喫茶店が多いのはどこの都道府県か。
よく見かけるランキングですが、店の数だけを並べると見落とすものがあります。
全国の喫茶店は52,196店。
そこで働く人は262,106人です。
この2つを割ると、1店あたり何人で回しているかが出ます。
数のランキングを見たあと、その「1店あたり」まで進みます。
県ごとの喫茶店の姿が、だいぶちがって見えてきます。
人口10万人あたりの1位は高知県。2位とは0.8店差
| 順位 | 都道府県 | 人口10万人あたり | 店の数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 高知県 | 116.1店 | 794店 |
| 2 | 岐阜県 | 115.3店 | 2,262店 |
| 3 | 和歌山県 | 95.6店 | 874店 |
| 4 | 香川県 | 77.4店 | 729店 |
| 5 | 愛知県 | 74.9店 | 5,630店 |
| 6 | 福井県 | 67.6店 | 514店 |
| 7 | 兵庫県 | 67.6店 | 3,672店 |
| 8 | 大阪府 | 67.1店 | 5,909店 |
1位は高知県の116.1店、2位は岐阜県の115.3店。
その差は0.8店しかありません。
いちばん少ないのは茨城県の19.1店で、1位との差は6.1倍です。
店の数そのもので数えると顔ぶれが変わり、1位は大阪府(5,909店)、2位愛知県、3位東京都。
高知県は17位に下がります。
人口の多い県が上に来るので、これは予想どおりです。
ここまでは、どの店も同じ1店として数えている
気になるのはここからです。
ランキングはカウンターだけの個人店も、席が何十もあるチェーン店も、同じ「1店」として数えています。
そこで従業者数を使います。
全国では262,106人が52,196店で働いているので、1店あたり5.02人。
この数字を県ごとに出すと、店の大きさの見当がつきます。
1店あたりは東京都の9.77人から、高知県の2.47人まで
| 都道府県 | 1店あたりの従業者 | 人口10万人あたりの店 | |
|---|---|---|---|
| 多い | 東京都 | 9.77人 | 36.2店(25位) |
| 多い | 神奈川県 | 9.03人 | 20.8店(43位) |
| 多い | 千葉県 | 7.60人 | 19.4店(46位) |
| 少ない | 青森県 | 3.21人 | 32.4店(30位) |
| 少ない | 和歌山県 | 2.82人 | 95.6店(3位) |
| 少ない | 高知県 | 2.47人 | 116.1店(1位) |
東京都は1店あたり9.77人。
いっぽう高知県は2.47人で、4.0倍まで開きます。
高知県は、人口あたりの店の数では1位でした。
店はいちばん多いのに、1店あたりはいちばん小さいということになります。
店が多い県ほど、1店は小さい
これが高知県だけの話なのかを確かめます。
人口10万人あたりの店の数と、1店あたりの従業者数で相関係数を計算すると-0.40でした。
マイナスなので、店が多い県ほど1店あたりは小さくなる傾向があります。
強い関係ではありませんが、向きははっきりしています。
実際、1店あたりが多いほうから10県のうち6県は、人口あたりの店の数では下から10県に入っていました。
神奈川県、千葉県、埼玉県、宮城県、茨城県、栃木県です。
| 都道府県 | 1店あたりの従業者 | その順位 | 人口10万人あたりの店 | その順位 |
|---|---|---|---|---|
| 神奈川県 | 9.03人 | 2位 | 20.8店 | 43位 |
| 千葉県 | 7.60人 | 3位 | 19.4店 | 46位 |
| 埼玉県 | 7.36人 | 4位 | 19.8店 | 45位 |
| 宮城県 | 5.85人 | 5位 | 21.4店 | 41位 |
大都市の周りでは、店は少ないかわりに1店が大きい。
地方では、小さい店がたくさんある。
同じ「喫茶店」という言葉で、ちがうものを数えていたことになります。
東京都は店が全国の9.7%、働く人は18.9%
もうひとつの見方をします。
東京都の喫茶店は5,077店で、全国の9.7%。
ところが働く人は49,583人で、全国の18.9%にあたります。
店の割合より、人の割合のほうが大きい。
1店あたりが大きいというのは、こういうことです。
割る相手を変えると順位が動く話は消防車が多いのはどの県かでも書きました。
ただ今回は割り方ではなく、割られる中身のほうがちがっていたという例になります。
地方でまとめると、関東と四国が正反対
47をひとつずつ見ると細かすぎるので、8つの地方にまとめ直します。
県ごとの凸凹がならされて、固まりが見えてきます。
| 地方 | 県の数 | 店の数 | 人口10万人あたり(県の平均) | 1店あたりの従業者 |
|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 1 | 1,976店 | 38.1店 | 3.52人 |
| 東北 | 6 | 2,069店 | 25.0店 | 4.08人 |
| 関東 | 7 | 11,064店 | 22.8店 | 8.48人 |
| 中部 | 9 | 12,251店 | 53.7店 | 4.29人 |
| 近畿 | 7 | 14,512店 | 64.6店 | 4.16人 |
| 中国 | 5 | 3,251店 | 45.5店 | 3.77人 |
| 四国 | 4 | 2,736店 | 78.2店 | 3.16人 |
| 九州・沖縄 | 8 | 4,337店 | 31.6店 | 4.39人 |
人口あたりでいちばん多いのは四国(78.2店)、いちばん少ないのは関東(22.8店)。
3.4倍のひらきです。
ところが1店あたりの従業者で並べ直すと、順番がひっくり返ります。
いちばん大きいのは関東の8.48人、いちばん小さいのは四国の3.16人。
関東は店がいちばん少なくて1店がいちばん大きく、四国は店がいちばん多くて1店がいちばん小さい。
ここまできれいに逆を向きます。
県ごとに見えた傾向が、地方の単位でも同じ形で出ていました。
47都道府県の一覧
店の数と1店あたりの大きさを、47都道府県ぶん並べます。
並びは人口で割った店の数が多い順です。
| 順位 | 都道府県 | 人口10万人あたり | 店の数 | 従業者 | 1店あたり | 地方 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 高知県 | 116.1店 | 794店 | 1,958人 | 2.47人 | 四国 |
| 2 | 岐阜県 | 115.3店 | 2,262店 | 7,894人 | 3.49人 | 中部 |
| 3 | 和歌山県 | 95.6店 | 874店 | 2,461人 | 2.82人 | 近畿 |
| 4 | 香川県 | 77.4店 | 729店 | 2,480人 | 3.40人 | 四国 |
| 5 | 愛知県 | 74.9店 | 5,630店 | 27,459人 | 4.88人 | 中部 |
| 6 | 福井県 | 67.6店 | 514店 | 1,706人 | 3.32人 | 中部 |
| 7 | 兵庫県 | 67.6店 | 3,672店 | 15,181人 | 4.13人 | 近畿 |
| 8 | 大阪府 | 67.1店 | 5,909店 | 24,952人 | 4.22人 | 近畿 |
| 9 | 京都府 | 66.2店 | 1,696店 | 7,784人 | 4.59人 | 近畿 |
| 10 | 三重県 | 62.6店 | 1,100店 | 4,530人 | 4.12人 | 近畿 |
| 11 | 愛媛県 | 59.8店 | 790店 | 2,617人 | 3.31人 | 四国 |
| 12 | 徳島県 | 59.4店 | 423店 | 1,580人 | 3.74人 | 四国 |
| 13 | 鳥取県 | 56.1店 | 308店 | 1,047人 | 3.40人 | 中国 |
| 14 | 奈良県 | 51.9店 | 682店 | 2,847人 | 4.17人 | 近畿 |
| 15 | 石川県 | 51.4店 | 578店 | 2,210人 | 3.82人 | 中部 |
| 16 | 広島県 | 47.2店 | 1,312店 | 5,021人 | 3.83人 | 中国 |
| 17 | 岡山県 | 46.1店 | 864店 | 3,295人 | 3.81人 | 中国 |
| 18 | 沖縄県 | 43.3店 | 636店 | 2,731人 | 4.29人 | 九州・沖縄 |
| 19 | 富山県 | 42.2店 | 433店 | 1,787人 | 4.13人 | 中部 |
| 20 | 島根県 | 41.1店 | 273店 | 1,155人 | 4.23人 | 中国 |
| 21 | 滋賀県 | 41.0店 | 579店 | 2,664人 | 4.60人 | 近畿 |
| 22 | 北海道 | 38.1店 | 1,976店 | 6,953人 | 3.52人 | 北海道 |
| 23 | 山口県 | 37.2店 | 494店 | 1,737人 | 3.52人 | 中国 |
| 24 | 長野県 | 36.7店 | 746店 | 2,542人 | 3.41人 | 中部 |
| 25 | 東京都 | 36.2店 | 5,077店 | 49,583人 | 9.77人 | 関東 |
| 26 | 山梨県 | 34.4店 | 277店 | 1,082人 | 3.91人 | 中部 |
| 27 | 静岡県 | 34.1店 | 1,229店 | 5,565人 | 4.53人 | 中部 |
| 28 | 大分県 | 34.0店 | 379店 | 1,378人 | 3.64人 | 九州・沖縄 |
| 29 | 鹿児島県 | 32.8店 | 517店 | 1,733人 | 3.35人 | 九州・沖縄 |
| 30 | 青森県 | 32.4店 | 396店 | 1,272人 | 3.21人 | 東北 |
| 31 | 佐賀県 | 32.1店 | 259店 | 1,198人 | 4.63人 | 九州・沖縄 |
| 32 | 長崎県 | 30.8店 | 399店 | 1,472人 | 3.69人 | 九州・沖縄 |
| 33 | 宮崎県 | 28.9店 | 307店 | 1,067人 | 3.48人 | 九州・沖縄 |
| 34 | 福岡県 | 28.3店 | 1,448店 | 7,648人 | 5.28人 | 九州・沖縄 |
| 35 | 岩手県 | 27.8店 | 332店 | 1,135人 | 3.42人 | 東北 |
| 36 | 新潟県 | 26.7店 | 582店 | 2,298人 | 3.95人 | 中部 |
| 37 | 山形県 | 24.7店 | 261店 | 926人 | 3.55人 | 東北 |
| 38 | 栃木県 | 23.9店 | 459店 | 2,152人 | 4.69人 | 関東 |
| 39 | 熊本県 | 22.7店 | 392店 | 1,796人 | 4.58人 | 九州・沖縄 |
| 40 | 秋田県 | 22.5店 | 213店 | 729人 | 3.42人 | 東北 |
| 41 | 宮城県 | 21.4店 | 489店 | 2,860人 | 5.85人 | 東北 |
| 42 | 福島県 | 20.9店 | 378店 | 1,514人 | 4.01人 | 東北 |
| 43 | 神奈川県 | 20.8店 | 1,922店 | 17,364人 | 9.03人 | 関東 |
| 44 | 群馬県 | 20.3店 | 392店 | 1,771人 | 4.52人 | 関東 |
| 45 | 埼玉県 | 19.8店 | 1,452店 | 10,682人 | 7.36人 | 関東 |
| 46 | 千葉県 | 19.4店 | 1,217店 | 9,249人 | 7.60人 | 関東 |
| 47 | 茨城県 | 19.1店 | 545店 | 3,041人 | 5.58人 | 関東 |
上位と下位で顔ぶれがはっきり分かれます。
高知県、岐阜県、和歌山県が上に、茨城県、千葉県、埼玉県が下に来ました。
よくある疑問
- カフェやコーヒーチェーンも、この数に入っていますか
-
入っているものと、入っていないものがあります。
この統計が数えているのは産業分類でいう「喫茶店」に当たる事業所です。
同じようにコーヒーを出していても、飲食店や菓子の小売として登録されている店は別に数えられます。「コーヒーが飲める店の数」ではない、と考えたほうが正確です。
看板ではなく、届け出のうえでの分類で決まります。 - なぜ西日本に多いのですか
-
地方別に見ると四国・近畿・中部が上位で、たしかに西に寄っています。
ただ、その理由はこの統計からは分かりません。食文化や通勤のしかたが関係している、といった説明はよく聞きますが、この数字だけでは確かめられません。
分かるのは「そうなっている」ところまでです。 - 1店あたりの従業者数は、店の広さのことですか
-
ちがいます。
働いている人の数なので、席数だけでなく、営業時間の長さや、食事を出すかどうかでも変わります。大きい店ほど人が要るのはたしかなので、規模の目安としては使えるという位置づけです。
- いつの数字ですか
-
事業所と従業者は令和3年(2021年6月1日現在)の値です。
人口10万人あたりの計算に使った人口は2021年10月1日現在のものです。この種の調査は毎年は行われないので、いまの店の数とは差があります。
比べるときは、同じ調査年の数字どうしで見てください。
この数字で言えないこと
この統計でいう喫茶店は、産業の分類でいう「喫茶店」です。
コーヒーを出す店がすべてここに入るわけではなく、飲食店や菓子店として数えられている店もあります。
従業者数には、経営者も、短い時間だけ働く人も入ります。
だから「1店あたりの従業者数」は座席数や売上の代わりにはなりません。
あくまで店の規模の目安です。
平均は極端な値に引っぱられます。
その読み方は平均値と中央値のちがいにまとめました。
まとめ
- 全国の喫茶店は52,196店、働く人は262,106人。1店あたり5.02人
- 人口10万人あたりの1位は高知県(116.1店)。2位の岐阜県とは0.8店差
- 1店あたりの従業者は東京都9.77人 〜 高知県2.47人で4.0倍
- 2つの相関係数は-0.40。店が多い県ほど1店は小さい
- 東京都は店が全国の9.7%なのに、働く人は18.9%
出典
- 総務省・経済産業省/総務省統計局「経済センサス-活動調査(サービス関連産業に関する集計)と人口推計」(令和3年(2021年6月1日現在))
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040032976
- 主指標: 人口10万人あたり店舗数(店)
- 備考: 事業所数は民営事業所の総数(産業小分類767_喫茶店)。人口10万人あたりの店舗数は、2021年10月1日現在の人口推計で割って算出した
- 1店あたりの従業者数、全国にしめる割合、相関係数は、上記の公表値をもとに当サイトで計算した
