ぶどうは、この一連の記事で扱う果樹のなかで、栽培がゼロの県がひとつもない数少ない品目です。
生食用だけでなくワイン用もあり、全国に産地が散らばっています。
使ったのは農林水産省「2020年農林業センサス」のデータです。
全国12,043ヘクタールのうち、山梨県が2,894ヘクタールで1位です。
この記事で扱う果樹のなかで、栽培がゼロの県がひとつもない数少ない品目でもあります。
47都道府県の単純平均
256ha
ぶどうの栽培面積(2020年)
最も多い 山梨県
2,894ha
最も少ない 沖縄県
1ha
ぶどうが多い5道県
ぶどうの栽培面積が広い上位5道県です。
山梨県は2,894ヘクタール、長野県は2,175ヘクタール、北海道は811ヘクタール、山形県は802ヘクタール、岡山県は744ヘクタールでした。
山梨県は2位の長野県の1.33倍で、上位2県は接近しています。
6位以下は福岡県567ヘクタール、愛知県252ヘクタール、福島県226ヘクタールと続きます。
上位3道県で全国の48.8パーセント、上位5道県で61.7パーセント、上位10道県で74.0パーセントを占めます。
りんごの上位10県98.0パーセントと比べると、ずっと散らばった分布です。
果樹でめずらしく、47都道府県すべてに産地があります
ここから先は、ぶどうの栽培面積がこう分かれる理由についての見立てです。
ほかの指標と突き合わせて立てた推測で、統計そのものが示している事実ではありません。
ぶどうがどの県でも作られているのはなぜでしょうか。
中央値が102ヘクタールという点にこの品目の性格が出ています。
りんごは中央値5ヘクタール、温州みかんは33ヘクタールで、ぶどうとは桁が違います。
ぶどうは真ん中の県でも100ヘクタール規模の産地を持ちます。
ぶどうは寒さにも暑さにも比較的強く、棚づくりで狭い土地にも収まります。
品種の幅も広いため、北海道から沖縄県まで栽培が成り立つと考えられます。
ただしこの統計から品種までは分かりません。
地方別に見ると、中部9県が47.3パーセントで最大。
次いで東北6県13.4パーセント、中国5県10.5パーセント、九州・沖縄8県9.7パーセントと続きます。
最も少ない四国4県でも2.0パーセントあり、りんごのように0.0パーセントの地方はひとつもありません。
栽培経営体数では、1位は山梨県6,270、2位は長野県4,535、3位は岡山県2,756。
岡山県は面積では5位ですが経営体数では3位です。
1経営体あたりで見ると岡山県は0.27ヘクタールで、全国の0.44ヘクタールを下回ります。
1経営体あたりが最も広いのは北海道の1.79ヘクタールでした。
811ヘクタールを453の経営体で分けている計算です。
ワイン用の畑が大きくまとまっていることが影響していると考えられます。
実数で見ると順位は変わる
ぶどうが少ない5県
ぶどうの栽培面積が狭い下位5県です。
沖縄県は1ヘクタール、福井県は12ヘクタール、宮城県は17ヘクタール、高知県は19ヘクタール、富山県は22ヘクタールでした。
山梨県の2,894ヘクタールとは2,894倍の差があります。
下位に並ぶ県も、ゼロではありません。
47都道府県すべてでぶどうが作られています。
温州みかんは8県、りんごは5県がゼロだったので、ぶどうの広がり方は果樹のなかで際立っています。
47都道府県の中央値は102ヘクタール。
温州みかんの33ヘクタール、りんごの5ヘクタールと比べると桁が違います。
真ん中あたりの県にもきちんと産地があるということです。
地方別に見る
地方別に合計を出すと、中部が最も大きくなります。
中部9県が全国の47.3パーセント、東北6県が13.4パーセント、中国5県が10.5パーセント、九州・沖縄8県が9.7パーセントと続きます。
少ないほうは北海道が6.7パーセント、関東7都県が5.3パーセント、近畿7府県が5.1パーセント、四国4県が2.0パーセントでした。
中部9県の47.3パーセントは、山梨県2,894ヘクタールと長野県2,175ヘクタールの2県で大部分を占めています。
注目したいのは、最も少ない四国4県でも2.0パーセントあることです。
りんごでは近畿と四国が0.0パーセントでしたが、ぶどうはどの地方にも一定の面積があります。
8地方すべてが2パーセント以上という果樹は、この一連の記事ではぶどうだけでした。
地図で見る
| 項目 | ぶどうの栽培面積 |
|---|---|
| 北海道 | 811ha |
| 青森県 | 201ha |
| 岩手県 | 224ha |
| 宮城県 | 17ha |
| 秋田県 | 139ha |
| 山形県 | 802ha |
| 福島県 | 226ha |
| 茨城県 | 149ha |
| 栃木県 | 147ha |
| 群馬県 | 102ha |
| 埼玉県 | 115ha |
| 千葉県 | 52ha |
| 東京都 | 26ha |
| 神奈川県 | 48ha |
| 新潟県 | 173ha |
| 富山県 | 22ha |
| 石川県 | 107ha |
| 福井県 | 12ha |
| 山梨県 | 2,894ha |
| 長野県 | 2,175ha |
| 岐阜県 | 27ha |
| 静岡県 | 33ha |
| 愛知県 | 252ha |
| 三重県 | 49ha |
| 滋賀県 | 37ha |
| 京都府 | 41ha |
| 大阪府 | 186ha |
| 兵庫県 | 184ha |
| 奈良県 | 38ha |
| 和歌山県 | 85ha |
| 鳥取県 | 71ha |
| 島根県 | 215ha |
| 岡山県 | 744ha |
| 広島県 | 195ha |
| 山口県 | 38ha |
| 徳島県 | 43ha |
| 香川県 | 78ha |
| 愛媛県 | 102ha |
| 高知県 | 19ha |
| 福岡県 | 567ha |
| 佐賀県 | 71ha |
| 長崎県 | 63ha |
| 熊本県 | 145ha |
| 大分県 | 149ha |
| 宮崎県 | 120ha |
| 鹿児島県 | 48ha |
| 沖縄県 | 1ha |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは山梨県と長野県です。
次いで北海道、山形県、岡山県が続きます。
中部の内陸が濃く、そこから東北と中国地方へ広がる形です。
淡い県はありますが、白く抜ける県はありません。
47都道府県の平均は256.2ヘクタール、中央値は102ヘクタールです。
山梨県の2,894ヘクタールは平均の11.3倍にあたります。
上位3道県で48.8パーセント、47都道府県すべてに栽培があります。
1位と47位で2,894倍の開きがありました。
| 順位 | 都道府県 | ぶどうの栽培面積(ha) | 地方 | ぶどうの栽培経営体数 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 山梨県 | 2894 | 中部 | 6270 |
| 2 | 長野県 | 2175 | 中部 | 4535 |
| 3 | 北海道 | 811 | 北海道 | 454 |
| 4 | 山形県 | 802 | 東北 | 1859 |
| 5 | 岡山県 | 744 | 中国 | 2756 |
| 6 | 福岡県 | 567 | 九州 | 1092 |
| 7 | 愛知県 | 252 | 中部 | 528 |
| 8 | 福島県 | 226 | 東北 | 526 |
| 9 | 岩手県 | 224 | 東北 | 426 |
| 10 | 島根県 | 215 | 中国 | 515 |
| 11 | 青森県 | 201 | 東北 | 423 |
| 12 | 広島県 | 195 | 中国 | 509 |
| 13 | 大阪府 | 186 | 近畿 | 366 |
| 14 | 兵庫県 | 184 | 近畿 | 422 |
| 15 | 新潟県 | 173 | 中部 | 516 |
| 16 | 茨城県 | 149 | 関東 | 349 |
| 16 | 大分県 | 149 | 九州 | 254 |
| 18 | 栃木県 | 147 | 関東 | 244 |
| 19 | 熊本県 | 145 | 九州 | 371 |
| 20 | 秋田県 | 139 | 東北 | 365 |
| 21 | 宮崎県 | 120 | 九州 | 174 |
| 22 | 埼玉県 | 115 | 関東 | 320 |
| 23 | 石川県 | 107 | 中部 | 116 |
| 24 | 愛媛県 | 102 | 四国 | 282 |
| 24 | 群馬県 | 102 | 関東 | 214 |
| 26 | 和歌山県 | 85 | 近畿 | 246 |
| 27 | 香川県 | 78 | 四国 | 380 |
| 28 | 佐賀県 | 71 | 九州 | 206 |
| 28 | 鳥取県 | 71 | 中国 | 226 |
| 30 | 長崎県 | 63 | 九州 | 206 |
| 31 | 千葉県 | 52 | 関東 | 186 |
| 32 | 三重県 | 49 | 近畿 | 112 |
| 33 | 鹿児島県 | 48 | 九州 | 113 |
| 33 | 神奈川県 | 48 | 関東 | 243 |
| 35 | 徳島県 | 43 | 四国 | 97 |
| 36 | 京都府 | 41 | 近畿 | 128 |
| 37 | 山口県 | 38 | 中国 | 115 |
| 37 | 奈良県 | 38 | 近畿 | 92 |
| 39 | 滋賀県 | 37 | 近畿 | 105 |
| 40 | 静岡県 | 33 | 中部 | 141 |
| 41 | 岐阜県 | 27 | 中部 | 143 |
| 42 | 東京都 | 26 | 関東 | 179 |
| 43 | 富山県 | 22 | 中部 | 50 |
| 44 | 高知県 | 19 | 四国 | 101 |
| 45 | 宮城県 | 17 | 東北 | 77 |
| 46 | 福井県 | 12 | 中部 | 80 |
| 47 | 沖縄県 | 1 | 九州 | 3 |
このグラフについての豆知識
生食用とワイン用を分けていない
この指標はぶどう全体の栽培面積です。
生で食べるぶどうと、ワインの原料になるぶどうを分けていません。
北海道の1経営体あたり1.79ヘクタールという広さは、ワイン用の畑が影響している可能性がありますが、この統計からは確かめられません。
中央値が果樹のなかで最も高い
47都道府県の中央値は102ヘクタール。
この記事で扱う果樹のなかで最も高い数字です。
りんごは5ヘクタール、すももは4ヘクタール、温州みかんは33ヘクタールでした。
中央値が高いということは、真ん中あたりの県にもそれなりの産地があるということ。
上位に集中する果樹が多いなかで、ぶどうは例外的に広く分散しています。
数字は2020年のものです。
5年ごとの調査で、次は2025年の結果が出ます。
順位の並びがにている記事
ぶどうの栽培面積の47都道府県の並びを、ほかの記事の並びと総当たりで比べました。
並びが最も重なったのは【ぶどう・収穫量】全国16万4,600t、土地あたりでは長野県が上回るで、相関は0.81です。
正反対だったのは【年間降水量】雨がよく降る県は日照時間も短いのか、2つの数字で確かめましたで、相関は-0.54です。
並びが似ていても、そこに関係があるとまでは言えません。
ただ、2つの地図をならべると読み方のヒントにはなります。
地方のなかで見たぶどうの栽培面積
| 地方 | 最も多い(ha) | 最も少ない(ha) |
|---|---|---|
| 東北 | 山形県 802 | 宮城県 17 |
| 関東 | 茨城県 149 | 東京都 26 |
| 中部 | 山梨県 2894 | 福井県 12 |
| 近畿 | 大阪府 186 | 滋賀県 37 |
| 中国 | 岡山県 744 | 山口県 38 |
| 四国 | 愛媛県 102 | 高知県 19 |
| 九州 | 福岡県 567 | 沖縄県 1 |
まとめ
ぶどうの栽培面積を47都道府県で比べると、最も広い山梨県で2,894ヘクタール、最も狭い沖縄県で1ヘクタールでした。
47都道府県すべてに栽培があり、ゼロの県はありません。
ぶどうの栽培面積の数字には、但し書きが3つつきます。
1つ目は、生食用とワイン用を分けていないこと。
2つ目は、販売目的の栽培だけを数えていること。
3つ目は5年ごとの調査で2020年の数字であることです。
47都道府県の中央値は102ヘクタール。
りんごの5ヘクタール、温州みかんの33ヘクタールと比べて桁が違い、真ん中の県にも産地があることを示します。
地方別では中部9県が47.3パーセントで最大、最も少ない四国4県でも2.0パーセントありました。
8地方すべてが2パーセントを超える果樹はぶどうだけです。
りんごやももを比べた記事とあわせて読んでみてください。
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出典
- 統計名: 2020年農林業センサス(第1巻 都道府県別統計書)
- 調査年: 2020年
- 公開元: 農林水産省
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?tstat=000001032920
- 備考: 販売を目的にぶどうを育てている経営体の面積。自分の家で食べるぶんだけの栽培は含まない。5年ごとの調査
注記: 販売を目的にぶどうを育てている経営体の面積。
自分の家で食べるぶんだけの栽培は含まない。
5年ごとの調査
