灯油はストーブの燃料として使われるため、寒い地域ほど支出が増えます。
上位と下位の開きは51倍と、家計の項目のなかでも飛びぬけた差になりました。
暖房に何を使うかという、暮らしのかたちがそのまま出る数字です。
今回は47都道府県の1世帯が1年間に灯油へ使う金額を、2023年から2025年の総務省統計局「家計調査」(二人以上の世帯)の3年平均で比べました。
数値は県庁所在市(東京都は都区部)で調べたもので、県全体の平均ではありません。
全国平均は年間15,094円。
ただ都道府県別に並べると、上位と下位で51.19倍という極端な開きがありました。
この記事で扱ってきた品目のなかでも飛び抜けた差です。
47都道府県の単純平均
16,010円
灯油への年間支出(2023年〜2025年平均)
最も多い 青森県
92,401円
最も少ない 大阪府
1,805円
灯油への支出が多い5道県
灯油への支出が多い上位5道県です。
青森県は92,401円、北海道は71,654円、秋田県は63,003円、岩手県は49,532円、山形県は39,024円でした。
5万円を超えたのは青森県、北海道、秋田県の3道県です。
6位以下は新潟県、福島県、長野県と続きます。
上位はすべて北海道と東北、それに信越でした。
青森県の92,401円は全国平均15,094円の6.1倍。
月あたりにすると7,700円ほどを灯油に使っている計算になります。
雪の日数とほぼ完全に連動している
以下は、1世帯が1年間に使う灯油の金額にこれだけの差がつく理由についての推測です。
統計から確かめられる話ではなく、ほかの指標との突き合わせから考えたものです。
このランキングは、理由がはっきりしています。
雪の日数とほぼ完全に連動していました。
灯油への支出と雪日数の相関係数はプラス0.87。
1月の日最低気温とはマイナス0.65です。
これまでこの媒体で扱ってきたなかでも、とりわけ強い関係になりました。
1位の青森県は雪日数が119.5日で全国2位、2位の北海道は134.5日で全国1位です。
秋田県108.9日、岩手県111.0日、山形県105.7日と、上位5道県はいずれも雪日数100日超の5道県とぴたりと一致しました。
灯油は雪国の暖房そのものだということが、数字にそのまま出ています。
電気代と違って、単価による説明も要りません。
支出額を購入量で割ると1リットルあたりの金額が出ますが、全国平均112.8円に対して青森県113.1円、大阪府111.4円。
ほとんど同じでした。
差は買う量だけから生まれています。
青森県の年間購入量は817.11リットル、最も少ない大阪府は16.24リットル。
50.31倍の差です。
18リットル入りのポリタンクに換算すると、青森県は年に45個、大阪府は0.9個ということになります。
もうひとつ見ておきたいのが、電気代との関係です。
北海道は灯油で2位ですが、電気代は154,602円で19位。
冬の寒さは全国一なのに電気代が中位にとどまるのは、暖房を灯油でまかなっているためだと考えられます。
暖房に何を使うかという選択が、電気代と灯油代のあいだで振り分けられている形です。
片方だけを見ると、その土地の光熱費の全体像を見誤ります。
灯油への支出が少ない5都府県
灯油への支出が少ない下位5都府県です。
大阪府は1,805円、東京都は2,044円、沖縄県は2,203円、埼玉県は3,115円、千葉県は4,022円でした。
青森県の92,401円とは51.19倍の差があります。
大阪府の1,805円は、月あたりにすると150円ほどです。
青森県の月7,700円と比べると、同じ品目とは思えないほど離れています。
1万円を下回ったのは26県で、47都道府県のうち半数以上を占めます。
中央値は9,126円で、全国平均15,094円を大きく下回りました。
上位の数道県が全体を引き上げている形です。
沖縄県が下位に入るのは順当です。
雪日数は0.0日で全国唯一、1月の日最低気温も14.9度で最も暖かい県でした。
灯油を使う機会そのものがありません。
地方別に見る灯油への支出
地方別に平均を出すと、差の大きさがそのまま出ます。
最も多いのは北海道の71,654円です。
次いで東北6県が48,680円、中部9県が17,697円、中国5県が10,529円と続きます。
少ないほうは関東7都県が7,837円、四国4県が7,692円、近畿7府県が6,788円、九州8県が5,462円でした。
北海道と九州では13.12倍の差があります。
北海道と東北がほかの地方から大きく離れているのが、このデータの特徴です。
3位の中部9県17,697円は東北の3分の1程度で、そこから下は横並びに近くなります。
灯油は雪国だけの品目だと言ってよさそうです。
地図で見る灯油への支出
| 項目 | 灯油への年間支出 |
|---|---|
| 北海道 | 71,654円 |
| 青森県 | 92,401円 |
| 岩手県 | 49,532円 |
| 宮城県 | 16,478円 |
| 秋田県 | 63,003円 |
| 山形県 | 39,024円 |
| 福島県 | 31,644円 |
| 茨城県 | 15,311円 |
| 栃木県 | 14,597円 |
| 群馬県 | 11,621円 |
| 埼玉県 | 3,115円 |
| 千葉県 | 4,022円 |
| 東京都 | 2,044円 |
| 神奈川県 | 4,146円 |
| 新潟県 | 20,891円 |
| 富山県 | 28,558円 |
| 石川県 | 18,520円 |
| 福井県 | 20,464円 |
| 山梨県 | 16,322円 |
| 長野県 | 33,570円 |
| 岐阜県 | 12,151円 |
| 静岡県 | 4,660円 |
| 愛知県 | 4,135円 |
| 三重県 | 12,380円 |
| 滋賀県 | 8,507円 |
| 京都府 | 4,355円 |
| 大阪府 | 1,805円 |
| 兵庫県 | 4,067円 |
| 奈良県 | 6,946円 |
| 和歌山県 | 9,459円 |
| 鳥取県 | 16,182円 |
| 島根県 | 12,842円 |
| 岡山県 | 7,583円 |
| 広島県 | 5,535円 |
| 山口県 | 10,501円 |
| 徳島県 | 9,126円 |
| 香川県 | 9,552円 |
| 愛媛県 | 7,242円 |
| 高知県 | 4,848円 |
| 福岡県 | 5,224円 |
| 佐賀県 | 8,608円 |
| 長崎県 | 5,504円 |
| 熊本県 | 5,493円 |
| 大分県 | 5,516円 |
| 宮崎県 | 6,823円 |
| 鹿児島県 | 4,322円 |
| 沖縄県 | 2,203円 |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは北海道と東北全域、それに北陸と信越です。
淡いのは関東以西のほぼ全域でした。
47都道府県の単純平均は16,010円、中央値は9,126円です。
平均が中央値の1.75倍もあるのは、上位の数道県が極端に大きいためです。
平均を超えたのは14道県だけ。
真ん中あたりの県の実感に近いのは、中央値の9,126円のほうだと言えます。
| 順位 | 都道府県 | 灯油への年間支出(円) | 地方 | 灯油の購入量 | 雪日数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 青森県 | 92401 | 東北 | 817.1 | 119.5 |
| 2 | 北海道 | 71654 | 北海道 | 614.7 | 134.5 |
| 3 | 秋田県 | 63003 | 東北 | 568.1 | 108.9 |
| 4 | 岩手県 | 49532 | 東北 | 443.3 | 111.0 |
| 5 | 山形県 | 39024 | 東北 | 354.3 | 105.7 |
| 6 | 長野県 | 33570 | 中部 | 290.9 | 85.6 |
| 7 | 福島県 | 31644 | 東北 | 277.8 | 87.0 |
| 8 | 富山県 | 28558 | 中部 | 246.2 | 71.8 |
| 9 | 新潟県 | 20891 | 中部 | 185.3 | 90.5 |
| 10 | 福井県 | 20464 | 中部 | 187.5 | 69.2 |
| 11 | 石川県 | 18520 | 中部 | 165.9 | 73.9 |
| 12 | 宮城県 | 16478 | 東北 | 147.2 | 81.4 |
| 13 | 山梨県 | 16322 | 中部 | 144.9 | 19.4 |
| 14 | 鳥取県 | 16182 | 中国 | 146.1 | 54.7 |
| 15 | 茨城県 | 15311 | 関東 | 143.0 | 21.9 |
| 16 | 栃木県 | 14597 | 関東 | 129.5 | 23.6 |
| 17 | 島根県 | 12842 | 中国 | 112.9 | 50.5 |
| 18 | 三重県 | 12380 | 近畿 | 112.6 | 26.5 |
| 19 | 岐阜県 | 12151 | 中部 | 108.9 | 33.4 |
| 20 | 群馬県 | 11621 | 関東 | 100.8 | 26.1 |
| 21 | 山口県 | 10501 | 中国 | 93.2 | 27.7 |
| 22 | 香川県 | 9552 | 四国 | 87.4 | 19.0 |
| 23 | 和歌山県 | 9459 | 近畿 | 90.9 | 25.4 |
| 24 | 徳島県 | 9126 | 四国 | 83.0 | 18.8 |
| 25 | 佐賀県 | 8608 | 九州 | 78.4 | 22.2 |
| 26 | 滋賀県 | 8507 | 近畿 | 75.1 | 49.3 |
| 27 | 岡山県 | 7583 | 中国 | 66.2 | 24.4 |
| 28 | 愛媛県 | 7242 | 四国 | 64.2 | 18.3 |
| 29 | 奈良県 | 6946 | 近畿 | 62.1 | 33.9 |
| 30 | 宮崎県 | 6823 | 九州 | 60.6 | 3.6 |
| 31 | 広島県 | 5535 | 中国 | 49.2 | 33.6 |
| 32 | 大分県 | 5516 | 九州 | 52.1 | 17.3 |
| 33 | 長崎県 | 5504 | 九州 | 49.2 | 18.7 |
| 34 | 熊本県 | 5493 | 九州 | 50.9 | 17.7 |
| 35 | 福岡県 | 5224 | 九州 | 47.6 | 23.4 |
| 36 | 高知県 | 4848 | 四国 | 42.2 | 10.3 |
| 37 | 静岡県 | 4660 | 中部 | 39.7 | 4.1 |
| 38 | 京都府 | 4355 | 近畿 | 39.4 | 44.5 |
| 39 | 鹿児島県 | 4322 | 九州 | 37.2 | 10.0 |
| 40 | 神奈川県 | 4146 | 関東 | 34.4 | 17.7 |
| 41 | 愛知県 | 4135 | 中部 | 37.1 | 23.7 |
| 42 | 兵庫県 | 4067 | 近畿 | 35.8 | 26.9 |
| 43 | 千葉県 | 4022 | 関東 | 35.6 | 17.7 |
| 44 | 埼玉県 | 3115 | 関東 | 27.1 | 17.7 |
| 45 | 沖縄県 | 2203 | 九州 | 16.8 | 0.0 |
| 46 | 東京都 | 2044 | 関東 | 17.1 | 8.5 |
| 47 | 大阪府 | 1805 | 近畿 | 16.2 | 13.9 |
このグラフについての豆知識
灯油の値段はどこでもほぼ同じ
支出額を購入量で割ると、1リットルあたりの金額が出ます。
全国平均は112.8円でした。
最も多い青森県は113.1円、最も少ない大阪府は111.4円。
輸送距離が違っても、店頭価格に大きな差は出ていません。
そのためこのランキングは、価格ではなく使う量の差をそのまま表しています。
ほかの品目では単価と数量の両方が効くことが多いので、これは珍しい形です。
数字は県庁所在市のもので、県全体の平均ではない
家計調査の品目別ランキングは、各都道府県の県庁所在市(東京都は都区部)で調査された二人以上の世帯の平均です。
灯油ではこの制約がとりわけ大きく効きます。
同じ県でも標高や海からの距離で冬の寒さは大きく変わるためです。
たとえば長野県の数字は長野市のもので、標高の高い地域とは事情が違います。
また集合住宅では灯油を使いにくいため、県庁所在市の住まいの形も数字を左右します。
県の代表値として読むときは幅を持たせてください。
順位の並びがにている記事
1世帯が1年間に使う灯油の金額とよく似た並びになる記事が、当サイトにあるか探しました。
0.82という高い相関を示したのが【ひとりあたりの床面積】全国38平方メートル、差は1.77倍でした。
逆に、ほぼ裏返しの並びになったのが【パスポートの発行・10年推移】2021年に51万件まで落ち、2年で回復(相関-0.8)でした。
これは並びが近いというだけで、片方がもう片方を生んでいるという意味ではありません。
地図を2枚ならべてみてください。
地方のなかで見た灯油への年間支出
| 地方 | 最も多い(円) | 最も少ない(円) |
|---|---|---|
| 東北 | 青森県 92401 | 宮城県 16478 |
| 関東 | 茨城県 15311 | 東京都 2044 |
| 中部 | 長野県 33570 | 愛知県 4135 |
| 近畿 | 三重県 12380 | 大阪府 1805 |
| 中国 | 鳥取県 16182 | 広島県 5535 |
| 四国 | 香川県 9552 | 高知県 4848 |
| 九州 | 佐賀県 8608 | 沖縄県 2203 |
まとめ
47都道府県の灯油への支出を比べると、最も多い青森県は92,401円、最も少ない大阪府は1,805円で、その差は51.19倍でした。
全国平均は15,094円です。
1世帯が1年間に使う灯油の金額の数字を読むときは、3つの点に気をつけてください。
1つ目は、この数字が県庁所在市の二人以上の世帯を対象にしたものであること。
2つ目は、集合住宅では灯油を使いにくいため住まいの形に左右されること。
3つ目は2023年から2025年の3年平均であることです。
雪日数との相関係数はプラス0.87。
上位5道県は、雪日数が100日を超える5道県とぴたりと一致しました。
1リットルあたりの金額は青森県113.1円、大阪府111.4円でほとんど同じです。
差は買う量だけから生まれています。
電気代や雪の日数を比べた記事とあわせて読むと、暖房の選び方の違いが見えてきます。
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出典
- 統計名: 家計調査(二人以上の世帯、品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング)
- 調査年: 2023年〜2025年平均
- 公開元: 総務省統計局
- 参照URL: https://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html
- 備考: 数値は各都道府県の県庁所在市(東京都は都区部)で調査された二人以上の世帯の1年間の平均であり、県全体の平均ではない。灯油の購入量は同じ調査の数量。雪日数は気象庁の平年値(1991〜2020年)による
注記: 数値は各都道府県の県庁所在市(東京都は都区部)で調査された二人以上の世帯の1年間の平均であり、県全体の平均ではない。
灯油の購入量は同じ調査の数量。
雪日数は気象庁の平年値(1991〜2020年)による
