厚生年金に入っている人の数が10年でどう変わったかは、都道府県でどれほど違うのでしょうか。
この記事では、47都道府県の数字を比べます。
2012年と2022年の被保険者数を比べた変化率です。
使うのは総務省統計局の社会・人口統計体系。
全国は3,471万7,319人から4,156万9,435人へ、685万2,116人増えました。
47都道府県すべてがプラスで、上位ほど増え方が大きいという読み方になります。
47都道府県の単純平均
13.2%
厚生年金保険被保険者数の10年変化率(2012年と2022年の比較)
最も多い 千葉県
39.8%
最も少ない 島根県
0.4%
増え方が大きかった5都県
増え方が大きかった上位5都県です。
千葉県はプラス39.75パーセント、神奈川県はプラス33.59パーセント、沖縄県はプラス31.37パーセント、埼玉県はプラス31.29パーセント、東京都はプラス29.25パーセントでした。
千葉県は79万1,080人から110万5,499人へ31万4,419人増えています。
6位以下は茨城県プラス19.68パーセント、愛知県プラス18.70パーセント、群馬県プラス18.64パーセントと続きます。
20パーセント以上増えたのは5都県。
人数そのものが最も多いのは東京都の1,266万5,066人です。
働く人は減っているのに、加入者は685万人ふえました
なぜこういう並びになるのか、ここからは考えてみます。
以下は10年間の厚生年金保険被保険者数の変化の統計から直接読み取れることではなく、別の数字と照らして立てた推測です。
働く人の数は減っているのに、厚生年金の加入者は685万人増えました。
矛盾しているように見えます。
同じ期間の就業者数はマイナス3.30パーセント、労働力人口はマイナス5.89パーセントでした。
それでも被保険者はプラス19.74パーセント増えています。
働く人の総数が減るなかで、厚生年金に入る働き方の割合が増えたということです。
同じ10年で自営業主・家族従業者はマイナス18.09パーセント減っており、自営業から雇われる働き方への移行がここに出ていると読めます。
もうひとつ効いていそうなのが、適用の拡大です。
この期間にパートやアルバイトでも一定の条件を満たせば厚生年金に入る仕組みが広がりました。
同じ人が働いていても、加入者として数えられるようになった分が含まれます。
県ごとの相関を見ると、人口増減率とはプラス0.80、65歳以上人口割合とはマイナス0.78、就業者数の変化率とはプラス0.51。
人が増えている県ほど伸びが大きくなっています。
実数で見ると景色が変わります。
10年で増えた人数がいちばん多いのは東京都のプラス286万6,123人で、全国の増加分685万2,116人の4割を超えます。
次いで大阪府プラス51万9,408人、神奈川県プラス51万1,587人でした。
この指標は勤め先の所在地で数える点にも注意が要ります。
千葉県や埼玉県が上位に入るのは、県内で働く人が増えたということです。
東京に通勤している人は東京の数字に入ります。
増え方が小さかった5県
増え方が小さかった下位5県です。
島根県はプラス0.37パーセント、山形県はプラス1.65パーセント、新潟県はプラス2.87パーセント、岩手県はプラス4.25パーセント、高知県はプラス4.98パーセントでした。
千葉県のプラス39.75パーセントとは39.38ポイントの差があります。
島根県のプラス0.37パーセントは、16万6,024人から16万6,646人への622人増です。
全国が685万人増えるなかで、ほとんど動かなかった県になります。
5パーセント未満の伸びにとどまったのは5県。
人数そのものが最も少ないのは鳥取県の135,783人で、高知県166,227人、島根県166,646人と続きます。
地方別に見る10年の変化
地方別に平均を出すと、関東が最も大きくなります。
関東7都県がプラス26.20パーセント、近畿7府県がプラス15.18パーセント、北海道がプラス12.77パーセント、九州・沖縄8県がプラス12.42パーセント、中部9県がプラス11.23パーセントと続きます。
増え方が小さいほうは東北6県がプラス8.19パーセント、中国5県がプラス7.91パーセント、四国4県がプラス6.58パーセントでした。
関東と四国では19.62ポイントの差があります。
8地方すべてがプラスです。
最も小さい四国4県でもプラス6.58パーセントでした。
関東7都県のプラス26.20パーセントは、千葉県プラス39.75パーセント、神奈川県プラス33.59パーセント、埼玉県プラス31.29パーセントが引き上げた結果です。
首都圏の周辺県で、県内の勤め先が増えた10年だったことになります。
地図で見る10年の変化
| 項目 | 厚生年金保険被保険者数の10年変化率 |
|---|---|
| 北海道 | 12.8% |
| 青森県 | 11.7% |
| 岩手県 | 4.3% |
| 宮城県 | 15.3% |
| 秋田県 | 5.5% |
| 山形県 | 1.7% |
| 福島県 | 10.7% |
| 茨城県 | 19.7% |
| 栃木県 | 11.2% |
| 群馬県 | 18.6% |
| 埼玉県 | 31.3% |
| 千葉県 | 39.8% |
| 東京都 | 29.3% |
| 神奈川県 | 33.6% |
| 新潟県 | 2.9% |
| 富山県 | 6.9% |
| 石川県 | 11.0% |
| 福井県 | 7.0% |
| 山梨県 | 15.3% |
| 長野県 | 10.3% |
| 岐阜県 | 18.4% |
| 静岡県 | 10.6% |
| 愛知県 | 18.7% |
| 三重県 | 16.6% |
| 滋賀県 | 14.7% |
| 京都府 | 15.8% |
| 大阪府 | 16.9% |
| 兵庫県 | 12.9% |
| 奈良県 | 17.3% |
| 和歌山県 | 12.1% |
| 鳥取県 | 7.2% |
| 島根県 | 0.4% |
| 岡山県 | 10.7% |
| 広島県 | 13.5% |
| 山口県 | 7.7% |
| 徳島県 | 9.5% |
| 香川県 | 6.0% |
| 愛媛県 | 6.0% |
| 高知県 | 5.0% |
| 福岡県 | 13.9% |
| 佐賀県 | 7.7% |
| 長崎県 | 5.0% |
| 熊本県 | 15.5% |
| 大分県 | 7.3% |
| 宮崎県 | 10.4% |
| 鹿児島県 | 8.1% |
| 沖縄県 | 31.4% |
| 項目 | 全国の厚生年金保険被保険者数 |
|---|---|
| 2012年 | 34,717,319% |
| 2013年 | 35,272,821% |
| 2014年 | 35,985,388% |
| 2015年 | 36,863,741% |
| 2016年 | 38,217,576% |
| 2017年 | 39,112,169% |
| 2018年 | 39,806,245% |
| 2019年 | 40,374,470% |
| 2020年 | 40,472,127% |
| 2021年 | 40,645,172% |
| 2022年 | 41,569,435% |
日本地図で見ると、色が濃く出る(増え方が大きい)のは首都圏と沖縄県、愛知県、群馬県です。
淡い(増え方が小さい)のは山陰と東北、四国、新潟県でした。
47都道府県の単純平均はプラス13.15パーセント、中央値はプラス11.20パーセントです。
全国値のプラス19.74パーセントより小さいのは、人数の多い都府県ほど増え方が大きいためです。
20パーセント以上増えたのは5都県、5パーセント未満にとどまったのは5県。
1位と47位で39.38ポイントの幅がありました。
| 順位 | 都道府県 | 厚生年金保険被保険者数の10年変化率(%) | 地方 | 2022年の厚生年金保険被保険者数 | 2012年の厚生年金保険被保険者数 | 10年間の増減数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 千葉県 | 39.75 | 関東 | 1105499 | 791080 | 314419 |
| 2 | 神奈川県 | 33.59 | 関東 | 2034577 | 1522990 | 511587 |
| 3 | 沖縄県 | 31.37 | 九州 | 378433 | 288063 | 90370 |
| 4 | 埼玉県 | 31.29 | 関東 | 1319028 | 1004684 | 314344 |
| 5 | 東京都 | 29.25 | 関東 | 12665066 | 9798943 | 2866123 |
| 6 | 茨城県 | 19.68 | 関東 | 588120 | 491420 | 96700 |
| 7 | 愛知県 | 18.7 | 中部 | 2555126 | 2152613 | 402513 |
| 8 | 群馬県 | 18.64 | 関東 | 516283 | 435182 | 81101 |
| 9 | 岐阜県 | 18.37 | 中部 | 532090 | 449500 | 82590 |
| 10 | 奈良県 | 17.32 | 近畿 | 201767 | 171977 | 29790 |
| 11 | 大阪府 | 16.87 | 近畿 | 3598029 | 3078621 | 519408 |
| 12 | 三重県 | 16.58 | 近畿 | 399152 | 342376 | 56776 |
| 13 | 京都府 | 15.78 | 近畿 | 717596 | 619805 | 97791 |
| 14 | 熊本県 | 15.54 | 九州 | 417789 | 361586 | 56203 |
| 15 | 山梨県 | 15.34 | 中部 | 189009 | 163877 | 25132 |
| 16 | 宮城県 | 15.26 | 東北 | 560551 | 486318 | 74233 |
| 17 | 滋賀県 | 14.71 | 近畿 | 291508 | 254137 | 37371 |
| 18 | 福岡県 | 13.88 | 九州 | 1413283 | 1241008 | 172275 |
| 19 | 広島県 | 13.53 | 中国 | 838334 | 738399 | 99935 |
| 20 | 兵庫県 | 12.88 | 近畿 | 1209168 | 1071152 | 138016 |
| 21 | 北海道 | 12.77 | 北海道 | 1262256 | 1119328 | 142928 |
| 22 | 和歌山県 | 12.12 | 近畿 | 193365 | 172462 | 20903 |
| 23 | 青森県 | 11.71 | 東北 | 293231 | 262497 | 30734 |
| 24 | 栃木県 | 11.2 | 関東 | 425428 | 382592 | 42836 |
| 25 | 石川県 | 11.03 | 中部 | 319987 | 288192 | 31795 |
| 26 | 福島県 | 10.72 | 東北 | 472515 | 426753 | 45762 |
| 27 | 岡山県 | 10.71 | 中国 | 500495 | 452060 | 48435 |
| 28 | 静岡県 | 10.61 | 中部 | 1001554 | 905465 | 96089 |
| 29 | 宮崎県 | 10.4 | 九州 | 272595 | 246910 | 25685 |
| 30 | 長野県 | 10.3 | 中部 | 547521 | 496398 | 51123 |
| 31 | 徳島県 | 9.45 | 四国 | 180886 | 165270 | 15616 |
| 32 | 鹿児島県 | 8.11 | 九州 | 380756 | 352181 | 28575 |
| 33 | 佐賀県 | 7.7 | 九州 | 189663 | 176097 | 13566 |
| 34 | 山口県 | 7.68 | 中国 | 330536 | 306960 | 23576 |
| 35 | 大分県 | 7.31 | 九州 | 269724 | 251353 | 18371 |
| 36 | 鳥取県 | 7.24 | 中国 | 135783 | 126613 | 9170 |
| 37 | 福井県 | 7.01 | 中部 | 221569 | 207047 | 14522 |
| 38 | 富山県 | 6.86 | 中部 | 336722 | 315100 | 21622 |
| 39 | 愛媛県 | 5.95 | 四国 | 350470 | 330788 | 19682 |
| 39 | 香川県 | 5.95 | 四国 | 271385 | 256142 | 15243 |
| 41 | 秋田県 | 5.53 | 東北 | 231175 | 219068 | 12107 |
| 42 | 長崎県 | 5.01 | 九州 | 287559 | 273842 | 13717 |
| 43 | 高知県 | 4.98 | 四国 | 166227 | 158343 | 7884 |
| 44 | 岩手県 | 4.25 | 東北 | 285988 | 274333 | 11655 |
| 45 | 新潟県 | 2.87 | 中部 | 672746 | 653955 | 18791 |
| 46 | 山形県 | 1.65 | 東北 | 272245 | 267815 | 4430 |
| 47 | 島根県 | 0.37 | 中国 | 166646 | 166024 | 622 |
このグラフについての豆知識
一度も下がらずに増え続けている
全国の厚生年金保険被保険者数は2012年の3,471万7,319人から2022年の4,156万9,435人へ、685万2,116人増えました。
折れ線は11時点すべてで前年を上回っており、一度も下がっていません。
2020年から2021年にかけての伸びは17万3,045人と最も小さく、新型コロナウイルスの影響がうかがえます。
翌2022年は92万4,263人増と戻りました。
2022年に被保険者が最も多いのは東京都の1,266万5,066人。
最も少ない鳥取県の135,783人とは93.3倍の開きがあります。
勤め先の所在地で数える
この指標は第1号から第4号までを合わせた厚生年金保険の被保険者数です。
勤め先の事業所がある県で数えるため、住んでいる県とはずれます。
東京都の被保険者が1,266万人と人口を超えているのは、県外から通勤している人が含まれるためです。
県の人口と比べて読むことはできません。
数字は2012年と2022年の比較です。
順位の並びがにている記事
この10年間の厚生年金保険被保険者数の変化の並びに近い記事を、全記事の順位から機械で洗い出しました。
0.9という高い相関を示したのが【年金がつく職場・10年推移】47都道府県すべてでふえ、10年で1.5倍にでした。
最も食い違ったのは【高齢者の割合】を47都道府県で比較すると地域差は16.8ポイント(順位相関-0.79)でした。
相関は因果ではないので、関係があると決めつけることはできません。
見くらべる手がかりとして使ってください。
地方のなかで見た厚生年金保険被保険者数の10年変化率
| 地方 | 最も多い(%) | 最も少ない(%) |
|---|---|---|
| 東北 | 宮城県 15.26 | 山形県 1.65 |
| 関東 | 千葉県 39.75 | 栃木県 11.2 |
| 中部 | 愛知県 18.7 | 新潟県 2.87 |
| 近畿 | 奈良県 17.32 | 和歌山県 12.12 |
| 中国 | 広島県 13.53 | 島根県 0.37 |
| 四国 | 徳島県 9.45 | 高知県 4.98 |
| 九州 | 沖縄県 31.37 | 長崎県 5.01 |
まとめ
厚生年金に入っている人の数の10年変化を比べると、最も伸びた千葉県でプラス39.75パーセント、最も小さい島根県でもプラス0.37パーセントでした。
全国は685万2,116人増、47都道府県すべてがプラスです。
10年間の厚生年金保険被保険者数の変化をほかの数字と見くらべる前に、3つ確かめてください。
1つ目は、勤め先の所在地で数えること。
2つ目は、県の人口と比べられないこと。
3つ目は2012年と2022年の比較であることです。
同じ10年で就業者数はマイナス3.30パーセント、自営業主・家族従業者はマイナス18.09パーセント。
働く人が減るなかで、厚生年金に入る働き方の割合が増えました。
実数では東京都のプラス286万6,123人が、全国の増加分の4割を超えます。
自営業の人数や就業者数を比べた記事とあわせて読んでみてください。
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出典
- 統計名: 社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)
- 調査年: 2012年と2022年の比較
- 公開元: 総務省統計局
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/regional-statistics/ssdsview/prefectures
- 備考: 指標コードJ5102(厚生年金保険被保険者数)を2012年と2022年で比べた。第1号から第4号までを合わせた被保険者数。勤め先の所在地で数える。e-Stat APIで取得した値をそのまま使用
注記: 指標コードJ5102(厚生年金保険被保険者数)を2012年と2022年で比べた。
第1号から第4号までを合わせた被保険者数。
勤め先の所在地で数える。
e-Stat APIで取得した値をそのまま使用
