14.4 |
| 22 | 徳島県 | 429 | 四国 | 1092 | 39.3 |
| 23 | 神奈川県 | 381 | 関東 | 744 | 51.2 |
| 24 | 佐賀県 | 371 | 九州 | 1372 | 27.0 |
| 25 | 新潟県 | 364 | 中部 | 3103 | 11.7 |
| 26 | 秋田県 | 322 | 東北 | 2572 | 12.5 |
| 27 | 宮城県 | 321 | 東北 | 2494 | 12.9 |
| 28 | 広島県 | 308 | 中国 | 1540 | 20.0 |
| 29 | 香川県 | 304 | 四国 | 994 | 30.6 |
| 30 | 京都府 | 299 | 近畿 | 852 | 35.1 |
| 31 | 岩手県 | 294 | 東北 | 3269 | 9.0 |
| 32 | 岡山県 | 277 | 中国 | 1887 | 14.7 |
| 33 | 愛媛県 | 226 | 四国 | 1337 | 16.9 |
| 34 | 鳥取県 | 219 | 中国 | 865 | 25.3 |
| 35 | 山口県 | 184 | 中国 | 797 | 23.1 |
| 36 | 大阪府 | 166 | 近畿 | 357 | 46.5 |
| 37 | 三重県 | 159 | 近畿 | 1297 | 12.3 |
| 38 | 沖縄県 | 155 | 九州 | 909 | 17.1 |
| 39 | 山梨県 | 145 | 中部 | 1298 | 11.2 |
| 40 | 島根県 | 143 | 中国 | 770 | 18.6 |
| 41 | 和歌山県 | 138 | 近畿 | 1286 | 10.7 |
| 42 | 東京都 | 130 | 関東 | 226 | 57.5 |
| 43 | 滋賀県 | 128 | 近畿 | 840 | 15.2 |
| 44 | 奈良県 | 122 | 近畿 | 475 | 25.7 |
| 45 | 石川県 | 93 | 中部 | 617 | 15.1 |
| 46 | 福井県 | 86 | 中部 | 593 | 14.5 |
| 47 | 富山県 | 57 | 中部 | 832 | 6.9 |
このグラフについての豆知識
農業産出額の23.6パーセントが野菜
令和6年の農業産出額は全国で108,201億円。
そのうち野菜は25,512億円で、23.6パーセントを占めます。
部門としては畜産に次ぐ規模です。
産出額は生産量に販売価格を掛けて推計したもので、実際に農家が受け取った金額そのものではありません。
価格が上がれば産出額も増えるため、豊作の年に産出額が下がることもあります。
米の収穫量を比べた記事ではトン単位の数量を扱いましたが、こちらは金額です。
同じ農業でも、何で測るかで見える景色は変わります。
額と割合は別のランキング
この記事の主指標は野菜の産出額です。
表には農業産出額に占める野菜の割合も載せています。
額で上位に来るのは規模の大きい産地、割合で上位に来るのは野菜に特化した県です。
両方を見ると、その県の農業がどんな形をしているかが分かります。
たとえば北海道は額で1位ですが割合では16.0パーセント。
高知県は額で12位ですが割合では61.8パーセントで全国1位です。
同じ表のなかに、2つの違うランキングが入っていることになります。
順位の並びがにている記事
野菜の産出額の並びと似ている記事、そして正反対の記事を挙げます。
最も似ていたのは【トマト・収穫量】全国66万3,600t、45県が調査対象で最も広い(順位相関0.85)です。
逆に、ほぼ裏返しの並びになったのが【ぶりへの支出】平均年3,023円、年取り魚の東西(相関-0.48)でした。
並びが似ていても、そこに関係があるとまでは言えません。
ただ、2つの地図をならべると読み方のヒントにはなります。
地方のなかで見た野菜の産出額
| 地方 | 最も多い(億円) | 最も少ない(億円) |
|---|---|---|
| 東北 | 青森県 762 | 岩手県 294 |
| 関東 | 茨城県 1958 | 東京都 130 |
| 中部 | 愛知県 1354 | 富山県 57 |
| 近畿 | 兵庫県 444 | 奈良県 122 |
| 中国 | 広島県 308 | 島根県 143 |
| 四国 | 高知県 758 | 愛媛県 226 |
| 九州 | 熊本県 1508 | 沖縄県 155 |
まとめ
47都道府県の野菜の産出額を比べると、北海道は2,375億円、富山県は57億円で、その差は41.67倍でした。
全国の合計は25,512億円で、農業産出額全体の23.6パーセントにあたります。
地方別では関東が平均944億円と最も多く、近畿が208億円で最も少ない結果になりました。
野菜の産出額をどう数えているかについて、3つ補っておきます。
1つ目は、産出額が生産量に販売価格を掛けて推計した数字であることです。
2つ目は、額と割合ではまったく別の県が上位に来ることです。
3つ目は年次で、令和6年(2024年)の数字です。
額で1位の道は、農業に占める野菜の割合では16.0パーセントでした。
「野菜の県」という言葉には、規模の話と特化の話が混ざっています。
野菜づくりは消費地との距離にも左右されます。
米の収穫量を比べた記事とあわせて読むと、地域ごとの農業の形が見えてきます。
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出典
- 統計名: 生産農業所得統計(都道府県別農業産出額及び生産農業所得)
- 調査年: 令和6年(2024年)
- 公開元: 農林水産省
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040426672
- 備考: 農業産出額は生産量に販売価格を掛けて推計したもので、実際の販売額とは異なる。野菜の割合は農業産出額の合計に占める野菜の割合
注記: 農業産出額は生産量に販売価格を掛けて推計したもので、実際の販売額とは異なる。
野菜の割合は農業産出額の合計に占める野菜の割合
