この記事では、ドラッグストアの多さを人口あたりで47都道府県を比べます。
使うのは令和3年経済センサス-活動調査で、ドラッグストアに分類された事業所は全国で18,605店でした。
人口10万人あたりでは14.8店。
少ない地方は、思っていたのとは違うところでした。
47都道府県の単純平均
14.8店
人口10万人あたり店舗数(令和3年(2021年6月1日現在))
最も多い 岩手県
22.1店
最も少ない 宮崎県
7.5店
人口あたりのドラッグストアが多い5県
人口10万人あたりのドラッグストアが多い上位5県です。
岩手県は22.07店、新潟県は21.18店、石川県は21.07店、富山県は20.88店、山形県は20.66店でした。
20店を超えたのはこの5県です。
6位以下は群馬県20.08店、岐阜県19.94店、宮城県19.21店と続きます。
上位に並んだのは東北と北陸、それに北関東と東海の一部です。
地方別では東北6県が19.35店で最も多く、中部9県が18.15店で続きました。
九州の低さは、分類の違いで半分しか説明できない
ここから先は、人口あたりで見るドラッグストアがこう分かれる理由についての見立てです。
ほかの指標と突き合わせて立てた推測で、統計そのものが示している事実ではありません。
目を引くのは九州の低さです。
九州8県の平均は9.43店で、次に低い近畿7府県の12.54店を3.11ポイント下回りました。
8地方のなかで唯一10店を割っています。
下位10県のうち7県が九州です。
宮崎県7.45店、大分県8.08店、熊本県8.45店、長崎県9.41店、佐賀県9.80店、沖縄県9.95店、福岡県10.58店。
最初に疑ったのは分類の違いでした。
経済センサスには、ドラッグストアとは別に「医薬品小売業(調剤薬局を除く)」という分類があります。
昔ながらの薬局や薬店がこちらに入ります。
実際に見てみると、たしかに九州には多く残っていました。
人口10万人あたりの医薬品店は、九州8県が5.11店。
全国平均2.91店の1.76倍です。
徳島県8.57店に次いで、佐賀県7.44店、宮崎県7.16店、大分県6.46店、鹿児島県5.96店と上位に並びます。
ドラッグストアで最下位の宮崎県は、医薬品店を足すと14.61店になりました。
ただ、これで説明しきれるわけではありません。
両方を足した数で比べると、九州8県は14.53店、東北6県は22.89店。
8.36店の差が残ります。
つまり九州には昔ながらの薬局が多く残っている一方で、薬を買える店の総数そのものも東北より少ないということになります。
ドラッグストアチェーンの出店が相対的に進んでいない地域だと考えられます。
上位の東北と北陸に共通するのは、冬が長く、まとめ買いが定着している土地だという点でしょうか。
ドラッグストアは日用品や食品も扱う業態なので、日常の買い物先として使われているのかもしれません。
持ち家住宅率との相関係数はプラス0.38で、車で通う店という性格も少し見えます。
実数で見ると大都市圏が並ぶ
人口あたりではなく店舗数そのもので並べると、上位は人口の多い都府県になります。
東京都は2,131店、神奈川県は1,349店、埼玉県は1,199店、大阪府は1,121店、愛知県は1,057店でした。
人口あたりで1位の岩手県は264店です。
人口あたりでは全国平均の1.49倍でも、実数では小さな数になります。
出店の規模を考えるなら実数、家の近くにどれだけあるかを知りたいなら人口あたり、という使い分けになります。
人口あたりのドラッグストアが少ない5県
人口10万人あたりのドラッグストアが少ない下位5県です。
宮崎県は7.45店、大分県は8.08店、熊本県は8.45店、長崎県は9.41店、和歌山県は9.74店でした。
岩手県の22.07店とは2.96倍の差があります。
下位5県のうち4県が九州です。
10店を下回ったのは7県で、和歌山県を除く6県が九州・沖縄でした。
最下位の宮崎県7.45店は、1位の岩手県の3分の1です。
九州のなかでも鹿児島県は11.68店で36位、福岡県は10.58店で40位。
県によって差はありますが、8県すべてが下位半分に入っています。
和歌山県が下位に入っているのも目を引きます。
和歌山県はコンビニでも最下位、書店でも46位、パン屋でも最下位でした。
店の数を人口あたりで見ると、全体的に少ない県だということになります。
地図で見る人口10万人あたりのドラッグストア
| 項目 | 人口10万人あたり店舗数 |
|---|---|
| 北海道 | 16.8店 |
| 青森県 | 18.4店 |
| 岩手県 | 22.1店 |
| 宮城県 | 19.2店 |
| 秋田県 | 18.0店 |
| 山形県 | 20.7店 |
| 福島県 | 17.7店 |
| 茨城県 | 16.7店 |
| 栃木県 | 17.4店 |
| 群馬県 | 20.1店 |
| 埼玉県 | 16.3店 |
| 千葉県 | 15.6店 |
| 東京都 | 15.2店 |
| 神奈川県 | 14.6店 |
| 新潟県 | 21.2店 |
| 富山県 | 20.9店 |
| 石川県 | 21.1店 |
| 福井県 | 17.0店 |
| 山梨県 | 16.0店 |
| 長野県 | 17.1店 |
| 岐阜県 | 19.9店 |
| 静岡県 | 16.1店 |
| 愛知県 | 14.1店 |
| 三重県 | 13.5店 |
| 滋賀県 | 14.3店 |
| 京都府 | 14.4店 |
| 大阪府 | 12.7店 |
| 兵庫県 | 12.3店 |
| 奈良県 | 10.8店 |
| 和歌山県 | 9.7店 |
| 鳥取県 | 15.7店 |
| 島根県 | 10.8店 |
| 岡山県 | 13.3店 |
| 広島県 | 13.6店 |
| 山口県 | 11.9店 |
| 徳島県 | 11.5店 |
| 香川県 | 15.0店 |
| 愛媛県 | 16.4店 |
| 高知県 | 13.9店 |
| 福岡県 | 10.6店 |
| 佐賀県 | 9.8店 |
| 長崎県 | 9.4店 |
| 熊本県 | 8.5店 |
| 大分県 | 8.1店 |
| 宮崎県 | 7.5店 |
| 鹿児島県 | 11.7店 |
| 沖縄県 | 10.0店 |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは東北と北陸、北関東です。
淡いのは九州全域と近畿の南部でした。
47都道府県の単純平均は14.84店、中央値は14.97店です。
全国値の14.8店とほぼ同じで、人口の多い県と少ない県で大きな偏りがないことを示しています。
平均を超えたのは24都道県。
上位の岩手県22.07店と下位の宮崎県7.45店では2.96倍の差がありました。
| 順位 | 都道府県 | 人口10万人あたり店舗数(店) | 地方 | 店舗数 | 人口10万人あたり医薬品店数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 岩手県 | 22.07 | 東北 | 264 | 3.6 |
| 2 | 新潟県 | 21.18 | 中部 | 461 | 4.73 |
| 3 | 石川県 | 21.07 | 中部 | 237 | 2.13 |
| 4 | 富山県 | 20.88 | 中部 | 214 | 2.54 |
| 5 | 山形県 | 20.66 | 東北 | 218 | 3.13 |
| 6 | 群馬県 | 20.08 | 関東 | 387 | 3.58 |
| 7 | 岐阜県 | 19.94 | 中部 | 391 | 4.13 |
| 8 | 宮城県 | 19.21 | 東北 | 440 | 3.23 |
| 9 | 青森県 | 18.43 | 東北 | 225 | 3.11 |
| 10 | 秋田県 | 17.99 | 東北 | 170 | 3.92 |
| 11 | 福島県 | 17.72 | 東北 | 321 | 4.25 |
| 12 | 栃木県 | 17.39 | 関東 | 334 | 3.54 |
| 13 | 長野県 | 17.12 | 中部 | 348 | 3.49 |
| 14 | 福井県 | 16.97 | 中部 | 129 | 4.08 |
| 15 | 北海道 | 16.8 | 北海道 | 871 | 2.64 |
| 16 | 茨城県 | 16.65 | 関東 | 475 | 2.38 |
| 17 | 愛媛県 | 16.43 | 四国 | 217 | 3.41 |
| 18 | 埼玉県 | 16.34 | 関東 | 1199 | 1.91 |
| 19 | 静岡県 | 16.13 | 中部 | 582 | 2.19 |
| 20 | 山梨県 | 16.02 | 中部 | 129 | 2.36 |
| 21 | 鳥取県 | 15.66 | 中国 | 86 | 2.37 |
| 22 | 千葉県 | 15.6 | 関東 | 979 | 1.64 |
| 23 | 東京都 | 15.21 | 関東 | 2131 | 2.28 |
| 24 | 香川県 | 14.97 | 四国 | 141 | 4.88 |
| 25 | 神奈川県 | 14.61 | 関東 | 1349 | 2.41 |
| 26 | 京都府 | 14.41 | 近畿 | 369 | 2.23 |
| 27 | 滋賀県 | 14.25 | 近畿 | 201 | 1.35 |
| 28 | 愛知県 | 14.06 | 中部 | 1057 | 1.92 |
| 29 | 高知県 | 13.89 | 四国 | 95 | 4.24 |
| 30 | 広島県 | 13.56 | 中国 | 377 | 4.32 |
| 31 | 三重県 | 13.5 | 近畿 | 237 | 1.31 |
| 32 | 岡山県 | 13.33 | 中国 | 250 | 4.42 |
| 33 | 大阪府 | 12.73 | 近畿 | 1121 | 2.37 |
| 34 | 兵庫県 | 12.32 | 近畿 | 669 | 2.34 |
| 35 | 山口県 | 11.9 | 中国 | 158 | 5.87 |
| 36 | 鹿児島県 | 11.68 | 九州 | 184 | 5.96 |
| 37 | 徳島県 | 11.52 | 四国 | 82 | 8.57 |
| 38 | 島根県 | 10.83 | 中国 | 72 | 4.06 |
| 39 | 奈良県 | 10.8 | 近畿 | 142 | 1.67 |
| 40 | 福岡県 | 10.58 | 九州 | 542 | 4.1 |
| 41 | 沖縄県 | 9.95 | 九州 | 146 | 0.89 |
| 42 | 佐賀県 | 9.8 | 九州 | 79 | 7.44 |
| 43 | 和歌山県 | 9.74 | 近畿 | 89 | 3.28 |
| 44 | 長崎県 | 9.41 | 九州 | 122 | 4.55 |
| 45 | 熊本県 | 8.45 | 九州 | 146 | 4.28 |
| 46 | 大分県 | 8.08 | 九州 | 90 | 6.46 |
| 47 | 宮崎県 | 7.45 | 九州 | 79 | 7.16 |
このグラフについての豆知識
調剤薬局は含まれない
この記事の店舗数は、産業細分類「6031 ドラッグストア」に分類された事業所です。
医薬品と化粧品を中心に、日用品や食品もあわせて売る店が対象になります。
処方せんを扱う調剤薬局は別の分類で、この数には入りません。
調剤機能を持つドラッグストアはドラッグストアとして数えられます。
表に載せた「医薬品店」は産業細分類「6032 医薬品小売業(調剤薬局を除く)」です。
昔ながらの薬局や薬店がここに入ります。
全国3,655店で、ドラッグストアの5分の1ほどの規模でした。
調査は2021年6月1日現在
経済センサス-活動調査は5年ごとに行われます。
この記事の数字は2021年6月1日現在のものです。
人口10万人あたりの店舗数は、2021年10月1日現在の人口推計で割って算出しました。
ドラッグストアは出店が続いている業態です。
2021年以降も店舗数は増えているため、個別の県の数字は現在とは変わっている可能性があります。
順位の並びがにている記事
人口あたりで見るドラッグストアの並びと似ている記事、そして正反対の記事を挙げます。
いちばん近かったのは【りんご・収穫量】全国60万9,200t、調査されているのは14県だけで、順位相関は0.84でした。
正反対だったのは【鶏肉への支出】平均年1万9,209円、産地と食卓が近いで、相関は-0.77です。
順位が近いことと、原因がつながっていることは別の話です。
それでも、見くらべると気づくことがあります。
地方のなかで見た人口10万人あたり店舗数
| 地方 | 最も多い(店) | 最も少ない(店) |
|---|---|---|
| 東北 | 岩手県 22.07 | 福島県 17.72 |
| 関東 | 群馬県 20.08 | 神奈川県 14.61 |
| 中部 | 新潟県 21.18 | 愛知県 14.06 |
| 近畿 | 京都府 14.41 | 和歌山県 9.74 |
| 中国 | 鳥取県 15.66 | 島根県 10.83 |
| 四国 | 愛媛県 16.43 | 徳島県 11.52 |
| 九州 | 鹿児島県 11.68 | 宮崎県 7.45 |
まとめ
47都道府県の人口10万人あたりのドラッグストア数を比べると、最も多い岩手県は22.07店、最も少ない宮崎県は7.45店で、その差は2.96倍でした。
全国では14.8店、店舗数は18,605店です。
人口あたりで見るドラッグストアの統計を読むときの注意点は3つです。
1つ目は、調剤薬局が含まれないこと。
2つ目は、人口あたりの数を2021年10月1日の人口推計で算出していること。
3つ目は2021年6月1日現在の調査であることです。
九州8県の平均は9.43店で、8地方のなかで唯一10店を割りました。
昔ながらの医薬品店は九州に多く残っていますが、両方を足しても東北との差は8.36店残ります。
上位は東北と北陸に集まりました。
コンビニやスーパーを比べた記事とあわせて読むと、同じ「店の多さ」でも業種によって上位の顔ぶれがまったく違うことが分かります。
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出典
- 統計名: 経済センサス-活動調査(卸売業、小売業に関する集計)と人口推計
- 調査年: 令和3年(2021年6月1日現在)
- 公開元: 総務省・経済産業省/総務省統計局
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040032857
- 備考: 事業所数は産業細分類6031_ドラッグストアに分類された民営事業所。調剤薬局は含まない。医薬品店は産業細分類6032_医薬品小売業(調剤薬局を除く)。人口10万人あたりの店舗数は、2021年10月1日現在の人口推計で割って算出した
注記: 事業所数は産業細分類6031_ドラッグストアに分類された民営事業所。
調剤薬局は含まない。
医薬品店は産業細分類6032_医薬品小売業(調剤薬局を除く)。
人口10万人あたりの店舗数は、2021年10月1日現在の人口推計で割って算出した
