通勤や通学に鉄道を使う人の割合です。
路線が通っているかどうかでまず大きな差がつき、自家用車を使う人の割合とは、ほぼ裏返しの関係になります。
今回は47都道府県の鉄道を使う人の割合を、令和2年の総務省統計局「国勢調査」のデータを使って比べました。
全国では25.50%、1,457万5,628人が鉄道を使っていました。
ただ都道府県別に並べると32.67倍という、この媒体で扱ってきたなかでも大きな開きがありました。
47都道府県の単純平均
13.2%
鉄道を使う人の割合(令和2年(2020年10月1日現在))
最も多い 東京都
60.1%
最も少ない 宮崎県
1.8%
鉄道を使う人の割合が高い5都府県
鉄道を使う人の割合が高い上位5都府県です。
東京都は60.11パーセント、神奈川県は52.06パーセント、千葉県は42.16パーセント、大阪府は41.93パーセント、埼玉県は39.82パーセントでした。
東京都では通勤・通学する人の6割が鉄道を使っています。
6位以下は奈良県35.67パーセント、兵庫県34.10パーセント、京都府28.99パーセントと続きます。
10パーセントを超えたのは16都道府県でした。
上位に並んだのは首都圏と近畿の府県です。
首都圏の1都3県がすべて4割前後で、地方別でも関東7都県が31.27パーセントと最も高くなりました。
通勤時間との相関0.96、鉄道の県は通勤が長い
ここから先は、通勤・通学に鉄道を使う人の割合がこう分かれる理由についての見立てです。
ほかの指標と突き合わせて立てた推測で、統計そのものが示している事実ではありません。
このランキングで最も強く連動していたのは、通勤時間の中位数でした。
相関係数はプラス0.96です。
0.96という数字は、2つの指標がほぼ同じものを測っていることを意味します。
鉄道で通う人が多い県ほど、通勤時間が長い。
これは鉄道が遅いという話ではなく、鉄道が使われる場所の性格によるものでしょう。
職場が都心に集中し、住む場所が郊外に広がっているから鉄道が必要になり、その距離のぶん時間もかかる。
原因と結果が同じ構造から出ています。
1か月当たり家賃との相関もプラス0.92でした。
鉄道の県は家賃が高い。
通勤時間の記事で見た「通勤時間と住居費の交換」が、通勤手段の側から見ても同じように現れます。
自家用車を使う人の割合とはマイナス0.95。
通勤手段は車か鉄道かのほぼ二択で、その比率が県ごとに入れ替わっているだけだと言えます。
最も目を引くのは、この指標の格差の大きさです。
東京都60.11パーセントに対し宮崎県1.84パーセントで32.67倍。
自家用車の7.97倍、自転車の8.87倍と比べても桁が違います。
中央値が6.29パーセントであることも、この偏りをよく表しています。
平均は13.23パーセントですが、真ん中の県は6パーセント台。
10パーセントを超えたのは16都道府県だけで、残る31県では鉄道通勤は例外的な手段だということになります。
鉄道網そのものは全国にありますが、通勤に使えるだけの本数と路線があるのは限られた地域だけ。
この数字は鉄道の有無ではなく、都市の集まり方を映していると考えられます。
鉄道を使う人の割合が低い6県
鉄道を使う人の割合が低い下位5県です。
42位が同じ値のため6県を載せています。
宮崎県は1.84パーセント、沖縄県は2.12パーセント、島根県は2.22パーセント、青森県は2.82パーセント、山形県と徳島県がともに3.19パーセントでした。
東京都の60.11パーセントとは32.67倍の差があります。
宮崎県の1.84パーセントは、通勤・通学する54人に1人という水準です。
沖縄県2.12パーセントについては、鉄道が沖縄都市モノレールだけという事情があります。
5パーセントを下回ったのは17県でした。
いずれも自家用車を使う人の割合が7割前後の県です。
下位に並んだ県でも鉄道は走っています。
ただ通勤に使えるだけの本数がある区間は限られ、多くの人にとって現実的な選択肢になっていないということでしょう。
地図で見る鉄道を使う人の割合
| 項目 | 鉄道を使う人の割合 |
|---|---|
| 北海道 | 15.3% |
| 青森県 | 2.8% |
| 岩手県 | 4.5% |
| 宮城県 | 17.2% |
| 秋田県 | 3.3% |
| 山形県 | 3.2% |
| 福島県 | 4.6% |
| 茨城県 | 11.4% |
| 栃木県 | 7.3% |
| 群馬県 | 6.1% |
| 埼玉県 | 39.8% |
| 千葉県 | 42.2% |
| 東京都 | 60.1% |
| 神奈川県 | 52.1% |
| 新潟県 | 5.7% |
| 富山県 | 6.3% |
| 石川県 | 4.7% |
| 福井県 | 4.2% |
| 山梨県 | 6.1% |
| 長野県 | 6.5% |
| 岐阜県 | 9.6% |
| 静岡県 | 8.2% |
| 愛知県 | 22.4% |
| 三重県 | 11.0% |
| 滋賀県 | 20.2% |
| 京都府 | 29.0% |
| 大阪府 | 41.9% |
| 兵庫県 | 34.1% |
| 奈良県 | 35.7% |
| 和歌山県 | 9.2% |
| 鳥取県 | 3.7% |
| 島根県 | 2.2% |
| 岡山県 | 7.6% |
| 広島県 | 13.3% |
| 山口県 | 5.4% |
| 徳島県 | 3.2% |
| 香川県 | 7.1% |
| 愛媛県 | 4.2% |
| 高知県 | 3.8% |
| 福岡県 | 18.4% |
| 佐賀県 | 5.8% |
| 長崎県 | 5.3% |
| 熊本県 | 4.6% |
| 大分県 | 4.2% |
| 宮崎県 | 1.8% |
| 鹿児島県 | 4.5% |
| 沖縄県 | 2.1% |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは首都圏と近畿の一帯だけです。
それ以外の地域はほぼ同じ薄さに見えます。
47都道府県の単純平均は13.23パーセント、中央値は6.29パーセントです。
平均が中央値の2.10倍もあるのは、上位の都府県が極端に高いためです。
平均を超えたのは14都道府県だけ。
真ん中あたりの県の実感に近いのは、中央値の6.29パーセントのほうだと言えます。
| 順位 | 都道府県 | 鉄道を使う人の割合(%) | 地方 | 鉄道を使う人 | 通勤時間の中位数 | 1か月当たり家賃 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 60.11 | 関東 | 3505131 | 43.7 | 88295 |
| 2 | 神奈川県 | 52.06 | 関東 | 2176984 | 47.8 | 71918 |
| 3 | 千葉県 | 42.16 | 関東 | 1208408 | 45.2 | 62210 |
| 4 | 大阪府 | 41.93 | 近畿 | 1559310 | 36.2 | 59778 |
| 5 | 埼玉県 | 39.82 | 関東 | 1354467 | 44.0 | 63141 |
| 6 | 奈良県 | 35.67 | 近畿 | 208211 | 38.8 | 53041 |
| 7 | 兵庫県 | 34.1 | 近畿 | 827749 | 34.3 | 58634 |
| 8 | 京都府 | 28.99 | 近畿 | 317231 | 29.1 | 58185 |
| 9 | 愛知県 | 22.37 | 中部 | 811503 | 29.0 | 55927 |
| 10 | 滋賀県 | 20.18 | 近畿 | 137041 | 26.8 | 51592 |
| 11 | 福岡県 | 18.42 | 九州 | 420567 | 26.8 | 51895 |
| 12 | 宮城県 | 17.19 | 東北 | 186933 | 26.4 | 52147 |
| 13 | 北海道 | 15.34 | 北海道 | 352288 | 20.2 | 45674 |
| 14 | 広島県 | 13.3 | 中国 | 177002 | 25.5 | 52366 |
| 15 | 茨城県 | 11.35 | 関東 | 151358 | 25.9 | 48594 |
| 16 | 三重県 | 10.97 | 近畿 | 92636 | 24.2 | 48233 |
| 17 | 岐阜県 | 9.58 | 中部 | 91918 | 23.9 | 46693 |
| 18 | 和歌山県 | 9.21 | 近畿 | 37102 | 21.6 | 43084 |
| 19 | 静岡県 | 8.18 | 中部 | 145397 | 23.1 | 52621 |
| 20 | 岡山県 | 7.56 | 中国 | 65626 | 24.4 | 49078 |
| 21 | 栃木県 | 7.32 | 関東 | 66080 | 24.4 | 47840 |
| 22 | 香川県 | 7.07 | 四国 | 30865 | 22.4 | 46067 |
| 23 | 長野県 | 6.47 | 中部 | 63263 | 21.4 | 47028 |
| 24 | 富山県 | 6.29 | 中部 | 33120 | 21.8 | 46184 |
| 25 | 山梨県 | 6.11 | 中部 | 23242 | 21.9 | 46415 |
| 26 | 群馬県 | 6.1 | 関東 | 57001 | 23.5 | 45643 |
| 27 | 佐賀県 | 5.77 | 九州 | 22269 | 22.0 | 46053 |
| 28 | 新潟県 | 5.73 | 中部 | 60801 | 20.8 | 47581 |
| 29 | 山口県 | 5.43 | 中国 | 33617 | 20.9 | 42956 |
| 30 | 長崎県 | 5.27 | 九州 | 31767 | 22.3 | 44636 |
| 31 | 石川県 | 4.67 | 中部 | 26312 | 21.2 | 46957 |
| 32 | 福島県 | 4.63 | 東北 | 38904 | 21.4 | 44939 |
| 33 | 熊本県 | 4.56 | 九州 | 35785 | 21.9 | 45671 |
| 34 | 岩手県 | 4.5 | 東北 | 25940 | 20.4 | 44532 |
| 34 | 鹿児島県 | 4.5 | 九州 | 32303 | 19.3 | 40638 |
| 36 | 愛媛県 | 4.2 | 四国 | 24214 | 19.1 | 42762 |
| 36 | 大分県 | 4.2 | 九州 | 21428 | 20.9 | 42880 |
| 38 | 福井県 | 4.15 | 中部 | 16186 | 20.0 | 47259 |
| 39 | 高知県 | 3.79 | 四国 | 11092 | 20.9 | 43093 |
| 40 | 鳥取県 | 3.67 | 中国 | 9635 | 18.5 | 43935 |
| 41 | 秋田県 | 3.29 | 東北 | 14318 | 19.7 | 43107 |
| 42 | 山形県 | 3.19 | 東北 | 16177 | 18.9 | 46126 |
| 42 | 徳島県 | 3.19 | 四国 | 9950 | 21.7 | 43834 |
| 44 | 青森県 | 2.82 | 東北 | 15912 | 20.1 | 41884 |
| 45 | 島根県 | 2.22 | 中国 | 7209 | 18.8 | 43665 |
| 46 | 沖縄県 | 2.12 | 九州 | 12622 | 22.9 | 50903 |
| 47 | 宮崎県 | 1.84 | 九州 | 8754 | 18.7 | 42084 |
このグラフについての豆知識
利用交通手段は複数回答
国勢調査の利用交通手段は、通勤・通学に使うすべての手段を答える方式です。
駅まで自転車で行って電車に乗る人は、自転車と鉄道の両方に数えられます。
そのため、すべての手段の割合を足すと100パーセントを超えます。
この記事の割合は「鉄道を使う人がどれくらいいるか」であり、「鉄道だけで通う人の割合」ではありません。
路面電車やモノレール、新交通システムも鉄道・電車に含まれます。
分母は15歳以上の通勤者・通学者
分母は15歳以上の通勤者・通学者で、常住地ベースの数字です。
全国では5,715万2,761人でした。
常住地ベースなので、他県に通っている人もその人が住んでいる県に数えられます。
埼玉県や千葉県の数字が高いのは、東京都へ通う人が多いためです。
国勢調査は5年ごとに行われ、この記事の数字は令和2年、2020年10月1日現在のものです。
調査時期が新型コロナウイルスの影響下にあり、在宅勤務が広がっていた点も意識して読んでください。
順位の並びがにている記事
同じ形の地図になる記事はあるでしょうか。
通勤・通学に鉄道を使う人の割合の順位で探してみます。
最も似ていたのは【中小企業の月給】平均26.6万円、暮らしの実感に近い(順位相関0.92)です。
最も食い違ったのは【スーパーの数】が多いのは大都市ではありませんでした、人口あたりで比較(順位相関-0.88)でした。
相関は因果ではないので、関係があると決めつけることはできません。
見くらべる手がかりとして使ってください。
地方のなかで見た鉄道を使う人の割合
| 地方 | 最も多い(%) | 最も少ない(%) |
|---|---|---|
| 東北 | 宮城県 17.19 | 青森県 2.82 |
| 関東 | 東京都 60.11 | 群馬県 6.1 |
| 中部 | 愛知県 22.37 | 福井県 4.15 |
| 近畿 | 大阪府 41.93 | 和歌山県 9.21 |
| 中国 | 広島県 13.3 | 島根県 2.22 |
| 四国 | 香川県 7.07 | 徳島県 3.19 |
| 九州 | 福岡県 18.42 | 宮崎県 1.84 |
まとめ
47都道府県の鉄道を使う人の割合を比べると、最も高い東京都は60.11パーセント、最も低い宮崎県は1.84パーセントで、その差は32.67倍でした。
全国では25.50パーセント、1,457万5,628人です。
通勤・通学に鉄道を使う人の割合の統計を読むときの注意点は3つです。
1つ目は、利用交通手段が複数回答で割合を足すと100パーセントを超えること。
2つ目は、常住地ベースなので他県に通う人も住んでいる県に数えられること。
3つ目は令和2年(2020年)の調査であることです。
通勤時間の中位数との相関係数はプラス0.96、1か月当たり家賃とはプラス0.92。
鉄道の県は通勤が長く、家賃も高いという関係がはっきり出ました。
中央値は6.29パーセントで、10パーセントを超えたのは16都道府県だけ。
残る31県では鉄道通勤は例外的な手段です。
自家用車通勤や通勤時間を比べた記事とあわせて読んでみてください。
関連記事
- 【自家用車通勤の割合】8割を超える県と1割に届かない都、通勤の景色はこれほど違う
- 【通勤時間】中位数は全国28.1分、1時間以上かかる人の割合は最大10倍差
- 【家賃の平均】を47都道府県で比べると全国平均を上回るのは4都県だけ
- 【踏切の数】全国2万8千か所、いちばん多い道と1か所もない県の差
- 【バス通勤・通学の割合】全国6.8%、県ごとの差は15.67倍と通勤手段のなかでも大きめ
出典
- 統計名: 令和2年国勢調査 従業地・通学地による人口・就業状態等集計
- 調査年: 令和2年(2020年10月1日現在)
- 公開元: 総務省統計局
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200521&tstat=000001136464&tclass1=000001136469&cycle=0&tclass2val=0
- 備考: 利用交通手段は複数回答のため、すべての手段の割合を足すと100パーセントを超える。分母は15歳以上の通勤者・通学者で、常住地ベース。通勤時間の中位数は住宅・土地統計調査(令和5年)による
注記: 利用交通手段は複数回答のため、すべての手段の割合を足すと100パーセントを超える。
分母は15歳以上の通勤者・通学者で、常住地ベース。
通勤時間の中位数は住宅・土地統計調査(令和5年)による
