旅館・ホテルの数を見ると、観光地と大都市が混ざった並びになります。
出張で泊まる人と、旅行で泊まる人の両方が同じ数字に入っているためです。
ここで数えるのは旅館業法にもとづく施設で、簡易宿所や下宿は含みません。
今回は47都道府県の旅館営業施設数を、2023年の総務省統計局「社会・人口統計体系」のデータを使って比べました。
全国5万1,038施設のうち、最も多いのは東京都の4,422施設。
2位は沖縄県の3,339施設で、観光地と大都市が混ざった並びになります。
47都道府県の単純平均
1,086施設
旅館営業施設数(2023年)
最も多い 東京都
4,422施設
最も少ない 鳥取県
326施設
旅館・ホテルが多い5都道県
旅館・ホテルが多い上位5都道県です。
東京都は4,422施設、沖縄県は3,339施設、北海道は2,901施設、長野県は2,578施設、静岡県は2,538施設でした。
2位から5位までは、いずれも観光で知られる道県です。
6位以下は新潟県1,917施設、大阪府1,576施設、兵庫県1,430施設と続きます。
上位5都道県で全国の30.9パーセント、上位10で46.1パーセントを占めます。
東京都が1位でも、人口で割ると38位まで下がります
数字を並べるところまでが統計の仕事で、ここから先は解釈になります。
旅館・ホテルの数の分布について、ほかの指標と突き合わせて立てた推測を書きます。
事実として確かめたものではありません。
実数では東京都が1位ですが、それは人口の多さによるものでしょうか。
人口10万人あたりで割り直すと、東京都は31.19施設で38位まで下がります。
代わって1位になるのは沖縄県の227.76施設で、東京都の7.3倍。
実数2位の沖縄県が、人口あたりでは1位に立ちます。
2位は山梨県167.89施設、3位は長野県129.74施設でした。
人口あたりの上位を見ると、沖縄県、山梨県、長野県、福井県、大分県。
いずれも温泉地や観光地を抱える県です。
下位は埼玉県9.47施設、神奈川県14.06施設、愛知県16.19施設で、大都市の周辺県が並びます。
泊まる場所は住む人の数ではなく、訪れる人の数で決まるという見方ができます。
実数の並びでも、その傾向は読み取れます。
上位5のうち沖縄県、北海道、長野県、静岡県の4道県は、人口の順位で言えば25位、8位、16位、10位。
人口だけでは説明のつかない位置にいます。
人口との相関係数は0.58で、ほかの「数」のランキングより低い水準です。
地方別では中部9県が24.8パーセントで最も大きくなります。
長野県、静岡県、新潟県、山梨県と、観光地を持つ県が並ぶためです。
関東7都県は21.6パーセントで、東京都の4,422施設が支えている形になります。
実数で見ると順位は変わる
旅館・ホテルが少ない5県
旅館・ホテルが少ない下位5県です。
鳥取県は326施設、香川県は328施設、佐賀県は331施設、高知県は337施設、島根県は371施設でした。
東京都の4,422施設とは13.6倍の差があります。
下位5県は326から371までの狭い範囲に固まっています。
1位と47位で13.6倍という開きは、この一連の記事のなかでは小さいほうです。
400施設を下回るのは6県。
中国地方と四国から3県が入ります。
地方別に見る
地方別に合計を出すと、中部が最も大きくなります。
中部9県が全国の24.8パーセント、関東7都県が21.6パーセント、九州・沖縄8県が17.2パーセント、近畿7府県が13.4パーセントと続きます。
少ないほうは東北6県が9.1パーセント、北海道が5.7パーセント、中国5県が5.3パーセント、四国4県が3.0パーセントでした。
中部9県の24.8パーセントは、長野県2,578施設、静岡県2,538施設、新潟県1,917施設が積み上がった結果です。
九州・沖縄8県の17.2パーセントは、そのうち沖縄県1県で3,339施設。
九州7県の合計5,441施設に対し、沖縄県だけでその6割にあたります。
地図で見る
| 項目 | 旅館営業施設数 |
|---|---|
| 北海道 | 2,901施設 |
| 青森県 | 557施設 |
| 岩手県 | 743施設 |
| 宮城県 | 685施設 |
| 秋田県 | 503施設 |
| 山形県 | 747施設 |
| 福島県 | 1,422施設 |
| 茨城県 | 876施設 |
| 栃木県 | 1,386施設 |
| 群馬県 | 1,125施設 |
| 埼玉県 | 694施設 |
| 千葉県 | 1,238施設 |
| 東京都 | 4,422施設 |
| 神奈川県 | 1,297施設 |
| 新潟県 | 1,917施設 |
| 富山県 | 380施設 |
| 石川県 | 727施設 |
| 福井県 | 892施設 |
| 山梨県 | 1,328施設 |
| 長野県 | 2,578施設 |
| 岐阜県 | 1,068施設 |
| 静岡県 | 2,538施設 |
| 愛知県 | 1,208施設 |
| 三重県 | 1,292施設 |
| 滋賀県 | 494施設 |
| 京都府 | 964施設 |
| 大阪府 | 1,576施設 |
| 兵庫県 | 1,430施設 |
| 奈良県 | 417施設 |
| 和歌山県 | 648施設 |
| 鳥取県 | 326施設 |
| 島根県 | 371施設 |
| 岡山県 | 684施設 |
| 広島県 | 726施設 |
| 山口県 | 575施設 |
| 徳島県 | 438施設 |
| 香川県 | 328施設 |
| 愛媛県 | 420施設 |
| 高知県 | 337施設 |
| 福岡県 | 1,199施設 |
| 佐賀県 | 331施設 |
| 長崎県 | 673施設 |
| 熊本県 | 989施設 |
| 大分県 | 999施設 |
| 宮崎県 | 408施設 |
| 鹿児島県 | 842施設 |
| 沖縄県 | 3,339施設 |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは東京都と沖縄県、北海道、長野県、静岡県です。
淡いのは山陰と四国、北関東の一部でした。
太平洋側と日本海側というより、観光地を抱えるかどうかで濃淡が分かれます。
47都道府県の平均は1,085.9施設、中央値は842.0施設です。
東京都の4,422施設は平均の4.1倍にあたります。
上位5都道県で30.9パーセント、400施設を下回るのが5県。
1位と47位で13.6倍の開きがありました。
| 順位 | 都道府県 | 旅館営業施設数(施設) | 地方 | 人口10万人あたりの旅館営業施設数 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 4422 | 関東 | 31.19 |
| 2 | 沖縄県 | 3339 | 九州 | 227.76 |
| 3 | 北海道 | 2901 | 北海道 | 57.53 |
| 4 | 長野県 | 2578 | 中部 | 129.74 |
| 5 | 静岡県 | 2538 | 中部 | 71.96 |
| 6 | 新潟県 | 1917 | 中部 | 91.33 |
| 7 | 大阪府 | 1576 | 近畿 | 18.0 |
| 8 | 兵庫県 | 1430 | 近畿 | 26.79 |
| 9 | 福島県 | 1422 | 東北 | 81.58 |
| 10 | 栃木県 | 1386 | 関東 | 73.53 |
| 11 | 山梨県 | 1328 | 中部 | 167.89 |
| 12 | 神奈川県 | 1297 | 関東 | 14.06 |
| 13 | 三重県 | 1292 | 近畿 | 75.51 |
| 14 | 千葉県 | 1238 | 関東 | 19.8 |
| 15 | 愛知県 | 1208 | 中部 | 16.19 |
| 16 | 福岡県 | 1199 | 九州 | 23.55 |
| 17 | 群馬県 | 1125 | 関東 | 59.52 |
| 18 | 岐阜県 | 1068 | 中部 | 55.74 |
| 19 | 大分県 | 999 | 九州 | 92.07 |
| 20 | 熊本県 | 989 | 九州 | 58.28 |
| 21 | 京都府 | 964 | 近畿 | 38.25 |
| 22 | 福井県 | 892 | 中部 | 120.7 |
| 23 | 茨城県 | 876 | 関東 | 31.22 |
| 24 | 鹿児島県 | 842 | 九州 | 54.96 |
| 25 | 山形県 | 747 | 東北 | 73.89 |
| 26 | 岩手県 | 743 | 東北 | 64.89 |
| 27 | 石川県 | 727 | 中部 | 66.21 |
| 28 | 広島県 | 726 | 中国 | 26.75 |
| 29 | 埼玉県 | 694 | 関東 | 9.47 |
| 30 | 宮城県 | 685 | 東北 | 30.47 |
| 31 | 岡山県 | 684 | 中国 | 37.36 |
| 32 | 長崎県 | 673 | 九州 | 53.75 |
| 33 | 和歌山県 | 648 | 近畿 | 73.64 |
| 34 | 山口県 | 575 | 中国 | 44.89 |
| 35 | 青森県 | 557 | 東北 | 47.81 |
| 36 | 秋田県 | 503 | 東北 | 56.08 |
| 37 | 滋賀県 | 494 | 近畿 | 35.24 |
| 38 | 徳島県 | 438 | 四国 | 63.94 |
| 39 | 愛媛県 | 420 | 四国 | 32.92 |
| 40 | 奈良県 | 417 | 近畿 | 32.45 |
| 41 | 宮崎県 | 408 | 九州 | 39.5 |
| 42 | 富山県 | 380 | 中部 | 38.11 |
| 43 | 島根県 | 371 | 中国 | 57.79 |
| 44 | 高知県 | 337 | 四国 | 51.37 |
| 45 | 佐賀県 | 331 | 九州 | 42.01 |
| 46 | 香川県 | 328 | 四国 | 35.77 |
| 47 | 鳥取県 | 326 | 中国 | 61.39 |
このグラフについての豆知識
沖縄県1県で九州7県の6割
沖縄県の3,339施設は、九州7県を合わせた5,441施設の6割にあたります。
人口では九州7県の1割ほどの県が、泊まる場所ではこれだけの比重を占めます。
全国5万1,038施設を47で割ると1,085.9施設。
中央値は842.0施設なので、平均のほうが大きくなっています。
上位の数県が全体を引き上げている形です。
2023年に最も多いのは東京都の4,422施設。
最も少ない鳥取県の326施設とは13.6倍の開きがあります。
簡易宿所や民泊は含まない
この指標は旅館業法にもとづく旅館・ホテル営業の施設数です。
カプセルホテルやゲストハウスなどの簡易宿所、下宿営業は別に集計されており、この数には入りません。
また、住宅宿泊事業法にもとづく民泊も含みません。
実際に泊まれる場所の総数とは一致しない点に注意が必要です。
数字は2023年のものです。
10年前とくらべると
全国の旅館・ホテルの数は、2013年の53,172施設から2023年の51,038施設へ、この10年で4%減りました。
かつての1位は静岡県です。
5位だった東京都が、いまは先頭に立ちました。
県ごとに見ると、いちばん増えたのは沖縄県で261%増です。
順位の並びがにている記事
この旅館・ホテルの数の並びに近い記事を、全記事の順位から機械で洗い出しました。
0.87という高い相関を示したのが【延べ宿泊者数】年間6億6千万人泊、上位5都道府県だけで4割を超えますでした。
逆に、ほぼ裏返しの並びになったのが【ひとりが使う部屋数】全国1.93室、差は1.52倍(相関-0.61)でした。
順位が近いことと、原因がつながっていることは別の話です。
それでも、見くらべると気づくことがあります。
地方のなかで見た旅館営業施設数
| 地方 | 最も多い(施設) | 最も少ない(施設) |
|---|---|---|
| 東北 | 福島県 1422 | 秋田県 503 |
| 関東 | 東京都 4422 | 埼玉県 694 |
| 中部 | 長野県 2578 | 富山県 380 |
| 近畿 | 大阪府 1576 | 奈良県 417 |
| 中国 | 広島県 726 | 鳥取県 326 |
| 四国 | 徳島県 438 | 香川県 328 |
| 九州 | 沖縄県 3339 | 佐賀県 331 |
まとめ
旅館・ホテルの数を47都道府県で比べると、最も多い東京都で4,422施設、最も少ない鳥取県で326施設でした。
全国は5万1,038施設、2位には沖縄県が入ります。
旅館・ホテルの数の数字には、但し書きが3つつきます。
1つ目は、簡易宿所や民泊を含まないこと。
2つ目は、施設の数であって客室数ではないこと。
3つ目は2023年の数字であることです。
人口10万人あたりで割り直すと東京都は38位に下がり、沖縄県が227.76施設で1位に立ちます。
泊まる場所は住む人ではなく訪れる人の数で決まるようです。
沖縄県の3,339施設は、九州7県を合わせた5,441施設の6割にあたります。
宿泊施設数や客室稼働率を比べた記事とあわせて読んでみてください。
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出典
- 統計名: 社会・人口統計体系(都道府県データ 基礎データ)
- 調査年: 2023年
- 公開元: 総務省統計局
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/regional-statistics/ssdsview/prefectures
- 備考: 指標コードC3801(旅館営業施設数(ホテルを含む))の2023年の値。旅館業法にもとづく旅館・ホテル営業の施設数。簡易宿所や下宿は含まない。人口10万人あたりは2024年の総人口で割った参考値
注記: 指標コードC3801(旅館営業施設数(ホテルを含む))の2023年の値。
旅館業法にもとづく旅館・ホテル営業の施設数。
簡易宿所や下宿は含まない。
人口10万人あたりは2024年の総人口で割った参考値
