15歳以上の女性の労働力率を、47都道府県で並べて比べます。
労働力率とは、働いている人と仕事を探している人を合わせた割合のことです。
使うのは総務省統計局の令和2年国勢調査。
全国の女性の労働力率は54.15パーセントで、男性の72.38パーセントを18.22ポイント下回ります。
47都道府県の単純平均
53.4%
女性の労働力率(令和2年(2020年10月1日現在))
最も多い 東京都
60.1%
最も少ない 奈良県
48.3%
女性の労働力率が高い5都県
女性の労働力率が高い上位5都県です。
東京都は60.08パーセント、沖縄県は57.53パーセント、福井県は56.95パーセント、愛知県は55.81パーセント、石川県は55.78パーセントでした。
東京都と最下位の奈良県では11.74ポイントの差があります。
6位以下は長野県55.40パーセント、佐賀県55.08パーセント、山梨県54.91パーセントと続きます。
上位に大都市の東京都・愛知県と、北陸の福井県・石川県、それに沖縄県が同居しているのがこのランキングの特徴です。
事情の違う地域が同じ上位に並びました。
三世代同居では説明できない、男女差の小ささ
なぜこういう並びになるのか、ここからは考えてみます。
以下は15歳以上の女性の労働力率の統計から直接読み取れることではなく、別の数字と照らして立てた推測です。
女性が働きやすいのは三世代同居が多い県だ、という説明をよく聞きます。
この統計で確かめると、そうとは言い切れませんでした。
三世代世帯の割合との相関係数はプラス0.08。
ほとんど無関係と言っていい水準です。
三世代世帯の割合が全国1位の山形県は、女性の労働力率では54.08パーセントで16位。
逆に女性の労働力率1位の東京都は、三世代世帯の割合では全国最下位です。
祖父母が近くにいるかどうかが、県単位の労働力率を決めているわけではないということになります。
男女差で見ると、また違う顔が出ます。
差が最も小さいのは高知県の14.56ポイント、次いで沖縄県14.78ポイント、宮崎県15.34ポイント、鳥取県15.74ポイント。
逆に差が大きいのは神奈川県19.57ポイント、北海道19.38ポイント、宮城県19.24ポイントでした。
注意したいのは、男女差が小さい県は女性の労働力率が高いからそうなっているとは限らない点です。
高知県の女性は52.74パーセントで31位ですが、男性が67.30パーセントで46位と低いため、差が縮まっています。
差の小ささは、女性が働いているというより男性も働いていないという形で生まれることがあります。
地方別では中部9県が55.09パーセントで1位、関東7都県が54.75パーセントで2位。
北陸3県が高いことが中部を押し上げていますが、東京都を含む関東もほぼ同じ水準でした。
女性の労働力率が低い5道県
女性の労働力率が低い下位5道県です。
奈良県は48.34パーセント、山口県は49.44パーセント、秋田県は49.69パーセント、北海道は50.71パーセント、和歌山県は50.76パーセントでした。
東京都の60.08パーセントとは11.74ポイントの差があります。
奈良県の48.34パーセントは、47都道府県で唯一50パーセントを下回りました。
大阪府への通勤圏でありながら県内に働く場所が少ないことが、影響している可能性があります。
50パーセントを下回ったのは奈良県、山口県、秋田県の3県だけでした。
秋田県は平均年齢が52.90歳で全国1位。
15歳以上人口に占める高齢者の比率が高いことが、労働力率を押し下げていると考えられます。
地図で見る女性の労働力率
| 項目 | 女性の労働力率 |
|---|---|
| 北海道 | 50.7% |
| 青森県 | 51.6% |
| 岩手県 | 52.5% |
| 宮城県 | 52.9% |
| 秋田県 | 49.7% |
| 山形県 | 54.1% |
| 福島県 | 52.4% |
| 茨城県 | 52.8% |
| 栃木県 | 53.8% |
| 群馬県 | 54.0% |
| 埼玉県 | 54.2% |
| 千葉県 | 53.8% |
| 東京都 | 60.1% |
| 神奈川県 | 54.4% |
| 新潟県 | 53.0% |
| 富山県 | 54.7% |
| 石川県 | 55.8% |
| 福井県 | 57.0% |
| 山梨県 | 54.9% |
| 長野県 | 55.4% |
| 岐阜県 | 54.5% |
| 静岡県 | 54.7% |
| 愛知県 | 55.8% |
| 三重県 | 53.7% |
| 滋賀県 | 54.8% |
| 京都府 | 53.2% |
| 大阪府 | 53.6% |
| 兵庫県 | 51.4% |
| 奈良県 | 48.3% |
| 和歌山県 | 50.8% |
| 鳥取県 | 54.8% |
| 島根県 | 53.9% |
| 岡山県 | 52.7% |
| 広島県 | 53.0% |
| 山口県 | 49.4% |
| 徳島県 | 50.9% |
| 香川県 | 52.7% |
| 愛媛県 | 51.0% |
| 高知県 | 52.7% |
| 福岡県 | 53.7% |
| 佐賀県 | 55.1% |
| 長崎県 | 51.3% |
| 熊本県 | 53.9% |
| 大分県 | 51.2% |
| 宮崎県 | 53.8% |
| 鹿児島県 | 52.4% |
| 沖縄県 | 57.5% |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは北陸と長野県、東京都、愛知県、それに沖縄県と九州北部です。
淡いのは奈良県と山口県、秋田県、北海道でした。
47都道府県の単純平均は53.38パーセント、中央値は53.73パーセントです。
全国値の54.15パーセントよりやや低くなります。
55パーセントを超えたのは7都県、51パーセントを下回ったのは7道県。
真ん中に多くの県が集まる形でした。
| 順位 | 都道府県 | 女性の労働力率(%) | 地方 | 男性の労働力率 | 男女差 | 女性の労働力人口 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 60.08 | 関東 | 77.73 | 17.66 | 3714139 |
| 2 | 沖縄県 | 57.53 | 九州 | 72.31 | 14.78 | 352397 |
| 3 | 福井県 | 56.95 | 中部 | 73.02 | 16.07 | 194856 |
| 4 | 愛知県 | 55.81 | 中部 | 74.76 | 18.96 | 1793101 |
| 5 | 石川県 | 55.78 | 中部 | 71.56 | 15.78 | 283110 |
| 6 | 長野県 | 55.4 | 中部 | 72.52 | 17.12 | 505070 |
| 7 | 佐賀県 | 55.08 | 九州 | 71.57 | 16.49 | 202908 |
| 8 | 山梨県 | 54.91 | 中部 | 72.24 | 17.34 | 197526 |
| 9 | 滋賀県 | 54.8 | 近畿 | 72.99 | 18.19 | 333472 |
| 10 | 鳥取県 | 54.79 | 中国 | 70.53 | 15.74 | 138162 |
| 11 | 静岡県 | 54.71 | 中部 | 72.44 | 17.72 | 881542 |
| 12 | 富山県 | 54.69 | 中部 | 71.38 | 16.68 | 256311 |
| 13 | 岐阜県 | 54.53 | 中部 | 71.87 | 17.34 | 481755 |
| 14 | 神奈川県 | 54.4 | 関東 | 73.97 | 19.57 | 2187730 |
| 15 | 埼玉県 | 54.22 | 関東 | 73.3 | 19.08 | 1720554 |
| 16 | 山形県 | 54.08 | 東北 | 70.75 | 16.67 | 264609 |
| 17 | 群馬県 | 54.03 | 関東 | 71.59 | 17.56 | 460375 |
| 18 | 熊本県 | 53.93 | 九州 | 69.78 | 15.85 | 427619 |
| 19 | 島根県 | 53.91 | 中国 | 70.11 | 16.2 | 163583 |
| 20 | 栃木県 | 53.84 | 関東 | 72.49 | 18.65 | 453580 |
| 21 | 千葉県 | 53.83 | 関東 | 72.62 | 18.79 | 1479093 |
| 22 | 宮崎県 | 53.76 | 九州 | 69.1 | 15.34 | 262877 |
| 23 | 三重県 | 53.74 | 近畿 | 71.8 | 18.07 | 421699 |
| 24 | 福岡県 | 53.73 | 九州 | 71.5 | 17.77 | 1237424 |
| 25 | 大阪府 | 53.64 | 近畿 | 71.9 | 18.26 | 2135917 |
| 26 | 京都府 | 53.24 | 近畿 | 70.71 | 17.47 | 619676 |
| 27 | 広島県 | 53.04 | 中国 | 71.64 | 18.59 | 660894 |
| 28 | 新潟県 | 53.03 | 中部 | 70.05 | 17.01 | 530607 |
| 29 | 宮城県 | 52.9 | 東北 | 72.13 | 19.24 | 543452 |
| 30 | 茨城県 | 52.82 | 関東 | 71.49 | 18.68 | 659076 |
| 31 | 高知県 | 52.74 | 四国 | 67.3 | 14.56 | 170397 |
| 32 | 岡山県 | 52.71 | 中国 | 70.26 | 17.55 | 440963 |
| 33 | 香川県 | 52.65 | 四国 | 69.68 | 17.03 | 224182 |
| 34 | 岩手県 | 52.46 | 東北 | 70.97 | 18.5 | 292362 |
| 35 | 鹿児島県 | 52.41 | 九州 | 68.6 | 16.19 | 377215 |
| 36 | 福島県 | 52.38 | 東北 | 71.58 | 19.2 | 427029 |
| 37 | 青森県 | 51.61 | 東北 | 69.85 | 18.24 | 300682 |
| 38 | 兵庫県 | 51.35 | 近畿 | 70.43 | 19.08 | 1261854 |
| 39 | 長崎県 | 51.28 | 九州 | 68.62 | 17.34 | 313243 |
| 40 | 大分県 | 51.15 | 九州 | 69.0 | 17.85 | 263061 |
| 41 | 愛媛県 | 50.98 | 四国 | 68.91 | 17.94 | 311776 |
| 42 | 徳島県 | 50.88 | 四国 | 67.12 | 16.24 | 165717 |
| 43 | 和歌山県 | 50.76 | 近畿 | 69.67 | 18.92 | 219643 |
| 44 | 北海道 | 50.71 | 北海道 | 70.08 | 19.38 | 1248415 |
| 45 | 秋田県 | 49.69 | 東北 | 68.83 | 19.14 | 227755 |
| 46 | 山口県 | 49.44 | 中国 | 68.31 | 18.87 | 307672 |
| 47 | 奈良県 | 48.34 | 近畿 | 67.36 | 19.03 | 298089 |
このグラフについての豆知識
労働力率の定義
労働力率は、15歳以上人口に占める労働力人口の割合です。
労働力人口には、働いている人(就業者)と、仕事を探している人(完全失業者)の両方が含まれます。
専業主婦・主夫や学生、働いていない高齢者は労働力人口に含まれません。
そのため高齢者の多い県では、女性・男性ともに労働力率が低く出やすくなります。
国勢調査では労働力状態が不詳の人がいます。
この記事ではその人たちも分母に含めて計算しています。
全国値と47都道府県の平均
全国の女性の労働力率は54.15パーセント、男性は72.38パーセントで、差は18.22ポイントです。
一方、47都道府県の単純平均は女性53.38パーセント、男性70.99パーセント。
人口の多い都府県で女性の労働力率が高いため、全国値のほうが少し高くなります。
数字は令和2年、2020年10月1日現在のものです。
順位の並びがにている記事
15歳以上の女性の労働力率の順位を、当サイトの全記事の並びと突き合わせてみました。
0.73という高い相関を示したのが【働く介護者の割合】介護者の58%、半分以上が有業でした。
反対に、並びがいちばん逆だったのは【給料収入のない世帯】全国20.2%、年金暮らしが中心(順位相関-0.83)です。
並びが似ていても、そこに関係があるとまでは言えません。
ただ、2つの地図をならべると読み方のヒントにはなります。
地方のなかで見た女性の労働力率
| 地方 | 最も多い(%) | 最も少ない(%) |
|---|---|---|
| 東北 | 山形県 54.08 | 秋田県 49.69 |
| 関東 | 東京都 60.08 | 茨城県 52.82 |
| 中部 | 福井県 56.95 | 新潟県 53.03 |
| 近畿 | 滋賀県 54.8 | 奈良県 48.34 |
| 中国 | 鳥取県 54.79 | 山口県 49.44 |
| 四国 | 高知県 52.74 | 徳島県 50.88 |
| 九州 | 沖縄県 57.53 | 大分県 51.15 |
まとめ
女性の労働力率を比べると、最も高い東京都は60.08パーセント、最も低い奈良県は48.34パーセントで、その差は11.74ポイントでした。
全国では54.15パーセント、男性より18.22ポイント低い水準です。
15歳以上の女性の労働力率の数字を受け取る前に、3つ添えておきます。
1つ目は、仕事を探している人も労働力人口に含むこと。
2つ目は、高齢者の多い県では低く出やすいこと。
3つ目は令和2年10月1日現在の数字であることです。
三世代世帯の割合との相関係数はプラス0.08。
祖父母が近くにいるかどうかで県単位の労働力率が決まるわけではありませんでした。
男女差が最も小さいのは高知県の14.56ポイントですが、これは男性の労働力率が46位と低いことによるものです。
三世代世帯や平均年齢を比べた記事とあわせて読んでみてください。
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出典
- 統計名: 国勢調査(人口等基本集計)
- 調査年: 令和2年(2020年10月1日現在)
- 公開元: 総務省統計局
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000032143614
- 備考: 15歳以上の女性人口に占める労働力人口(就業者と完全失業者の合計)の割合。労働力状態が不詳の人を分母に含む
注記: 15歳以上の女性人口に占める労働力人口(就業者と完全失業者の合計)の割合。
労働力状態が不詳の人を分母に含む
