この記事では、診療所の数が10年でどう変わったかを47都道府県で比べます。
2013年と2023年の一般診療所数を比べた変化率です。
使うのは総務省統計局の社会・人口統計体系。
全国は10万528施設から10万4,894施設へ、4,366施設増えました。
増えたのが24都道府県、減ったのが23県で、ちょうど半々に割れた指標です。
47都道府県の単純平均
0.2%
一般診療所数の10年変化率(2013年と2023年の比較)
最も多い 東京都
16.7%
最も少ない 高知県
-10.3%
増え方が大きかった5都県
増え方が大きかった上位5都県です。
東京都はプラス16.74パーセント、滋賀県はプラス12.17パーセント、愛知県はプラス10.09パーセント、沖縄県はプラス9.56パーセント、神奈川県はプラス9.24パーセントでした。
東京都は1万2,758施設から1万4,894施設へ2,136施設増えています。
6位以下は埼玉県プラス9.18パーセント、大阪府プラス7.04パーセント、山梨県プラス6.30パーセントと続きます。
5パーセント以上増えたのは11都府県。
施設数そのものが最も多いのは東京都の14,894施設です。
人口の増減とこれほど連動する施設は、ほかにありません
ここからは統計を離れて、10年間の一般診療所数の変化の背景を推測します。
確かめられた事実ではなく、ほかの数字と並べて考えた見立てとして読んでください。
これまで見てきた施設の指標のなかで、この指標はとくに人口の動きに素直です。
10年の変化率と人口増減率の相関係数はプラス0.87、65歳以上人口割合とはマイナス0.86。
これまで扱ったどの推移記事よりも強い関係です。
図書館は人口とほぼ無関係、郵便局はほとんど動かず、幼稚園は制度変更に左右されました。
診療所はそのどれとも違い、人が増えた県で増え、減った県で減っています。
背景として考えられるのは、開業の判断が経営の見通しに直結することです。
診療所の多くは個人か医療法人が開くもので、患者が見込めなければ続きません。
図書館や郵便局のように公共の仕組みで数が保たれる施設とは、決まり方がちがいます。
人口密度との相関もプラス0.64と高めです。
都市部ほど増えています。
一方で県民所得とはプラス0.48にとどまり、豊かさより人の数のほうが効いていることがうかがえます。
実数で見ると景色が変わります。
10年で増えた施設数がいちばん多いのは東京都のプラス2,136施設。
増えた施設数で次に多い神奈川県はプラス605施設ですから、東京都だけで全国の増加分4,366施設の半分近くを占めます。
率でも1位、実数でも1位という珍しい形です。
全国の推移を見ると2022年の10万5,182施設が山で、2023年は10万4,894施設に減っています。
この10年ではじめて2年連続の増加が止まりました。
減り方が大きかった5県
減り方が大きかった下位5県です。
高知県はマイナス10.30パーセント、徳島県はマイナス8.99パーセント、鳥取県はマイナス8.32パーセント、長崎県はマイナス7.58パーセント、山口県はマイナス6.72パーセントでした。
東京都のプラス16.74パーセントとは27.04ポイントの差があります。
高知県は歯科医師数でも47位、薬剤師数でも44位でした。
医療の担い手を測るどの指標でも下位に並ぶ県です。
診療所は573施設から514施設へ59施設減りました。
減ったのは23県。
施設数そのものが最も少ないのは鳥取県の474施設で、高知県514施設、福井県571施設と続きます。
地方別に見る10年の変化
地方別に平均を出すと、関東が最も大きくなります。
関東7都県がプラス6.72パーセント、近畿7府県がプラス2.44パーセント、中部9県がプラス1.31パーセント、九州・沖縄8県がプラス0.33パーセント、北海道がプラス0.21パーセントと続きます。
減ったほうは東北6県がマイナス2.17パーセント、中国5県がマイナス5.72パーセント、四国4県がマイナス6.51パーセントでした。
関東と四国では13.23ポイントの差があります。
8地方のうち平均がマイナスになったのは東北、中国、四国の3つです。
四国4県はマイナス6.51パーセントで、高知県、徳島県、愛媛県、香川県のすべてが減っています。
関東7都県のプラス6.72パーセントは、東京都プラス16.74パーセントが引き上げた結果です。
同じ関東でも群馬県はプラス0.51パーセントにとどまり、地方の中で開きがあります。
地図で見る10年の変化
| 項目 | 一般診療所数の10年変化率 |
|---|---|
| 北海道 | 0.2% |
| 青森県 | -5.1% |
| 岩手県 | -4.8% |
| 宮城県 | 6.0% |
| 秋田県 | -2.2% |
| 山形県 | -5.7% |
| 福島県 | -1.2% |
| 茨城県 | 2.0% |
| 栃木県 | 3.4% |
| 群馬県 | 0.5% |
| 埼玉県 | 9.2% |
| 千葉県 | 6.0% |
| 東京都 | 16.7% |
| 神奈川県 | 9.2% |
| 新潟県 | -1.7% |
| 富山県 | -3.5% |
| 石川県 | 0.2% |
| 福井県 | -3.4% |
| 山梨県 | 6.3% |
| 長野県 | 2.4% |
| 岐阜県 | 0.6% |
| 静岡県 | 0.7% |
| 愛知県 | 10.1% |
| 三重県 | -2.0% |
| 滋賀県 | 12.2% |
| 京都府 | 0.7% |
| 大阪府 | 7.0% |
| 兵庫県 | 3.7% |
| 奈良県 | 2.0% |
| 和歌山県 | -6.6% |
| 鳥取県 | -8.3% |
| 島根県 | -5.2% |
| 岡山県 | -5.4% |
| 広島県 | -3.0% |
| 山口県 | -6.7% |
| 徳島県 | -9.0% |
| 香川県 | -1.0% |
| 愛媛県 | -5.8% |
| 高知県 | -10.3% |
| 福岡県 | 5.3% |
| 佐賀県 | 0.1% |
| 長崎県 | -7.6% |
| 熊本県 | -0.8% |
| 大分県 | -2.4% |
| 宮崎県 | 0.8% |
| 鹿児島県 | -2.4% |
| 沖縄県 | 9.6% |
| 項目 | 全国の一般診療所数 |
|---|---|
| 2013年 | 100,528% |
| 2014年 | 100,461% |
| 2015年 | 100,995% |
| 2016年 | 101,529% |
| 2017年 | 101,471% |
| 2018年 | 102,105% |
| 2019年 | 102,616% |
| 2020年 | 102,612% |
| 2021年 | 104,292% |
| 2022年 | 105,182% |
| 2023年 | 104,894% |
日本地図で見ると、色が濃く出る(増え方が大きい)のは首都圏と愛知県、滋賀県、大阪府、沖縄県です。
淡い(減り方が大きい)のは四国と山陰、長崎県、山口県でした。
47都道府県の単純平均はプラス0.23パーセント、中央値はプラス0.14パーセントです。
全国値のプラス4.34パーセントより小さいのは、施設数の多い都府県ほど増え方が大きいためです。
5パーセント以上増えたのは11都府県、減ったのは23県。
1位と47位で27.04ポイントの幅がありました。
| 順位 | 都道府県 | 一般診療所数の10年変化率(%) | 地方 | 2023年の一般診療所数 | 2013年の一般診療所数 | 10年間の増減数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 16.74 | 関東 | 14894 | 12758 | 2136 |
| 2 | 滋賀県 | 12.17 | 近畿 | 1143 | 1019 | 124 |
| 3 | 愛知県 | 10.09 | 中部 | 5682 | 5161 | 521 |
| 4 | 沖縄県 | 9.56 | 九州 | 928 | 847 | 81 |
| 5 | 神奈川県 | 9.24 | 関東 | 7150 | 6545 | 605 |
| 6 | 埼玉県 | 9.18 | 関東 | 4530 | 4149 | 381 |
| 7 | 大阪府 | 7.04 | 近畿 | 8877 | 8293 | 584 |
| 8 | 山梨県 | 6.3 | 中部 | 726 | 683 | 43 |
| 9 | 千葉県 | 5.97 | 関東 | 3942 | 3720 | 222 |
| 10 | 宮城県 | 5.96 | 東北 | 1724 | 1627 | 97 |
| 11 | 福岡県 | 5.3 | 九州 | 4806 | 4564 | 242 |
| 12 | 兵庫県 | 3.71 | 近畿 | 5196 | 5010 | 186 |
| 13 | 栃木県 | 3.42 | 関東 | 1482 | 1433 | 49 |
| 14 | 長野県 | 2.43 | 中部 | 1599 | 1561 | 38 |
| 15 | 奈良県 | 2.02 | 近畿 | 1213 | 1189 | 24 |
| 16 | 茨城県 | 1.97 | 関東 | 1760 | 1726 | 34 |
| 17 | 宮崎県 | 0.78 | 九州 | 906 | 899 | 7 |
| 18 | 静岡県 | 0.7 | 中部 | 2724 | 2705 | 19 |
| 19 | 京都府 | 0.65 | 近畿 | 2488 | 2472 | 16 |
| 20 | 岐阜県 | 0.63 | 中部 | 1598 | 1588 | 10 |
| 21 | 群馬県 | 0.51 | 関東 | 1563 | 1555 | 8 |
| 22 | 石川県 | 0.23 | 中部 | 879 | 877 | 2 |
| 23 | 北海道 | 0.21 | 北海道 | 3403 | 3396 | 7 |
| 24 | 佐賀県 | 0.14 | 九州 | 693 | 692 | 1 |
| 25 | 熊本県 | -0.81 | 九州 | 1470 | 1482 | -12 |
| 26 | 香川県 | -0.97 | 四国 | 816 | 824 | -8 |
| 27 | 福島県 | -1.22 | 東北 | 1372 | 1389 | -17 |
| 28 | 新潟県 | -1.72 | 中部 | 1655 | 1684 | -29 |
| 29 | 三重県 | -1.96 | 近畿 | 1498 | 1528 | -30 |
| 30 | 秋田県 | -2.18 | 東北 | 806 | 824 | -18 |
| 31 | 大分県 | -2.37 | 九州 | 947 | 970 | -23 |
| 32 | 鹿児島県 | -2.42 | 九州 | 1369 | 1403 | -34 |
| 33 | 広島県 | -2.96 | 中国 | 2521 | 2598 | -77 |
| 34 | 福井県 | -3.38 | 中部 | 571 | 591 | -20 |
| 35 | 富山県 | -3.5 | 中部 | 744 | 771 | -27 |
| 36 | 岩手県 | -4.77 | 東北 | 879 | 923 | -44 |
| 37 | 青森県 | -5.13 | 東北 | 850 | 896 | -46 |
| 38 | 島根県 | -5.23 | 中国 | 689 | 727 | -38 |
| 39 | 岡山県 | -5.37 | 中国 | 1550 | 1638 | -88 |
| 40 | 山形県 | -5.67 | 東北 | 881 | 934 | -53 |
| 41 | 愛媛県 | -5.77 | 四国 | 1175 | 1247 | -72 |
| 42 | 和歌山県 | -6.58 | 近畿 | 1008 | 1079 | -71 |
| 43 | 山口県 | -6.72 | 中国 | 1194 | 1280 | -86 |
| 44 | 長崎県 | -7.58 | 九州 | 1317 | 1425 | -108 |
| 45 | 鳥取県 | -8.32 | 中国 | 474 | 517 | -43 |
| 46 | 徳島県 | -8.99 | 四国 | 688 | 756 | -68 |
| 47 | 高知県 | -10.3 | 四国 | 514 | 573 | -59 |
このグラフについての豆知識
2022年が山になっている
全国の一般診療所数は2013年の10万528施設から2022年の10万5,182施設まで増えたあと、2023年は10万4,894施設に減りました。
288施設のマイナスです。
折れ線を見ると2014年に一度だけ前年を下回り、そこから2022年まで8年続けて増えています。
2023年の減少は、この10年で2度目の前年割れでした。
2023年に診療所が最も多いのは東京都の14,894施設。
最も少ない鳥取県の474施設とは31.4倍の開きがあります。
病床20床未満の医療施設
この指標は病床が20床未満の医療施設で、いわゆる「町のお医者さん」にあたります。
20床以上の病院は含みません。
歯科診療所も別に数えるため含まれません。
また、施設のある県で数えます。
無床診療所と有床診療所を合わせた数なので、入院できるかどうかはこの数字からは分かりません。
数字は2013年と2023年の比較です。
順位の並びがにている記事
10年間の一般診療所数の変化の47都道府県の並びを、ほかの記事の並びと総当たりで比べました。
0.86という高い相関を示したのが【人口の増減】人口が増えたのは3都府県だけ、47都道府県の人口増減を比較でした。
反対に、並びがいちばん逆だったのは【高齢者の割合】を47都道府県で比較すると地域差は16.8ポイント(順位相関-0.83)です。
これは並びが近いというだけで、片方がもう片方を生んでいるという意味ではありません。
地図を2枚ならべてみてください。
地方のなかで見た一般診療所数の10年変化率
| 地方 | 最も多い(%) | 最も少ない(%) |
|---|---|---|
| 東北 | 宮城県 5.96 | 山形県 -5.67 |
| 関東 | 東京都 16.74 | 群馬県 0.51 |
| 中部 | 愛知県 10.09 | 富山県 -3.5 |
| 近畿 | 滋賀県 12.17 | 和歌山県 -6.58 |
| 中国 | 広島県 -2.96 | 鳥取県 -8.32 |
| 四国 | 香川県 -0.97 | 高知県 -10.3 |
| 九州 | 沖縄県 9.56 | 長崎県 -7.58 |
まとめ
診療所の数の10年変化を比べると、最も増えた東京都でプラス16.74パーセント、最も減った高知県でマイナス10.30パーセントでした。
全国は4,366施設増、増えたのが24都道府県で減ったのが23県です。
ここまでの10年間の一般診療所数の変化の数字には、注意点が3つあります。
1つ目は、病床20床未満の医療施設であること。
2つ目は、歯科診療所を含まないこと。
3つ目は2013年と2023年の比較であることです。
人口増減率との相関係数はプラス0.87。
これまで扱ったどの推移記事よりも強く、人が増えた県で増え、減った県で減っています。
実数では東京都のプラス2,136施設が、全国の増加分4,366施設の半分近くを占めました。
病院数や医師数を比べた記事とあわせて読んでみてください。
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出典
- 統計名: 社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)
- 調査年: 2013年と2023年の比較
- 公開元: 総務省統計局
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/regional-statistics/ssdsview/prefectures
- 備考: 指標コードI5102(一般診療所数)を2013年と2023年で比べた。病床20床未満の医療施設。病院は含まない。e-Stat APIで取得した値をそのまま使用
注記: 指標コードI5102(一般診療所数)を2013年と2023年で比べた。
病床20床未満の医療施設。
病院は含まない。
e-Stat APIで取得した値をそのまま使用
