この記事では、1世帯が1年間に映画や演劇の入場料へ使う金額を47都道府県で比べます。
使うのは総務省統計局の家計調査で、二人以上の世帯の2023年から2025年までの3年平均です。
全国平均は年間7,302円。
上位と下位では4.35倍の差がありました。
映画館が多い県ほど多いのかを確かめます。
47都道府県の単純平均
6,418円
映画・演劇等入場料(2023年〜2025年平均)
最も多い 東京都
13,699円
最も少ない 愛媛県
3,152円
映画・演劇等入場料が多い5都県
映画・演劇等入場料が多い上位5都県です。
東京都は13,699円、埼玉県は10,713円、愛知県は9,747円、福岡県は9,248円、千葉県は8,687円でした。
1万円を超えたのは東京都と埼玉県の2都県です。
6位以下は神奈川県、大阪府、宮城県と続きます。
上位に並んだのは首都圏と、名古屋・福岡という大都市を抱える県でした。
東京都の13,699円は全国平均7,302円の1.88倍。
月あたりにすると1,140円ほどを映画や演劇に使っている計算になります。
映画館の多さとは、ほとんど関係がなかった
ここからは統計を離れて、1世帯が1年間に払う映画・演劇等の入場料の背景を推測します。
確かめられた事実ではなく、ほかの数字と並べて考えた見立てとして読んでください。
映画館が多い県ほど入場料への支出も多いはずだ、と考えたくなります。
ところが数字はそうなっていませんでした。
人口100万人あたり映画館数との相関係数はマイナス0.03。
関係がないと言ってよい水準です。
分かりやすいのが山形県です。
人口100万人あたりの映画館数は9.48館で全国1位ですが、映画・演劇等入場料は7,182円で全国平均をわずかに下回ります。
逆に支出1位の東京都は、映画館の多さでは5.07館の11位。
上位ではありますが、山形県の半分程度です。
館が近くにあることと、そこにお金を使うことは別の話だということになります。
では何と連動しているかというと、映画館で映画を見る人の割合です。
相関係数はプラス0.71。
東京都の行動者率は37.4パーセントで全国1位、支出が最下位の愛媛県は23.1パーセントで38位でした。
当たり前に見えるかもしれませんが、この2つの数字は別々の調査から取ったものです。
家計調査の支出額と、社会生活基本調査の行動者率が0.71で連動しているというのは、どちらの数字もその土地の実態をきちんととらえている証拠だと言えます。
人口密度との相関はプラス0.62。
都市に住む人ほど、映画や演劇にお金を使っています。
逆に1世帯当たり乗用車保有台数とはマイナス0.53でした。
車社会の県では、余暇の使い方そのものが違うのかもしれません。
この品目には演劇やコンサートの入場料も含まれます。
劇場やホールが集まるのは大都市なので、そのぶん都市部の数字が押し上げられている面もあるでしょう。
映画だけを取り出せば、差はもう少し小さくなると考えられます。
映画・演劇等入場料が少ない5県
映画・演劇等入場料が少ない下位5県です。
愛媛県は3,152円、青森県は3,447円、岐阜県は3,580円、徳島県は3,692円、石川県は4,164円でした。
東京都の13,699円とは4.35倍の差があります。
最下位の愛媛県3,152円は、月あたりにすると260円ほどです。
年に1回か2回、映画を見に行くかどうかという水準になります。
愛媛県が最下位というのは意外です。
人口100万人あたりの映画館数は6.81館で全国でも多いほうにあたります。
館はあるのに、そこへ足を運ぶ人が少ないという形でした。
映画館での映画鑑賞の行動者率も23.1パーセントで38位でした。
岐阜県が45位に入っているのも目を引きます。
隣が名古屋という大都市なので、県境を越えて見に行っている分がこの数字に表れていない可能性はありますが、家計調査は世帯の支出を記録するので、どこで使ったかは問いません。
地方別に見る映画・演劇等入場料
地方別に平均を出すと、都市圏とそれ以外で分かれます。
最も多いのは関東7都県の8,889円です。
次いで近畿7府県が7,036円、北海道が6,297円、中国5県が6,162円、九州8県が6,098円と続きます。
少ないほうは中部9県が5,839円、東北6県が5,495円、四国4県が4,694円でした。
関東と四国では1.89倍の差があります。
四国4県が最も低いのは、愛媛県3,152円と徳島県3,692円が引き下げているためです。
ただ四国は書店の多さでは全国1位の地方でもありました。
余暇にお金を使わない地域というより、使い方が違うと見るほうがよさそうです。
地図で見る映画・演劇等入場料
| 項目 | 映画・演劇等入場料 |
|---|---|
| 北海道 | 6,297円 |
| 青森県 | 3,447円 |
| 岩手県 | 5,704円 |
| 宮城県 | 5,950円 |
| 秋田県 | 4,625円 |
| 山形県 | 7,182円 |
| 福島県 | 6,061円 |
| 茨城県 | 8,109円 |
| 栃木県 | 6,799円 |
| 群馬県 | 5,822円 |
| 埼玉県 | 10,713円 |
| 千葉県 | 8,687円 |
| 東京都 | 13,699円 |
| 神奈川県 | 8,395円 |
| 新潟県 | 4,479円 |
| 富山県 | 7,023円 |
| 石川県 | 4,164円 |
| 福井県 | 5,532円 |
| 山梨県 | 6,246円 |
| 長野県 | 5,679円 |
| 岐阜県 | 3,580円 |
| 静岡県 | 6,101円 |
| 愛知県 | 9,747円 |
| 三重県 | 7,827円 |
| 滋賀県 | 7,252円 |
| 京都府 | 8,014円 |
| 大阪府 | 6,693円 |
| 兵庫県 | 7,650円 |
| 奈良県 | 7,471円 |
| 和歌山県 | 4,348円 |
| 鳥取県 | 5,674円 |
| 島根県 | 4,342円 |
| 岡山県 | 8,169円 |
| 広島県 | 7,501円 |
| 山口県 | 5,122円 |
| 徳島県 | 3,692円 |
| 香川県 | 6,324円 |
| 愛媛県 | 3,152円 |
| 高知県 | 5,607円 |
| 福岡県 | 9,248円 |
| 佐賀県 | 4,525円 |
| 長崎県 | 5,535円 |
| 熊本県 | 8,600円 |
| 大分県 | 6,114円 |
| 宮崎県 | 4,441円 |
| 鹿児島県 | 6,144円 |
| 沖縄県 | 4,177円 |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは首都圏と愛知県、福岡県、大阪府です。
淡いのは東北と四国、北陸でした。
47都道府県の単純平均は6,418円、中央値は6,114円です。
全国値の7,302円より単純平均が低いのは、全国値が人口の多い都市部の影響を強く受けるためです。
平均を超えたのは19都道府県。
東京都の13,699円が上に大きく外れており、2位の埼玉県とも2,986円離れています。
| 順位 | 都道府県 | 映画・演劇等入場料(円) | 地方 | 人口100万人あたり映画館数 | 映画館での映画鑑賞の行動者率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 13699 | 関東 | 5.07 | 37.4 |
| 2 | 埼玉県 | 10713 | 関東 | 3.54 | 32.8 |
| 3 | 愛知県 | 9747 | 中部 | 3.86 | 33.5 |
| 4 | 福岡県 | 9248 | 九州 | 4.49 | 31.1 |
| 5 | 千葉県 | 8687 | 関東 | 3.98 | 31.6 |
| 6 | 熊本県 | 8600 | 九州 | 4.63 | 29.6 |
| 7 | 神奈川県 | 8395 | 関東 | 2.71 | 34.4 |
| 8 | 岡山県 | 8169 | 中国 | 3.2 | 23.9 |
| 9 | 茨城県 | 8109 | 関東 | 3.86 | 28.6 |
| 10 | 京都府 | 8014 | 近畿 | 4.69 | 30.3 |
| 11 | 三重県 | 7827 | 近畿 | 5.69 | 27.9 |
| 12 | 兵庫県 | 7650 | 近畿 | 4.05 | 27.6 |
| 13 | 広島県 | 7501 | 中国 | 5.4 | 29.9 |
| 14 | 奈良県 | 7471 | 近畿 | 4.56 | 28.3 |
| 15 | 滋賀県 | 7252 | 近畿 | 4.96 | 29.1 |
| 16 | 山形県 | 7182 | 東北 | 9.48 | 27.1 |
| 17 | 富山県 | 7023 | 中部 | 3.9 | 30.9 |
| 18 | 栃木県 | 6799 | 関東 | 4.16 | 25.9 |
| 19 | 大阪府 | 6693 | 近畿 | 3.97 | 33.5 |
| 20 | 香川県 | 6324 | 四国 | 4.25 | 25.5 |
| 21 | 北海道 | 6297 | 北海道 | 3.67 | 23.3 |
| 22 | 山梨県 | 6246 | 中部 | 4.97 | 24.9 |
| 23 | 鹿児島県 | 6144 | 九州 | 3.17 | 24.2 |
| 24 | 大分県 | 6114 | 九州 | 6.28 | 25.2 |
| 25 | 静岡県 | 6101 | 中部 | 4.43 | 27.5 |
| 26 | 福島県 | 6061 | 東北 | 3.31 | 21.2 |
| 27 | 宮城県 | 5950 | 東北 | 4.37 | 29 |
| 28 | 群馬県 | 5822 | 関東 | 3.11 | 27.9 |
| 29 | 岩手県 | 5704 | 東北 | 5.85 | 19.2 |
| 30 | 長野県 | 5679 | 中部 | 7.38 | 26 |
| 31 | 鳥取県 | 5674 | 中国 | 3.64 | 23 |
| 32 | 高知県 | 5607 | 四国 | 2.92 | 24.2 |
| 33 | 長崎県 | 5535 | 九州 | 3.08 | 20.9 |
| 34 | 福井県 | 5532 | 中部 | 3.95 | 31.3 |
| 35 | 山口県 | 5122 | 中国 | 4.52 | 22.7 |
| 36 | 秋田県 | 4625 | 東北 | 4.23 | 21.9 |
| 37 | 佐賀県 | 4525 | 九州 | 3.72 | 25.7 |
| 38 | 新潟県 | 4479 | 中部 | 4.59 | 26.6 |
| 39 | 宮崎県 | 4441 | 九州 | 3.77 | 20.8 |
| 40 | 和歌山県 | 4348 | 近畿 | 4.38 | 25 |
| 41 | 島根県 | 4342 | 中国 | 4.51 | 23.3 |
| 42 | 沖縄県 | 4177 | 九州 | 7.49 | 22.5 |
| 43 | 石川県 | 4164 | 中部 | 5.33 | 30.5 |
| 44 | 徳島県 | 3692 | 四国 | 1.4 | 23.3 |
| 45 | 岐阜県 | 3580 | 中部 | 2.55 | 27.3 |
| 46 | 青森県 | 3447 | 東北 | 5.73 | 21.1 |
| 47 | 愛媛県 | 3152 | 四国 | 6.81 | 23.1 |
このグラフについての豆知識
映画だけの数字ではない
この品目は「映画・演劇等入場料」です。
映画館の入場料だけでなく、演劇やコンサート、寄席などの入場料も含まれます。
劇場やコンサートホールは大都市に集中しているため、都市部の数字にはその分が上乗せされています。
映画だけを取り出したランキングとは違う結果になっている可能性があります。
動画配信サービスの利用料は別の品目に入るため、この数字には含まれません。
数字は県庁所在市のもので、県全体の平均ではない
家計調査の品目別ランキングは、各都道府県の県庁所在市(東京都は都区部)で調査された二人以上の世帯の平均です。
県庁所在市は県内で最も映画館や劇場が多い地域なので、郡部を含めた県全体の平均より高めに出ている可能性があります。
また、ひとり暮らしの世帯は含まれません。
映画館に行く人が多いとされる若い単身層が抜けているため、実際の映画消費の全体像とはずれがあると考えてください。
順位の並びがにている記事
1世帯が1年間に払う映画・演劇等の入場料の並びと似ている記事、そして正反対の記事を挙げます。
いちばん近かったのは【映画館・劇場への支出】平均年6,341円、劇場のある場所で、順位相関は0.96でした。
最も食い違ったのは【スーパーの数】が多いのは大都市ではありませんでした、人口あたりで比較(順位相関-0.69)でした。
これは並びが近いというだけで、片方がもう片方を生んでいるという意味ではありません。
地図を2枚ならべてみてください。
地方のなかで見た映画・演劇等入場料
| 地方 | 最も多い(円) | 最も少ない(円) |
|---|---|---|
| 東北 | 山形県 7182 | 青森県 3447 |
| 関東 | 東京都 13699 | 群馬県 5822 |
| 中部 | 愛知県 9747 | 岐阜県 3580 |
| 近畿 | 京都府 8014 | 和歌山県 4348 |
| 中国 | 岡山県 8169 | 島根県 4342 |
| 四国 | 香川県 6324 | 愛媛県 3152 |
| 九州 | 福岡県 9248 | 沖縄県 4177 |
まとめ
47都道府県の映画・演劇等入場料を比べると、最も多い東京都は13,699円、最も少ない愛媛県は3,152円で、その差は4.35倍でした。
全国平均は7,302円です。
1世帯が1年間に払う映画・演劇等の入場料の統計を読むときの注意点は3つです。
1つ目は、演劇やコンサートの入場料も含まれること。
2つ目は、ひとり暮らしの世帯が含まれないこと。
3つ目は2023年から2025年の3年平均であることです。
人口100万人あたり映画館数との相関係数はマイナス0.03で、関係がありませんでした。
映画館数が全国1位の山形県は、支出では7,182円で全国平均を下回ります。
連動していたのは映画館で映画を見る人の割合で、相関係数はプラス0.71。
別々の調査から取った2つの数字がここまで揃うのは、どちらも実態をとらえている証拠だと言えます。
映画館の数や映画を見る人の割合を比べた記事とあわせて読んでみてください。
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- 【映画館・劇場に使う金額】平均年6,341円、劇場のある場所
- 【図書館のCD・DVD貸出】1年でおよそ3,278万点
- 【講演会で使われた劇場・音楽堂】1年でおよそ266万人
出典
- 統計名: 家計調査(二人以上の世帯、品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング)
- 調査年: 2023年〜2025年平均
- 公開元: 総務省統計局
- 参照URL: https://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html
- 備考: 数値は各都道府県の県庁所在市(東京都は都区部)で調査された二人以上の世帯の1年間の平均であり、県全体の平均ではない。映画だけでなく演劇やコンサートなどの入場料も含む。映画館数は経済センサス-活動調査(令和3年)、映画館での映画鑑賞の行動者率は社会生活基本調査(令和3年)による
注記: 数値は各都道府県の県庁所在市(東京都は都区部)で調査された二人以上の世帯の1年間の平均であり、県全体の平均ではない。
映画だけでなく演劇やコンサートなどの入場料も含む。
映画館数は経済センサス-活動調査(令和3年)、映画館での映画鑑賞の行動者率は社会生活基本調査(令和3年)による
