刑法犯の認知件数が10年でどう変わったかを、47都道府県で並べて比べます。
2013年と2023年の比較です。
使うのは総務省統計局の社会・人口統計体系。
全国は131万4,140件から70万3,351件へ、46.5パーセント減りました。
ただし年ごとに追うと、直近2年は増えています。
47都道府県の単純平均
-45.7%
刑法犯認知件数の10年変化率(2013年と2023年の比較)
最も多い 沖縄県
-15.7%
最も少ない 京都府
-62.8%
減り方が小さかった5県
減り方が小さかった上位5県です。
沖縄県はマイナス15.67パーセント、青森県はマイナス26.09パーセント、鹿児島県はマイナス27.54パーセント、群馬県はマイナス29.19パーセント、富山県はマイナス29.48パーセントでした。
47都道府県すべてで減っています。
6位以下は香川県マイナス30.92パーセント、石川県マイナス36.17パーセント、栃木県マイナス36.95パーセントと続きます。
沖縄県のマイナス15.67パーセントは、2位の青森県とも10ポイント以上開いています。
2021年を底に、2年続けて増えている
数字を並べるところまでが統計の仕事で、ここから先は解釈になります。
10年間の刑法犯認知件数の変化の分布について、ほかの指標と突き合わせて立てた推測を書きます。
事実として確かめたものではありません。
この記事でいちばん大事なのは、10年の変化率ではなく年ごとの動きかもしれません。
全国の推移を見ると、2013年の131万4,140件から2021年の56万8,104件まで一貫して減り続けました。
ところがそこが底で、2022年は60万1,331件、2023年は70万3,351件と2年続けて増えています。
2年で13万5千件の増加です。
10年で46.5パーセント減という数字だけを見ると減少が続いているように読めますが、直近の動きは逆を向いています。
人口密度との相関係数はプラス0.02。
都市か地方かでは説明がつきませんでした。
減り方が小さい沖縄県・青森県・鹿児島県と、大きい京都府・山口県・和歌山県のあいだに、人口や都市の規模による共通点は見つかりません。
ここで強調しておきたいのは、認知件数が「警察が把握した件数」だということです。
届け出のされ方や警察の認知の運用によっても動きます。
件数が減ったことをそのまま「安全になった」と読むことはできませんし、増えたことを「危なくなった」と読むこともできません。
地方別では近畿7府県がマイナス52.1パーセントで最も大きく、関東7都県がマイナス41.5パーセントで最も小さい。
10.6ポイントの差でした。
減り方が大きかった5府県
減り方が大きかった下位5府県です。
京都府はマイナス62.79パーセント、山口県はマイナス59.33パーセント、和歌山県はマイナス55.78パーセント、島根県はマイナス55.33パーセント、山梨県はマイナス54.90パーセントでした。
沖縄県のマイナス15.67パーセントとは47.12ポイントの差があります。
京都府のマイナス62.79パーセントは、10年で件数が3分の1近くまで減った計算になります。
近畿7府県はマイナス52.1パーセントで地方別でも最大でした。
50パーセント以上減ったのは18府県。
近畿と中国、四国に多く分布しています。
全国の減少数は61万789件。
ただし2021年を底に、そこから13万5千件戻しています。
地図で見る10年の変化
| 項目 | 刑法犯認知件数の10年変化率 |
|---|---|
| 北海道 | -45.9% |
| 青森県 | -26.1% |
| 岩手県 | -50.4% |
| 宮城県 | -40.2% |
| 秋田県 | -39.5% |
| 山形県 | -51.8% |
| 福島県 | -45.2% |
| 茨城県 | -43.6% |
| 栃木県 | -37.0% |
| 群馬県 | -29.2% |
| 埼玉県 | -41% |
| 千葉県 | -51.8% |
| 東京都 | -45.2% |
| 神奈川県 | -43.0% |
| 新潟県 | -49.9% |
| 富山県 | -29.5% |
| 石川県 | -36.2% |
| 福井県 | -46.3% |
| 山梨県 | -54.9% |
| 長野県 | -47.5% |
| 岐阜県 | -46.7% |
| 静岡県 | -46.9% |
| 愛知県 | -51.6% |
| 三重県 | -49.5% |
| 滋賀県 | -49.7% |
| 京都府 | -62.8% |
| 大阪府 | -47.1% |
| 兵庫県 | -47.2% |
| 奈良県 | -52.6% |
| 和歌山県 | -55.8% |
| 鳥取県 | -50.9% |
| 島根県 | -55.3% |
| 岡山県 | -53.4% |
| 広島県 | -37.2% |
| 山口県 | -59.3% |
| 徳島県 | -54.1% |
| 香川県 | -30.9% |
| 愛媛県 | -49.9% |
| 高知県 | -51.3% |
| 福岡県 | -50.2% |
| 佐賀県 | -50.1% |
| 長崎県 | -48.3% |
| 熊本県 | -51.9% |
| 大分県 | -52.4% |
| 宮崎県 | -47.3% |
| 鹿児島県 | -27.5% |
| 沖縄県 | -15.7% |
| 項目 | 全国の刑法犯認知件数 |
|---|---|
| 2008年 | 1,826,500% |
| 2009年 | 1,713,832% |
| 2010年 | 1,604,019% |
| 2011年 | 1,502,951% |
| 2012年 | 1,403,167% |
| 2013年 | 1,314,140% |
| 2014年 | 1,212,163% |
| 2015年 | 1,098,969% |
| 2016年 | 996,120% |
| 2017年 | 915,042% |
| 2018年 | 817,338% |
| 2019年 | 748,559% |
| 2020年 | 614,231% |
| 2021年 | 568,104% |
| 2022年 | 601,331% |
| 2023年 | 703,351% |
日本地図で見ると、色が濃い(減り方が小さい)のは沖縄県と青森県、鹿児島県、北関東。
淡い(減り方が大きい)のは近畿と中国地方でした。
47都道府県の単純平均はマイナス45.74パーセント、中央値はマイナス47.47パーセントです。
全国値のマイナス46.48パーセントに近く、人口による偏りの小さい指標だと分かります。
50パーセント以上減ったのは18府県、30パーセント未満だったのは5県。
真ん中に多くの県が集まる分布でした。
| 順位 | 都道府県 | 刑法犯認知件数の10年変化率(%) | 地方 | 2023年の刑法犯認知件数 | 2013年の刑法犯認知件数 | 10年間の増減数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 沖縄県 | -15.67 | 九州 | 9124 | 10820 | -1696 |
| 2 | 青森県 | -26.09 | 東北 | 4815 | 6515 | -1700 |
| 3 | 鹿児島県 | -27.54 | 九州 | 6721 | 9276 | -2555 |
| 4 | 群馬県 | -29.19 | 関東 | 13326 | 18820 | -5494 |
| 5 | 富山県 | -29.48 | 中部 | 4501 | 6383 | -1882 |
| 6 | 香川県 | -30.92 | 四国 | 5761 | 8340 | -2579 |
| 7 | 石川県 | -36.17 | 中部 | 4775 | 7481 | -2706 |
| 8 | 栃木県 | -36.95 | 関東 | 11932 | 18924 | -6992 |
| 9 | 広島県 | -37.2 | 中国 | 14188 | 22592 | -8404 |
| 10 | 秋田県 | -39.5 | 東北 | 2403 | 3972 | -1569 |
| 11 | 宮城県 | -40.19 | 東北 | 11583 | 19367 | -7784 |
| 12 | 埼玉県 | -41.0 | 関東 | 49653 | 84154 | -34501 |
| 13 | 神奈川県 | -43.03 | 関東 | 43846 | 76962 | -33116 |
| 14 | 茨城県 | -43.61 | 関東 | 19767 | 35055 | -15288 |
| 15 | 福島県 | -45.17 | 東北 | 8003 | 14596 | -6593 |
| 16 | 東京都 | -45.19 | 関東 | 89098 | 162557 | -73459 |
| 17 | 北海道 | -45.86 | 北海道 | 22232 | 41066 | -18834 |
| 18 | 福井県 | -46.26 | 中部 | 2840 | 5285 | -2445 |
| 19 | 岐阜県 | -46.69 | 中部 | 11919 | 22357 | -10438 |
| 20 | 静岡県 | -46.89 | 中部 | 15612 | 29395 | -13783 |
| 21 | 大阪府 | -47.07 | 近畿 | 80148 | 151413 | -71265 |
| 22 | 兵庫県 | -47.16 | 近畿 | 37267 | 70532 | -33265 |
| 23 | 宮崎県 | -47.31 | 九州 | 4214 | 7997 | -3783 |
| 24 | 長野県 | -47.47 | 中部 | 7769 | 14791 | -7022 |
| 25 | 長崎県 | -48.26 | 九州 | 3786 | 7318 | -3532 |
| 26 | 三重県 | -49.53 | 近畿 | 9955 | 19726 | -9771 |
| 27 | 滋賀県 | -49.69 | 近畿 | 7771 | 15447 | -7676 |
| 28 | 愛媛県 | -49.93 | 四国 | 6809 | 13598 | -6789 |
| 28 | 新潟県 | -49.93 | 中部 | 8672 | 17320 | -8648 |
| 30 | 佐賀県 | -50.06 | 九州 | 3750 | 7509 | -3759 |
| 31 | 福岡県 | -50.17 | 九州 | 33284 | 66794 | -33510 |
| 32 | 岩手県 | -50.39 | 東北 | 2856 | 5757 | -2901 |
| 33 | 鳥取県 | -50.92 | 中国 | 2100 | 4279 | -2179 |
| 34 | 高知県 | -51.32 | 四国 | 3179 | 6530 | -3351 |
| 35 | 愛知県 | -51.64 | 中部 | 46832 | 96839 | -50007 |
| 36 | 山形県 | -51.76 | 東北 | 2980 | 6178 | -3198 |
| 37 | 千葉県 | -51.82 | 関東 | 37538 | 77904 | -40366 |
| 38 | 熊本県 | -51.9 | 九州 | 6174 | 12836 | -6662 |
| 39 | 大分県 | -52.42 | 九州 | 2993 | 6290 | -3297 |
| 40 | 奈良県 | -52.57 | 近畿 | 5852 | 12337 | -6485 |
| 41 | 岡山県 | -53.44 | 中国 | 9230 | 19824 | -10594 |
| 42 | 徳島県 | -54.06 | 四国 | 2673 | 5818 | -3145 |
| 43 | 山梨県 | -54.9 | 中部 | 3365 | 7461 | -4096 |
| 44 | 島根県 | -55.33 | 中国 | 1956 | 4379 | -2423 |
| 45 | 和歌山県 | -55.78 | 近畿 | 4028 | 9110 | -5082 |
| 46 | 山口県 | -59.33 | 中国 | 4186 | 10292 | -6106 |
| 47 | 京都府 | -62.79 | 近畿 | 11885 | 31944 | -20059 |
このグラフについての豆知識
認知件数は届け出と運用に左右される
刑法犯認知件数は、警察が犯罪の発生を把握した件数です。
被害届が出されなければ数字には表れません。
届け出のされ方や、警察が何を1件として数えるかの運用によっても変わります。
県による差や年による動きには、実際の発生の増減だけでなく、こうした要因も混じっています。
件数の増減を「安全になった・危なくなった」と読むことはできません。
2021年が底
全国の推移を見ると、2013年から2021年まで一貫して減り続けました。
2021年の56万8,104件が最も少なく、そこから2022年60万1,331件、2023年70万3,351件と2年続けて増えています。
この記事の10年変化率は2013年と2023年の2点を比べたもので、途中の底は数字に表れません。
折れ線もあわせて見てください。
数字は2013年と2023年の比較です。
地方のなかで見た刑法犯認知件数の10年変化率
| 地方 | 最も多い(%) | 最も少ない(%) |
|---|---|---|
| 東北 | 青森県 -26.09 | 山形県 -51.76 |
| 関東 | 群馬県 -29.19 | 千葉県 -51.82 |
| 中部 | 富山県 -29.48 | 山梨県 -54.9 |
| 近畿 | 大阪府 -47.07 | 京都府 -62.79 |
| 中国 | 広島県 -37.2 | 山口県 -59.33 |
| 四国 | 香川県 -30.92 | 徳島県 -54.06 |
| 九州 | 沖縄県 -15.67 | 大分県 -52.42 |
まとめ
刑法犯認知件数の10年変化を比べると、減り方が最も小さい沖縄県でマイナス15.67パーセント、最も大きい京都府でマイナス62.79パーセントでした。
全国は46.5パーセント減、47都道府県すべてで減っています。
10年間の刑法犯認知件数の変化をほかの数字と見くらべる前に、3つ確かめてください。
1つ目は、警察が把握した件数で届け出や運用に左右されること。
2つ目は、増減を「安全になった・危なくなった」と読めないこと。
3つ目は2013年と2023年の比較であることです。
全国の推移は2021年の56万8,104件が底で、2022年・2023年と2年続けて増えています。
10年の変化率だけを見ると見落とす動きです。
人口密度との相関係数はプラス0.02。
都市か地方かでは説明がつきませんでした。
交通事故の発生件数や人口密度を比べた記事とあわせて読んでみてください。
関連記事
- 【人口集中地区】全国の7割が住む「まちの中」、県によっては4分の1しかいません
- 【救急車の数・10年推移】救急自動車数は46都道府県で増加
- 【交通事故の件数・10年推移】10年でほぼ半分、47都道府県すべてで減少
- 【検挙された人の数・10年推移】9年下がり続けて2023年に反転
- 【警察官の数・10年推移】全国はほぼ横ばい、38都道府県でわずかに増加
- 【防犯ボランティア団体】全国42,847団体、1位は2位の1.67倍
出典
- 統計名: 社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)
- 調査年: 2013年と2023年の比較
- 公開元: 総務省統計局
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/regional-statistics/ssdsview/prefectures
- 備考: 指標コードK4201(刑法犯認知件数)を2013年と2023年で比べた。認知件数は警察が把握した件数で、届け出のされ方や認知の運用にも左右される。件数の増減をそのまま「安全になった・危なくなった」と読むことはできない。e-Stat APIで取得した値をそのまま使用
注記: 指標コードK4201(刑法犯認知件数)を2013年と2023年で比べた。
認知件数は警察が把握した件数で、届け出のされ方や認知の運用にも左右される。
件数の増減をそのまま「安全になった・危なくなった」と読むことはできない。
e-Stat APIで取得した値をそのまま使用
