【県の借金の残高・10年推移】全国では3.1%減ったが、20県ではふえている

【県の借金の残高・10年推移】全国では3.1%減ったが、20県ではふえている

都道府県が抱える借金の残高が10年でどう動いたかは、都道府県でどれほど違うのでしょうか。
この記事では、47都道府県の数字を比べます。
2012年と2022年の地方債現在高を比べた変化率です。

使うのは総務省統計局の社会・人口統計体系。

全国では88.8兆円から86.1兆円へ2.7兆円減りましたが、20県ではふえています。
県によって向きが分かれた指標です。

47都道府県の単純平均

-2%

地方債現在高の10年変化率(2012年と2022年の比較)

最も多い 岐阜県

20.2%

最も少ない 東京都

-33.1%

残高がふえた5県

上位5都道府県の地方債現在高の10年変化率
上位5都道府県の地方債現在高の10年変化率 社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)(2012年と2022年の比較) 05101520岐阜県: 20.2%20.2%福岡県: 18.2%18.2%熊本県: 15.2%15.2%京都府: 15.1%15.1%群馬県: 13.0%13.0%岐阜県福岡県熊本県京都府群馬県
上位5都道府県の地方債現在高の10年変化率
項目地方債現在高の10年変化率
岐阜県20.2%
福岡県18.2%
熊本県15.2%
京都府15.1%
群馬県13.0%
下位5都道府県の地方債現在高の10年変化率
下位5都道府県の地方債現在高の10年変化率 社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)(2012年と2022年の比較) -30-20-100東京都: -33.1%-33.1%青森県: -29.1%-29.1%宮崎県: -19.9%-19.9%沖縄県: -17.3%-17.3%徳島県: -14.8%-14.8%東京都青森県宮崎県沖縄県徳島県
下位5都道府県の地方債現在高の10年変化率
項目地方債現在高の10年変化率
東京都-33.1%
青森県-29.1%
宮崎県-19.9%
沖縄県-17.3%
徳島県-14.8%

残高がふえた上位5県です。

岐阜県はプラス20.20パーセント、福岡県はプラス18.22パーセント、熊本県はプラス15.15パーセント、京都府はプラス15.10パーセント、群馬県はプラス12.96パーセントでした。
岐阜県は1兆4,541億円から1兆7,478億円へふえています。

ふえたのは20県。
全国の残高が減るなかで、4割を超える県が逆を向いたことになります。
残高そのものが最も大きいのは北海道の5兆7,784億円で、大阪府4兆9,360億円、愛知県4兆6,657億円と続きます。

上位5県に、地方としてのまとまりはありません。
中部、九州、近畿、関東と散らばっています。
財政の状況ではなく、大きな事業をいつ行ったかで決まる面が大きいためだと考えられます。

借金が減った県ほど豊かとは限りません

借金が減った県は財政に余裕があるのだろう、と考えたくなります。
ただ、下位の顔ぶれを見るとそう単純ではありません。

借金が減った県は財政に余裕があるのだろう、と考えたくなります。
ただ、下位の顔ぶれを見るとそう単純ではありません。

減り方が大きい5都県は東京都、青森県、宮崎県、沖縄県、徳島県。
財政力がまるでちがう都県が同じ側に並んでいます。
県民所得との相関はマイナス0.20、人口増減率とはプラス0.01、人口とはマイナス0.18。
どれも0.4に届かず、豊かさとの結びつきは見えませんでした。

歳入決算総額の変化率との相関もプラス0.12しかありません。
収入がふえた県で借金が減る、という関係すらはっきりしないことになります。

地方債の残高は、いつ大きな事業を行ったかで決まる面があります。
10年前に返済のピークを迎えていた県は残高が減り、この10年で施設の更新期に入った県はふえます。
豊かさよりも、事業の時期のほうが効いていると読むのが自然でしょう。

実数で見ると景色が変わります。
10年で減らした額がいちばん大きいのは東京都のマイナス1兆8,925億円、次いで大阪府マイナス6,475億円。
逆にふえた額が最も大きいのは福岡県のプラス5,864億円でした。
率で2位の福岡県は、額でも上位に来ます。

もうひとつ、この指標は都道府県の分だけだという点も押さえておきたいところです。
市町村が抱える地方債は含まれません。
地域全体の借金を見たいときは、別の統計と合わせる必要があります。

借金が減った県は財政に余裕があるのだろうと思って調べたら、県民所得との相関はマイナス0.20。予想が外れました。

残高が減った5都県

残高が減った下位5都県です。

東京都はマイナス33.14パーセント、青森県はマイナス29.13パーセント、宮崎県はマイナス19.88パーセント、沖縄県はマイナス17.32パーセント、徳島県はマイナス14.84パーセントでした。
岐阜県のプラス20.20パーセントとは53.34ポイントの差があります。

東京都の減り方は突出しています。
5兆7,103億円から3兆8,178億円へ1兆8,925億円減っており、全国が減らした2.7兆円のうち7割を東京都1都が占める計算です。

20パーセント以上減ったのは東京都と青森県の2都県。
残高そのものが最も小さいのは沖縄県の5,647億円で、鳥取県6,164億円、佐賀県7,604億円と続きます。

全国が減らした2.7兆円のうち、7割が東京都1都ぶんです。全国の数字がほぼ1都で作られている、というのはめずらしい形でした。

地方別に見る10年の変化

地方別の平均(地方債現在高の10年変化率)
地方別の平均(地方債現在高の10年変化率) 社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)(2012年と2022年の比較) -6-4-202北海道: -1.1%-1.1%東北: -7.8%-7.8%関東: -1.8%-1.8%中部: -1.2%-1.2%近畿: 3.2%3.2%中国: -6.4%-6.4%四国: -3.0%-3.0%九州: -0.2%-0.2%北海道東北関東中部近畿中国四国九州
地方別の平均(地方債現在高の10年変化率)
項目地方債現在高の10年変化率の平均
北海道-1.1%
東北-7.8%
関東-1.8%
中部-1.2%
近畿3.2%
中国-6.4%
四国-3.0%
九州-0.2%

8つの地方に分けて平均を取ると、近畿が最も大きくなります。

近畿7府県がプラス3.21パーセント、九州・沖縄8県がマイナス0.21パーセント、北海道がマイナス1.06パーセント、中部9県がマイナス1.16パーセント、関東7都県がマイナス1.76パーセントと続きます。
減り方が大きいほうは四国4県がマイナス3.03パーセント、中国5県がマイナス6.38パーセント、東北6県がマイナス7.80パーセントでした。

近畿と東北では11.01ポイントの差があります。
全体の幅が53.34ポイントあることを考えると、地方どうしの差は小さいほうです。

8地方のうち平均がプラスになったのは近畿7府県だけです。
京都府プラス15.10パーセント、和歌山県プラス12.54パーセント、三重県プラス11.45パーセントが引き上げました。

関東7都県のマイナス1.76パーセントは、東京都のマイナス33.14パーセントを含んでいながらこの水準です。
ほかの6県が軒並みプラス側にあることを意味します。

地図で見る10年の変化

地方債現在高の10年変化率(2012年と2022年の比較)
地方債現在高の10年変化率(2012年と2022年の比較) 社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)(総務省統計局)をもとに作成。単位は%。 北海道 -1.1%青森 -29.1%岩手 -14.7%宮城 -8.9%秋田 -4.5%山形 -1.2%福島 11.6%茨城 2.9%栃木 5.3%群馬 13.0%埼玉 5.9%千葉 5.0%東京 -33.1%神奈川 -11.2%新潟 -11.7%富山 -6.3%石川 -4.7%福井 -9.5%山梨 -6.4%長野 2.2%岐阜 20.2%静岡 8.1%愛知 -2.3%三重 11.5%滋賀 5.0%京都 15.1%大阪 -11.6%兵庫 0.7%奈良 -10.7%和歌山 12.5%鳥取 -7.4%島根 -10.9%岡山 -3.6%広島 -0.1%山口 -9.9%徳島 -14.8%香川 -3.0%愛媛 -2.9%高知 8.7%福岡 18.2%佐賀 5.6%長崎 2.1%熊本 15.2%大分 1.6%宮崎 -19.9%鹿児島 -7.2%沖縄 -17.3%
地方債現在高の10年変化率(%)
地方債現在高の10年変化率(2012年と2022年の比較)
項目地方債現在高の10年変化率
北海道-1.1%
青森県-29.1%
岩手県-14.7%
宮城県-8.9%
秋田県-4.5%
山形県-1.2%
福島県11.6%
茨城県2.9%
栃木県5.3%
群馬県13.0%
埼玉県5.9%
千葉県5.0%
東京都-33.1%
神奈川県-11.2%
新潟県-11.7%
富山県-6.3%
石川県-4.7%
福井県-9.5%
山梨県-6.4%
長野県2.2%
岐阜県20.2%
静岡県8.1%
愛知県-2.3%
三重県11.5%
滋賀県5.0%
京都府15.1%
大阪府-11.6%
兵庫県0.7%
奈良県-10.7%
和歌山県12.5%
鳥取県-7.4%
島根県-10.9%
岡山県-3.6%
広島県-0.1%
山口県-9.9%
徳島県-14.8%
香川県-3.0%
愛媛県-2.9%
高知県8.7%
福岡県18.2%
佐賀県5.6%
長崎県2.1%
熊本県15.2%
大分県1.6%
宮崎県-19.9%
鹿児島県-7.2%
沖縄県-17.3%
全国の地方債現在高(都道府県財政)の推移
全国の地方債現在高(都道府県財政)の推移 社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)(総務省統計局) 86,500,000,00087,000,000,00087,500,000,00088,000,000,00088,500,000,00089,000,000,00089,500,000,0002012年: 88,821,583,927%2013年: 89,730,129,776%2014年: 89,584,888,707%2015年: 89,020,722,914%2016年: 88,625,493,586%2017年: 87,970,015,477%2018年: 87,357,801,129%2019年: 86,995,825,832%2020年: 87,679,431,116%2021年: 87,778,114,331%2022年: 86,083,622,559%2012年2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年
全国の地方債現在高(都道府県財政)の推移
項目全国の地方債現在高(都道府県財政)
2012年88,821,583,927%
2013年89,730,129,776%
2014年89,584,888,707%
2015年89,020,722,914%
2016年88,625,493,586%
2017年87,970,015,477%
2018年87,357,801,129%
2019年86,995,825,832%
2020年87,679,431,116%
2021年87,778,114,331%
2022年86,083,622,559%

色が濃く出る(ふえた)のは岐阜県と福岡県、熊本県、京都府、群馬県です。
淡い(減った)のは東京都と青森県、宮崎県、沖縄県でした。
地方でまとまるより、県ごとにばらけた分布になっています。

47都道府県の単純平均はマイナス2.00パーセント、中央値はマイナス2.27パーセント。
全国値のマイナス3.08パーセントに近い水準です。
全国が減っているのに20県ではふえており、向きが分かれる指標という点がこの記事の見どころになります。

ふえたのが20県、減ったのが27県。
20パーセント以上減ったのは2都県だけです。

順位都道府県地方債現在高の10年変化率(%)地方2022年の地方債現在高(都道府県財政)2012年の地方債現在高(都道府県財政)10年間の増減数
1岐阜県20.2中部17478317901454079153293752637
2福岡県18.22九州38053078593218885375586422484
3熊本県15.15九州16649292581445911817219017441
4京都府15.1近畿20368118551769526303267285552
5群馬県12.96関東12904437451142348100148095645
6和歌山県12.54近畿1067379932948429528118950404
7福島県11.63東北15200935661361769425158324141
8三重県11.45近畿14584176721308561273149856399
9高知県8.68四国89200978382075352871256255
10静岡県8.11中部28346553902621961865212693525
11埼玉県5.93関東38077136893594522996213190693
12佐賀県5.58九州76041776372025386540163898
13栃木県5.27関東1153053819109530706257746757
14滋賀県5.02近畿1082258068103057307651684992
15千葉県4.98関東30151093842872046799143062585
16茨城県2.93関東2134155931207335717260798759
17長野県2.2中部1620267865158537977234888093
18長崎県2.14九州1248578743122242446226154281
19大分県1.62九州1066752993104971148517041508
20兵庫県0.68近畿4304315982427528459229031390
21広島県-0.14中国20787778692081721693-2943824
22北海道-1.06北海道57784139655840191278-61777313
23山形県-1.16東北11635402981177220352-13680054
24愛知県-2.27中部46657403434773946439-108206096
25愛媛県-2.92四国9946918621024642738-29950876
26香川県-3.03四国824419797850181400-25761603
27岡山県-3.56中国13128650301361346565-48481535
28秋田県-4.5東北12379147521296291500-58376748
29石川県-4.73中部11783362781236871892-58535614
30富山県-6.27中部11394877131215686562-76198849
31山梨県-6.42中部917326324980266228-62939904
32鹿児島県-7.19九州15552930351675766688-120473653
33鳥取県-7.39中国616378144665572516-49194372
34宮城県-8.91東北14829322431627968223-145035980
35福井県-9.49中部805895031890354781-84459750
36山口県-9.92中国11567663231284155694-127389371
37奈良県-10.72近畿9750309031092054809-117023906
38島根県-10.89中国885995537994216950-108221413
39神奈川県-11.24関東32277995133636669249-408869736
40大阪府-11.6近畿49359539265583503682-647549756
41新潟県-11.73中部23913492522709177188-317827936
42岩手県-14.72東北13045271951529699255-225172060
43徳島県-14.84四国791990372929949478-137959106
44沖縄県-17.32九州564686266682994320-118308054
45宮崎県-19.88九州8384264321046480188-208053756
46青森県-29.13東北9307387281313236310-382497582
47東京都-33.14関東38178403415710330301-1892489960
社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)(2012年と2022年の比較、総務省統計局)をもとに作成

このグラフについての豆知識

10年でほとんど動いていない

全国の地方債現在高は2012年の88.8兆円から2022年の86.1兆円へ、2.7兆円減りました。
率にすると3.08パーセントです。

折れ線を見ると、2013年の89.7兆円が山で、そこから2019年の87.0兆円までゆるやかに下がり、2020年と2021年は88兆円弱まで戻したあと2022年に86.1兆円まで下がっています。
10年を通して1割も動いていません。

全国の減少の7割が東京都1都

全国が減らした2.7兆円のうち、東京都1都の減少が1兆8,925億円。
7割を1都が占めます。

これは、全国の数字を読むときの落とし穴でもあります。
「都道府県の借金は10年で減った」と言えなくもありませんが、実際に大きく減らしたのは東京都で、20県ではむしろふえている。
全国値だけを見ていると、この分かれ方が見えません。

東京都を除いて計算すると、残る46道府県の合計はほぼ横ばいということになります。
全国値と県ごとの動きが食い違う典型的な例です。

都道府県の分だけ

この指標は都道府県が発行した地方債の残高です。
市町村が抱える分は含みません。
地域全体の借金を見たいときは、別の統計と合わせる必要があります。

また、残高であって毎年の返済額ではありません。
人口で割った1人あたりの負担額とも別の数字になります。
数字は2012年と2022年の比較です。

地方のなかで見た地方債現在高の10年変化率

地方最も多い(%)最も少ない(%)
東北福島県 11.63青森県 -29.13
関東群馬県 12.96東京都 -33.14
中部岐阜県 20.2新潟県 -11.73
近畿京都府 15.1大阪府 -11.6
中国広島県 -0.14島根県 -10.89
四国高知県 8.68徳島県 -14.84
九州福岡県 18.22宮崎県 -19.88
社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)(2012年と2022年の比較、総務省統計局)をもとに作成

まとめ

都道府県の借金の残高の10年変化を比べると、最もふえた岐阜県でプラス20.20パーセント、最も減った東京都でマイナス33.14パーセントでした。
全国は2.7兆円の減少、ただし20県ではふえています。

都道府県の分だけで市町村は含まず、残高であって毎年の返済額ではありません。
比較しているのは2012年と2022年です。

県民所得との相関はマイナス0.20、歳入決算総額の変化率とはプラス0.12。
豊かさとも収入の伸びとも、はっきりした関係は見えませんでした。

全国が減らした2.7兆円のうち7割が東京都1都ぶん。
全国値だけを見ていると、県ごとに向きが分かれていることが見えません。

豊かさよりも、いつ大きな事業をしたか。10年の残高の動きは、そちらで決まっている面が強そうです。

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出典

  • 統計名: 社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)
  • 調査年: 2012年と2022年の比較
  • 公開元: 総務省統計局
  • 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/regional-statistics/ssdsview/prefectures
  • 備考: 指標コードD3105(地方債現在高(都道府県財政))を2012年と2022年で比べた。都道府県が発行した地方債の残高。市町村の分は含まない。e-Stat APIで取得した値をそのまま使用

注記: 指標コードD3105(地方債現在高(都道府県財政))を2012年と2022年で比べた。
都道府県が発行した地方債の残高。
市町村の分は含まない。
e-Stat APIで取得した値をそのまま使用

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