登山やハイキングをする人がどれくらいいるかは、都道府県でどれほど違うのでしょうか。
この記事では、47都道府県の数字を比べます。
使うのは総務省統計局の社会生活基本調査(令和3年)で、10歳以上の人のうち過去1年間に登山・ハイキングをした人の割合です。
全国では7.7パーセント。
山の多い県が上位に来そうなデータですが、実際に並べると少し違う結果になりました。
47都道府県の単純平均
6.8%
登山・ハイキングの行動者率(令和3年(2021年))
最も多い 東京都
9.8%
最も少ない 沖縄県
2.4%
登山・ハイキングをする人の割合が高い5都府県
登山・ハイキングの行動者率が高い上位5都府県です。
東京都と兵庫県がともに9.8パーセントで1位、長野県と京都府がともに9.7パーセントで3位、神奈川県が9.6パーセントで5位でした。
6位以下は奈良県の9.3パーセント、茨城県と山梨県の8.8パーセントと続きます。
山の県として知られる長野県と山梨県が上位に入るのは分かります。
ただ1位タイの東京都と兵庫県、3位タイの京都府、5位の神奈川県は、いずれも大都市を抱える都府県でした。
8パーセント以上は15都道府県。
うち6つが関東、5つが近畿でした。
山があるかより、街の近くに登れる山があるか
ここからは統計を離れて、登山・ハイキングをする人の割合の背景を推測します。
確かめられた事実ではなく、ほかの数字と並べて考えた見立てとして読んでください。
山の多さで説明しようとすると、うまくいきません。
地方別で最も低いのは九州8県の5.0パーセントです。
宮崎県4.3パーセント、長崎県4.3パーセント、大分県5.3パーセント、熊本県5.4パーセント。
九州には阿蘇、九重、霧島と名の知れた山がそろっているのに、8地方のなかで最も低い数字でした。
四国4県も5.6パーセントで下から2番目です。
西日本最高峰の石鎚山を抱える愛媛県は4.9パーセントの41位、高知県は4.1パーセントの45位でした。
効いているのは山があるかどうかより、街のすぐ近くに気軽に登れる山があるかどうかではないでしょうか。
上位に並んだ都府県には、いずれも大都市から日帰りで行ける低い山があります。
東京の高尾山、神奈川の丹沢、兵庫の六甲山、京都の東山、奈良の生駒山。
電車で行けて、半日で往復できる山です。
九州や四国の山は標高が高く、登山口までの距離もあります。
準備をして出かける本格的な登山と、思い立って歩きに行くハイキングでは参加のハードルがまったく違います。
この調査は両方をまとめて数えているので、後者が多い地域ほど数字が伸びるはずです。
スポーツ全体の行動者率との相関係数は0.50でした。
つりのマイナス0.32とは対照的で、登山・ハイキングは都市型のスポーツと同じ方向に動いています。
ただし長野県の9.7パーセントは、この見方とは別の理由によるものでしょう。
県内どこからでも山が近く、学校登山の伝統もある県です。
上位のなかで、長野県と山梨県だけが違う成り立ちをしているように見えます。
登山・ハイキングをする人の割合が低い5県
登山・ハイキングの行動者率が低い下位5県です。
沖縄県は2.4パーセント、青森県は4.0パーセント、高知県は4.1パーセント、長崎県と宮崎県がともに4.3パーセントでした。
1位の9.8パーセントとは7.4ポイント、4.08倍の差があります。
沖縄県の2.4パーセントは46位の青森県より1.6ポイント低く、下位のなかでも大きく離れています。
沖縄県の最高地点は石垣島の於茂登岳で標高525メートル。
登る対象となる山そのものが少ないことが、そのまま数字に出ていると考えられます。
5パーセントを下回ったのは7県で、内訳は九州・沖縄が3県、四国が2県、東北が2県でした。
青森県が下位に入るのは、八甲田山や岩木山があることを考えると意外に見えます。
ただ青森県はスポーツ全体の行動者率も52.1パーセントで最下位です。
登山だけが低いわけではありません。
地図で見る登山・ハイキングの行動者率
| 項目 | 登山・ハイキングの行動者率 |
|---|---|
| 北海道 | 6.1% |
| 青森県 | 4% |
| 岩手県 | 5.7% |
| 宮城県 | 6.4% |
| 秋田県 | 4.7% |
| 山形県 | 7.7% |
| 福島県 | 6.4% |
| 茨城県 | 8.8% |
| 栃木県 | 8.5% |
| 群馬県 | 8.3% |
| 埼玉県 | 8.5% |
| 千葉県 | 5.7% |
| 東京都 | 9.8% |
| 神奈川県 | 9.6% |
| 新潟県 | 7.2% |
| 富山県 | 7% |
| 石川県 | 5.7% |
| 福井県 | 7.5% |
| 山梨県 | 8.8% |
| 長野県 | 9.7% |
| 岐阜県 | 8.1% |
| 静岡県 | 7.1% |
| 愛知県 | 8% |
| 三重県 | 6.5% |
| 滋賀県 | 8.4% |
| 京都府 | 9.7% |
| 大阪府 | 8.3% |
| 兵庫県 | 9.8% |
| 奈良県 | 9.3% |
| 和歌山県 | 5.5% |
| 鳥取県 | 6.3% |
| 島根県 | 6.3% |
| 岡山県 | 5.6% |
| 広島県 | 6.6% |
| 山口県 | 6% |
| 徳島県 | 6.1% |
| 香川県 | 7.1% |
| 愛媛県 | 4.9% |
| 高知県 | 4.1% |
| 福岡県 | 6.4% |
| 佐賀県 | 5.9% |
| 長崎県 | 4.3% |
| 熊本県 | 5.4% |
| 大分県 | 5.3% |
| 宮崎県 | 4.3% |
| 鹿児島県 | 5.6% |
| 沖縄県 | 2.4% |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは関東から近畿にかけての一帯と、内陸の長野県・山梨県です。
淡いのは九州と四国、そして沖縄県でした。
47都道府県の単純平均は6.8パーセント、中央値は6.4パーセントです。
平均を超えたのは21都道府県でした。
全国値の7.7パーセントより単純平均が低いのは、行動者率の高い都府県に人口が集中しているためです。
| 順位 | 都道府県 | 登山・ハイキングの行動者率(%) | 地方 | スポーツの行動者率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 9.8 | 関東 | 74.5 |
| 1 | 兵庫県 | 9.8 | 近畿 | 66.4 |
| 3 | 京都府 | 9.7 | 近畿 | 67 |
| 3 | 長野県 | 9.7 | 中部 | 64 |
| 5 | 神奈川県 | 9.6 | 関東 | 71.8 |
| 6 | 奈良県 | 9.3 | 近畿 | 64.8 |
| 7 | 茨城県 | 8.8 | 関東 | 65.8 |
| 7 | 山梨県 | 8.8 | 中部 | 62.2 |
| 9 | 埼玉県 | 8.5 | 関東 | 69.3 |
| 9 | 栃木県 | 8.5 | 関東 | 62.6 |
| 11 | 滋賀県 | 8.4 | 近畿 | 67.2 |
| 12 | 群馬県 | 8.3 | 関東 | 67 |
| 12 | 大阪府 | 8.3 | 近畿 | 66.1 |
| 14 | 岐阜県 | 8.1 | 中部 | 64.1 |
| 15 | 愛知県 | 8 | 中部 | 68.8 |
| 16 | 山形県 | 7.7 | 東北 | 58.4 |
| 17 | 福井県 | 7.5 | 中部 | 61.5 |
| 18 | 新潟県 | 7.2 | 中部 | 59 |
| 19 | 香川県 | 7.1 | 四国 | 61.8 |
| 19 | 静岡県 | 7.1 | 中部 | 66.3 |
| 21 | 富山県 | 7 | 中部 | 59.7 |
| 22 | 広島県 | 6.6 | 中国 | 65.3 |
| 23 | 三重県 | 6.5 | 近畿 | 64.3 |
| 24 | 宮城県 | 6.4 | 東北 | 64.4 |
| 24 | 福岡県 | 6.4 | 九州 | 67 |
| 24 | 福島県 | 6.4 | 東北 | 59.5 |
| 27 | 鳥取県 | 6.3 | 中国 | 61.2 |
| 27 | 島根県 | 6.3 | 中国 | 61.4 |
| 29 | 徳島県 | 6.1 | 四国 | 60.9 |
| 29 | 北海道 | 6.1 | 北海道 | 62.2 |
| 31 | 山口県 | 6 | 中国 | 63.2 |
| 32 | 佐賀県 | 5.9 | 九州 | 62.8 |
| 33 | 岩手県 | 5.7 | 東北 | 59.1 |
| 33 | 石川県 | 5.7 | 中部 | 63.4 |
| 33 | 千葉県 | 5.7 | 関東 | 67.4 |
| 36 | 岡山県 | 5.6 | 中国 | 64.8 |
| 36 | 鹿児島県 | 5.6 | 九州 | 63.5 |
| 38 | 和歌山県 | 5.5 | 近畿 | 59.8 |
| 39 | 熊本県 | 5.4 | 九州 | 66.6 |
| 40 | 大分県 | 5.3 | 九州 | 63.1 |
| 41 | 愛媛県 | 4.9 | 四国 | 64 |
| 42 | 秋田県 | 4.7 | 東北 | 57.1 |
| 43 | 宮崎県 | 4.3 | 九州 | 65.8 |
| 43 | 長崎県 | 4.3 | 九州 | 57.8 |
| 45 | 高知県 | 4.1 | 四国 | 59.4 |
| 46 | 青森県 | 4 | 東北 | 52.1 |
| 47 | 沖縄県 | 2.4 | 九州 | 65.8 |
このグラフについての豆知識
登山とハイキングは分けて集計されていない
この調査は「登山・ハイキング」をひとつの種類として数えています。
標高3,000メートルの縦走も、近所の丘を1時間歩くことも、同じ1回です。
そのため行動者率が高い県が「登山が盛んな県」とは限りません。
気軽に歩ける道が身近にある県ほど、数字が伸びやすい仕組みになっています。
本格的な登山だけを取り出したければ、山岳遭難の統計や国立公園の入り込み客数など、別のデータを見る必要があります。
森林の多さとは結びついていない
森林率を比べた記事では、高知県が83.6パーセントで全国1位でした。
その高知県は登山・ハイキングの行動者率では4.1パーセントの45位です。
逆に、森林率が29.8パーセントで46位の大阪府は、登山・ハイキングでは8.3パーセントの12位。
森林率が36.0パーセントで43位の東京都に至っては、9.8パーセントで1位タイでした。
森林の面積は山の多さを表しますが、そこを歩く人の割合とは別の話です。
整備された道があるか、そこまで行きやすいかという条件のほうが効いているようです。
順位の並びがにている記事
登山・ハイキングをする人の割合の順位を、当サイトの全記事の並びと突き合わせてみました。
0.83という高い相関を示したのが【世帯の家計支出額】全国は月23.6万円、差は1.51倍でした。
逆に、ほぼ裏返しの並びになったのが【スーパーの数】が多いのは大都市ではありませんでした、人口あたりで比較(相関-0.71)でした。
順位が近いことと、原因がつながっていることは別の話です。
それでも、見くらべると気づくことがあります。
地方のなかで見た登山・ハイキングの行動者率
| 地方 | 最も多い(%) | 最も少ない(%) |
|---|---|---|
| 東北 | 山形県 7.7 | 青森県 4 |
| 関東 | 東京都 9.8 | 千葉県 5.7 |
| 中部 | 長野県 9.7 | 石川県 5.7 |
| 近畿 | 兵庫県 9.8 | 和歌山県 5.5 |
| 中国 | 広島県 6.6 | 岡山県 5.6 |
| 四国 | 香川県 7.1 | 高知県 4.1 |
| 九州 | 福岡県 6.4 | 沖縄県 2.4 |
まとめ
47都道府県の登山・ハイキングの行動者率を比べると、最も高い東京都と兵庫県は9.8パーセント、最も低い沖縄県は2.4パーセントで、その差は4.08倍でした。
全国では7.7パーセントです。
登山・ハイキングをする人の割合の数字には、但し書きが3つつきます。
1つ目は、本格的な登山と近所のハイキングが同じ1回として数えられること。
2つ目は、過去1年間に1回でも行えば行動者になること。
3つ目は令和3年(2021年)の調査であることです。
名の知れた山を抱える九州8県は平均5.0パーセントで、8地方のなかで最も低い数字でした。
山の多さと歩く人の多さは一致していません。
上位に並んだのは、大都市から日帰りで行ける低い山を持つ都府県でした。
スポーツ全体やつりの行動者率とあわせて読むと、同じ「スポーツ」のなかにも都市型と地方型があることが見えてきます。
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出典
- 統計名: 社会生活基本調査(都道府県、スポーツの種類別行動者率)
- 調査年: 令和3年(2021年)
- 公開元: 総務省統計局
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000032262820
- 備考: 10歳以上の人のうち、過去1年間に登山・ハイキングをした人の割合。この調査では登山・ハイキングをスポーツの一種として集計している
注記: 10歳以上の人のうち、過去1年間に登山・ハイキングをした人の割合。
この調査では登山・ハイキングをスポーツの一種として集計している
