火を消すには水が要ります。
水道につないだ消火栓のほかに、あらかじめ水をためておく防火水槽が各地に置かれています。
地震で水道が止まったときにも使えるため、消火栓とは役割が補い合う関係にあります。
使ったのは総務省統計局「社会・人口統計体系」(2022年)のデータです。
全国54万2,179か所のうち、埼玉県が4万4,659か所で1位。
消火栓の1位が大阪府だったのに対し、防火水槽では埼玉県が1位に立ちます。
同じ消防の水利でも、上位の顔ぶれが入れ替わります。
47都道府県の単純平均
11,536か所
防火水槽の数(2022年)
最も多い 埼玉県
44,659か所
最も少ない 沖縄県
1,297か所
防火水槽が多い5都県
防火水槽が多い上位5都県です。
埼玉県は4万4,659か所、東京都は3万6,419か所、千葉県は2万7,222か所、茨城県は2万4,437か所、神奈川県は2万2,063か所でした。
埼玉県は2位の東京都の1.23倍あります。
6位以下は兵庫県1万9,298か所、愛知県1万8,325か所、静岡県1万7,514か所と続きます。
上位3都県で全国の20.0パーセント、上位5都県で28.6パーセント、上位10都県で44.6パーセント。
関東7都県だけで32.7パーセントを占めます。
消火栓とは上位の顔ぶれが入れ替わります
ここから先は、防火水槽の数がこう分かれる理由についての見立てです。
ほかの指標と突き合わせて立てた推測で、統計そのものが示している事実ではありません。
消火栓とは、上位の顔ぶれがきれいに入れ替わります。
消火栓は大阪府13万5,981か所が1位、兵庫県が3位でした。
防火水槽では埼玉県が1位、大阪府は10位、兵庫県は6位。
かわりに茨城県が4位、静岡県が8位に入ります。
人口10万人あたりで割り直すと、1位は山形県の1,037.8か所、2位は秋田県1,008.0か所、3位は山梨県944.1か所、4位は茨城県870.9か所、5位は長野県827.8か所。
東北と関東北部、中部の内陸が上位に並びます。
逆に人口あたりの下位は沖縄県88.5か所、大阪府178.8か所、神奈川県239.2か所、愛知県245.6か所。
山形県と沖縄県では11.7倍の開きです。
消火栓は水道管の上に置かれ、防火水槽は土地に埋めます。
水道が行き届いた市街地では消火栓、水道の圧力が足りない地域や新しく開発された住宅地では防火水槽が使われるとされます。
この違いが上位の入れ替わりに表れていると考えられますが、この統計から設置の理由までは分かりません。
地方別に人口10万人あたりの平均を出すと、東北6県が759.5か所で最も多く、北海道が247.9か所で最も少なくなります。
実数で見ると順位は変わる
防火水槽が少ない5県
防火水槽が少ない下位5県です。
沖縄県は1,297か所、鳥取県は2,504か所、香川県は2,921か所、高知県は4,500か所、佐賀県は4,528か所でした。
埼玉県の4万4,659か所とは34.4倍の差があります。
沖縄県の1,297か所は、人口10万人あたりでも88.5か所で最下位です。
1位の山形県1,037.8か所とは11.7倍の差があります。
47都道府県の中央値は9,547か所。
平均は1万1,535.7か所なので、平均が中央値の1.2倍にとどまります。
地方別に見る
地方別に合計を出すと、関東が最も大きくなります。
関東7都県が全国の32.7パーセント、中部9県が18.0パーセント、近畿7府県が14.2パーセント、九州・沖縄8県が13.0パーセントと続きます。
少ないほうは東北6県が10.5パーセント、中国5県が6.0パーセント、四国4県が3.4パーセント、北海道が2.3パーセントでした。
関東7都県の32.7パーセントは、埼玉県4万4,659か所、東京都3万6,419か所、千葉県2万7,222か所、茨城県2万4,437か所と複数の都県で支えられています。
人口10万人あたりの平均で見ると順番が変わります。
東北6県が759.5か所で1位、中部9県が592.4か所で2位、九州・沖縄8県が581.1か所で3位。
関東7都県は512.9か所で5位、北海道は247.9か所で最下位でした。
実数で32.7パーセントを占める関東が、人口あたりでは中位にとどまります。
地図で見る
| 項目 | 防火水槽の数 |
|---|---|
| 北海道 | 12,501か所 |
| 青森県 | 7,610か所 |
| 岩手県 | 9,423か所 |
| 宮城県 | 10,157か所 |
| 秋田県 | 9,042か所 |
| 山形県 | 10,492か所 |
| 福島県 | 10,163か所 |
| 茨城県 | 24,437か所 |
| 栃木県 | 10,254か所 |
| 群馬県 | 12,001か所 |
| 埼玉県 | 44,659か所 |
| 千葉県 | 27,222か所 |
| 東京都 | 36,419か所 |
| 神奈川県 | 22,063か所 |
| 新潟県 | 11,962か所 |
| 富山県 | 4,585か所 |
| 石川県 | 5,359か所 |
| 福井県 | 5,649か所 |
| 山梨県 | 7,468か所 |
| 長野県 | 16,449か所 |
| 岐阜県 | 10,254か所 |
| 静岡県 | 17,514か所 |
| 愛知県 | 18,325か所 |
| 三重県 | 9,029か所 |
| 滋賀県 | 6,377か所 |
| 京都府 | 13,143か所 |
| 大阪府 | 15,660か所 |
| 兵庫県 | 19,298か所 |
| 奈良県 | 6,833か所 |
| 和歌山県 | 6,699か所 |
| 鳥取県 | 2,504か所 |
| 島根県 | 4,866か所 |
| 岡山県 | 8,508か所 |
| 広島県 | 11,523か所 |
| 山口県 | 5,162か所 |
| 徳島県 | 4,706か所 |
| 香川県 | 2,921か所 |
| 愛媛県 | 6,091か所 |
| 高知県 | 4,500か所 |
| 福岡県 | 15,347か所 |
| 佐賀県 | 4,528か所 |
| 長崎県 | 9,547か所 |
| 熊本県 | 12,640か所 |
| 大分県 | 7,827か所 |
| 宮崎県 | 6,489か所 |
| 鹿児島県 | 12,676か所 |
| 沖縄県 | 1,297か所 |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは埼玉県、東京都、千葉県、茨城県、神奈川県です。
関東がまとまって濃くなります。
淡いのは沖縄県、鳥取県、香川県、高知県、佐賀県でした。
47都道府県の平均は1万1,535.7か所、中央値は9,547か所です。
埼玉県の4万4,659か所は平均の3.9倍にあたります。
上位3都県で20.0パーセント、1位と47位で34.4倍の開きがありました。
| 順位 | 都道府県 | 防火水槽の数(か所) | 地方 | 人口10万人あたりの防火水槽の数 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 埼玉県 | 44659 | 関東 | 609.1 |
| 2 | 東京都 | 36419 | 関東 | 256.87 |
| 3 | 千葉県 | 27222 | 関東 | 435.48 |
| 4 | 茨城県 | 24437 | 関東 | 870.88 |
| 5 | 神奈川県 | 22063 | 関東 | 239.17 |
| 6 | 兵庫県 | 19298 | 近畿 | 361.59 |
| 7 | 愛知県 | 18325 | 中部 | 245.64 |
| 8 | 静岡県 | 17514 | 中部 | 496.57 |
| 9 | 長野県 | 16449 | 中部 | 827.83 |
| 10 | 大阪府 | 15660 | 近畿 | 178.83 |
| 11 | 福岡県 | 15347 | 九州 | 301.39 |
| 12 | 京都府 | 13143 | 近畿 | 521.55 |
| 13 | 鹿児島県 | 12676 | 九州 | 827.42 |
| 14 | 熊本県 | 12640 | 九州 | 744.84 |
| 15 | 北海道 | 12501 | 北海道 | 247.89 |
| 16 | 群馬県 | 12001 | 関東 | 634.97 |
| 17 | 新潟県 | 11962 | 中部 | 569.89 |
| 18 | 広島県 | 11523 | 中国 | 424.58 |
| 19 | 山形県 | 10492 | 東北 | 1037.78 |
| 20 | 岐阜県 | 10254 | 中部 | 535.18 |
| 20 | 栃木県 | 10254 | 関東 | 543.98 |
| 22 | 福島県 | 10163 | 東北 | 583.08 |
| 23 | 宮城県 | 10157 | 東北 | 451.82 |
| 24 | 長崎県 | 9547 | 九州 | 762.54 |
| 25 | 岩手県 | 9423 | 東北 | 822.97 |
| 26 | 秋田県 | 9042 | 東北 | 1008.03 |
| 27 | 三重県 | 9029 | 近畿 | 527.7 |
| 28 | 岡山県 | 8508 | 中国 | 464.66 |
| 29 | 大分県 | 7827 | 九州 | 721.38 |
| 30 | 青森県 | 7610 | 東北 | 653.22 |
| 31 | 山梨県 | 7468 | 中部 | 944.12 |
| 32 | 奈良県 | 6833 | 近畿 | 531.75 |
| 33 | 和歌山県 | 6699 | 近畿 | 761.25 |
| 34 | 宮崎県 | 6489 | 九州 | 628.17 |
| 35 | 滋賀県 | 6377 | 近畿 | 454.85 |
| 36 | 愛媛県 | 6091 | 四国 | 477.35 |
| 37 | 福井県 | 5649 | 中部 | 764.41 |
| 38 | 石川県 | 5359 | 中部 | 488.07 |
| 39 | 山口県 | 5162 | 中国 | 402.97 |
| 40 | 島根県 | 4866 | 中国 | 757.94 |
| 41 | 徳島県 | 4706 | 四国 | 687.01 |
| 42 | 富山県 | 4585 | 中部 | 459.88 |
| 43 | 佐賀県 | 4528 | 九州 | 574.62 |
| 44 | 高知県 | 4500 | 四国 | 685.98 |
| 45 | 香川県 | 2921 | 四国 | 318.54 |
| 46 | 鳥取県 | 2504 | 中国 | 471.56 |
| 47 | 沖縄県 | 1297 | 九州 | 88.47 |
このグラフについての豆知識
消火栓の4分の1ほど
全国54万2,179か所は、消火栓の195万4,330か所のおよそ4分の1。
消防の水利としては消火栓が主で、防火水槽が補う形になっています。
ただし人口10万人あたりで見ると、消火栓の1位は鳥取県、防火水槽の1位は山形県。
どちらも人口の少ない県が上位に来る点は共通します。
沖縄県だけが桁違いに少ない
沖縄県の1,297か所は、46位の鳥取県2,504か所の半分ほど。
人口10万人あたりでも88.5か所で、46位の大阪府178.8か所の半分です。
消火栓では沖縄県は44位でしたが、防火水槽ではさらに下がります。
地下水位が高く水槽を埋めにくいことや、水道の整備状況が関係している可能性がありますが、この統計からは確かめられません。
数字は2022年のものです。
10年前とくらべると
全国の防火水槽の数は、2012年の520,097か所から2022年の542,179か所へ、この10年で4%増えました。
10年前も先頭は埼玉県です。
顔ぶれは変わりませんでした。
県別では沖縄県の25%増が最大です。
順位の並びがにている記事
同じ形の地図になる記事はあるでしょうか。
防火水槽の数の順位で探してみます。
0.93という高い相関を示したのが【一人で営む事業主】全国379万9,992人、人口あたりでは長野県が最多でした。
反対に、並びがいちばん逆だったのは【スーパーの数】が多いのは大都市ではありませんでした、人口あたりで比較(順位相関-0.65)です。
似ているからといって理由が同じとはかぎりません。
それでも、2つを重ねると土地の性格が見えてくることがあります。
地方のなかで見た防火水槽の数
| 地方 | 最も多い(か所) | 最も少ない(か所) |
|---|---|---|
| 東北 | 山形県 10492 | 青森県 7610 |
| 関東 | 埼玉県 44659 | 栃木県 10254 |
| 中部 | 愛知県 18325 | 富山県 4585 |
| 近畿 | 兵庫県 19298 | 滋賀県 6377 |
| 中国 | 広島県 11523 | 鳥取県 2504 |
| 四国 | 愛媛県 6091 | 香川県 2921 |
| 九州 | 福岡県 15347 | 沖縄県 1297 |
まとめ
防火水槽の数を47都道府県で比べると、最も多い埼玉県で4万4,659か所、最も少ない沖縄県で1,297か所でした。
消火栓の1位は大阪府でしたから、同じ消防の水利でも1位が入れ替わります。
防火水槽の数の統計を読むときの注意点は3つです。
1つ目は、消火栓は別に集計されること。
2つ目は、水槽の大きさは問わないこと。
3つ目は2022年の数字であることです。
人口10万人あたりでは山形県1,037.8か所が1位、沖縄県88.5か所が47位で11.7倍の開き。
東北と関東北部、中部の内陸が上位に並びます。
全国54万2,179か所は消火栓195万4,330か所のおよそ4分の1でした。
消火栓や消防署の数を比べた記事とあわせて読んでみてください。
関連記事
- 【消火栓の数】全国195万4,330か所、1位と2位の差は1,431か所
- 【消防署の数】全国5,524署、人口9位の道が1位に立ちました
- 【消防団・分団の数】全国24,035団、1位と2位の差は8団だけ
- 【消防車の数】全国9万台、2位は福島県・3位は新潟県という並び
- 【消防団員の数】全国74万人、1位は東京でも北海道でもなく兵庫県
出典
- 統計名: 社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)
- 調査年: 2022年
- 公開元: 総務省統計局
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/regional-statistics/ssdsview/prefectures
- 備考: 指標コードK1109(防火水槽数)の2022年の値。人口10万人あたりは2024年の総人口で割った参考値
注記: 指標コードK1109(防火水槽数)の2022年の値。
人口10万人あたりは2024年の総人口で割った参考値
