国が指定する史跡・名勝・天然記念物は、遺跡や庭園、珍しい地形や生きものなど、守るべき土地や自然を対象にしています。
古い都のあった県が上位に来ますが、1位と47位の差は5倍ほどで、この一連の記事のなかでは差の小さい指標です。
使ったのは総務省統計局「社会・人口統計体系」(2024年)のデータです。
全国3,118件のうち、奈良県が149件で1位。
ただし1位と47位の差は5.0倍しかなく、この一連の記事のなかでも差の小さい指標です。
47都道府県の単純平均
66件
史跡名勝天然記念物の指定件数(2024年)
最も多い 奈良県
149件
最も少ない 秋田県
30件
地方でまとめると、近畿が四国の2.5倍
地方別に合計を出すと、近畿が最も大きくなります。
近畿7府県が全国の20.8パーセント、九州・沖縄8県が19.3パーセント、中部9県が17.2パーセント、関東7都県が12.7パーセントと続きます。
少ないほうは中国5県が11.5パーセント、東北6県が10.9パーセント、四国4県が4.7パーセント、北海道が3.0パーセントでした。
8地方のうち6地方が10パーセントを超えます。
特定の地方に寄らない、めずらしい形です。
人口10万人あたりの平均で見ると順番が変わります。
中国5県が7.4件で1位、九州・沖縄8県が5.1件で2位、近畿7府県が5.0件で3位。
関東7都県は1.5件で最下位でした。
地図で見ると、上位5県は地方がばらける
| 項目 | 史跡名勝天然記念物の指定件数 |
|---|---|
| 北海道 | 92件 |
| 青森県 | 38件 |
| 岩手県 | 75件 |
| 宮城県 | 68件 |
| 秋田県 | 30件 |
| 山形県 | 48件 |
| 福島県 | 80件 |
| 茨城県 | 42件 |
| 栃木県 | 47件 |
| 群馬県 | 75件 |
| 埼玉県 | 37件 |
| 千葉県 | 49件 |
| 東京都 | 76件 |
| 神奈川県 | 71件 |
| 新潟県 | 69件 |
| 富山県 | 34件 |
| 石川県 | 47件 |
| 福井県 | 47件 |
| 山梨県 | 50件 |
| 長野県 | 65件 |
| 岐阜県 | 72件 |
| 静岡県 | 84件 |
| 愛知県 | 68件 |
| 三重県 | 65件 |
| 滋賀県 | 81件 |
| 京都府 | 142件 |
| 大阪府 | 81件 |
| 兵庫県 | 75件 |
| 奈良県 | 149件 |
| 和歌山県 | 54件 |
| 鳥取県 | 50件 |
| 島根県 | 94件 |
| 岡山県 | 71件 |
| 広島県 | 51件 |
| 山口県 | 92件 |
| 徳島県 | 32件 |
| 香川県 | 40件 |
| 愛媛県 | 43件 |
| 高知県 | 31件 |
| 福岡県 | 128件 |
| 佐賀県 | 37件 |
| 長崎県 | 68件 |
| 熊本県 | 70件 |
| 大分県 | 72件 |
| 宮崎県 | 67件 |
| 鹿児島県 | 70件 |
| 沖縄県 | 91件 |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは奈良県、京都府、福岡県、島根県です。
次いで北海道、山口県、沖縄県が続きます。
近畿と山陰、九州北部が濃く、そこに沖縄県が加わる形です。
全体としては色の差が小さい地図になります。
47都道府県の平均は66.3件、中央値は68件です。
奈良県の149件は平均の2.2倍にあたります。
上位3府県で13.4パーセント、1位と47位で5.0倍の開きがありました。
| 順位 | 都道府県 | 史跡名勝天然記念物の指定件数(件) | 地方 | 人口10万人あたりの史跡名勝天然記念物の指定件数 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 奈良県 | 149 | 近畿 | 11.6 |
| 2 | 京都府 | 142 | 近畿 | 5.63 |
| 3 | 福岡県 | 128 | 九州 | 2.51 |
| 4 | 島根県 | 94 | 中国 | 14.64 |
| 5 | 山口県 | 92 | 中国 | 7.18 |
| 5 | 北海道 | 92 | 北海道 | 1.82 |
| 7 | 沖縄県 | 91 | 九州 | 6.21 |
| 8 | 静岡県 | 84 | 中部 | 2.38 |
| 9 | 滋賀県 | 81 | 近畿 | 5.78 |
| 9 | 大阪府 | 81 | 近畿 | 0.92 |
| 11 | 福島県 | 80 | 東北 | 4.59 |
| 12 | 東京都 | 76 | 関東 | 0.54 |
| 13 | 岩手県 | 75 | 東北 | 6.55 |
| 13 | 群馬県 | 75 | 関東 | 3.97 |
| 13 | 兵庫県 | 75 | 近畿 | 1.41 |
| 16 | 岐阜県 | 72 | 中部 | 3.76 |
| 16 | 大分県 | 72 | 九州 | 6.64 |
| 18 | 岡山県 | 71 | 中国 | 3.88 |
| 18 | 神奈川県 | 71 | 関東 | 0.77 |
| 20 | 熊本県 | 70 | 九州 | 4.12 |
| 20 | 鹿児島県 | 70 | 九州 | 4.57 |
| 22 | 新潟県 | 69 | 中部 | 3.29 |
| 23 | 愛知県 | 68 | 中部 | 0.91 |
| 23 | 宮城県 | 68 | 東北 | 3.02 |
| 23 | 長崎県 | 68 | 九州 | 5.43 |
| 26 | 宮崎県 | 67 | 九州 | 6.49 |
| 27 | 三重県 | 65 | 近畿 | 3.8 |
| 27 | 長野県 | 65 | 中部 | 3.27 |
| 29 | 和歌山県 | 54 | 近畿 | 6.14 |
| 30 | 広島県 | 51 | 中国 | 1.88 |
| 31 | 山梨県 | 50 | 中部 | 6.32 |
| 31 | 鳥取県 | 50 | 中国 | 9.42 |
| 33 | 千葉県 | 49 | 関東 | 0.78 |
| 34 | 山形県 | 48 | 東北 | 4.75 |
| 35 | 石川県 | 47 | 中部 | 4.28 |
| 35 | 栃木県 | 47 | 関東 | 2.49 |
| 35 | 福井県 | 47 | 中部 | 6.36 |
| 38 | 愛媛県 | 43 | 四国 | 3.37 |
| 39 | 茨城県 | 42 | 関東 | 1.5 |
| 40 | 香川県 | 40 | 四国 | 4.36 |
| 41 | 青森県 | 38 | 東北 | 3.26 |
| 42 | 佐賀県 | 37 | 九州 | 4.7 |
| 42 | 埼玉県 | 37 | 関東 | 0.5 |
| 44 | 富山県 | 34 | 中部 | 3.41 |
| 45 | 徳島県 | 32 | 四国 | 4.67 |
| 46 | 高知県 | 31 | 四国 | 4.73 |
| 47 | 秋田県 | 30 | 東北 | 3.34 |
史跡名勝天然記念物が多い5道府県
史跡名勝天然記念物が多い上位5道府県です。
奈良県は149件、京都府は142件、福岡県は128件、島根県は94件、北海道は92件でした。
奈良県は2位の京都府の1.05倍で、ほとんど並んでいます。
6位以下は山口県92件、沖縄県91件、静岡県84件と続きます。
上位3府県で全国の13.4パーセント、上位5道府県で19.4パーセント、上位10道府県で33.2パーセント。
1位のシェアは4.8パーセントにとどまります。
重要文化財とは、まったく違う並びになります
なぜこういう並びになるのか、ここからは考えてみます。
以下は史跡名勝天然記念物の指定件数の統計から直接読み取れることではなく、別の数字と照らして立てた推測です。
重要文化財とは、上位の顔ぶれが大きく違います。
重要文化財では東京都が2,862件で1位、近畿7府県が45.6パーセントを占めていました。
史跡名勝天然記念物では東京都は12位、近畿7府県も20.8パーセントにとどまります。
かわりに福岡県が3位、島根県が4位、沖縄県が7位に入ります。
重要文化財は建物や美術品が対象で、博物館の所蔵品も所在地で数えます。
史跡名勝天然記念物は土地そのものが対象なので、動かせません。
この違いが並びに出ていると考えられます。
人口10万人あたりで割り直すと、1位は島根県の14.6件、2位は奈良県11.6件、3位は鳥取県9.4件。
逆に埼玉県0.5件、東京都0.5件、神奈川県0.8件、千葉県0.8件と大都市が下位に並びます。
島根県と埼玉県では29倍の開きです。
地方別に見ると、近畿7府県が20.8パーセント、九州・沖縄8県が19.3パーセント、中部9県が17.2パーセント。
関東7都県は12.7パーセントで4番目にとどまります。
重要文化財で27.3パーセントを占めていた関東が、ここでは下がります。
地方別に人口10万人あたりの平均を出すと、中国5県が7.4件で最も多く、関東7都県が1.5件で最も少なくなります。
実数で見ると順位は変わる
史跡名勝天然記念物が少ない5県
史跡名勝天然記念物が少ない下位5県です。
秋田県は30件、高知県は31件、徳島県は32件、富山県は34件、佐賀県は37件でした。
奈良県の149件とは5.0倍の差しかありません。
5.0倍という開きは、この一連の記事のなかでもきわめて小さい数字です。
重要文化財は114.5倍でしたから、同じ文化財でも指定の考え方がまるで違うことになります。
47都道府県の中央値は68件。
平均は66.3件なので、平均が中央値をわずかに下回ります。
上位への偏りがほとんどない、めずらしい分布です。
1位は奈良県。この統計で分かること、分からないこと
土地そのものが対象
史跡名勝天然記念物は、遺跡や庭園、景勝地、動植物の生息地など、土地や自然そのものを指定するものです。
建物や美術品を対象とする重要文化財とは別の枠になります。
動かせないため、指定件数はその土地の歴史や自然のありようをそのまま映します。
博物館の集まる都市に偏らないのは、そのためと考えられます。
差が5.0倍しかない
1位の奈良県149件と47位の秋田県30件で5.0倍。
この一連の記事で扱ってきた指標のなかでも、群を抜いて差が小さい数字です。
中央値68件が平均66.3件をわずかに上回るのも、上位への偏りがないことを示します。
どの都道府県にも、それなりの数の史跡や名勝があるということになります。
数字は2024年のものです。
10年前とくらべると
全国の史跡名勝天然記念物の指定件数は、2014年の2,882件から2024年の3,118件へ、この10年で8%増えました。
2014年の時点でも1位は奈良県でした。
この10年、順位は動いていません。
県別では埼玉県の28%増が最大です。
地方のなかで見た史跡名勝天然記念物の指定件数
| 地方 | 最も多い(件) | 最も少ない(件) |
|---|---|---|
| 東北 | 福島県 80 | 秋田県 30 |
| 関東 | 東京都 76 | 埼玉県 37 |
| 中部 | 静岡県 84 | 富山県 34 |
| 近畿 | 奈良県 149 | 和歌山県 54 |
| 中国 | 島根県 94 | 鳥取県 50 |
| 四国 | 愛媛県 43 | 高知県 31 |
| 九州 | 福岡県 128 | 佐賀県 37 |
まとめ
史跡名勝天然記念物の指定件数を47都道府県で比べると、最も多い奈良県で149件、最も少ない秋田県で30件でした。
1位と47位の差は5.0倍しかありません。
史跡名勝天然記念物の指定件数の順位を見るときは、次の3点をあわせて見てください。
1つ目は、土地や自然そのものを対象とすること。
2つ目は、重要文化財とは別の枠であること。
3つ目は2024年の数字であることです。
重要文化財で1位だった東京都は、ここでは12位。
かわりに福岡県が3位、島根県が4位、沖縄県が7位に入ります。
人口10万人あたりでは島根県14.6件が1位、埼玉県0.5件が47位。
中央値68件が平均66.3件を上回る、偏りのない分布でした。
重要文化財や国立公園の面積を比べた記事とあわせて読んでみてください。
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出典
- 統計名: 社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)
- 調査年: 2024年
- 公開元: 総務省統計局
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/regional-statistics/ssdsview/prefectures
- 備考: 指標コードG4102(史跡名勝天然記念物指定件数)の2024年の値。人口10万人あたりは2024年の総人口で割った参考値
注記: 指標コードG4102(史跡名勝天然記念物指定件数)の2024年の値。
人口10万人あたりは2024年の総人口で割った参考値
