この記事では、空き家の数が10年でどう変わったかを47都道府県で比べます。
2013年と2023年の空き家数を比べた変化率です。
使うのは総務省統計局の社会・人口統計体系。
全国は819万5,600戸から900万1,600戸へ、80万6,000戸増えました。
増えたのが44都道府県、減ったのが3県で、ほとんどの県で空き家は増えています。
47都道府県の単純平均
14.8%
空き家数の10年変化率(2013年と2023年の比較)
最も多い 宮城県
44.8%
最も少ない 埼玉県
-6.9%
増え方が大きかった5県
増え方が大きかった上位5県です。
宮城県はプラス44.79パーセント、福島県はプラス42.70パーセント、山形県はプラス33.84パーセント、岩手県はプラス31.59パーセント、徳島県はプラス29.69パーセントでした。
上位4県はいずれも東北です。
6位以下は大分県プラス28.48パーセント、鹿児島県プラス25.05パーセント、富山県プラス24.02パーセントと続きます。
20パーセント以上増えたのは16県。
東北6県はすべてここに入りました。
ただし、この並びには起点の年のとり方が効いています。
くわしくは考察のところで見ていきます。
東北が上位に並ぶのは、起点の年に理由があります
以下は、10年間の空き家数の変化にこれだけの差がつく理由についての推測です。
統計から確かめられる話ではなく、ほかの指標との突き合わせから考えたものです。
上位4県がそろって東北という並びは、そのまま「東北で空き家が急増した10年」と読みたくなります。
ただ、もう少し長い期間を見ると別の姿になります。
宮城県の空き家数は2008年に13万8,400戸ありました。
それが2013年に9万6,900戸まで減り、2018年に13万500戸、2023年に14万300戸と戻っています。
2008年と2023年で比べると、宮城県の増え方はプラス1.4パーセントにすぎません。
この記事が起点にした2013年は、東日本大震災の2年後にあたります。
住宅が失われ、多くの人が避難していた時期の数字が起点になったため、そこからの回復が大きな伸び率として出ている、と読むのが自然でしょう。
福島県も似た形です。
2008年10万5,000戸、2013年9万1,800戸、2023年13万1,000戸。
2008年からの15年で見るとプラス24.8パーセントで、全国平均並みの伸びになります。
東北6県を合計しても、2008年の50万8,200戸が2013年に44万8,900戸へ減り、2023年に60万1,700戸まで増えました。
起点を動かすだけで順位が変わる指標だということです。
統計を読むときに、いつと比べているかが結論を左右する例になります。
東北を別にしても、空き家が増えやすい県の傾向ははっきり出ています。
10年の変化率と人口増減率の相関係数はマイナス0.63、65歳以上人口割合とはプラス0.58、出生数の変化率とはマイナス0.55。
人が減って高齢化が進んだ県ほど、空き家が増えているという関係です。
実数で見ると景色が変わります。
10年で増えた戸数がいちばん多いのは東京都のプラス7万9,400戸、次いで北海道プラス6万3,700戸、宮城県プラス4万3,400戸。
率では31位の東京都が、戸数では最も大きく増えています。
減った県と増え方が小さかった5都県
減った県と、増え方が小さかった下位5都県です。
埼玉県はマイナス6.93パーセント、山梨県はマイナス6.14パーセント、神奈川県はマイナス4.03パーセント、愛知県はプラス2.61パーセント、京都府はプラス2.91パーセントでした。
宮城県のプラス44.79パーセントとは51.72ポイントの差があります。
空き家が減ったのは埼玉県、山梨県、神奈川県の3県だけです。
埼玉県は35万5,000戸から33万400戸へ2万4,600戸減りました。
全国が80万戸増えるなかで、逆を向いた数少ない県になります。
増え方が5パーセント未満にとどまったのは9都府県。
人口の多い都府県が中心です。
戸数そのものが最も少ないのは鳥取県の4万1,300戸で、福井県5万3,100戸、佐賀県5万3,300戸と続きます。
地方別に見る10年の変化
地方別に平均を出すと、東北が最も大きくなります。
東北6県がプラス32.90パーセント、四国4県がプラス18.38パーセント、北海道がプラス16.41パーセント、九州・沖縄8県がプラス16.40パーセントと続きます。
増え方が小さいほうは中国5県がプラス15.34パーセント、中部9県がプラス11.34パーセント、近畿7府県がプラス9.14パーセント、関東7都県がプラス4.85パーセントでした。
東北と関東では28.05ポイントの差があります。
東北6県のプラス32.90パーセントは、2位の四国4県に14.51ポイントの差をつけた数字です。
ただし前に見たとおり、起点の2013年が震災直後にあたる点は割り引いて読む必要があります。
関東7都県のプラス4.85パーセントは8地方で最も小さい数字です。
空き家が減った3県のうち埼玉県と神奈川県がここに含まれます。
地図で見る10年の変化
| 項目 | 空き家数の10年変化率 |
|---|---|
| 北海道 | 16.4% |
| 青森県 | 21.7% |
| 岩手県 | 31.6% |
| 宮城県 | 44.8% |
| 秋田県 | 22.8% |
| 山形県 | 33.8% |
| 福島県 | 42.7% |
| 茨城県 | 6.2% |
| 栃木県 | 14.2% |
| 群馬県 | 7.5% |
| 埼玉県 | -6.9% |
| 千葉県 | 7.3% |
| 東京都 | 9.7% |
| 神奈川県 | -4.0% |
| 新潟県 | 17.7% |
| 富山県 | 24.0% |
| 石川県 | 12.4% |
| 福井県 | 23.5% |
| 山梨県 | -6.1% |
| 長野県 | 7.5% |
| 岐阜県 | 11.2% |
| 静岡県 | 9.4% |
| 愛知県 | 2.6% |
| 三重県 | 11.1% |
| 滋賀県 | 4.9% |
| 京都府 | 2.9% |
| 大阪府 | 3.4% |
| 兵庫県 | 8.5% |
| 奈良県 | 10.8% |
| 和歌山県 | 22.4% |
| 鳥取県 | 15.0% |
| 島根県 | 21.9% |
| 岡山県 | 12.2% |
| 広島県 | 4.6% |
| 山口県 | 23.0% |
| 徳島県 | 29.7% |
| 香川県 | 13.1% |
| 愛媛県 | 18.0% |
| 高知県 | 12.8% |
| 福岡県 | 5.8% |
| 佐賀県 | 23.1% |
| 長崎県 | 11% |
| 熊本県 | 10.7% |
| 大分県 | 28.5% |
| 宮崎県 | 22.2% |
| 鹿児島県 | 25.1% |
| 沖縄県 | 4.8% |
| 項目 | 全国の空き家数 |
|---|---|
| 2013年 | 8,195,600% |
| 2018年 | 8,488,600% |
| 2023年 | 9,001,600% |
日本地図で見ると、色が濃く出る(増え方が大きい)のは東北全域と徳島県、大分県、鹿児島県です。
淡い(増え方が小さい)のは首都圏と愛知県、大阪府、京都府でした。
47都道府県の単純平均はプラス14.79パーセント、中央値はプラス12.35パーセントです。
全国値のプラス9.83パーセントより大きいのは、戸数の多い都府県ほど増え方が小さいためです。
20パーセント以上増えたのは16県、減ったのは3県。
1位と47位で51.72ポイントの幅がありました。
| 順位 | 都道府県 | 空き家数の10年変化率(%) | 地方 | 2023年の空き家数 | 2013年の空き家数 | 10年間の増減数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 宮城県 | 44.79 | 東北 | 140300 | 96900 | 43400 |
| 2 | 福島県 | 42.7 | 東北 | 131000 | 91800 | 39200 |
| 3 | 山形県 | 33.84 | 東北 | 61700 | 46100 | 15600 |
| 4 | 岩手県 | 31.59 | 東北 | 100400 | 76300 | 24100 |
| 5 | 徳島県 | 29.69 | 四国 | 83000 | 64000 | 19000 |
| 6 | 大分県 | 28.48 | 九州 | 115500 | 89900 | 25600 |
| 7 | 鹿児島県 | 25.05 | 九州 | 184200 | 147300 | 36900 |
| 8 | 富山県 | 24.02 | 中部 | 69700 | 56200 | 13500 |
| 9 | 福井県 | 23.49 | 中部 | 53100 | 43000 | 10100 |
| 10 | 佐賀県 | 23.09 | 九州 | 53300 | 43300 | 10000 |
| 11 | 山口県 | 22.99 | 中国 | 140700 | 114400 | 26300 |
| 12 | 秋田県 | 22.79 | 東北 | 69500 | 56600 | 12900 |
| 13 | 和歌山県 | 22.44 | 近畿 | 105300 | 86000 | 19300 |
| 14 | 宮崎県 | 22.24 | 九州 | 90700 | 74200 | 16500 |
| 15 | 島根県 | 21.88 | 中国 | 54600 | 44800 | 9800 |
| 16 | 青森県 | 21.67 | 東北 | 98800 | 81200 | 17600 |
| 17 | 愛媛県 | 17.99 | 四国 | 145600 | 123400 | 22200 |
| 18 | 新潟県 | 17.65 | 中部 | 155300 | 132000 | 23300 |
| 19 | 北海道 | 16.41 | 北海道 | 451900 | 388200 | 63700 |
| 20 | 鳥取県 | 15.04 | 中国 | 41300 | 35900 | 5400 |
| 21 | 栃木県 | 14.16 | 関東 | 163700 | 143400 | 20300 |
| 22 | 香川県 | 13.1 | 四国 | 91500 | 80900 | 10600 |
| 23 | 高知県 | 12.75 | 四国 | 78700 | 69800 | 8900 |
| 24 | 石川県 | 12.35 | 中部 | 86400 | 76900 | 9500 |
| 25 | 岡山県 | 12.21 | 中国 | 157200 | 140100 | 17100 |
| 26 | 岐阜県 | 11.24 | 中部 | 148400 | 133400 | 15000 |
| 27 | 三重県 | 11.05 | 近畿 | 142700 | 128500 | 14200 |
| 28 | 長崎県 | 11.0 | 九州 | 113000 | 101800 | 11200 |
| 29 | 奈良県 | 10.77 | 近畿 | 93600 | 84500 | 9100 |
| 30 | 熊本県 | 10.71 | 九州 | 127100 | 114800 | 12300 |
| 31 | 東京都 | 9.72 | 関東 | 896500 | 817100 | 79400 |
| 32 | 静岡県 | 9.38 | 中部 | 296300 | 270900 | 25400 |
| 33 | 兵庫県 | 8.53 | 近畿 | 386900 | 356500 | 30400 |
| 34 | 長野県 | 7.47 | 中部 | 208500 | 194000 | 14500 |
| 35 | 群馬県 | 7.46 | 関東 | 161300 | 150100 | 11200 |
| 36 | 千葉県 | 7.33 | 関東 | 394100 | 367200 | 26900 |
| 37 | 茨城県 | 6.23 | 関東 | 196200 | 184700 | 11500 |
| 38 | 福岡県 | 5.84 | 九州 | 335300 | 316800 | 18500 |
| 39 | 滋賀県 | 4.88 | 近畿 | 81600 | 77800 | 3800 |
| 40 | 沖縄県 | 4.81 | 九州 | 65400 | 62400 | 3000 |
| 41 | 広島県 | 4.56 | 中国 | 231400 | 221300 | 10100 |
| 42 | 大阪府 | 3.4 | 近畿 | 701900 | 678800 | 23100 |
| 43 | 京都府 | 2.91 | 近畿 | 180400 | 175300 | 5100 |
| 44 | 愛知県 | 2.61 | 中部 | 433000 | 422000 | 11000 |
| 45 | 神奈川県 | -4.03 | 関東 | 467100 | 486700 | -19600 |
| 46 | 山梨県 | -6.14 | 中部 | 87200 | 92900 | -5700 |
| 47 | 埼玉県 | -6.93 | 関東 | 330400 | 355000 | -24600 |
このグラフについての豆知識
15年で143万戸増えた
全国の空き家数は2008年の756万7,900戸から2023年の900万1,600戸へ、143万3,700戸増えました。
途中は2013年819万5,600戸、2018年848万8,600戸です。
5年ごとの住宅・土地統計調査にもとづく数字で、一度も減っていません。
2023年に最も戸数が多いのは東京都の89万6,500戸。
最も少ない鳥取県の4万1,300戸とは21.7倍の開きがあります。
賃貸用の空き家も含む
この指標の空き家には、放置された家だけでなく、賃貸用や売却用として市場に出ている住宅、別荘などの二次的住宅も含まれます。
入居者を募集中のアパートの空室も空き家です。
ですから、この数字をそのまま「使われずに傷んでいる家の数」と読むことはできません。
都市部で戸数が多いのは、賃貸物件の空室が多いためでもあります。
数字は2013年と2023年の比較です。
地方のなかで見た空き家数の10年変化率
| 地方 | 最も多い(%) | 最も少ない(%) |
|---|---|---|
| 東北 | 宮城県 44.79 | 青森県 21.67 |
| 関東 | 栃木県 14.16 | 埼玉県 -6.93 |
| 中部 | 富山県 24.02 | 山梨県 -6.14 |
| 近畿 | 和歌山県 22.44 | 京都府 2.91 |
| 中国 | 山口県 22.99 | 広島県 4.56 |
| 四国 | 徳島県 29.69 | 高知県 12.75 |
| 九州 | 大分県 28.48 | 沖縄県 4.81 |
まとめ
空き家の数の10年変化を比べると、増え方が最も大きい宮城県でプラス44.79パーセント、最も減った埼玉県でマイナス6.93パーセントでした。
全国は80万6,000戸増、増えたのが44都道府県です。
10年間の空き家数の変化の数字を受け取る前に、3つ添えておきます。
1つ目は、賃貸用や売却用の空き家も含むこと。
2つ目は5年ごとの住宅・土地統計調査にもとづくこと。
3つ目は2013年と2023年の比較であることです。
上位に東北が並ぶのは、起点の2013年が東日本大震災の2年後にあたるためです。
宮城県は2008年と2023年で比べるとプラス1.4パーセントにとどまります。
人口増減率との相関係数はマイナス0.63で、人が減った県ほど空き家が増えるという関係は確かにありました。
空き家率や持ち家率を比べた記事とあわせて読んでみてください。
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出典
- 統計名: 社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)
- 調査年: 2013年と2023年の比較
- 公開元: 総務省統計局
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/regional-statistics/ssdsview/prefectures
- 備考: 指標コードH110202(空き家数)を2013年と2023年で比べた。住宅・土地統計調査にもとづく数字で5年ごとの公表。賃貸用・売却用の空き家も含む。e-Stat APIで取得した値をそのまま使用
注記: 指標コードH110202(空き家数)を2013年と2023年で比べた。
住宅・土地統計調査にもとづく数字で5年ごとの公表。
賃貸用・売却用の空き家も含む。
e-Stat APIで取得した値をそのまま使用
