美術館が何館あるのかは、都道府県でどれほど違うのでしょうか。
この記事では、47都道府県の数字を比べます。
使うのは文部科学省の社会教育調査(令和3年度、2021年10月1日現在)の種類別博物館数のうち、美術博物館の数です。
全国の美術博物館は457館。
博物館全体1,305館の35.0パーセントにあたります。
人口あたりで比べた記事も公開していますが、この記事では館の数そのままで並べます。
47都道府県の単純平均
10館
美術博物館数(令和3年度(2021年10月1日現在))
最も多い 東京都
45館
最も少ない 和歌山県
1館
美術館の数が多い5都道県
美術館の数が多い上位5都道県です。
3位が同数で2道県あるため、5つを掲載します。
東京都は45館、長野県は39館、3位は北海道と愛知県の18館、5位は神奈川県の17館でした。
上位5都道県を合計すると137館で、全国の30.0パーセントを占めます。
1位と2位の差はわずか6館です。
人口は東京都が1,418万人、長野県が199万人ですから7倍以上の開きがあるのに、美術館の数はほとんど並んでいます。
3位の18館と比べると、上位2都県だけが飛び抜けている形です。
6位以下も16館、16館、16館と続きます。
15館を超えたのは9都道県でした。
上位5都道県のうち3つは人口の多い都県ですが、長野県と北海道は違います。
文化施設が観光地に置かれてきた地域という共通点はありますが、この統計だけでは確かめられません。
1位と2位の差はわずか6館
ここからは統計から離れて、1位と2位が接近している理由を考えてみます。
以下は確かめられた事実ではなく、同じ統計の別の数字と突き合わせて立てた推測です。
長野県の39館は、全国457館の8.5パーセントにあたります。
東京都の45館は9.8パーセント。
この2都県だけで18.4パーセント、5館に1館近くを占めることになります。
博物館全体で見ると、長野県は83館で全国2位。
そのうち39館が美術博物館で、47.0パーセントを占めます。
全国の35.0パーセントより12ポイント高い割合です。
長野県は博物館が多いだけでなく、そのなかでも美術館の比率が高い県だということになります。
考えられるのは、避暑地や観光地に私設の美術館が置かれてきたことです。
ただしこの統計は登録博物館と博物館相当施設に限られるため、小規模な私設ギャラリーは含まれません。
登録された施設だけで39館というのは、それなりの規模の館が各地にあることを意味します。
一方、人口100万人あたりで見ると長野県は19.63館で1位、東京都は3.17館で29位でした。
実数では6館差でも、人口で割ると6倍以上の開きになります。
なぜ長野県に多いのかは、この統計だけでは分かりません。
市町村数が77で全国2位という分散した構造は関係していそうですが、確かめたわけではありません。
人口で割ると1位が入れ替わる
人口100万人あたりに直すと、1位が入れ替わります。
1位は長野県の19.63館、2位は島根県の15.58館、3位は石川県の14.57館、4位は富山県の13.04館、5位は山梨県の12.64館でした。
実数1位の東京都は3.17館で29位まで下がります。
実数2位の長野県は人口あたりでは1位です。
実数では6館の差だったものが、人口で割ると6.2倍の差になります。
同じ457館を数えているのに、割り算をするかどうかで見え方がまったく変わります。
美術館の数が少ない5県
美術館の数が少ない下位5県です。
43位が同数で4県あるため、5県を掲載します。
和歌山県は1館、43位は青森県・徳島県・長崎県・沖縄県の2館でした。
東京都の45館と和歌山県の1館では45.0倍の差があります。
美術博物館が5館を下回る県は11あります。
全国457館のうち、上位5都道県で30.0パーセントを占める一方、下位には1館や2館という県が並びます。
集中の強い指標です。
ただしこれは登録博物館と博物館相当施設に限った数字です。
博物館類似施設や私設ギャラリーまで含めれば、もっと多くの施設があります。
なお和歌山県は人口100万人あたりでも1.14館で45位。
実数でも人口あたりでも下位という県です。
下位に並んだ県でも1館か2館はあります。
まったくない県は47都道府県のなかに1つもありません。
地図で見る美術館の数
| 項目 | 美術博物館数 |
|---|---|
| 北海道 | 18館 |
| 青森県 | 2館 |
| 岩手県 | 4館 |
| 宮城県 | 6館 |
| 秋田県 | 3館 |
| 山形県 | 6館 |
| 福島県 | 5館 |
| 茨城県 | 7館 |
| 栃木県 | 11館 |
| 群馬県 | 13館 |
| 埼玉県 | 7館 |
| 千葉県 | 10館 |
| 東京都 | 45館 |
| 神奈川県 | 17館 |
| 新潟県 | 16館 |
| 富山県 | 13館 |
| 石川県 | 16館 |
| 福井県 | 6館 |
| 山梨県 | 10館 |
| 長野県 | 39館 |
| 岐阜県 | 7館 |
| 静岡県 | 16館 |
| 愛知県 | 18館 |
| 三重県 | 6館 |
| 滋賀県 | 6館 |
| 京都府 | 15館 |
| 大阪府 | 10館 |
| 兵庫県 | 8館 |
| 奈良県 | 7館 |
| 和歌山県 | 1館 |
| 鳥取県 | 3館 |
| 島根県 | 10館 |
| 岡山県 | 16館 |
| 広島県 | 13館 |
| 山口県 | 8館 |
| 徳島県 | 2館 |
| 香川県 | 6館 |
| 愛媛県 | 9館 |
| 高知県 | 5館 |
| 福岡県 | 8館 |
| 佐賀県 | 7館 |
| 長崎県 | 2館 |
| 熊本県 | 3館 |
| 大分県 | 3館 |
| 宮崎県 | 3館 |
| 鹿児島県 | 9館 |
| 沖縄県 | 2館 |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは関東の南部と中部の内陸、そして北海道です。
逆に淡いのは九州と四国、近畿の南部でした。
47都道府県の単純平均は10館、中央値は7館です。
上下の差は45.0倍と、施設を数えた指標のなかでもとりわけ大きな開きになりました。
平均を超えたのは18都道県でした。
下の表に47都道府県すべての館数を、人口100万人あたりの館数と博物館全体の数と並べて掲載しました。
数が小さい統計なので、1館の増減が順位に大きく影響します。
細かい順位差にはあまり意味がないと考えてください。
| 順位 | 都道府県 | 美術博物館数(館) | 地方 | 人口100万人あたり美術博物館数 | 博物館数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 45 | 関東 | 3.17 | 113 |
| 2 | 長野県 | 39 | 中部 | 19.63 | 83 |
| 3 | 愛知県 | 18 | 中部 | 2.41 | 43 |
| 3 | 北海道 | 18 | 北海道 | 3.57 | 66 |
| 5 | 神奈川県 | 17 | 関東 | 1.84 | 51 |
| 6 | 岡山県 | 16 | 中国 | 8.74 | 33 |
| 6 | 新潟県 | 16 | 中部 | 7.62 | 37 |
| 6 | 静岡県 | 16 | 中部 | 4.54 | 43 |
| 6 | 石川県 | 16 | 中部 | 14.57 | 31 |
| 10 | 京都府 | 15 | 近畿 | 5.95 | 38 |
| 11 | 群馬県 | 13 | 関東 | 6.88 | 26 |
| 11 | 広島県 | 13 | 中国 | 4.79 | 30 |
| 11 | 富山県 | 13 | 中部 | 13.04 | 37 |
| 14 | 栃木県 | 11 | 関東 | 5.84 | 25 |
| 15 | 山梨県 | 10 | 中部 | 12.64 | 21 |
| 15 | 千葉県 | 10 | 関東 | 1.6 | 44 |
| 15 | 大阪府 | 10 | 近畿 | 1.14 | 38 |
| 15 | 島根県 | 10 | 中国 | 15.58 | 21 |
| 19 | 愛媛県 | 9 | 四国 | 7.05 | 25 |
| 19 | 鹿児島県 | 9 | 九州 | 5.87 | 20 |
| 21 | 山口県 | 8 | 中国 | 6.25 | 24 |
| 21 | 福岡県 | 8 | 九州 | 1.57 | 30 |
| 21 | 兵庫県 | 8 | 近畿 | 1.5 | 36 |
| 24 | 茨城県 | 7 | 関東 | 2.49 | 25 |
| 24 | 岐阜県 | 7 | 中部 | 3.65 | 23 |
| 24 | 佐賀県 | 7 | 九州 | 8.88 | 13 |
| 24 | 埼玉県 | 7 | 関東 | 0.95 | 26 |
| 24 | 奈良県 | 7 | 近畿 | 5.45 | 22 |
| 29 | 宮城県 | 6 | 東北 | 2.67 | 17 |
| 29 | 香川県 | 6 | 四国 | 6.54 | 15 |
| 29 | 三重県 | 6 | 近畿 | 3.51 | 21 |
| 29 | 山形県 | 6 | 東北 | 5.93 | 16 |
| 29 | 滋賀県 | 6 | 近畿 | 4.28 | 15 |
| 29 | 福井県 | 6 | 中部 | 8.12 | 22 |
| 35 | 高知県 | 5 | 四国 | 7.62 | 17 |
| 35 | 福島県 | 5 | 東北 | 2.87 | 13 |
| 37 | 岩手県 | 4 | 東北 | 3.49 | 21 |
| 38 | 宮崎県 | 3 | 九州 | 2.9 | 8 |
| 38 | 熊本県 | 3 | 九州 | 1.77 | 19 |
| 38 | 秋田県 | 3 | 東北 | 3.34 | 11 |
| 38 | 大分県 | 3 | 九州 | 2.76 | 16 |
| 38 | 鳥取県 | 3 | 中国 | 5.65 | 7 |
| 43 | 沖縄県 | 2 | 九州 | 1.36 | 18 |
| 43 | 青森県 | 2 | 東北 | 1.72 | 5 |
| 43 | 長崎県 | 2 | 九州 | 1.6 | 16 |
| 43 | 徳島県 | 2 | 四国 | 2.92 | 11 |
| 47 | 和歌山県 | 1 | 近畿 | 1.14 | 13 |
このグラフについての豆知識
博物館の35.0パーセントが美術館
社会教育調査の種類別博物館数によると、全国1,305館の内訳は歴史博物館が476館、美術博物館が457館、総合博物館が157館、科学博物館が100館です。
美術博物館は全体の35.0パーセントを占めます。
歴史博物館との差は19館。
ほとんど並んでいます。
日本の博物館は、歴史を扱うものと美術を扱うものがほぼ半分ずつという構成です。
県ごとに内訳は変わります。
長野県は83館のうち39館が美術博物館で47.0パーセント、東京都は113館のうち45館で39.8パーセントでした。
私設ギャラリーは含まない
この記事の457館は、博物館法に基づく登録博物館と博物館相当施設に限った数です。
それ以外の博物館類似施設は含まれません。
私設のギャラリーや小規模な美術展示室の多くは類似施設に分類されます。
そのため「その県で美術を見られる場所の数」とはかなりずれます。
調査は3年ごとに行われ、令和3年度が直近です。
数が小さい統計なので、1館の開館や閉館で順位が動きやすい点にも注意してください。
順位の並びがにている記事
美術博物館の館数の順位を、当サイトの全記事の並びと突き合わせてみました。
最も似ていたのは【博物館の数】全国1,305の博物館を比べると、施設数は人口だけでは決まりません(順位相関0.89)です。
反対に、並びがいちばん逆だったのは【小1のむし歯】全国43.37パーセント、入学時点で差がつく(順位相関-0.62)です。
順位が近いことと、原因がつながっていることは別の話です。
それでも、見くらべると気づくことがあります。
地方のなかで見た美術博物館数
| 地方 | 最も多い(館) | 最も少ない(館) |
|---|---|---|
| 東北 | 宮城県 6 | 青森県 2 |
| 関東 | 東京都 45 | 埼玉県 7 |
| 中部 | 長野県 39 | 福井県 6 |
| 近畿 | 京都府 15 | 和歌山県 1 |
| 中国 | 岡山県 16 | 鳥取県 3 |
| 四国 | 愛媛県 9 | 徳島県 2 |
| 九州 | 鹿児島県 9 | 沖縄県 2 |
まとめ
47都道府県の美術館の数を比べると、東京都は45館、和歌山県は1館で、その差は45.0倍でした。
全国の合計は457館で、上位5都道県だけで30.0パーセントを占めます。
この美術博物館の館数の数字には、読み違えやすい点が3つあります。
1つ目は、博物館類似施設や私設ギャラリーが含まれないことです。
2つ目は、数が小さいため1館の増減で順位が動きやすいことです。
3つ目は時点で、令和3年度(2021年10月1日現在)の調査です。
1位と2位の差はわずか6館。
人口が7倍違う2つの都県が、美術館の数ではほとんど並んでいます。
美術館の数は、その土地に文化施設がどれだけ根づいているかの目安になります。
博物館全体を数えた記事とあわせて読んでみてください。
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- 【博物館類似施設の数】全国4,466施設、1位と2位はほぼ同数
- 【科学博物館の数】全国449館、種類のなかでは少数派
- 【専任で博物館に勤める職員】全国1万248人、館の体制が見える
出典
- 統計名: 社会教育調査(博物館調査)
- 調査年: 令和3年度(2021年10月1日現在)
- 公開元: 文部科学省
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040038498
- 備考: 社会教育調査の種類別博物館数のうち「美術博物館」の数。博物館類似施設は含まない。人口100万人あたりの館数は2024年10月1日現在の人口推計で割って算出した
注記: 社会教育調査の種類別博物館数のうち「美術博物館」の数。
博物館類似施設は含まない。
人口100万人あたりの館数は2024年10月1日現在の人口推計で割って算出した
