医師の数が10年でどう変わったかは、都道府県でどれほど違うのでしょうか。
この記事では、47都道府県の数字を比べます。
2012年と2022年の比較です。
使うのは総務省統計局の社会・人口統計体系。
全国は30万3,268人から34万3,275人へ、13.2パーセント増えました。
47都道府県すべてで増えていますが、増え方には22倍の開きがあります。
47都道府県の単純平均
10.9%
医師数の10年変化率(2012年と2022年の比較)
最も多い 奈良県
23.5%
最も少ない 山形県
1.0%
増え方が大きかった5県
増え方が大きかった上位5県です。
奈良県はプラス23.50パーセント、埼玉県はプラス22.60パーセント、千葉県はプラス22.09パーセント、愛知県はプラス19.07パーセント、沖縄県はプラス18.60パーセントでした。
奈良県と最も小さい山形県では22.6倍の開きがあります。
6位以下は静岡県プラス17.87パーセント、兵庫県プラス17.74パーセント、滋賀県プラス17.29パーセントと続きます。
上位に埼玉県・千葉県・奈良県が並びました。
いずれも人口あたりの医師数がもともと少ない県です。
増えているが、増え方は県によって22倍違う
以下は、10年間の医師数の変化にこれだけの差がつく理由についての推測です。
統計から確かめられる話ではなく、ほかの指標との突き合わせから考えたものです。
全国どこでも医師は増えました。
ただし増え方はまったく違います。
1位の奈良県プラス23.50パーセントに対し、47位の山形県はプラス1.04パーセント。
倍率にすると22.6倍です。
この10年で全国に4万7人増えましたが、その配られ方は均等ではありませんでした。
上位に並ぶ埼玉県・千葉県・奈良県は、人口あたりの医師数がもともと全国でも少ない県です。
足りない地域に増えたという見方ができます。
人口密度との相関係数はプラス0.37。
人が集まる地域ほど増え方が大きい傾向はありますが、中くらいの強さにとどまります。
地方別では関東7都県がプラス16.4パーセントで最も大きく、四国4県がプラス5.2パーセントで最も小さい。
3.15倍の差でした。
注意したいのは、これが増え方であって水準ではないことです。
増え方が最も小さい山形県や徳島県は、もともと人口あたりの医師数が多い県でもあります。
増える余地が小さかったという読み方もできます。
同じ期間に病院の数は全国で4.9パーセント減りました。
病院は減り、医師は増えている。
この2つを並べると、医療の形が変わりつつあることが見えてきます。
増え方が小さかった5県
増え方が小さかった下位5県です。
山形県はプラス1.04パーセント、徳島県はプラス1.52パーセント、山口県はプラス2.05パーセント、群馬県はプラス4.46パーセント、石川県はプラス4.47パーセントでした。
奈良県のプラス23.50パーセントとは22.6倍の差があります。
徳島県と山口県は、人口10万人あたりの医師数ではもともと全国でも上位に入る県です。
増え方が小さいことを、そのまま医師が足りないとは読めません。
5パーセント未満の増加にとどまったのは5県。
山形県、徳島県、山口県、群馬県、石川県でした。
全国の増加数は4万7人。
1年あたりおよそ4千人ずつ増えてきた計算です。
地図で見る10年の変化
| 項目 | 医師数の10年変化率 |
|---|---|
| 北海道 | 5.9% |
| 青森県 | 5.9% |
| 岩手県 | 6.0% |
| 宮城県 | 14.6% |
| 秋田県 | 5.6% |
| 山形県 | 1.0% |
| 福島県 | 11.2% |
| 茨城県 | 16.6% |
| 栃木県 | 15.1% |
| 群馬県 | 4.5% |
| 埼玉県 | 22.6% |
| 千葉県 | 22.1% |
| 東京都 | 17.1% |
| 神奈川県 | 17.1% |
| 新潟県 | 6.9% |
| 富山県 | 7.4% |
| 石川県 | 4.5% |
| 福井県 | 8.0% |
| 山梨県 | 12.5% |
| 長野県 | 12.0% |
| 岐阜県 | 11.7% |
| 静岡県 | 17.9% |
| 愛知県 | 19.1% |
| 三重県 | 16.2% |
| 滋賀県 | 17.3% |
| 京都府 | 10.6% |
| 大阪府 | 11.1% |
| 兵庫県 | 17.7% |
| 奈良県 | 23.5% |
| 和歌山県 | 8.9% |
| 鳥取県 | 7.6% |
| 島根県 | 10.6% |
| 岡山県 | 11.6% |
| 広島県 | 7.9% |
| 山口県 | 2.1% |
| 徳島県 | 1.5% |
| 香川県 | 5.2% |
| 愛媛県 | 8.5% |
| 高知県 | 5.5% |
| 福岡県 | 10.4% |
| 佐賀県 | 10.2% |
| 長崎県 | 8.8% |
| 熊本県 | 7.8% |
| 大分県 | 9.3% |
| 宮崎県 | 7.4% |
| 鹿児島県 | 10.4% |
| 沖縄県 | 18.6% |
| 項目 | 全国の医師数 |
|---|---|
| 2008年 | 286,699% |
| 2010年 | 295,049% |
| 2012年 | 303,268% |
| 2014年 | 311,205% |
| 2016年 | 319,480% |
| 2018年 | 327,210% |
| 2020年 | 339,623% |
| 2022年 | 343,275% |
日本地図で見ると、色が濃い(増え方が大きい)のは首都圏と近畿、東海、沖縄県。
淡い(増え方が小さい)のは東北と四国、北陸、北海道でした。
47都道府県の単純平均はプラス10.93パーセント、中央値はプラス10.38パーセントです。
全国値のプラス13.19パーセントより小さいのは、人口の多い都県ほど増え方が大きいためです。
15パーセント以上増えたのは13都府県、5パーセント未満は5県。
真ん中に多くの県が集まる分布でした。
| 順位 | 都道府県 | 医師数の10年変化率(%) | 地方 | 2022年の医師数 | 2012年の医師数 | 10年間の増減数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 奈良県 | 23.5 | 近畿 | 3868 | 3132 | 736 |
| 2 | 埼玉県 | 22.6 | 関東 | 13661 | 11143 | 2518 |
| 3 | 千葉県 | 22.09 | 関東 | 13521 | 11075 | 2446 |
| 4 | 愛知県 | 19.07 | 中部 | 18516 | 15550 | 2966 |
| 5 | 沖縄県 | 18.6 | 九州 | 4029 | 3397 | 632 |
| 6 | 静岡県 | 17.87 | 中部 | 8535 | 7241 | 1294 |
| 7 | 兵庫県 | 17.74 | 近畿 | 15602 | 13251 | 2351 |
| 8 | 滋賀県 | 17.29 | 近畿 | 3575 | 3048 | 527 |
| 9 | 神奈川県 | 17.11 | 関東 | 21421 | 18291 | 3130 |
| 10 | 東京都 | 17.06 | 関東 | 48578 | 41498 | 7080 |
| 11 | 茨城県 | 16.57 | 関東 | 6029 | 5172 | 857 |
| 12 | 三重県 | 16.18 | 近畿 | 4395 | 3783 | 612 |
| 13 | 栃木県 | 15.07 | 関東 | 4949 | 4301 | 648 |
| 14 | 宮城県 | 14.59 | 東北 | 6140 | 5358 | 782 |
| 15 | 山梨県 | 12.52 | 中部 | 2148 | 1909 | 239 |
| 16 | 長野県 | 12.01 | 中部 | 5290 | 4723 | 567 |
| 17 | 岐阜県 | 11.65 | 中部 | 4630 | 4147 | 483 |
| 18 | 岡山県 | 11.62 | 中国 | 6271 | 5618 | 653 |
| 19 | 福島県 | 11.15 | 東北 | 4096 | 3685 | 411 |
| 20 | 大阪府 | 11.06 | 近畿 | 26518 | 23878 | 2640 |
| 21 | 京都府 | 10.64 | 近畿 | 9067 | 8195 | 872 |
| 21 | 島根県 | 10.64 | 中国 | 2153 | 1946 | 207 |
| 23 | 鹿児島県 | 10.43 | 九州 | 4668 | 4227 | 441 |
| 24 | 福岡県 | 10.38 | 九州 | 16722 | 15150 | 1572 |
| 25 | 佐賀県 | 10.15 | 九州 | 2430 | 2206 | 224 |
| 26 | 大分県 | 9.32 | 九州 | 3459 | 3164 | 295 |
| 27 | 和歌山県 | 8.86 | 近畿 | 3010 | 2765 | 245 |
| 28 | 長崎県 | 8.83 | 九州 | 4424 | 4065 | 359 |
| 29 | 愛媛県 | 8.48 | 四国 | 3888 | 3584 | 304 |
| 30 | 福井県 | 7.95 | 中部 | 2132 | 1975 | 157 |
| 31 | 広島県 | 7.85 | 中国 | 7870 | 7297 | 573 |
| 32 | 熊本県 | 7.81 | 九州 | 5428 | 5035 | 393 |
| 33 | 鳥取県 | 7.62 | 中国 | 1878 | 1745 | 133 |
| 34 | 富山県 | 7.44 | 中部 | 2889 | 2689 | 200 |
| 35 | 宮崎県 | 7.35 | 九州 | 2908 | 2709 | 199 |
| 36 | 新潟県 | 6.86 | 中部 | 4894 | 4580 | 314 |
| 37 | 岩手県 | 5.95 | 東北 | 2758 | 2603 | 155 |
| 38 | 青森県 | 5.91 | 東北 | 2795 | 2639 | 156 |
| 38 | 北海道 | 5.91 | 北海道 | 13613 | 12853 | 760 |
| 40 | 秋田県 | 5.63 | 東北 | 2438 | 2308 | 130 |
| 41 | 高知県 | 5.49 | 四国 | 2346 | 2224 | 122 |
| 42 | 香川県 | 5.21 | 四国 | 2846 | 2705 | 141 |
| 43 | 石川県 | 4.47 | 中部 | 3390 | 3245 | 145 |
| 44 | 群馬県 | 4.46 | 関東 | 4657 | 4458 | 199 |
| 45 | 山口県 | 2.05 | 中国 | 3737 | 3662 | 75 |
| 46 | 徳島県 | 1.52 | 四国 | 2478 | 2441 | 37 |
| 47 | 山形県 | 1.04 | 東北 | 2625 | 2598 | 27 |
このグラフについての豆知識
2年ごとの調査
医師数は医師・歯科医師・薬剤師統計にもとづく数字で、2年ごとに公表されます。
届け出のあった医師の数です。
この記事では2012年と2022年を比べました。
折れ線は2012年から2022年まで2年おきの6時点になります。
歯科医師と薬剤師は含みません。
病院は減り、医師は増えた
同じ期間に病院の数は全国で4.9パーセント減っています。
病院8,540施設が8,122施設になりました。
施設は減り、そこで働く医師は増えた。
1施設あたりの医師が増えたか、診療所や大きな病院に集まったかということになります。
数字は2012年と2022年の比較です。
順位の並びがにている記事
この10年間の医師数の変化の並びに近い記事を、全記事の順位から機械で洗い出しました。
いちばん近かったのは【看護師の数・10年推移】47都道府県すべてで3割近い伸びで、順位相関は0.73でした。
逆に、ほぼ裏返しの並びになったのが【高齢者の割合】を47都道府県で比較すると地域差は16.8ポイント(相関-0.69)でした。
似ているからといって理由が同じとはかぎりません。
それでも、2つを重ねると土地の性格が見えてくることがあります。
地方のなかで見た医師数の10年変化率
| 地方 | 最も多い(%) | 最も少ない(%) |
|---|---|---|
| 東北 | 宮城県 14.59 | 山形県 1.04 |
| 関東 | 埼玉県 22.6 | 群馬県 4.46 |
| 中部 | 愛知県 19.07 | 石川県 4.47 |
| 近畿 | 奈良県 23.5 | 和歌山県 8.86 |
| 中国 | 岡山県 11.62 | 山口県 2.05 |
| 四国 | 愛媛県 8.48 | 徳島県 1.52 |
| 九州 | 沖縄県 18.6 | 宮崎県 7.35 |
まとめ
医師の数の10年変化を比べると、増え方が最も大きい奈良県でプラス23.50パーセント、最も小さい山形県でプラス1.04パーセントでした。
全国は13.2パーセント増、47都道府県すべてで増えています。
10年間の医師数の変化の数字を読むときは、3つの点に気をつけてください。
1つ目は、2年ごとの調査で届け出のあった医師の数であること。
2つ目は、増え方であって人口あたりの水準ではないこと。
3つ目は2012年と2022年の比較であることです。
増え方の差は22.6倍。
上位の埼玉県・千葉県・奈良県は、人口あたりの医師数がもともと少ない県でした。
同じ期間に病院の数は4.9パーセント減っています。
病院数の推移や診療所の数を比べた記事とあわせて読んでみてください。
関連記事
- 【町のお医者さんが多い県】一般診療所数の47都道府県ランキング、人口10万人あたりで比較
- 【医療・福祉で働く人の割合】全国13.5%、上位に西日本が並ぶ理由を高齢化率から考えます
- 【救急車の数・10年推移】救急自動車数は46都道府県で増加
- 【歯科医師の数・10年推移】31都府県でプラス、伸びは看護師の11分の1
- 【薬剤師の数・10年推移】10年で15.6%の伸び、46都道府県がプラス
出典
- 統計名: 社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)
- 調査年: 2012年と2022年の比較
- 公開元: 総務省統計局
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/regional-statistics/ssdsview/prefectures
- 備考: 指標コードI6100(医師数)を2012年と2022年で比べた。医師・歯科医師・薬剤師統計にもとづく数字で2年ごとの公表。届け出のあった医師の数。e-Stat APIで取得した値をそのまま使用
注記: 指標コードI6100(医師数)を2012年と2022年で比べた。
医師・歯科医師・薬剤師統計にもとづく数字で2年ごとの公表。
届け出のあった医師の数。
e-Stat APIで取得した値をそのまま使用
