豚の飼育は、1戸あたり2,810頭という、ほかの家畜とは桁のちがう規模で行われています。
大きな施設に集めて育てるやり方が主流になっているためです。
えさのほとんどを輸入に頼るため、港に近いかどうかも産地の条件になります。
今回は47都道府県の豚の飼養頭数を、令和6年2月1日現在の農林水産省「畜産統計調査」のデータを使って比べました。
全国で8,798,000頭、飼養戸数は3,130戸。
1戸あたり2,810.9頭という、ほかの畜種とは桁の違う規模になっています。
47都道府県の単純平均
187,184頭
豚の飼養頭数(令和6年(2024年2月1日現在))
最も多い 鹿児島県
1,200,000頭
最も少ない 和歌山県
1,140頭
豚の飼養頭数が多い5道県
豚の飼養頭数が多い上位5道県です。
鹿児島県は1,200,000頭、北海道は752,200頭、宮崎県は721,900頭、群馬県は610,800頭、千葉県は580,700頭でした。
100万頭を超えたのは鹿児島県だけで、全国の13.6パーセントを占めます。
6位以下は岩手県459,100頭、茨城県424,000頭、熊本県347,900頭と続きます。
上位5道県で全国の43.9パーセント、上位10道県では65.4パーセントでした。
乳用牛では1道で62.6パーセント、肉用牛では上位5道県で52.7パーセントでしたから、豚は3つのなかで最も産地が分散していることになります。
1戸あたり2,800頭という、ほかの畜種と違う規模
なぜこういう並びになるのか、ここからは考えてみます。
以下は豚の飼養頭数の統計から直接読み取れることではなく、別の数字と照らして立てた推測です。
この記事で扱う4つの畜種を、1戸あたりの規模で並べてみます。
乳用牛は110.3頭、肉用牛は73.2頭、採卵鶏は100.5千羽。
そして豚は2,810.9頭です。
頭数で数える畜種のなかで、豚だけが桁がひとつ違います。
全国8,798,000頭を飼っている農家は3,130戸しかありません。
肉用牛は2,672,000頭を36,500戸で飼っているので、戸数では豚は肉用牛の12分の1以下です。
豚は屋内の施設で飼うため、土地の広さより設備への投資が規模を決めます。
少数の大きな経営に集約されやすい構造だと考えられます。
1戸当たり飼養頭数で並べると、1位は島根県の7,840頭、2位が青森県の6,975頭、3位が広島県の6,150頭。
頭数では中位の県が上位に来ます。
逆に東京都は203頭、和歌山県228頭、大阪府406頭でした。
地域で見ると、九州8県が33.4パーセント、関東7都県が23.7パーセント、東北6県が17.7パーセントで、この3地方だけで4分の3を占めます。
九州は肉用牛でも39.6パーセントを占める畜産地帯ですが、関東が2番目に来るのは豚ならではです。
群馬県610,800頭、千葉県580,700頭、茨城県424,000頭という関東の3県は、いずれも大消費地に近い場所にあります。
豚肉は牛肉より回転が速く、消費地の近くで生産する利点が大きいのかもしれません。
畜産の産出額との相関係数は、47都道府県で計算するとプラス0.75ですが、北海道を除くとプラス0.95まで上がります。
北海道は豚が752,200頭で2位ですが、畜産産出額の中身は乳用牛が中心です。
1道を外すと、豚の頭数と畜産の稼ぎがほぼ一致することになります。
豚の飼養頭数が少ない5府県
豚の飼養頭数が少ない下位5府県です。
和歌山県は1,140頭、滋賀県は1,480頭、東京都と大阪府がともに2,030頭、福井県は2,390頭でした。
鹿児島県の1,200,000頭とは1,053倍の差があります。
下位に並んだのは近畿の府県と福井県です。
近畿7府県の合計は全国の1.6パーセントで、8地方のなかで最も少なくなりました。
四国4県の3.3パーセントの半分以下です。
近畿が少ない理由は、この統計だけでは分かりません。
ただ肉用牛でも近畿は4.6パーセント、乳用牛でも2.3パーセントと、どの畜種でも低い水準にあります。
下位の県では飼養戸数も少なくなります。
和歌山県は5戸、東京都は10戸。
全国3,130戸のうち、九州8県だけで1,119戸を占めています。
地方別に見る豚の飼養頭数
地方別に合計すると、九州と関東、東北の3地方で4分の3を占めます。
最も多いのは九州8県で全国の33.4パーセントです。
次いで関東7都県が23.7パーセント、東北6県が17.7パーセント、北海道が8.6パーセント、中部9県が8.1パーセントと続きます。
少ないほうは中国5県が3.7パーセント、四国4県が3.3パーセント、近畿7府県が1.6パーセントでした。
関東7都県が23.7パーセントと高いのは、群馬県、千葉県、茨城県という3県がそろっているためです。
乳用牛でも関東は11.1パーセントで2番目でした。
首都圏に近い畜産地帯という性格が、豚でも出ています。
地図で見る豚の飼養頭数
| 項目 | 豚の飼養頭数 |
|---|---|
| 北海道 | 752,200頭 |
| 青森県 | 334,800頭 |
| 岩手県 | 459,100頭 |
| 宮城県 | 180,000頭 |
| 秋田県 | 308,500頭 |
| 山形県 | 159,900頭 |
| 福島県 | 111,600頭 |
| 茨城県 | 424,000頭 |
| 栃木県 | 324,900頭 |
| 群馬県 | 610,800頭 |
| 埼玉県 | 75,600頭 |
| 千葉県 | 580,700頭 |
| 東京都 | 2,030頭 |
| 神奈川県 | 67,200頭 |
| 新潟県 | 133,400頭 |
| 富山県 | 19,700頭 |
| 石川県 | 15,800頭 |
| 福井県 | 2,390頭 |
| 山梨県 | 11,000頭 |
| 長野県 | 53,000頭 |
| 岐阜県 | 91,300頭 |
| 静岡県 | 97,100頭 |
| 愛知県 | 287,400頭 |
| 三重県 | 98,900頭 |
| 滋賀県 | 1,480頭 |
| 京都府 | 12,600頭 |
| 大阪府 | 2,030頭 |
| 兵庫県 | 20,000頭 |
| 奈良県 | 3,190頭 |
| 和歌山県 | 1,140頭 |
| 鳥取県 | 61,800頭 |
| 島根県 | 39,200頭 |
| 岡山県 | 45,600頭 |
| 広島県 | 147,600頭 |
| 山口県 | 32,100頭 |
| 徳島県 | 45,300頭 |
| 香川県 | 27,900頭 |
| 愛媛県 | 196,500頭 |
| 高知県 | 21,900頭 |
| 福岡県 | 79,800頭 |
| 佐賀県 | 69,500頭 |
| 長崎県 | 181,200頭 |
| 熊本県 | 347,900頭 |
| 大分県 | 153,200頭 |
| 宮崎県 | 721,900頭 |
| 鹿児島県 | 1,200,000頭 |
| 沖縄県 | 184,500頭 |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは南九州と北関東、それに北海道と岩手県です。
淡いのは近畿と北陸、四国でした。
47都道府県の単純平均は187,184頭、中央値は91,300頭です。
平均が中央値の2.05倍で、肉用牛と同じ程度の偏りになっています。
平均を超えたのは13道県。
乳用牛の5県、肉用牛の10道県と比べると最も多く、産地が広く分布していることが分かります。
| 順位 | 都道府県 | 豚の飼養頭数(頭) | 地方 | 飼養戸数 | 1戸当たり飼養頭数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 鹿児島県 | 1200000 | 九州 | 387 | 3100.8 |
| 2 | 北海道 | 752200 | 北海道 | 186 | 4044.1 |
| 3 | 宮崎県 | 721900 | 九州 | 261 | 2765.9 |
| 4 | 群馬県 | 610800 | 関東 | 163 | 3747.2 |
| 5 | 千葉県 | 580700 | 関東 | 216 | 2688.4 |
| 6 | 岩手県 | 459100 | 東北 | 83 | 5531.3 |
| 7 | 茨城県 | 424000 | 関東 | 208 | 2038.5 |
| 8 | 熊本県 | 347900 | 九州 | 126 | 2761.1 |
| 9 | 青森県 | 334800 | 東北 | 48 | 6975.0 |
| 10 | 栃木県 | 324900 | 関東 | 82 | 3962.2 |
| 11 | 秋田県 | 308500 | 東北 | 67 | 4604.5 |
| 12 | 愛知県 | 287400 | 中部 | 138 | 2082.6 |
| 13 | 愛媛県 | 196500 | 四国 | 67 | 2932.8 |
| 14 | 沖縄県 | 184500 | 九州 | 174 | 1060.3 |
| 15 | 長崎県 | 181200 | 九州 | 67 | 2704.5 |
| 16 | 宮城県 | 180000 | 東北 | 88 | 2045.5 |
| 17 | 山形県 | 159900 | 東北 | 54 | 2961.1 |
| 18 | 大分県 | 153200 | 九州 | 37 | 4140.5 |
| 19 | 広島県 | 147600 | 中国 | 24 | 6150.0 |
| 20 | 新潟県 | 133400 | 中部 | 71 | 1878.9 |
| 21 | 福島県 | 111600 | 東北 | 49 | 2277.6 |
| 22 | 三重県 | 98900 | 近畿 | 40 | 2472.5 |
| 23 | 静岡県 | 97100 | 中部 | 69 | 1407.2 |
| 24 | 岐阜県 | 91300 | 中部 | 26 | 3511.5 |
| 25 | 福岡県 | 79800 | 九州 | 39 | 2046.2 |
| 26 | 埼玉県 | 75600 | 関東 | 57 | 1326.3 |
| 27 | 佐賀県 | 69500 | 九州 | 28 | 2482.1 |
| 28 | 神奈川県 | 67200 | 関東 | 41 | 1639.0 |
| 29 | 鳥取県 | 61800 | 中国 | 14 | 4414.3 |
| 30 | 長野県 | 53000 | 中部 | 46 | 1152.2 |
| 31 | 岡山県 | 45600 | 中国 | 19 | 2400.0 |
| 32 | 徳島県 | 45300 | 四国 | 18 | 2516.7 |
| 33 | 島根県 | 39200 | 中国 | 5 | 7840.0 |
| 34 | 山口県 | 32100 | 中国 | 6 | 5350.0 |
| 35 | 香川県 | 27900 | 四国 | 20 | 1395.0 |
| 36 | 高知県 | 21900 | 四国 | 15 | 1460.0 |
| 37 | 兵庫県 | 20000 | 近畿 | 16 | 1250.0 |
| 38 | 富山県 | 19700 | 中部 | 12 | 1641.7 |
| 39 | 石川県 | 15800 | 中部 | 11 | 1436.4 |
| 40 | 京都府 | 12600 | 近畿 | 9 | 1400.0 |
| 41 | 山梨県 | 11000 | 中部 | 14 | 785.7 |
| 42 | 奈良県 | 3190 | 近畿 | 7 | 455.7 |
| 43 | 福井県 | 2390 | 中部 | 3 | 796.7 |
| 44 | 大阪府 | 2030 | 近畿 | 5 | 406.0 |
| 44 | 東京都 | 2030 | 関東 | 10 | 203.0 |
| 46 | 滋賀県 | 1480 | 近畿 | 3 | 493.3 |
| 47 | 和歌山県 | 1140 | 近畿 | 5 | 228.0 |
このグラフについての豆知識
豚は5年ごとに調査が休止される
畜産統計調査は毎年2月1日現在で行われますが、豚・採卵鶏・ブロイラーについては西暦の末尾が0と5の年は休止されます。
農林業センサスの実施年にあたるためです。
そのため令和7年(2025年)の豚の数字は公表されていません。
この記事の令和6年が、現時点で最新の調査になります。
乳用牛と肉用牛は毎年調査されるので、畜種によって最新年がずれることがあります。
子取り用めす豚は繁殖用
全国8,798,000頭のうち、子取り用めす豚は758,300頭、種おす豚は24,800頭です。
残りの大部分は肉にするために育てられている豚になります。
子取り用めす豚がいる農家は2,390戸で、全体3,130戸の76.4パーセント。
繁殖から肥育まで一貫して行う経営が多いということになります。
飼養頭数は表章単位未満を四捨五入しているため、47都道府県を足しても全国値とわずかにずれます。
順位の並びがにている記事
豚の飼養頭数の並びと似ている記事、そして正反対の記事を挙げます。
並びが最も重なったのは【農業産出額】が大きい都道府県ランキング、上位5道県で全体の3割を占めますで、相関は0.83です。
反対に、並びがいちばん逆だったのは【ぶりへの支出】平均年3,023円、年取り魚の東西(順位相関-0.6)です。
相関は因果ではないので、関係があると決めつけることはできません。
見くらべる手がかりとして使ってください。
地方のなかで見た豚の飼養頭数
| 地方 | 最も多い(頭) | 最も少ない(頭) |
|---|---|---|
| 東北 | 岩手県 459100 | 福島県 111600 |
| 関東 | 群馬県 610800 | 東京都 2030 |
| 中部 | 愛知県 287400 | 福井県 2390 |
| 近畿 | 三重県 98900 | 和歌山県 1140 |
| 中国 | 広島県 147600 | 山口県 32100 |
| 四国 | 愛媛県 196500 | 高知県 21900 |
| 九州 | 鹿児島県 1200000 | 佐賀県 69500 |
まとめ
47都道府県の豚の飼養頭数を比べると、最も多い鹿児島県は1,200,000頭、最も少ない和歌山県は1,140頭でした。
全国では8,798,000頭、飼養戸数は3,130戸で、1戸あたり2,810.9頭になります。
豚の飼養頭数の数字を受け取る前に、3つ添えておきます。
1つ目は、豚の調査が5年ごとに休止されること。
2つ目は、頭数の大部分が肉にするために育てられている豚であること。
3つ目は令和6年2月1日現在の数字であることです。
1戸あたりの規模は、乳用牛110.3頭、肉用牛73.2頭に対して豚は2,810.9頭。
屋内の施設で飼う畜種は、少数の大きな経営に集約されやすくなります。
九州33.4パーセント、関東23.7パーセント、東北17.7パーセントで4分の3を占めました。
肉用牛や採卵鶏を比べた記事とあわせて読むと、畜種ごとの産地の違いが見えてきます。
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出典
- 統計名: 畜産統計調査
- 調査年: 令和6年(2024年2月1日現在)
- 公開元: 農林水産省
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&lid=000001447249
- 備考: 飼養頭数・羽数は表章単位未満を四捨五入しているため、都道府県の合計は全国値と一致しない場合がある。1戸当たり飼養頭数は飼養頭数を飼養戸数で割ったもの
注記: 飼養頭数・羽数は表章単位未満を四捨五入しているため、都道府県の合計は全国値と一致しない場合がある。
1戸当たり飼養頭数は飼養頭数を飼養戸数で割ったもの
