この記事では、図書館がどこに多いのかを47都道府県で比べます。
使うのは文部科学省の社会教育調査(令和3年度、2021年10月1日現在)で、全国の図書館数は3,394館。
本館と分館を合わせた数です。
ただし実数で並べると人口の多い都県が上位に来てしまうので、人口10万人あたりの館数で比べます。
全国では10万人あたり2.70館。
県によってどれだけ違うのか、地図とランキングで見ていきましょう。
47都道府県の単純平均
3.4館
人口10万人あたり図書館数(令和3年度(2021年10月1日現在))
最も多い 山梨県
6.6館
最も少ない 神奈川県
0.9館
地図で見る図書館の分布
| 項目 | 人口10万人あたり図書館数 |
|---|---|
| 北海道 | 3.2館 |
| 青森県 | 2.9館 |
| 岩手県 | 3.9館 |
| 宮城県 | 1.5館 |
| 秋田県 | 5.2館 |
| 山形県 | 3.8館 |
| 福島県 | 3.9館 |
| 茨城県 | 2.4館 |
| 栃木県 | 2.9館 |
| 群馬県 | 2.9館 |
| 埼玉県 | 2.4館 |
| 千葉県 | 2.3館 |
| 東京都 | 2.9館 |
| 神奈川県 | 0.9館 |
| 新潟県 | 3.6館 |
| 富山県 | 5.5館 |
| 石川県 | 3.6館 |
| 福井県 | 4.9館 |
| 山梨県 | 6.6館 |
| 長野県 | 5.9館 |
| 岐阜県 | 3.7館 |
| 静岡県 | 2.7館 |
| 愛知県 | 1.3館 |
| 三重県 | 2.7館 |
| 滋賀県 | 3.6館 |
| 京都府 | 2.7館 |
| 大阪府 | 1.8館 |
| 兵庫県 | 2.0館 |
| 奈良県 | 2.5館 |
| 和歌山県 | 3.0館 |
| 鳥取県 | 5.5館 |
| 島根県 | 6.2館 |
| 岡山県 | 3.7館 |
| 広島県 | 3.1館 |
| 山口県 | 4.1館 |
| 徳島県 | 4.1館 |
| 香川県 | 3.2館 |
| 愛媛県 | 3.3館 |
| 高知県 | 5.9館 |
| 福岡県 | 2.2館 |
| 佐賀県 | 3.9館 |
| 長崎県 | 3.1館 |
| 熊本県 | 3.0館 |
| 大分県 | 3.0館 |
| 宮崎県 | 3.2館 |
| 鹿児島県 | 4館 |
| 沖縄県 | 2.7館 |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは中部の内陸と中国、四国です。
逆に淡いのは関東と近畿の都市部でした。
人が集まっている地域ほど、1人あたりで見た図書館は少なくなります。
47都道府県の単純平均は10万人あたり3.42館、中央値は3.18館です。
全国値の2.70館を上回ったのは33県で、多くの県は3館前後に集まっています。
平均を超えたのは20県でした。
下の表に47都道府県すべての数値を、図書館数と司書数と並べて掲載しました。
人口あたりの順位と実数の順位はまったく違うので、見比べてみてください。
| 順位 | 都道府県 | 人口10万人あたり図書館数(館) | 地方 | 図書館数 | 司書数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 山梨県 | 6.58 | 中部 | 53 | 67 |
| 2 | 島根県 | 6.17 | 中国 | 41 | 28 |
| 3 | 長野県 | 5.9 | 中部 | 120 | 80 |
| 4 | 高知県 | 5.85 | 四国 | 40 | 56 |
| 5 | 鳥取県 | 5.46 | 中国 | 30 | 37 |
| 5 | 富山県 | 5.46 | 中部 | 56 | 69 |
| 7 | 秋田県 | 5.19 | 東北 | 49 | 32 |
| 8 | 福井県 | 4.87 | 中部 | 37 | 78 |
| 9 | 山口県 | 4.14 | 中国 | 55 | 45 |
| 10 | 徳島県 | 4.07 | 四国 | 29 | 41 |
| 11 | 鹿児島県 | 4.0 | 九州 | 63 | 34 |
| 12 | 岩手県 | 3.93 | 東北 | 47 | 42 |
| 13 | 福島県 | 3.92 | 東北 | 71 | 120 |
| 14 | 佐賀県 | 3.85 | 九州 | 31 | 24 |
| 15 | 山形県 | 3.79 | 東北 | 40 | 19 |
| 16 | 岡山県 | 3.73 | 中国 | 70 | 101 |
| 17 | 岐阜県 | 3.67 | 中部 | 72 | 63 |
| 18 | 石川県 | 3.64 | 中部 | 41 | 67 |
| 19 | 新潟県 | 3.63 | 中部 | 79 | 111 |
| 20 | 滋賀県 | 3.61 | 近畿 | 51 | 146 |
| 21 | 愛媛県 | 3.33 | 四国 | 44 | 39 |
| 22 | 宮崎県 | 3.2 | 九州 | 34 | 40 |
| 23 | 香川県 | 3.18 | 四国 | 30 | 31 |
| 23 | 北海道 | 3.18 | 北海道 | 165 | 168 |
| 25 | 広島県 | 3.09 | 中国 | 86 | 36 |
| 26 | 長崎県 | 3.08 | 九州 | 40 | 47 |
| 27 | 熊本県 | 3.01 | 九州 | 52 | 32 |
| 28 | 大分県 | 2.96 | 九州 | 33 | 35 |
| 29 | 和歌山県 | 2.95 | 近畿 | 27 | 40 |
| 30 | 群馬県 | 2.91 | 関東 | 56 | 41 |
| 31 | 青森県 | 2.87 | 東北 | 35 | 34 |
| 32 | 東京都 | 2.86 | 関東 | 401 | 510 |
| 32 | 栃木県 | 2.86 | 関東 | 55 | 52 |
| 34 | 三重県 | 2.68 | 近畿 | 47 | 78 |
| 35 | 沖縄県 | 2.66 | 九州 | 39 | 71 |
| 35 | 京都府 | 2.66 | 近畿 | 68 | 177 |
| 35 | 静岡県 | 2.66 | 中部 | 96 | 148 |
| 38 | 奈良県 | 2.51 | 近畿 | 33 | 76 |
| 39 | 埼玉県 | 2.37 | 関東 | 174 | 335 |
| 40 | 茨城県 | 2.35 | 関東 | 67 | 94 |
| 41 | 千葉県 | 2.29 | 関東 | 144 | 303 |
| 42 | 福岡県 | 2.22 | 九州 | 114 | 85 |
| 43 | 兵庫県 | 1.97 | 近畿 | 107 | 141 |
| 44 | 大阪府 | 1.76 | 近畿 | 155 | 444 |
| 45 | 宮城県 | 1.53 | 東北 | 35 | 62 |
| 46 | 愛知県 | 1.29 | 中部 | 97 | 204 |
| 47 | 神奈川県 | 0.92 | 関東 | 85 | 462 |
人口あたりで図書館が多い6県
人口10万人あたりの図書館数が多い上位です。
5位が同数で2県あるため、6県を掲載します。
山梨県は6.58館、島根県は6.17館、長野県は5.90館、高知県は5.85館、5位は5.46館が2県でした。
全国値2.70館の2倍以上という水準です。
上位6県の図書館数は実数で見ると多くありません。
山梨県は53館、島根県は41館です。
人口が少ないため、1人あたりで見ると上位に出てきます。
実数で最も多いのは東京都の401館ですが、その東京都も人口10万人あたりでは2.86館で、全国値をわずかに上回る程度でした。
上位に並んだのは中部の内陸、中国、四国の県です。
県内に市町村が多く分散している地域では、それぞれの町に図書館が置かれるため、人口あたりの数が増えやすいと考えられます。
司書の数で見ると印象は変わります。
山梨県の司書は67人、島根県は28人で、いずれも100人を下回りました。
館の数は多いけれど、そこに配置されている専門職の数は少ないという形です。
人口あたりの館数と、1館あたりの手厚さは別の話になります。
山梨県は、本を読む人も多いのか
ここから先は、人口あたりで見る図書館がこう分かれる理由についての見立てです。
ほかの指標と突き合わせて立てた推測で、統計そのものが示している事実ではありません。
図書館が多い県では、本を読む人も多いのでしょうか。
総務省統計局の社会生活基本調査(令和3年)で、趣味としての読書をした人の割合を見てみます。
全国は31.6パーセントです。
結果は逆でした。
人口あたりの図書館数で1位の山梨県は読書行動者率が28.3パーセント、2位の島根県は27.1パーセントで、いずれも全国値を下回ります。
反対に、人口あたりの図書館数が47位の神奈川県は38.7パーセント、46位の愛知県は31.0パーセントでした。
図書館が少ない都市部のほうが、本を読む人の割合は高いという結果です。
理由を1つに絞ることはできませんが、2つの数字が測っているものが違うとは言えそうです。
人口あたりの図書館数は「その県にどれだけ施設が分散しているか」を、読書行動者率は「そこに住む人がどれだけ本を読むか」を表します。
書店や通勤時間の長さなど、図書館以外の要素も読書には効いてくるはずです。
施設が多いことと、その施設が使われていることは別の話です。
この記事の数字は前者を測ったものだと考えてください。
実数では東京都が401館で最多
館の数そのままで並べると、1位は東京都の401館、2位は埼玉県の174館、3位は北海道の165館、4位は大阪府の155館、5位は千葉県の144館でした。
人口あたりで1位だった山梨県は53館で、実数では24位です。
逆に実数1位の東京都は、人口10万人あたりでは2.86館で32位でした。
実数と人口あたりで、順位が31も動きます。
全国3,394館のうち11.8パーセントが東京都にあります。
近くに図書館があるかどうかは実数ではなく、住んでいる場所の細かさで決まる面もあります。
人口あたりで図書館が少ない5都府県
人口10万人あたりの図書館数が少ない下位5都府県です。
神奈川県は0.92館、愛知県は1.29館、宮城県は1.53館、大阪府は1.76館、兵庫県は1.97館でした。
山梨県の6.58館と神奈川県の0.92館では7.15倍の差があります。
割合の指標としてはかなり大きな開きです。
ただし実数で見ると話は変わります。
神奈川県の図書館数は85館で、これは全国では中位です。
愛知県は97館、大阪府は155館で、いずれも決して少なくありません。
人口が多いため、1人あたりに直すと下位に沈むという形です。
下位5都府県はすべて三大都市圏に含まれます。
人が密集している地域では、1館あたりが受け持つ人数がどうしても多くなります。
司書の数はむしろ下位5都府県のほうが多くなっています。
神奈川県には462人、愛知県には204人、大阪府には444人の専任司書がいました。
館の数を人口で割ると下位でも、働いている人の数で見れば上位に入ります。
人口あたりの図書館数が少ないことは、その地域の図書館サービスが弱いことを直接には意味しません。
1館が大きく、職員も多いという形もあり得ます。
地方別に見る図書館の多さ
地方別に平均を出すと、地域のまとまりが見えてきます。
最も多いのは中国5県の4.52館です。
次いで中部9県が4.19館、四国4県が4.11館、東北6県が3.54館、北海道が3.18館と続きます。
少ないほうを見ると、九州8県が3.12館、近畿7府県が2.59館、関東7都県が2.37館でした。
最も多い中国と最も少ない関東では1.9倍の差があります。
人口の多い地方ほど1人あたりの館数が少なくなるという、この指標の性格がそのまま出た形です。
このグラフについての豆知識
司書の数は都市部に多い
社会教育調査では、図書館数と一緒に専任の司書数も公表されています。
全国では5,045人です。
県別に見ると、最も多いのは510人、次いで462人、444人と続き、いずれも人口の多い都府県でした。
人口あたりの図書館数では下位に並んだ地域が、司書の数では上位に出てきます。
1館あたりの司書数を計算すると違いはさらにはっきりします。
全国平均は1.49人ですが、司書数山梨県は401館に510人で1.27人、島根県は85館に462人で5.44人でした。
館の数と人の配置は、必ずしも比例していません。
図書館数には分館も入っている
今回使った図書館数は、本館と分館を合わせた数です。
社会教育調査の別の表では本館だけの数も公表されており、そちらは全国1,946館。
分館を含めた3,394館とはかなり違います。
分館は本館より規模が小さいことが多く、蔵書数や開館時間も異なります。
「図書館が何館あるか」という問いには、何を1館と数えるかで複数の答えがあるわけです。
他の資料と数字を見比べるときは、分館を含むかどうかを確かめてください。
順位の並びがにている記事
人口あたりで見る図書館の並びと似ている記事、そして正反対の記事を挙げます。
0.83という高い相関を示したのが【体育施設の数】全国7万6千か所、人口10万人あたり最多と最少では3.2倍の差でした。
最も食い違ったのは【年金がつく職場・10年推移】47都道府県すべてでふえ、10年で1.5倍に(順位相関-0.8)でした。
順位が近いことと、原因がつながっていることは別の話です。
それでも、見くらべると気づくことがあります。
地方のなかで見た人口10万人あたり図書館数
| 地方 | 最も多い(館) | 最も少ない(館) |
|---|---|---|
| 東北 | 秋田県 5.19 | 宮城県 1.53 |
| 関東 | 群馬県 2.91 | 神奈川県 0.92 |
| 中部 | 山梨県 6.58 | 愛知県 1.29 |
| 近畿 | 滋賀県 3.61 | 大阪府 1.76 |
| 中国 | 島根県 6.17 | 広島県 3.09 |
| 四国 | 高知県 5.85 | 香川県 3.18 |
| 九州 | 鹿児島県 4.0 | 福岡県 2.22 |
まとめ
47都道府県の人口10万人あたりの図書館数を比べると、山梨県は6.58館、神奈川県は0.92館で、その差は7.15倍でした。
全国では10万人あたり2.70館、図書館数の合計は3,394館です。
地方別では中国が4.52館と最も多く、関東が2.37館で最も少ない結果になりました。
ここまでの人口あたりで見る図書館の数字には、注意点が3つあります。
1つ目は、この数字が本館と分館を合わせた数だということです。
2つ目は、人口あたりの計算に2021年10月1日現在の人口推計を使っている点です。
3つ目は、施設の数と使われ方は別だということです。
人口あたりの図書館数が多い県が、読書をする人の多い県とは限りませんでした。
実数で並べるか、人口で割るか。
同じ3,394館を数えているのに、どちらで見るかで正反対のランキングになります。
数字を読むときは、何で割った数字なのかをまず確かめてください。
図書館は、住んでいる場所によって距離感がまったく違う施設です。
ランキングの順位よりも、自分の県がどのくらいの位置にあるかを表で確かめてみてください。
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出典
- 統計名: 社会教育調査(図書館調査)と人口推計
- 調査年: 令和3年度(2021年10月1日現在)
- 公開元: 文部科学省/総務省統計局
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040038473
- 備考: 図書館数は本館と分館の合計。人口10万人あたりの館数は、2021年10月1日現在の人口推計で割って算出した
- 考察の参照: 社会生活基本調査(令和3年)都道府県、趣味・娯楽の種類別行動者率/総務省統計局(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000032262823)
注記: 図書館数は本館と分館の合計。
人口10万人あたりの館数は、2021年10月1日現在の人口推計で割って算出した
