趣味として本を読む人がどれだけいるかは、都道府県でどれほど違うのでしょうか。
この記事では、47都道府県の数字を比べます。
使うのは総務省統計局の社会生活基本調査(令和3年)で、10歳以上の人のうち過去1年間に趣味としての読書をした人の割合です。
マンガは含みません。
全国の行動者率は31.6パーセント。
およそ3人に1人が、趣味として本を読んだと答えたことになります。
同じ調査には「マンガを読む」も別項目としてあるので、あわせて見ていきます。
47都道府県の単純平均
28.1%
読書の行動者率(令和3年(2021年))
最も多い 東京都
43.4%
最も少ない 青森県
22.7%
読書をする人が多い5都府県
読書の行動者率が高い上位5都府県です。
東京都は43.4パーセント、神奈川県は38.7パーセント、埼玉県は34.4パーセント、千葉県は33.7パーセント、京都府は33.4パーセントでした。
全国の31.6パーセントを上回ったのは7都府県だけです。
上位と全国値の差は思ったより大きく、1位は全国値を11.8ポイント上回りました。
上位5のうち4つは関東です。
残る1つも近畿の府で、いずれも人口が集まっている地域でした。
この記事の前に公開した図書館の記事では、人口10万人あたりの図書館数で関東が8地方の最下位でした。
図書館が少ない地域のほうが、本を読む人の割合は高いという、ねじれた関係になっています。
6位以下も33.0パーセント、31.8パーセント、31.3パーセントと続き、上位10のうち8つが関東または近畿です。
同じ調査の「マンガを読む」でも、上位の顔ぶれはほとんど同じです。
マンガでも東京都が43.2パーセント、神奈川県が41.2パーセントで、読書の1位・2位と同じ都県でした。
本もマンガも、都市部でよく読まれているという結果になります。
1位が都市部になるのはなぜか
ここからは統計から離れて、なぜ都市部が上位なのかを考えてみます。
以下は確かめられた事実ではなく、同じ調査の別の数字と突き合わせて立てた推測です。
まず同じ調査の「マンガを読む」を見てみます。
全国は36.8パーセントで、読書の31.6パーセントより高い数字です。
都道府県別では東京都が43.2パーセント、神奈川県が41.2パーセント、愛知県が40.2パーセント。
上位の顔ぶれは読書とよく似ていて、いずれも人口の多い都府県でした。
読書もマンガも都市部で高いということは、この差が「本の好み」ではなく「読むという行動そのもの」の差である可能性を示します。
もし読書だけが都市部で高くマンガは地方で高いなら、好みの違いという説明ができます。
しかし両方とも同じ方向に動いています。
考えられる要因の1つは、時間の使い方です。
都市部は通勤・通学の時間が長く、電車の中で読む時間が生まれやすい。
もう1つは、書店の多さや新刊への接しやすさです。
ただしこれらは今回の統計では確かめておらず、あくまで仮説にとどまります。
もう1点、統計の性格にも触れておきます。
行動者率は「過去1年間に1回でもしたか」を聞いた数字です。
どれだけたくさん読んだかは表していません。
年に1冊でも読めば行動者に入るので、読書量のランキングとは別のものだと考えてください。
読書をする人が少ない5県
読書の行動者率が低い下位5県です。
43位に4県が同数で並びました。
青森県は22.7パーセント、43位は23.9パーセントが4県です。
東京都の43.4パーセントと青森県の22.7パーセントでは1.91倍の差があります。
割合の指標としては大きい開きですが、これまで扱ってきた指標のなかでは中くらいの散らばりです。
下位に並んだのは九州3県と、東北・近畿が1県ずつでした。
地方別の平均でも九州8県が25.3パーセント、四国4県が25.5パーセント、東北6県が26.0パーセントと、下から順に並びます。
47都道府県のうち、行動者率が30パーセントを超えたのは11都府県だけでした。
残る36県は20パーセント台です。
全国値の31.6パーセントは、人口の多い都府県に引き上げられた数字だと分かります。
下位でも4.5人に1人以上は読書をしています。
22.7パーセントという数字は「まったく読まれていない」ことを意味しません。
1位との差が1.91倍というのは、他のランキングと比べれば穏やかな開きです。
なお43位は4県が同数のため、下位5県として5県を掲載しています。
小数第1位までの公表値なので、この水準では同数が出やすくなります。
地方別に見る読書の行動者率
地方別に平均を出すと、都市部と地方の差がはっきり出ます。
最も高いのは関東7都県の33.3パーセントです。
次いで近畿7府県が29.6パーセント、北海道が29.4パーセント、中部9県が28.2パーセントと続きます。
低いほうを見ると、中国5県が27.0パーセント、東北6県が26.0パーセント、四国4県が25.5パーセント、九州8県が25.3パーセントでした。
最も高い関東と最も低い九州では8.0ポイントの差があります。
8地方のうち関東だけが30パーセントを超えました。
人が集まっている地域ほど本を読む人の割合が高いという傾向が、地方別の平均でも確認できます。
地図で見る読書の行動者率
| 項目 | 読書の行動者率 |
|---|---|
| 北海道 | 29.4% |
| 青森県 | 22.7% |
| 岩手県 | 25.3% |
| 宮城県 | 33% |
| 秋田県 | 24.6% |
| 山形県 | 25.2% |
| 福島県 | 25.2% |
| 茨城県 | 29.3% |
| 栃木県 | 25.8% |
| 群馬県 | 27.5% |
| 埼玉県 | 34.4% |
| 千葉県 | 33.7% |
| 東京都 | 43.4% |
| 神奈川県 | 38.7% |
| 新潟県 | 28.2% |
| 富山県 | 26.3% |
| 石川県 | 28.3% |
| 福井県 | 27% |
| 山梨県 | 28.3% |
| 長野県 | 30.3% |
| 岐阜県 | 25.1% |
| 静岡県 | 29.3% |
| 愛知県 | 31% |
| 三重県 | 26.8% |
| 滋賀県 | 29.1% |
| 京都府 | 33.4% |
| 大阪府 | 31.8% |
| 兵庫県 | 30.8% |
| 奈良県 | 31.3% |
| 和歌山県 | 23.9% |
| 鳥取県 | 27.1% |
| 島根県 | 27.1% |
| 岡山県 | 27.1% |
| 広島県 | 28% |
| 山口県 | 25.8% |
| 徳島県 | 24.4% |
| 香川県 | 27% |
| 愛媛県 | 26.3% |
| 高知県 | 24.4% |
| 福岡県 | 29.3% |
| 佐賀県 | 23.9% |
| 長崎県 | 24.1% |
| 熊本県 | 25.8% |
| 大分県 | 25% |
| 宮崎県 | 23.9% |
| 鹿児島県 | 26.4% |
| 沖縄県 | 23.9% |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは関東とその周辺、そして近畿の一部です。
東北から九州にかけては、まとまって淡い色になります。
47都道府県の単純平均は28.1パーセント、中央値は27.1パーセントです。
全国値の31.6パーセントは県別の平均より3.5ポイント高くなっています。
人口の多い都府県の数字が全国値を押し上げているためで、多くの県は20パーセント台の後半に集まっています。
下の表に47都道府県すべての行動者率を、「マンガを読む」の行動者率と並べて掲載しました。
2つの数字がどう動いているかを見比べてみてください。
| 順位 | 都道府県 | 読書の行動者率(%) | 地方 | マンガを読む行動者率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 43.4 | 関東 | 43.2 |
| 2 | 神奈川県 | 38.7 | 関東 | 41.2 |
| 3 | 埼玉県 | 34.4 | 関東 | 38.8 |
| 4 | 千葉県 | 33.7 | 関東 | 36.8 |
| 5 | 京都府 | 33.4 | 近畿 | 37.2 |
| 6 | 宮城県 | 33 | 東北 | 38.9 |
| 7 | 大阪府 | 31.8 | 近畿 | 38.2 |
| 8 | 奈良県 | 31.3 | 近畿 | 32.9 |
| 9 | 愛知県 | 31 | 中部 | 40.2 |
| 10 | 兵庫県 | 30.8 | 近畿 | 34.8 |
| 11 | 長野県 | 30.3 | 中部 | 34.6 |
| 12 | 北海道 | 29.4 | 北海道 | 35.5 |
| 13 | 茨城県 | 29.3 | 関東 | 34.7 |
| 13 | 静岡県 | 29.3 | 中部 | 36.5 |
| 13 | 福岡県 | 29.3 | 九州 | 36.6 |
| 16 | 滋賀県 | 29.1 | 近畿 | 37.1 |
| 17 | 山梨県 | 28.3 | 中部 | 32.1 |
| 17 | 石川県 | 28.3 | 中部 | 38.6 |
| 19 | 新潟県 | 28.2 | 中部 | 35.1 |
| 20 | 広島県 | 28 | 中国 | 34.9 |
| 21 | 群馬県 | 27.5 | 関東 | 34.8 |
| 22 | 岡山県 | 27.1 | 中国 | 33.5 |
| 22 | 鳥取県 | 27.1 | 中国 | 30.8 |
| 22 | 島根県 | 27.1 | 中国 | 32.3 |
| 25 | 香川県 | 27 | 四国 | 33.6 |
| 25 | 福井県 | 27 | 中部 | 35.1 |
| 27 | 三重県 | 26.8 | 近畿 | 34.6 |
| 28 | 鹿児島県 | 26.4 | 九州 | 31.7 |
| 29 | 愛媛県 | 26.3 | 四国 | 34.4 |
| 29 | 富山県 | 26.3 | 中部 | 32.7 |
| 31 | 熊本県 | 25.8 | 九州 | 33.1 |
| 31 | 山口県 | 25.8 | 中国 | 31.8 |
| 31 | 栃木県 | 25.8 | 関東 | 33 |
| 34 | 岩手県 | 25.3 | 東北 | 31.3 |
| 35 | 山形県 | 25.2 | 東北 | 32.7 |
| 35 | 福島県 | 25.2 | 東北 | 34.3 |
| 37 | 岐阜県 | 25.1 | 中部 | 33.9 |
| 38 | 大分県 | 25 | 九州 | 30.9 |
| 39 | 秋田県 | 24.6 | 東北 | 29.9 |
| 40 | 高知県 | 24.4 | 四国 | 32.5 |
| 40 | 徳島県 | 24.4 | 四国 | 32.1 |
| 42 | 長崎県 | 24.1 | 九州 | 29.7 |
| 43 | 沖縄県 | 23.9 | 九州 | 33 |
| 43 | 宮崎県 | 23.9 | 九州 | 29.5 |
| 43 | 佐賀県 | 23.9 | 九州 | 31.7 |
| 43 | 和歌山県 | 23.9 | 近畿 | 30.9 |
| 47 | 青森県 | 22.7 | 東北 | 29.3 |
このグラフについての豆知識
マンガのほうが読まれている
同じ社会生活基本調査で「マンガを読む」の全国の行動者率は36.8パーセントです。
趣味としての読書の31.6パーセントを5.2ポイント上回ります。
全国で見ると、本よりマンガのほうが読まれているという結果でした。
県別に見ると、47都道府県のうち多くでマンガのほうが高くなっています。
ただし東京都は読書43.4パーセントに対しマンガ43.2パーセントで、ほぼ並びました。
読書の行動者率が高い地域ほど、2つの差が小さくなる傾向が見えます。
「行動者率」が測っているもの
社会生活基本調査の行動者率は、過去1年間にその活動を行った人の割合です。
回数や時間は問いません。
年に1冊読んだ人も、週に1冊読む人も、同じ1人として数えられます。
そのため、この数字は「読書がどれだけ盛んか」ではなく「読書という習慣にどれだけの人が触れているか」を表します。
読書量そのものを知りたい場合は、書籍の販売額や図書館の貸出冊数など、別の統計を見る必要があります。
調査は5年ごとに行われ、令和3年が直近です。
次回は令和8年に実施される予定なので、都市部と地方の差が縮まるのかどうかは、そのときに確かめられます。
順位の並びがにている記事
同じ形の地図になる記事はあるでしょうか。
趣味として読書をする人の割合の順位で探してみます。
いちばん近かったのは【写真を撮る人の割合】を47都道府県で比べると地域差は1.86倍で、順位相関は0.84でした。
逆に、ほぼ裏返しの並びになったのが【スーパーの数】が多いのは大都市ではありませんでした、人口あたりで比較(相関-0.81)でした。
順位が近いことと、原因がつながっていることは別の話です。
それでも、見くらべると気づくことがあります。
地方のなかで見た読書の行動者率
| 地方 | 最も多い(%) | 最も少ない(%) |
|---|---|---|
| 東北 | 宮城県 33 | 青森県 22.7 |
| 関東 | 東京都 43.4 | 栃木県 25.8 |
| 中部 | 愛知県 31 | 岐阜県 25.1 |
| 近畿 | 京都府 33.4 | 和歌山県 23.9 |
| 中国 | 広島県 28 | 山口県 25.8 |
| 四国 | 香川県 27 | 高知県 24.4 |
| 九州 | 福岡県 29.3 | 沖縄県 23.9 |
まとめ
47都道府県の読書の行動者率を比べると、東京都は43.4パーセント、青森県は22.7パーセントで、その差は1.91倍でした。
全国は31.6パーセントで、これを上回ったのは7都府県です。
地方別では関東が33.3パーセントと最も高く、九州が25.3パーセントで最も低い結果になりました。
趣味として読書をする人の割合の数字には、但し書きが3つつきます。
1つ目は、この数字が過去1年間に1回でも読んだ人の割合であり、読書量ではないことです。
2つ目は、マンガが含まれていないことです。
3つ目は時点で、令和3年(2021年)の調査結果です。
図書館が多い県と、本を読む人が多い県は、まったく別でした。
施設の数と人の習慣は、同じ方向を向いているとは限りません。
本を読むかどうかは、住んでいる場所だけで決まるものではありません。
ただ、地域ごとにこれだけ差が出るという事実は、暮らし方の違いを映しているのかもしれません。
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出典
- 統計名: 社会生活基本調査(都道府県、趣味・娯楽の種類別行動者率)
- 調査年: 令和3年(2021年)
- 公開元: 総務省統計局
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000032262823
- 備考: 10歳以上の人のうち、過去1年間に趣味としての読書(マンガを除く)をした人の割合。「マンガを読む」は別の項目として集計されている
注記: 10歳以上の人のうち、過去1年間に趣味としての読書(マンガを除く)をした人の割合。
「マンガを読む」は別の項目として集計されている
