県外へ出ていく人の数が10年でどう変わったかは、都道府県でどれほど違うのでしょうか。
この記事では、47都道府県の数字を比べます。
2015年と2025年の転出者数を比べた変化率です。
使うのは総務省統計局の社会・人口統計体系。
全国は250万2,780人から251万5,731人へ、0.52パーセント増えました。
ほぼ横ばいですが、増えたのが20都道府県、減ったのが27府県と県ごとに向きが割れています。
47都道府県の単純平均
-1.8%
転出者数の10年変化率(2015年と2025年の比較)
最も多い 群馬県
15.1%
最も少ない 青森県
-17.8%
増え方が大きかった5県
増え方が大きかった上位5県です。
群馬県はプラス15.07パーセント、福井県はプラス11.25パーセント、石川県はプラス10.31パーセント、富山県はプラス10.16パーセント、沖縄県はプラス9.75パーセントでした。
上位4県のうち3県が北陸です。
6位以下は愛知県プラス9.03パーセント、千葉県プラス6.47パーセント、茨城県プラス5.69パーセントと続きます。
10パーセント以上増えたのは4県。
人数そのものが最も多いのは東京都の386,624人です。
出ていく人が増えた県と、動きが止まった県
以下は、10年間の転出者数の変化にこれだけの差がつく理由についての推測です。
統計から確かめられる話ではなく、ほかの指標との突き合わせから考えたものです。
転出者が減ったのなら、人が県に留まるようになったということでしょうか。
数字を見ると、そう単純ではなさそうです。
転出者数の変化率と転入者数の変化率の相関係数はプラス0.59。
出ていく人が減った県では、入ってくる人も減っています。
青森県は転出がマイナス17.82パーセントで47位、転入もマイナス18.19パーセントで40位。
出入りの両方が細っている県ということになります。
人口の指標との関係も同じ向きです。
人口増減率とはプラス0.58、65歳以上人口割合とはマイナス0.59、ひとり暮らし高齢者の割合とはマイナス0.48。
人口が減って高齢化が進んだ県ほど、転出者も減っています。
引っ越しをするのは主に若い世代です。
その世代が県内に少なくなれば、出ていく人の数も自然に減ります。
転出の減少を「引き留めに成功した」と読むのは危ういということです。
上位に北陸3県が並ぶのも、同じ枠組みで見ておきたいところです。
福井県は転出がプラス11.25パーセントですが、転入はマイナス11.63パーセント。
出ていく人が増えて入ってくる人が減れば、県の人口は両側から減ります。
実数で見ると景色が変わります。
10年で増えた人数がいちばん多いのは東京都のプラス14,220人、次いで愛知県プラス10,519人、千葉県プラス9,559人。
率では上位に入らない東京都が、人数では最も大きく増えています。
減り方が大きかった5県
減り方が大きかった下位5県です。
青森県はマイナス17.82パーセント、秋田県はマイナス16.92パーセント、奈良県はマイナス13.27パーセント、岩手県はマイナス11.72パーセント、長崎県はマイナス10.76パーセントでした。
群馬県のプラス15.07パーセントとは32.89ポイントの差があります。
奈良県が45位に入るのは意外に見えるかもしれません。
大阪府に隣接し通勤圏に入る県ですが、転出者は2万8,781人から2万4,963人へ3,818人減りました。
近畿7府県の平均マイナス2.34パーセントからも大きく外れています。
10パーセント以上減ったのは5県。
人数そのものが最も少ないのは鳥取県の9,809人で、高知県11,046人、徳島県11,602人と続きます。
地方別に見る10年の変化
地方別に平均を出すと、関東が最も大きくなります。
関東7都県がプラス4.84パーセント、中部9県がプラス4.58パーセント、北海道がプラス1.72パーセントと続きます。
減ったほうは近畿7府県がマイナス2.34パーセント、九州・沖縄8県がマイナス4.38パーセント、四国4県がマイナス4.56パーセント、中国5県がマイナス4.81パーセント、東北6県がマイナス11.62パーセントでした。
関東と東北では16.45ポイントの差があります。
東北6県のマイナス11.62パーセントは、2位の中国5県に6.81ポイントの差をつけた数字です。
青森県と秋田県が15パーセント以上減っており、地方としてまとまった動きになっています。
8地方のうち平均がプラスになったのは関東、中部、北海道の3つだけです。
地図で見る10年の変化
| 項目 | 転出者数の10年変化率 |
|---|---|
| 北海道 | 1.7% |
| 青森県 | -17.8% |
| 岩手県 | -11.7% |
| 宮城県 | -9.9% |
| 秋田県 | -16.9% |
| 山形県 | -8.4% |
| 福島県 | -5.0% |
| 茨城県 | 5.7% |
| 栃木県 | 1.2% |
| 群馬県 | 15.1% |
| 埼玉県 | 2.2% |
| 千葉県 | 6.5% |
| 東京都 | 3.8% |
| 神奈川県 | -0.6% |
| 新潟県 | -3.4% |
| 富山県 | 10.2% |
| 石川県 | 10.3% |
| 福井県 | 11.3% |
| 山梨県 | -3.2% |
| 長野県 | 3.5% |
| 岐阜県 | 2.5% |
| 静岡県 | 1.0% |
| 愛知県 | 9.0% |
| 三重県 | 0.7% |
| 滋賀県 | 0.1% |
| 京都府 | 5% |
| 大阪府 | 2.4% |
| 兵庫県 | -3.4% |
| 奈良県 | -13.3% |
| 和歌山県 | -7.9% |
| 鳥取県 | -9.9% |
| 島根県 | -6.2% |
| 岡山県 | -0.4% |
| 広島県 | -1.3% |
| 山口県 | -6.2% |
| 徳島県 | -4.5% |
| 香川県 | -5.8% |
| 愛媛県 | -1.5% |
| 高知県 | -6.4% |
| 福岡県 | -4.8% |
| 佐賀県 | -8.8% |
| 長崎県 | -10.8% |
| 熊本県 | -5.8% |
| 大分県 | 2.3% |
| 宮崎県 | -9.9% |
| 鹿児島県 | -7.2% |
| 沖縄県 | 9.8% |
| 項目 | 全国の転出者数 |
|---|---|
| 2015年 | 2,502,780% |
| 2016年 | 2,460,346% |
| 2017年 | 2,505,064% |
| 2018年 | 2,535,601% |
| 2019年 | 2,568,086% |
| 2020年 | 2,463,992% |
| 2021年 | 2,476,640% |
| 2022年 | 2,553,434% |
| 2023年 | 2,544,639% |
| 2024年 | 2,523,249% |
| 2025年 | 2,515,731% |
日本地図で見ると、色が濃く出る(増え方が大きい)のは北陸と群馬県、愛知県、千葉県、沖縄県です。
淡い(減り方が大きい)のは東北全域と奈良県、長崎県でした。
47都道府県の単純平均はマイナス1.84パーセント、中央値はマイナス1.50パーセントです。
全国値のプラス0.52パーセントと向きが逆になるのは、転出者の多い都府県ほど増え方が大きいためです。
10パーセント以上増えたのは4県、10パーセント以上減ったのは5県。
1位と47位で32.89ポイントの幅がありました。
| 順位 | 都道府県 | 転出者数の10年変化率(%) | 地方 | 2025年の転出者数 | 2015年の転出者数 | 10年間の増減数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 群馬県 | 15.07 | 関東 | 37459 | 32553 | 4906 |
| 2 | 福井県 | 11.25 | 中部 | 12819 | 11523 | 1296 |
| 3 | 石川県 | 10.31 | 中部 | 21450 | 19445 | 2005 |
| 4 | 富山県 | 10.16 | 中部 | 15906 | 14439 | 1467 |
| 5 | 沖縄県 | 9.75 | 九州 | 29058 | 26476 | 2582 |
| 6 | 愛知県 | 9.03 | 中部 | 127037 | 116518 | 10519 |
| 7 | 千葉県 | 6.47 | 関東 | 157412 | 147853 | 9559 |
| 8 | 茨城県 | 5.69 | 関東 | 61643 | 58326 | 3317 |
| 9 | 京都府 | 5.0 | 近畿 | 62183 | 59224 | 2959 |
| 10 | 東京都 | 3.82 | 関東 | 386624 | 372404 | 14220 |
| 11 | 長野県 | 3.48 | 中部 | 33136 | 32021 | 1115 |
| 12 | 岐阜県 | 2.48 | 中部 | 36697 | 35809 | 888 |
| 13 | 大阪府 | 2.4 | 近畿 | 168565 | 164609 | 3956 |
| 14 | 大分県 | 2.29 | 九州 | 22274 | 21775 | 499 |
| 15 | 埼玉県 | 2.17 | 関東 | 165896 | 162374 | 3522 |
| 16 | 北海道 | 1.72 | 北海道 | 58818 | 57823 | 995 |
| 17 | 栃木県 | 1.18 | 関東 | 39064 | 38607 | 457 |
| 18 | 静岡県 | 1.02 | 中部 | 62587 | 61952 | 635 |
| 19 | 三重県 | 0.7 | 近畿 | 35434 | 35188 | 246 |
| 20 | 滋賀県 | 0.14 | 近畿 | 29444 | 29403 | 41 |
| 21 | 岡山県 | -0.44 | 中国 | 33306 | 33453 | -147 |
| 22 | 神奈川県 | -0.55 | 関東 | 207386 | 208539 | -1153 |
| 23 | 広島県 | -1.27 | 中国 | 53237 | 53923 | -686 |
| 24 | 愛媛県 | -1.5 | 四国 | 22094 | 22431 | -337 |
| 25 | 山梨県 | -3.17 | 中部 | 15938 | 16459 | -521 |
| 26 | 新潟県 | -3.38 | 中部 | 28499 | 29495 | -996 |
| 27 | 兵庫県 | -3.42 | 近畿 | 97031 | 100465 | -3434 |
| 28 | 徳島県 | -4.51 | 四国 | 11602 | 12150 | -548 |
| 29 | 福岡県 | -4.75 | 九州 | 97317 | 102168 | -4851 |
| 30 | 福島県 | -4.97 | 東北 | 29985 | 31552 | -1567 |
| 31 | 熊本県 | -5.75 | 九州 | 31256 | 33162 | -1906 |
| 32 | 香川県 | -5.82 | 四国 | 18286 | 19417 | -1131 |
| 33 | 山口県 | -6.16 | 中国 | 25656 | 27339 | -1683 |
| 34 | 島根県 | -6.23 | 中国 | 12140 | 12946 | -806 |
| 35 | 高知県 | -6.42 | 四国 | 11046 | 11804 | -758 |
| 36 | 鹿児島県 | -7.17 | 九州 | 29817 | 32120 | -2303 |
| 37 | 和歌山県 | -7.9 | 近畿 | 14298 | 15525 | -1227 |
| 38 | 山形県 | -8.38 | 東北 | 16182 | 17663 | -1481 |
| 39 | 佐賀県 | -8.79 | 九州 | 16985 | 18622 | -1637 |
| 40 | 宮崎県 | -9.88 | 九州 | 20087 | 22290 | -2203 |
| 41 | 宮城県 | -9.89 | 東北 | 44887 | 49813 | -4926 |
| 42 | 鳥取県 | -9.93 | 中国 | 9809 | 10890 | -1081 |
| 43 | 長崎県 | -10.76 | 九州 | 26588 | 29793 | -3205 |
| 44 | 岩手県 | -11.72 | 東北 | 19802 | 22430 | -2628 |
| 45 | 奈良県 | -13.27 | 近畿 | 24963 | 28781 | -3818 |
| 46 | 秋田県 | -16.92 | 東北 | 13685 | 16473 | -2788 |
| 47 | 青森県 | -17.82 | 東北 | 20343 | 24755 | -4412 |
このグラフについての豆知識
全国はほとんど動いていない
全国の転出者数は2015年の250万2,780人から2025年の251万5,731人へ、1万2,951人増えました。
10年で0.52パーセントですから、ほぼ横ばいです。
折れ線を見ると2019年の256万8,086人が山で、2020年に246万3,992人へ落ちています。
新型コロナウイルスの流行が始まった年です。
その後2022年に255万3,434人まで戻り、以降はゆるやかに下がっています。
2025年に転出者が最も多いのは東京都の386,624人。
最も少ない鳥取県の9,809人とは39.4倍の開きがあります。
転入者数との差が社会増減
転出者数から転入者数を引いた差が、その県の社会増減にあたります。
2025年の東京都は転入397,985人に対し転出386,624人なので、11,361人の転入超過です。
この記事は転出の実数だけを見ています。
転入と合わせないと、県の人口が増えたか減ったかは分かりません。
数字は2015年と2025年の比較です。
順位の並びがにている記事
10年間の転出者数の変化とよく似た並びになる記事が、当サイトにあるか探しました。
いちばん近かったのは【外国人住民】が多い都道府県ランキング、人口比で見ると意外な地域もで、順位相関は0.78でした。
逆に、ほぼ裏返しの並びになったのが【病院に通う人が多い県】通院者率の47都道府県ランキング、最大1.4倍の地域差が出ました(相関-0.67)でした。
順位が近いことと、原因がつながっていることは別の話です。
それでも、見くらべると気づくことがあります。
地方のなかで見た転出者数の10年変化率
| 地方 | 最も多い(%) | 最も少ない(%) |
|---|---|---|
| 東北 | 福島県 -4.97 | 青森県 -17.82 |
| 関東 | 群馬県 15.07 | 神奈川県 -0.55 |
| 中部 | 福井県 11.25 | 新潟県 -3.38 |
| 近畿 | 京都府 5.0 | 奈良県 -13.27 |
| 中国 | 岡山県 -0.44 | 鳥取県 -9.93 |
| 四国 | 愛媛県 -1.5 | 高知県 -6.42 |
| 九州 | 沖縄県 9.75 | 長崎県 -10.76 |
まとめ
県外へ出ていく人の数の10年変化を比べると、最も増えた群馬県でプラス15.07パーセント、最も減った青森県でマイナス17.82パーセントでした。
全国は0.52パーセント増、増えたのが20都道府県で減ったのが27府県です。
10年間の転出者数の変化をどう数えているかについて、3つ補っておきます。
1つ目は、日本人の移動だけを数えていること。
2つ目は、転入と合わせないと人口の増減は分からないこと。
3つ目は2015年と2025年の比較であることです。
転入者数の変化率との相関係数はプラス0.59。
出ていく人が減った県では入ってくる人も減っており、転出の減少をそのまま定住が進んだとは読めません。
実数では東京都が10年でプラス14,220人と、いちばん多く増えました。
転入者数や人口増減率を比べた記事とあわせて読んでみてください。
関連記事
- 【引っ越してくる人・10年推移】転入者数がふえたのは大阪府だけ
- 【人口の増減】人口が増えたのは3都府県だけ、47都道府県の人口増減を比較
- 【日本人の人口・10年推移】ふえたのは2都県のみ、ほかは軒並み下落
- 【転入者】が多い県は転出者も多いのか、47都道府県の人口移動を比較
- 【大学へ進む人・10年推移】全国で3万3千人増の一方、27県では減少
出典
- 統計名: 社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)
- 調査年: 2015年と2025年の比較
- 公開元: 総務省統計局
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/regional-statistics/ssdsview/prefectures
- 備考: 指標コードA5104(転出者数)を2015年と2025年で比べた。住民基本台帳にもとづく移動者数。e-Stat APIで取得した値をそのまま使用
注記: 指標コードA5104(転出者数)を2015年と2025年で比べた。
住民基本台帳にもとづく移動者数。
e-Stat APIで取得した値をそのまま使用
