1世帯が1年間にパンへいくら使っているのかを、47都道府県で並べて比べます。
使うのは総務省統計局の家計調査(二人以上の世帯)で、2023年から2025年の3年平均です。
全国の平均は年34,242円、購入量は42,398グラムでした。
1つ大事な注意があります。
家計調査のこの数字は各都道府県の県庁所在市(東京都は都区部)で調べたもので、県全体の平均ではありません。
県を代表する街の数字として読んでください。
47都道府県の単純平均
33,799円
パンへの年間支出(2023年〜2025年平均)
最も多い 兵庫県
41,967円
最も少ない 秋田県
26,785円
パンによくお金を使う5府県
パンへの支出が多い上位5府県です。
いずれも年38,000円を超えました。
兵庫県は41,967円、京都府は39,347円、大阪府は39,198円、埼玉県は38,856円、広島県は38,080円です。
1位と5位の差は3,887円で、上位は接近しています。
全国平均の34,242円を上回ったのは21都府県でした。
上位5のうち3つが近畿です。
近畿7府県の順位を並べると1位・2位・3位・6位・8位・14位・21位で、7府県すべてが平均より上か中位に入っています。
地方別の平均でも近畿は38,101円で8地方のトップでした。
パンによく使う地域がまとまって存在することが分かります。
6位以下も37,850円、37,737円、37,517円と続きます。
上位10のうち5つが近畿で、この指標では近畿の強さがはっきり出ました。
購入量でも上位の顔ぶれはよく似ています。
上位5府県のうち4つは購入量でも上位10に入りました。
よく買い、それなりの金額を使う地域がまとまっているという形です。
兵庫県は、たくさん食べているのか
ここからは統計から離れて、なぜ1位なのかを考えてみます。
以下は確かめられた事実ではなく、同じ調査の別の数字と突き合わせて立てた推測です。
家計調査には金額だけでなく購入量も載っています。
兵庫県の購入量は年49,396グラムで、これは全国4位でした。
購入量の1位は大阪府の51,901グラム、2位は滋賀県の51,790グラムで、どちらも金額では1位ではありません。
つまり金額1位の兵庫県は、量ではいちばんではないということになります。
金額を量で割ると、1グラムあたりの単価が出ます。
兵庫県は0.85円で、全国平均の0.81円を上回り、47都道府県では10位でした。
一方、購入量1位の大阪府は0.76円で45位です。
同じようにパンを買っていても、片方は単価の高いパンを、もう片方は量を買っている形になります。
支出額のランキングは「よく食べている順」ではなく、「よく食べている×高いものを買っている」の掛け算です。
兵庫県は、その両方がそこそこ高かったから1位になった、という見方ができます。
なお、兵庫県の県庁所在市はパンの街として知られており、地元の観光情報などでもよく紹介されています。
ただし、それが支出額の高さの理由かどうかは統計では確かめられません。
街のイメージと数字が一致している、という以上のことは言えないと考えてください。
パンへの支出が少ない5県
パンへの支出が少ない下位5県です。
いずれも年30,000円を下回りました。
秋田県は26,785円、山形県は27,965円、沖縄県は28,700円、岩手県は28,861円、青森県は29,292円でした。
兵庫県の41,967円との差は15,182円、率にすると1.57倍です。
今回のランキングは上下の開きが小さく、極端に外れた県はありません。
下位5県のうち4県は東北です。
地方別の平均でも東北6県は29,002円で8地方の最下位、北海道が29,323円でこれに続きます。
北日本でまとまって低いという形になりました。
購入量で見ても下位5県は32,733グラムから35,046グラムで、全国の42,398グラムを下回ります。
金額が低いのは単価が安いからではなく、買う量そのものが少ないためだと考えられます。
もう1つ、下位5県はいずれも1グラムあたりの単価では上位に入っています。
秋田県は0.76円ですが、山形県と沖縄県は0.85円、岩手県は0.83円、青森県は0.84円で、全国平均の0.81円を上回る県が並びます。
買う量は少ないけれど、1グラムあたりでは安く買っているわけではない、という結果でした。
地図で見るパンへの支出
| 項目 | パンへの年間支出 |
|---|---|
| 北海道 | 29,323円 |
| 青森県 | 29,292円 |
| 岩手県 | 28,861円 |
| 宮城県 | 31,443円 |
| 秋田県 | 26,785円 |
| 山形県 | 27,965円 |
| 福島県 | 29,666円 |
| 茨城県 | 29,783円 |
| 栃木県 | 32,304円 |
| 群馬県 | 33,075円 |
| 埼玉県 | 38,856円 |
| 千葉県 | 35,459円 |
| 東京都 | 37,737円 |
| 神奈川県 | 35,282円 |
| 新潟県 | 35,713円 |
| 富山県 | 35,620円 |
| 石川県 | 36,236円 |
| 福井県 | 33,964円 |
| 山梨県 | 30,744円 |
| 長野県 | 32,033円 |
| 岐阜県 | 33,436円 |
| 静岡県 | 32,419円 |
| 愛知県 | 37,029円 |
| 三重県 | 34,643円 |
| 滋賀県 | 37,850円 |
| 京都府 | 39,347円 |
| 大阪府 | 39,198円 |
| 兵庫県 | 41,967円 |
| 奈良県 | 37,517円 |
| 和歌山県 | 36,188円 |
| 鳥取県 | 32,853円 |
| 島根県 | 33,253円 |
| 岡山県 | 37,393円 |
| 広島県 | 38,080円 |
| 山口県 | 33,345円 |
| 徳島県 | 36,323円 |
| 香川県 | 36,291円 |
| 愛媛県 | 34,826円 |
| 高知県 | 32,798円 |
| 福岡県 | 33,647円 |
| 佐賀県 | 32,034円 |
| 長崎県 | 35,367円 |
| 熊本県 | 30,990円 |
| 大分県 | 30,441円 |
| 宮崎県 | 30,571円 |
| 鹿児島県 | 31,910円 |
| 沖縄県 | 28,700円 |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは近畿から中国、四国にかけての一帯と、関東の一部です。
逆に淡いのは東北から北海道にかけての北日本と、九州南部でした。
47都道府県の単純平均は33,799円、中央値は33,436円です。
平均と中央値がほとんど同じで、上下の差も1.57倍にとどまります。
これまで扱ってきた指標のなかでは、かなり散らばりの小さいデータです。
下の表に47都道府県すべての支出額を、購入量と並べて掲載しました。
金額の順位と量の順位が食い違う県があるので、見比べてみてください。
| 順位 | 都道府県 | パンへの年間支出(円) | 地方 | パン購入量 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 兵庫県 | 41967 | 近畿 | 49396 |
| 2 | 京都府 | 39347 | 近畿 | 49484 |
| 3 | 大阪府 | 39198 | 近畿 | 51901 |
| 4 | 埼玉県 | 38856 | 関東 | 44948 |
| 5 | 広島県 | 38080 | 中国 | 45443 |
| 6 | 滋賀県 | 37850 | 近畿 | 51790 |
| 7 | 東京都 | 37737 | 関東 | 43145 |
| 8 | 奈良県 | 37517 | 近畿 | 48617 |
| 9 | 岡山県 | 37393 | 中国 | 46552 |
| 10 | 愛知県 | 37029 | 中部 | 48561 |
| 11 | 徳島県 | 36323 | 四国 | 45084 |
| 12 | 香川県 | 36291 | 四国 | 46321 |
| 13 | 石川県 | 36236 | 中部 | 45017 |
| 14 | 和歌山県 | 36188 | 近畿 | 44833 |
| 15 | 新潟県 | 35713 | 中部 | 43452 |
| 16 | 富山県 | 35620 | 中部 | 41436 |
| 17 | 千葉県 | 35459 | 関東 | 42510 |
| 18 | 長崎県 | 35367 | 九州 | 43602 |
| 19 | 神奈川県 | 35282 | 関東 | 42836 |
| 20 | 愛媛県 | 34826 | 四国 | 42934 |
| 21 | 三重県 | 34643 | 近畿 | 43841 |
| 22 | 福井県 | 33964 | 中部 | 38803 |
| 23 | 福岡県 | 33647 | 九州 | 43001 |
| 24 | 岐阜県 | 33436 | 中部 | 44593 |
| 25 | 山口県 | 33345 | 中国 | 43280 |
| 26 | 島根県 | 33253 | 中国 | 42093 |
| 27 | 群馬県 | 33075 | 関東 | 39517 |
| 28 | 鳥取県 | 32853 | 中国 | 43031 |
| 29 | 高知県 | 32798 | 四国 | 38390 |
| 30 | 静岡県 | 32419 | 中部 | 38325 |
| 31 | 栃木県 | 32304 | 関東 | 37183 |
| 32 | 佐賀県 | 32034 | 九州 | 39902 |
| 33 | 長野県 | 32033 | 中部 | 38426 |
| 34 | 鹿児島県 | 31910 | 九州 | 40410 |
| 35 | 宮城県 | 31443 | 東北 | 35088 |
| 36 | 熊本県 | 30990 | 九州 | 39127 |
| 37 | 山梨県 | 30744 | 中部 | 37507 |
| 38 | 宮崎県 | 30571 | 九州 | 37137 |
| 39 | 大分県 | 30441 | 九州 | 37635 |
| 40 | 茨城県 | 29783 | 関東 | 36022 |
| 41 | 福島県 | 29666 | 東北 | 32824 |
| 42 | 北海道 | 29323 | 北海道 | 35265 |
| 43 | 青森県 | 29292 | 東北 | 34748 |
| 44 | 岩手県 | 28861 | 東北 | 34953 |
| 45 | 沖縄県 | 28700 | 九州 | 33946 |
| 46 | 山形県 | 27965 | 東北 | 32733 |
| 47 | 秋田県 | 26785 | 東北 | 35046 |
このグラフについての豆知識
パンの支出が少ない県は、米の産地だった
下位5県を、米の収穫量のランキングと並べてみます。
秋田県は米では3位、山形県は6位、岩手県は11位、青森県は10位でした。
5県のうち4県が、米の収穫量では上位11位までに入っています。
残る1県だけが米では46位です。
パンをあまり買わない地域と、米をたくさん作っている地域が重なって見えます。
ただし家計調査は県庁所在市の世帯を、作物統計は県全体を対象にしており、調べている範囲が違います。
関係がありそうに見えても、これだけで因果を言うことはできません。
3年の平均という数字
家計調査の品目別ランキングは、単年ではなく3年の平均で公表されています。
今回使ったのは2023年から2025年の平均です。
これは、1年だけだと調査対象の世帯の偏りで数字が大きく動いてしまうためです。
家計調査は全国で約9,000世帯を対象にした標本調査で、県庁所在市ごとに見ると1市あたりの世帯数はかなり少なくなります。
3年平均にすることで、たまたまの揺れをならしています。
裏を返せば、この数字は直近1年の傾向をそのまま表したものではありません。
順位が1つ2つ違うことに意味を持たせすぎないほうが、この統計とはうまく付き合えます。
順位の並びがにている記事
同じ形の地図になる記事はあるでしょうか。
1世帯が1年間にパンへ使う金額の順位で探してみます。
最も似ていたのは【大学に進む人が多い県】高等学校卒業者の進学率の47都道府県ランキング、全国では61.8%(順位相関0.74)です。
逆に、ほぼ裏返しの並びになったのが【男性の喫煙率】全国27.56パーセント、女性の4倍近い(相関-0.72)でした。
相関は因果ではないので、関係があると決めつけることはできません。
見くらべる手がかりとして使ってください。
地方のなかで見たパンへの年間支出
| 地方 | 最も多い(円) | 最も少ない(円) |
|---|---|---|
| 東北 | 宮城県 31443 | 秋田県 26785 |
| 関東 | 埼玉県 38856 | 茨城県 29783 |
| 中部 | 愛知県 37029 | 山梨県 30744 |
| 近畿 | 兵庫県 41967 | 三重県 34643 |
| 中国 | 広島県 38080 | 鳥取県 32853 |
| 四国 | 徳島県 36323 | 高知県 32798 |
| 九州 | 長崎県 35367 | 沖縄県 28700 |
まとめ
47都道府県のパンへの支出を比べると、兵庫県は年41,967円、秋田県は26,785円で、その差は1.57倍でした。
全国平均は34,242円で、これを上回ったのは21都府県です。
地方別では近畿が38,101円と最も高く、東北が29,002円で最も低い結果になりました。
上位5のうち3つ、上位10のうち5つが近畿です。
この1世帯が1年間にパンへ使う金額の数字には、読み違えやすい点が3つあります。
1つ目は、この数字が県庁所在市(東京都は都区部)で調べた二人以上の世帯の平均であり、県全体の平均ではないことです。
2つ目は、金額と購入量が別の順位になる県があることです。
3つ目は期間で、2023年から2025年の3年平均です。
パンの支出額は、食べる量と買うものの値段の掛け算です。
ランキングの順位だけを見て「よく食べる県」と決めてしまうと、実際の姿からずれてしまいます。
パンは主食にも間食にもなる食べものです。
地域ごとの数字の違いは、朝ごはんに何を食べるかという日々の習慣の積み重ねなのかもしれません。
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出典
- 統計名: 家計調査(二人以上の世帯、品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング)
- 調査年: 2023年〜2025年平均
- 公開元: 総務省統計局
- 参照URL: https://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html
- 備考: 二人以上の世帯1世帯当たりの年間支出金額。数値は各都道府県の県庁所在市(東京都は都区部)で調査された世帯の平均であり、県全体の平均ではない
注記: 二人以上の世帯1世帯当たりの年間支出金額。
数値は各都道府県の県庁所在市(東京都は都区部)で調査された世帯の平均であり、県全体の平均ではない
