降水量には、雨だけでなく雪やあられを溶かした水の量も含まれます。
そのため雪の多い地域も上位に来ます。
なおこの数字は各県の気象台がある1地点のもので、同じ県でも山と海沿いでは大きく違う点に注意してください。
使ったのは気象庁の平年値(1991年から2020年の30年平均)のデータです。
47地点の平均は1,656.9ミリ。
上位と下位では1,701.3ミリ、2.76倍の差がありました。
よく降る県は日が差す時間も短いのか、あわせて確かめます。
47都道府県の単純平均
1,656.9mm
年間降水量(1991年〜2020年の30年平均)
最も多い 高知県
2,666.4mm
最も少ない 長野県
965.1mm
年間降水量が多い5県
年間降水量が多い上位5県です。
高知県は2,666.4ミリ、宮崎県は2,625.5ミリ、鹿児島県は2,434.7ミリ、石川県は2,401.5ミリ、富山県は2,374.2ミリでした。
6位以下は静岡県2,327.3ミリ、福井県2,299.6ミリ、沖縄県2,161.0ミリ、熊本県2,007.0ミリと続きます。
2,000ミリを超えたのは9県でした。
上位に並んだ顔ぶれをよく見ると、2つのグループに分かれています。
高知県、宮崎県、鹿児島県、静岡県は太平洋側の南寄り。
石川県、富山県、福井県は日本海側の北陸です。
日本地図の上では正反対の位置にある県が、同じ上位に並んでいます。
よく降る県には2つのタイプがある
なぜこういう並びになるのか、ここからは考えてみます。
以下は1年間に降る雨や雪の量の統計から直接読み取れることではなく、別の数字と照らして立てた推測です。
上位5県の中身を、年間降雪量と年間日照時間で見比べてみます。
高知県は年間降雪量1センチ、日照時間2,159.7時間で全国2位。
宮崎県は降雪量0センチ、日照時間2,121.7時間で6位。
一方、石川県は降雪量157センチ、日照時間1,714.1時間で38位。
富山県は降雪量253センチ、日照時間1,647.2時間で43位でした。
同じ「よく降る県」でも、降っているものと降り方がまったく違います。
高知県や宮崎県は梅雨と台風で夏に集中して降り、それ以外の季節はよく晴れます。
北陸は冬に雪として降り続け、そのあいだ空はどんよりしたままです。
降水量という1本の数字では、この違いが見えなくなります。
この構造があるため、年間降水量と年間日照時間の相関係数はマイナス0.07しかありません。
雨が多い県ほど日が差さない、という関係にはなっていないのです。
平均雲量との相関もマイナス0.01で、ほぼ無関係でした。
では日照時間を決めているのは何かというと、平均雲量です。
相関係数はマイナス0.93。
つまり「どれだけ降ったか」ではなく「どれだけ雲が居座ったか」が日照時間を決めています。
降水量と雲量が連動しないのは、短時間に激しく降るタイプの雨があるからだと考えられます。
下位のほうも見ておきます。
長野県の965.1ミリは、47都道府県で唯一1,000ミリを下回りました。
周囲を山に囲まれた盆地で、太平洋側からも日本海側からも湿った空気が届きにくい位置にあります。
岡山県1,143.1ミリ、香川県1,150.1ミリが続くのは、瀬戸内が中国山地と四国山地に挟まれて雨雲が入りにくいためでしょう。
瀬戸内の少雨は、香川県のため池の多さや、たびたび起きる水不足の背景にもなっています。
降水量の地図は、そのまま水をどう確保するかという土地の課題の地図にもなっています。
年間降水量が少ない5道県
年間降水量が少ない下位5道県です。
長野県は965.1ミリ、岡山県は1,143.1ミリ、北海道は1,146.1ミリ、香川県は1,150.1ミリ、山梨県は1,160.7ミリでした。
1位の高知県の2,666.4ミリとは1,701.3ミリ、2.76倍の差があります。
長野県の965.1ミリは、1,000ミリを下回った唯一の県です。
46位の岡山県とも178.0ミリ離れており、下位のなかでもさらに少ない位置にあります。
下位に並んだのは内陸の盆地と、瀬戸内、そして北海道です。
いずれも山に囲まれているか、湿った空気の通り道から外れている地域です。
北海道の1,146.1ミリが少ないのは意外に見えるかもしれません。
雪が降る日は134.5日で全国1位ですが、雪は水に換算すると量が小さくなります。
降る日数の多さと、降る水の量は別だということになります。
地図で見る年間降水量
| 項目 | 年間降水量 |
|---|---|
| 北海道 | 1,146.1mm |
| 青森県 | 1,350.7mm |
| 岩手県 | 1,279.9mm |
| 宮城県 | 1,276.7mm |
| 秋田県 | 1,741.6mm |
| 山形県 | 1,206.7mm |
| 福島県 | 1,207mm |
| 茨城県 | 1,367.7mm |
| 栃木県 | 1,524.7mm |
| 群馬県 | 1,247.4mm |
| 埼玉県 | 1,305.8mm |
| 千葉県 | 1,454.7mm |
| 東京都 | 1,598.2mm |
| 神奈川県 | 1,730.8mm |
| 新潟県 | 1,845.9mm |
| 富山県 | 2,374.2mm |
| 石川県 | 2,401.5mm |
| 福井県 | 2,299.6mm |
| 山梨県 | 1,160.7mm |
| 長野県 | 965.1mm |
| 岐阜県 | 1,860.7mm |
| 静岡県 | 2,327.3mm |
| 愛知県 | 1,578.9mm |
| 三重県 | 1,612.9mm |
| 滋賀県 | 1,610mm |
| 京都府 | 1,522.9mm |
| 大阪府 | 1,338.3mm |
| 兵庫県 | 1,277.8mm |
| 奈良県 | 1,365.1mm |
| 和歌山県 | 1,414.4mm |
| 鳥取県 | 1,931.3mm |
| 島根県 | 1,791.9mm |
| 岡山県 | 1,143.1mm |
| 広島県 | 1,572.2mm |
| 山口県 | 1,712.3mm |
| 徳島県 | 1,619.9mm |
| 香川県 | 1,150.1mm |
| 愛媛県 | 1,404.6mm |
| 高知県 | 2,666.4mm |
| 福岡県 | 1,686.9mm |
| 佐賀県 | 1,951.3mm |
| 長崎県 | 1,894.7mm |
| 熊本県 | 2,007mm |
| 大分県 | 1,727mm |
| 宮崎県 | 2,625.5mm |
| 鹿児島県 | 2,434.7mm |
| 沖縄県 | 2,161mm |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは九州の南部と四国の南、北陸、そして東海の一部です。
淡いのは北海道と東北の内陸、それに瀬戸内でした。
47地点の単純平均は1,656.9ミリ、中央値は1,598.2ミリです。
平均を超えたのは20都県でした。
平均が中央値より58.7ミリ高いのは、2,000ミリを超える県が9つあって上に引っ張っているためです。
真ん中あたりの県は1,300ミリから1,700ミリのあいだに集まっています。
| 順位 | 都道府県 | 年間降水量(mm) | 地方 | 年間日照時間 | 平均雲量 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 高知県 | 2666.4 | 四国 | 2159.7 | 6.2 |
| 2 | 宮崎県 | 2625.5 | 九州 | 2121.7 | 6.1 |
| 3 | 鹿児島県 | 2434.7 | 九州 | 1942.1 | 6.6 |
| 4 | 石川県 | 2401.5 | 中部 | 1714.1 | 7.6 |
| 5 | 富山県 | 2374.2 | 中部 | 1647.2 | 7.6 |
| 6 | 静岡県 | 2327.3 | 中部 | 2151.5 | 6.6 |
| 7 | 福井県 | 2299.6 | 中部 | 1653.7 | 7.6 |
| 8 | 沖縄県 | 2161.0 | 九州 | 1727.1 | 7.2 |
| 9 | 熊本県 | 2007.0 | 九州 | 1996.1 | 6.6 |
| 10 | 佐賀県 | 1951.3 | 九州 | 1970.5 | 6.6 |
| 11 | 鳥取県 | 1931.3 | 中国 | 1669.9 | 7.5 |
| 12 | 長崎県 | 1894.7 | 九州 | 1863.1 | 6.6 |
| 13 | 岐阜県 | 1860.7 | 中部 | 2108.6 | 6.6 |
| 14 | 新潟県 | 1845.9 | 中部 | 1639.6 | 7.8 |
| 15 | 島根県 | 1791.9 | 中国 | 1705.2 | 7.5 |
| 16 | 秋田県 | 1741.6 | 東北 | 1527.4 | 8.0 |
| 17 | 神奈川県 | 1730.8 | 関東 | 2018.3 | 6.7 |
| 18 | 大分県 | 1727.0 | 九州 | 1992.4 | 6.4 |
| 19 | 山口県 | 1712.3 | 中国 | 1875.9 | 6.8 |
| 20 | 福岡県 | 1686.9 | 九州 | 1889.4 | 6.8 |
| 21 | 徳島県 | 1619.9 | 四国 | 2106.8 | 6.5 |
| 22 | 三重県 | 1612.9 | 近畿 | 2108.6 | 6.6 |
| 23 | 滋賀県 | 1610.0 | 近畿 | 1863.3 | 7.3 |
| 24 | 東京都 | 1598.2 | 関東 | 1926.7 | 6.6 |
| 25 | 愛知県 | 1578.9 | 中部 | 2141.0 | 6.5 |
| 26 | 広島県 | 1572.2 | 中国 | 2033.1 | 6.6 |
| 27 | 栃木県 | 1524.7 | 関東 | 1961.1 | 6.7 |
| 28 | 京都府 | 1522.9 | 近畿 | 1794.1 | 7.0 |
| 29 | 千葉県 | 1454.7 | 関東 | 1945.5 | 6.6 |
| 30 | 和歌山県 | 1414.4 | 近畿 | 2100.1 | 6.7 |
| 31 | 愛媛県 | 1404.6 | 四国 | 2014.5 | 6.6 |
| 32 | 茨城県 | 1367.7 | 関東 | 2000.8 | 6.5 |
| 33 | 奈良県 | 1365.1 | 近畿 | 1835.8 | 7.1 |
| 34 | 青森県 | 1350.7 | 東北 | 1589.2 | 7.8 |
| 35 | 大阪府 | 1338.3 | 近畿 | 2048.6 | 6.8 |
| 36 | 埼玉県 | 1305.8 | 関東 | 2106.6 | 6.4 |
| 37 | 岩手県 | 1279.9 | 東北 | 1686.3 | 7.4 |
| 38 | 兵庫県 | 1277.8 | 近畿 | 2083.7 | 6.6 |
| 39 | 宮城県 | 1276.7 | 東北 | 1836.9 | 7.0 |
| 40 | 群馬県 | 1247.4 | 関東 | 2153.7 | 6.3 |
| 41 | 福島県 | 1207.0 | 東北 | 1753.8 | 7.2 |
| 42 | 山形県 | 1206.7 | 東北 | 1617.9 | 7.7 |
| 43 | 山梨県 | 1160.7 | 中部 | 2225.8 | 6.4 |
| 44 | 香川県 | 1150.1 | 四国 | 2046.5 | 6.6 |
| 45 | 北海道 | 1146.1 | 北海道 | 1718.0 | 7.4 |
| 46 | 岡山県 | 1143.1 | 中国 | 2033.7 | 6.6 |
| 47 | 長野県 | 965.1 | 中部 | 1969.9 | 7.1 |
このグラフについての豆知識
降水量には雪も含まれる
降水量は、降った水の量をミリメートルで表した数字です。
雨だけでなく、雪やあられを溶かした水も含まれます。
雪は同じ深さでも水にすると量が少なくなります。
おおまかには、新しく降った雪10センチが水にして1センチほどです。
そのため雪が多い道県でも、降水量としては極端に大きくならないことがあります。
北海道が雪日数で全国1位なのに降水量では45位というずれは、この換算の差から生まれています。
1地点の観測値を県の代表にしている
数字は各都道府県の気象台がある1地点の平年値です。
埼玉県は熊谷、滋賀県は彦根、山口県は下関で、それ以外は県庁所在地の観測所を使っています。
降水量は場所によって大きく変わります。
とくに山地では平地の2倍以上降ることも珍しくありません。
三重県の尾鷲や奈良県の大台ヶ原は日本有数の多雨地帯ですが、この記事の数字は津と奈良の観測所によるものです。
県内のどこを測るかで順位は変わります。
この記事は「県庁所在地どうしを比べたらどうなるか」という見方だと考えてください。
地方のなかで見た年間降水量
| 地方 | 最も多い(mm) | 最も少ない(mm) |
|---|---|---|
| 東北 | 秋田県 1741.6 | 山形県 1206.7 |
| 関東 | 神奈川県 1730.8 | 群馬県 1247.4 |
| 中部 | 石川県 2401.5 | 長野県 965.1 |
| 近畿 | 三重県 1612.9 | 兵庫県 1277.8 |
| 中国 | 鳥取県 1931.3 | 岡山県 1143.1 |
| 四国 | 高知県 2666.4 | 香川県 1150.1 |
| 九州 | 宮崎県 2625.5 | 福岡県 1686.9 |
まとめ
47都道府県の年間降水量を比べると、最も多い高知県は2,666.4ミリ、最も少ない長野県は965.1ミリで、その差は1,701.3ミリ、2.76倍でした。
47地点の平均は1,656.9ミリ、2,000ミリを超えたのは9県です。
1年間に降る雨や雪の量をほかの数字と見くらべる前に、3つ確かめてください。
1つ目は、降水量に雪やあられを溶かした水も含まれること。
2つ目は、各県の気象台がある1地点の数字であること。
3つ目は1991年から2020年までの30年平均であることです。
年間降水量と年間日照時間の相関係数はマイナス0.07で、ほとんど関係がありませんでした。
よく降る県が日照に恵まれないとは限りません。
上位5県は太平洋側の南寄りと北陸に分かれ、前者は夏に集中して降り、後者は冬に雪として降り続けます。
日照時間や雪の日数を比べた記事とあわせて読むと、同じ降水量の中身の違いが見えてきます。
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出典
- 統計名: 平年値(地点別、地上気象観測)
- 調査年: 1991年〜2020年の30年平均
- 公開元: 気象庁
- 参照URL: https://www.data.jma.go.jp/stats/data/mdrr/normal/index.html
- 備考: 各都道府県の気象台所在地1地点の平年値。埼玉県は熊谷、滋賀県は彦根、山口県は下関、他は県庁所在地。県内の別の地点では数値が大きく異なる場合がある。降水量には雨だけでなく、雪やあられを溶かした水の量も含まれる
注記: 各都道府県の気象台所在地1地点の平年値。
埼玉県は熊谷、滋賀県は彦根、山口県は下関、他は県庁所在地。
県内の別の地点では数値が大きく異なる場合がある。
降水量には雨だけでなく、雪やあられを溶かした水の量も含まれる
