幼稚園の数は10年で3分の1減った?認定こども園を足すと景色が変わります

幼稚園の数は10年で3分の1減った?認定こども園を足すと景色が変わります

全国の幼稚園は、2014年の12,905園から2024年の8,530園になりました。
10年で4,375園、33.9%の減少です。

しかも減ったのは一部の県ではありません。
47都道府県すべてで減っています。
ふえた県はひとつもありませんでした。

これだけ見ると、幼稚園がどんどん消えているように読めます。
ですが数字を追いかけると、そう単純な話ではありませんでした。

47都道府県すべてで減った。幅は63.3ポイント

都道府県10年の変化率2014年2024年
減りが小さい東京都-6.45%1,023園957園
減りが小さい神奈川県-16.67%720園600園
減りが小さい福岡県-17.56%484園399園
減りが大きい栃木県-62.56%195園73園
減りが大きい秋田県-65.56%90園31園
減りが大きい富山県-69.77%86園26園
総務省統計局「社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)」(2014年と2024年の比較)をもとに作成。

いちばん減りが小さいのは東京都の-6.45%、いちばん大きいのは富山県の-69.77%。
63.3ポイントの幅があります。

富山県では10年で7割近くが幼稚園でなくなりました。
同じ「減少」でも、県によって深さがまったくちがいます。

減った園は、どこへ行ったのか

ここで統計の注記を読み直します。
この数字には、大事な但し書きが付いていました。

認定こども園へ移った園は、幼稚園としては数えない。
つまり、園がなくなったのではなく、別の種類の園に変わった分が含まれています。

そこで認定こども園の数を調べました。
2024年で全国10,483園です。

園の数
2014年の幼稚園12,905園
2024年の幼稚園8,530園
10年で減った分4,375園
2024年の認定こども園10,483園
総務省統計局「社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)」をもとに当サイトで整理。

減った4,375園に対して、認定こども園は10,483園。
減った数の2.4倍あります。

「幼稚園が減った」という見出しだけを読むと、子どもの行き場が減ったように思えます。数えているものが変わっただけ、という部分がかなりありました。

幼稚園とこども園を足すと、45都道府県で2014年を上回る

2024年の幼稚園と認定こども園を足すと19,013園。
2014年の幼稚園12,905園の147.3%にあたります。

都道府県幼稚園+こども園 ÷ 2014年の幼稚園幼稚園の変化率
大きい石川県458.8%-41.18%
大きい青森県331.1%-31.93%
大きい新潟県242.2%-60.39%
小さい三重県102.4%-45.12%
小さい福島県96.2%-43.27%
小さい徳島県92.3%-53.85%
2つの資料から当サイトで計算。

45都道府県で100%を超えました。
幼稚園の数だけを見れば全県で減っているのに、こども園を足すとほとんどの県でふえている、ということになります。

いちばん大きいのは石川県の458.8%。
幼稚園は-41.18%減っていますが、こども園を足すと4倍以上です。

減った園の数と、こども園の数の相関係数は0.80。
幼稚園が多く減った県ほど、こども園が多い傾向がはっきり出ています。

ただし、足し算はここまで

いま足した数字には、幼稚園から移った園だけでなく、保育所から移った園も入っています。
認定こども園は、幼稚園と保育所の両方から移れる仕組みだからです。

だから「147.3%」という数字を、幼稚園がふえた証拠として読むことはできません。
増えた分のどれだけが幼稚園由来なのかは、この統計からは分けられません。

言えるのは「幼稚園の減少の少なくとも一部は、制度の移行によるもの」というところまでです。
全部がそうだとも、一部だけだとも、この数字では決められません。

ちがう統計を足し引きするときの注意はデータの出典はなぜ大切?にまとめました。

地方でまとめると、大都市のある地方ほど減っていない

地方県の数2014年2024年変化率認定こども園
関東73,694園2,846園-22.96%1,635園
中部91,836園1,165園-36.55%2,026園
九州・沖縄81,765園1,114園-36.88%1,790園
近畿72,434園1,530園-37.14%2,235園
中国5969園609園-37.15%693園
北海道1542園322園-40.59%677園
東北61,079園615園-43.00%1,057園
四国4586園329園-43.86%370園
2つの資料から当サイトで集計。

減りがいちばん小さいのは関東の-22.96%、いちばん大きいのは四国の-43.86%です。

大都市をかかえる地方ほど、幼稚園のまま残っている割合が高くなっています。
こども園への移行が、地域によって進み方がちがうということです。

47都道府県の一覧

自分の県がどう動いたのかを見られるように、全部を並べておきます。
幼稚園の減りが小さい順です。

順位都道府県10年の変化率2014年2024年認定こども園足して2014年の地方
1東京都-6.45%1,023園957園200園113.1%関東
2神奈川県-16.67%720園600園281園122.4%関東
3福岡県-17.56%484園399園285園141.3%九州・沖縄
4京都府-18.14%226園185園191園166.4%近畿
5千葉県-22.02%563園439園273園126.5%関東
6埼玉県-22.56%625園484園186園107.2%関東
7山口県-24.24%198園150園86園119.2%中国
8長野県-25.21%119園89園152園202.5%中部
9岐阜県-26.06%188園139園158園158.0%中部
10愛知県-26.68%521園382園333園137.2%中部
11宮城県-28.21%280園201園203園144.3%東北
12山梨県-28.38%74園53園108園217.6%中部
13青森県-31.93%119園81園313園331.1%東北
14島根県-33.65%104園69園80園143.3%中国
15広島県-33.99%303園200園263園152.8%中国
16大阪府-34.20%766園504園859園177.9%近畿
17熊本県-34.27%143園94園194園201.4%九州・沖縄
18宮崎県-34.59%133園87園230園238.3%九州・沖縄
19奈良県-36.32%201園128園120園123.4%近畿
20静岡県-37.10%504園317園378園137.9%中部
21愛媛県-39.11%179園109園126園131.3%四国
22高知県-39.29%56園34園46園142.9%四国
23香川県-39.64%169園102園114園127.8%四国
24北海道-40.59%542園322園677園184.3%北海道
25大分県-40.93%215園127園195園149.8%九州・沖縄
26兵庫県-41.09%696園410園683園157.0%近畿
27石川県-41.18%68園40園272園458.8%中部
28和歌山県-42.45%106園61園90園142.5%近畿
29福島県-43.27%342園194園135園96.2%東北
30滋賀県-44.56%193園107園175園146.1%近畿
31長崎県-44.77%172園95園202園172.7%九州・沖縄
32三重県-45.12%246園135園117園102.4%近畿
33鹿児島県-47.06%238園126園306園181.5%九州・沖縄
34岡山県-47.72%329園172園200園113.1%中国
35沖縄県-47.83%276園144園239園138.8%九州・沖縄
36茨城県-48.21%363園188園260園123.4%関東
37鳥取県-48.57%35園18園64園234.3%中国
38群馬県-48.78%205園105園272園183.9%関東
39山形県-51.40%107園52園126園166.4%東北
40福井県-52.46%122園58園157園176.2%中部
41徳島県-53.85%182園84園84園92.3%四国
42佐賀県-59.62%104園42園139園174.0%九州・沖縄
43岩手県-60.28%141園56園166園157.4%東北
44新潟県-60.39%154園61園312園242.2%中部
45栃木県-62.56%195園73園163園121.0%関東
46秋田県-65.56%90園31園114園161.1%東北
47富山県-69.77%86園26園156園211.6%中部
総務省統計局「社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)」をもとに作成。足し算の列は当サイトで計算。

右から2列目を見ると、ほとんどの県が100%を超えています。
左の列(幼稚園だけ)とは、まったくちがう景色になります。

よくある疑問

認定こども園とは何ですか

幼稚園と保育所の両方の役割を持つ園です。
教育も保育も行い、親が働いているかどうかにかかわらず通えます。

幼稚園から移る園と、保育所から移る園の両方があります。
だから「幼稚園が減ってこども園がふえた」と単純には言えません。

幼稚園に通う子どもの数も減っていますか

在園者数も同じように減っています。
ただし、こちらも認定こども園へ移った園の子どもは幼稚園在園者として数えられません。

園の数と同じで、通う子が減ったのか、数える枠が変わったのかを分けて考える必要があります。

子どもの数が減っているからではないのですか

それも関係していると考えられます。
ただ、この記事の数字だけでは、どれくらいが子どもの減少によるものかは分けられません。

東京都のように減りが1割に満たない県もあれば、富山県のように7割近く減った県もあります。
子どもの減り方だけでは、この幅は説明しきれません。

幼稚園の数が減ると、何か困ることがありますか

この統計からは分かりません。
園の総数(幼稚園+こども園)で見ればふえている県が多く、通える場所が減ったとはかぎりません。

一方で、家からの距離や、受け入れられる人数は別の話です。
数だけでは、通いやすさは測れません。

なぜ平均ではなく、県ごとに見るのですか

全国の33.9%という数字は、47の県をならしたあとに残ったものです。
中身は-6.45%から-69.77%まで開いています。

合計や平均だけを見ると、この幅が見えなくなります。
その読み分けは平均値と中央値のちがいに書きました。

この数字で言えないこと

園の数であって、通っている子どもの数でも、受け入れられる人数でもありません。
大きい園も小さい園も、同じ1園として数えています。

認定こども園の数は2024年の値で、幼稚園の2024年と同じ年です。
ただし、こども園がいつ、どこから移ってきたのかは分かりません。

足し算の列は当サイトの計算で、公表されている指標ではありません。
制度の移行の大きさをつかむための目安として見てください。

まとめ

  • 全国の幼稚園は12,905園(2014年)から8,530園(2024年)へ、33.9%の減少
  • 47都道府県すべてで減った。幅は東京都の-6.45%から富山県の-69.77%まで
  • 減った4,375園に対し、認定こども園は10,483園。幼稚園と足すと2014年の147.3%
  • 45都道府県で100%を超える。減った園数とこども園数の相関は0.80
  • ただしこども園には保育所から移った園も含まれる。すべてが幼稚園由来とは言えない

出典

  • 主指標: 幼稚園数の10年変化率(%)
  • 備考: 指標コードE1101(幼稚園数)を2014年と2024年で比べた。認定こども園へ移った園は幼稚園としては数えない。減った分がそのまま園の消滅を意味するわけではない。e-Stat APIで取得した値をそのまま使用
  • 幼稚園とこども園の足し算、地方別の集計、相関係数は、上記の公表値をもとに当サイトで計算した

この記事をシェアする

記事一覧へ戻る

関連記事 Relation Entry