2023年に道路交通法違反で検挙された件数は、全国で4,484,894件でした。
1日あたりにすると1万2千件を超えます。
どこの都道府県で多いのか。
ふつうに並べると人口の多い県が上に来るので、人口で割り、さらに車の数でも割ってみます。
順位はそのたびに動きます。
そして最後に、この数字がそもそも何を数えたものなのかに戻ります。
そこがいちばん大事なところでした。
実数では、上位5都府県だけで44.0%
| 順位 | 都道府県 | 検挙件数 | 全国にしめる割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 501,005件 | 11.2% |
| 2 | 神奈川県 | 410,648件 | 9.2% |
| 3 | 大阪府 | 371,771件 | 8.3% |
| 4 | 愛知県 | 363,778件 | 8.1% |
| 5 | 埼玉県 | 325,971件 | 7.3% |
1位は東京都の501,005件。
上位5つを合わせると全国の44.0%になります。
顔ぶれは人口の多い都府県とほぼ重なります。
人が多ければ車も多く、車が多ければ違反も多い。
ここまでは予想どおりです。
人口10万人あたりにすると、1位は富山県
| 都道府県 | 人口10万人あたり | 検挙件数 | 実数の順位 | |
|---|---|---|---|---|
| 多い | 富山県 | 6,151件 | 61,328件 | 18位 |
| 多い | 佐賀県 | 5,098件 | 40,175件 | 28位 |
| 多い | 高知県 | 4,993件 | 32,753件 | 33位 |
| 少ない | 長崎県 | 1,751件 | 21,918件 | 40位 |
| 少ない | 青森県 | 1,732件 | 20,176件 | 43位 |
| 少ない | 愛媛県 | 1,595件 | 20,348件 | 42位 |
1位は富山県の6,151件、47位は愛媛県の1,595件。
3.9倍の差がついています。
実数で1位だった東京都は22位まで下がりました。
人口で割ると顔ぶれが変わるのは、47都道府県のデータではよく起きることです。
車の数がちがうのに、人口で割っていいのか
気になるのはここからです。
交通違反は、人が起こすというより車が走っているところで起きます。
車の多い県と少ない県を、人口だけで比べていいのでしょうか。
そこで乗用車の保有台数で割り直しました。
全国では車1万台あたり721件です。
| 都道府県 | 車1万台あたり | 人口あたりの順位 | |
|---|---|---|---|
| 多い | 東京都 | 1,579件 | 22位 |
| 多い | 神奈川県 | 1,335件 | 12位 |
| 多い | 大阪府 | 1,318件 | 14位 |
| 少ない | 宮崎県 | 286件 | 43位 |
| 少ない | 青森県 | 281件 | 46位 |
| 少ない | 愛媛県 | 273件 | 47位 |
1位は東京都の1,579件。
人口あたりでは22位だった県が、いちばん上に来ました。
いっぽう人口あたりで1位だった富山県は、車で割ると7位。
車が多い県では、1台あたりにならすと件数が薄まります。
順位がいちばん動いた県
| 都道府県 | 人口あたりの順位 | 車あたりの順位 | 動いた幅 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 22位 | 1位 | 21 |
| 京都府 | 18位 | 6位 | 12 |
| 北海道 | 39位 | 28位 | 11 |
| 石川県 | 6位 | 17位 | 11 |
| 福井県 | 9位 | 20位 | 11 |
| 大阪府 | 14位 | 3位 | 11 |
東京都は人口あたり22位から車あたり1位へ、21も動いています。
2つの相関係数は0.75。
同じ向きではありますが、順位が一致するほど近くはありません。
どちらで割るかを決めてから読む必要があります。
同じ数字を割り方で見直す話は消防車が多いのはどの県かでも書きました。
あちらは人口と面積、こちらは人口と車です。
そもそも、これは「違反の数」ではない
ここまで順位の話をしてきましたが、いちばん大事な前提が残っています。
この統計が数えているのは警察が取り締まった件数です。
実際に起きた違反の数ではありません。
統計の注記にもそう書かれています。
取り締まりには、警察の人員や重点の置き方が効きます。
同じように違反があっても、取り締まる回数が多ければ件数はふえます。
「検挙件数が多い=違反が多い」とは言えないということです。
この記事のどの順位も、その前提の上に乗っています。
警察官の数そのものは警察官の数は10年でどう変わった?で見ました。
人員の多い少ないと、取り締まりの件数は別の統計です。
地方でまとめると、西高東低ではない
8つの地方にまとめ直しました。
車1万台あたりの件数で並べています。
| 地方 | 県の数 | 検挙件数 | 乗用車の台数 | 車1万台あたり |
|---|---|---|---|---|
| 近畿 | 7 | 877,695件 | 9,334,625台 | 940件 |
| 関東 | 7 | 1,585,817件 | 17,158,101台 | 924件 |
| 中国 | 5 | 288,859件 | 4,201,230台 | 688件 |
| 中部 | 9 | 845,399件 | 13,084,556台 | 646件 |
| 九州・沖縄 | 8 | 441,676件 | 8,247,296台 | 536件 |
| 四国 | 4 | 104,630件 | 2,187,945台 | 478件 |
| 東北 | 6 | 228,920件 | 5,219,453台 | 439件 |
| 北海道 | 1 | 111,898件 | 2,795,654台 | 400件 |
いちばん多いのは近畿の940件、いちばん少ないのは北海道の400件。
2.3倍まで開きます。
上に来るのは人口の多い地方、下に来るのは車での移動が中心の地方でした。
車が生活の足になっている地方ほど、1台あたりの件数は少なくなります。
47都道府県の一覧
自分の県が3つの見方でどこにいるのかを見られるように、全部を並べておきます。
人口10万人あたりの多い順です。
| 順位 | 都道府県 | 人口10万人あたり | 検挙件数 | その順位 | 車1万台あたり | その順位 | 地方 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 富山県 | 6,151件 | 61,328件 | 18位 | 870件 | 7位 | 中部 |
| 2 | 佐賀県 | 5,098件 | 40,175件 | 28位 | 779件 | 12位 | 九州・沖縄 |
| 3 | 高知県 | 4,993件 | 32,753件 | 33位 | 836件 | 10位 | 四国 |
| 4 | 島根県 | 4,970件 | 31,905件 | 34位 | 782件 | 11位 | 中国 |
| 5 | 愛知県 | 4,876件 | 363,778件 | 4位 | 853件 | 9位 | 中部 |
| 6 | 石川県 | 4,727件 | 51,907件 | 21位 | 710件 | 17位 | 中部 |
| 7 | 兵庫県 | 4,722件 | 251,995件 | 6位 | 1,083件 | 4位 | 近畿 |
| 8 | 和歌山県 | 4,710件 | 41,450件 | 27位 | 764件 | 13位 | 近畿 |
| 9 | 福井県 | 4,514件 | 33,359件 | 32位 | 651件 | 20位 | 中部 |
| 10 | 山口県 | 4,510件 | 57,768件 | 20位 | 712件 | 16位 | 中国 |
| 11 | 福岡県 | 4,509件 | 229,602件 | 7位 | 856件 | 8位 | 九州・沖縄 |
| 12 | 神奈川県 | 4,451件 | 410,648件 | 2位 | 1,335件 | 2位 | 関東 |
| 13 | 埼玉県 | 4,446件 | 325,971件 | 5位 | 996件 | 5位 | 関東 |
| 14 | 大阪府 | 4,245件 | 371,771件 | 3位 | 1,318件 | 3位 | 近畿 |
| 15 | 静岡県 | 4,202件 | 148,187件 | 9位 | 664件 | 19位 | 中部 |
| 16 | 岡山県 | 4,032件 | 73,826件 | 14位 | 632件 | 21位 | 中国 |
| 17 | 広島県 | 3,999件 | 108,532件 | 11位 | 739件 | 14位 | 中国 |
| 18 | 京都府 | 3,717件 | 93,680件 | 12位 | 937件 | 6位 | 近畿 |
| 19 | 香川県 | 3,710件 | 34,024件 | 31位 | 570件 | 23位 | 四国 |
| 20 | 奈良県 | 3,694件 | 47,470件 | 22位 | 726件 | 15位 | 近畿 |
| 21 | 福島県 | 3,651件 | 63,637件 | 16位 | 526件 | 24位 | 東北 |
| 22 | 東京都 | 3,534件 | 501,005件 | 1位 | 1,579件 | 1位 | 関東 |
| 23 | 岐阜県 | 3,404件 | 65,223件 | 15位 | 502件 | 25位 | 中部 |
| 24 | 宮城県 | 3,388件 | 76,169件 | 13位 | 584件 | 22位 | 東北 |
| 25 | 鳥取県 | 3,169件 | 16,828件 | 47位 | 487件 | 26位 | 中国 |
| 26 | 千葉県 | 3,095件 | 193,497件 | 8位 | 672件 | 18位 | 関東 |
| 27 | 新潟県 | 2,788件 | 58,511件 | 19位 | 424件 | 27位 | 中部 |
| 28 | 山梨県 | 2,734件 | 21,623件 | 41位 | 381件 | 31位 | 中部 |
| 29 | 三重県 | 2,625件 | 44,908件 | 25位 | 386件 | 29位 | 近畿 |
| 30 | 徳島県 | 2,555件 | 17,505件 | 46位 | 385件 | 30位 | 四国 |
| 31 | 栃木県 | 2,449件 | 46,168件 | 23位 | 341件 | 37位 | 関東 |
| 32 | 群馬県 | 2,380件 | 44,981件 | 24位 | 323件 | 39位 | 関東 |
| 33 | 岩手県 | 2,377件 | 27,218件 | 36位 | 371件 | 32位 | 東北 |
| 34 | 鹿児島県 | 2,339件 | 35,837件 | 30位 | 370件 | 33位 | 九州・沖縄 |
| 35 | 山形県 | 2,338件 | 23,634件 | 39位 | 346件 | 36位 | 東北 |
| 36 | 大分県 | 2,295件 | 24,898件 | 38位 | 356件 | 35位 | 九州・沖縄 |
| 37 | 熊本県 | 2,268件 | 38,487件 | 29位 | 364件 | 34位 | 九州・沖縄 |
| 38 | 茨城県 | 2,265件 | 63,547件 | 17位 | 316件 | 41位 | 関東 |
| 39 | 北海道 | 2,219件 | 111,898件 | 10位 | 400件 | 28位 | 北海道 |
| 40 | 沖縄県 | 2,133件 | 31,276件 | 35位 | 331件 | 38位 | 九州・沖縄 |
| 41 | 長野県 | 2,088件 | 41,483件 | 26位 | 298件 | 44位 | 中部 |
| 42 | 秋田県 | 2,016件 | 18,086件 | 45位 | 315件 | 42位 | 東北 |
| 43 | 宮崎県 | 1,886件 | 19,483件 | 44位 | 286件 | 45位 | 九州・沖縄 |
| 44 | 滋賀県 | 1,885件 | 26,421件 | 37位 | 319件 | 40位 | 近畿 |
| 45 | 長崎県 | 1,751件 | 21,918件 | 40位 | 313件 | 43位 | 九州・沖縄 |
| 46 | 青森県 | 1,732件 | 20,176件 | 43位 | 281件 | 46位 | 東北 |
| 47 | 愛媛県 | 1,595件 | 20,348件 | 42位 | 273件 | 47位 | 四国 |
3つの順位の列を横に見ると、県によって動き方がまるでちがうことが分かります。
3つとも上位という県はほとんどありません。
よくある疑問
- どんな違反が含まれていますか
-
道路交通法の違反として、告知(いわゆる青切符)と送致を合わせた件数です。
速度、駐車、信号無視、シートベルトなど、内訳はこの数字からは分かりません。重い違反も軽い違反も、同じ1件として数えられています。
件数が多い県が、危険な運転の多い県だとはかぎりません。 - 交通事故の件数とはちがうのですか
-
ちがいます。
これは取り締まりの件数で、事故が起きたかどうかとは関係ありません。事故の件数や死傷者数は別の統計になります。
違反の検挙が多い県で事故も多い、という関係があるかどうかは、この数字だけでは確かめられません。 - なぜ人口ではなく車で割ったほうがいいのですか
-
どちらが正しいということはありません。
人口で割れば「住民1人あたりどれくらい取り締まられているか」、車で割れば「走っている車1台あたりどれくらいか」になります。見たいことによって選びます。
ただ、交通違反は車があって初めて起きるので、車の数を無視して人口だけで比べると、車社会の県が不利に見えます。 - 車の保有台数は、いつの数字ですか
-
令和8年(2026年5月末現在の保有台数と2026年1月1日現在の世帯数)の乗用車保有台数です。
検挙件数は2023年なので、年がそろっていません。車の台数は年によって大きく動くものではないので、順位の傾向を見るぶんには問題ないと判断しました。
ただし、正確な比率としては読まないでください。 - 平均と中央値で見るとどうなりますか
-
検挙件数は実数なので、平均が大きい県に引っぱられます。
平均だけを見ると、実態より多い印象になります。実数の指標を読むときに中央値もあわせて見る理由は平均値と中央値のちがいにまとめました。
この数字で言えないこと
取り締まりの件数なので、違反の実数でも、運転の荒さでも、危険度でもありません。
警察の体制や、その年の重点の置き方によって動きます。
年ごとの比較をするときは、方針が変わっていないかを確かめる必要があります。
車の保有台数で割った値は当サイトの計算で、公表されている指標ではありません。
まとめ
- 2023年の道路交通法違反の検挙件数は全国4,484,894件。上位5都府県だけで44.0%
- 人口10万人あたりの1位は富山県(6,151件)、47位は愛媛県で3.9倍差
- 車1万台あたりにすると1位は東京都(1,579件)。人口あたりでは22位だった
- 東京都は人口あたり22位から車あたり1位まで動く
- この数字は取り締まった件数であって、違反の数ではない
出典
- 総務省統計局「社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)」(2023年)
https://www.e-stat.go.jp/regional-statistics/ssdsview/prefectures - 自動車検査登録情報協会/総務省「都道府県別・車種別自動車保有車両数と住民基本台帳人口・世帯数」(令和8年(2026年5月末現在の保有台数と2026年1月1日現在の世帯数))
https://www.airia.or.jp/publish/statistics/number.html
- 主指標: 道路交通法違反検挙総件数(件)
- 備考: 指標コードK4401(道路交通法違反検挙総件数(告知・送致))の2023年の値。告知と送致を合わせた件数。警察が取り締まった件数で、違反そのものの数ではない。人口10万人あたりは2024年の総人口で割った参考値
- 車1万台あたりの件数と、地方別の集計は、上記の公表値をもとに当サイトで計算した
