1世帯が1年間に払う都市ガス代は、都道府県でどれほど違うのでしょうか。
この記事では、47都道府県の数字を比べます。
使うのは総務省統計局の家計調査で、二人以上の世帯の2023年から2025年までの3年平均です。
全国平均は年間39,035円。
上位と下位では11.94倍の差がありました。
ただプロパンガスを足して見ると、この差はほとんど消えてしまいます。
47都道府県の単純平均
36,983円
都市ガスへの年間支出(2023年〜2025年平均)
最も多い 大阪府
77,510円
最も少ない 青森県
6,491円
都市ガスへの支出が多い5府県
都市ガスへの支出が多い上位5府県です。
大阪府は77,510円、京都府は74,914円、愛知県は73,211円、新潟県は69,818円、兵庫県は67,655円でした。
7万円を超えたのは大阪府、京都府、愛知県の3府県です。
6位以下は東京都、広島県、奈良県と続きます。
上位に並んだのは近畿と東海の都市部、それに新潟県でした。
新潟県が4位に入っているのは目を引きます。
近畿と東海が並ぶなかで、日本海側の県がひとつだけ食い込んでいる形です。
プロパンガスを足すと、順位はほとんど消える
ここからは統計を離れて、1世帯が1年間に払う都市ガス代の背景を推測します。
確かめられた事実ではなく、ほかの数字と並べて考えた見立てとして読んでください。
都市ガスは導管をつないだ地域でしか使えません。
人口が集まっていなければ導管を引く費用が見合わないので、都市部に偏るのは当然とも言えます。
実際、人口密度との相関係数はプラス0.54でした。
導管が来ていない地域では、代わりにプロパンガスを使います。
家計調査ではこの2つが別の品目として集計されるため、片方だけを見ると景色が偏ります。
プロパンガスへの支出を見ると、順位はきれいに裏返ります。
1位は高知県の42,101円、2位は岩手県38,471円、3位は北海道38,382円。
逆に最下位は兵庫県の671円、その上が大阪府1,100円、東京都1,359円でした。
最大と最小の比は62.74倍で、都市ガスの11.94倍よりさらに極端です。
では2つを足すとどうなるか。
ガス代の合計で並べると、1位は大阪府78,610円、最下位は青森県34,478円。
最大と最小の比は2.28倍まで縮みます。
11.94倍と62.74倍という数字が、足し合わせただけで2.28倍になりました。
分かりやすいのが兵庫県と高知県の対比です。
兵庫県は都市ガス67,655円にプロパンガス671円で、合計68,326円。
高知県は都市ガス28,305円にプロパンガス42,101円で、合計70,406円。
中身はまるで違うのに、合計はほとんど同じでした。
つまり都市ガスのランキングが示しているのは、ガスをどれだけ使うかではなく、どちらのガスを使う地域かということです。
生活の実態を比べたいなら、合計で見るほうが素直でしょう。
合計で下位に来る青森県34,478円、石川県34,666円、福井県35,324円は、いずれも灯油への支出が多い県です。
ガスの代わりに灯油で暖房や給湯をまかなっている地域だと考えられます。
都市ガスへの支出が少ない5県
都市ガスへの支出が少ない下位5県です。
青森県は6,491円、福井県は10,616円、佐賀県は11,274円、愛媛県は13,331円、山形県は13,580円でした。
大阪府の77,510円とは11.94倍の差があります。
最下位の青森県6,491円は、月あたりにすると540円ほどです。
ただ青森県のプロパンガスへの支出は27,987円あり、合計すると34,478円になります。
都市ガスが少ないことは、ガスを使わないことを意味しません。
下位に並んだのは東北や北陸、四国、九州の県です。
人口が分散していて導管が引かれていない地域が中心でした。
地方別でも四国4県が20,816円で最も低く、東北6県が26,722円、中国5県が28,365円と続きます。
近畿7府県の55,559円とは2.67倍の差がありました。
地図で見る都市ガスへの支出
| 項目 | 都市ガスへの年間支出 |
|---|---|
| 北海道 | 32,698円 |
| 青森県 | 6,491円 |
| 岩手県 | 24,181円 |
| 宮城県 | 42,618円 |
| 秋田県 | 47,379円 |
| 山形県 | 13,580円 |
| 福島県 | 26,085円 |
| 茨城県 | 30,863円 |
| 栃木県 | 24,073円 |
| 群馬県 | 28,919円 |
| 埼玉県 | 58,811円 |
| 千葉県 | 58,225円 |
| 東京都 | 65,409円 |
| 神奈川県 | 62,105円 |
| 新潟県 | 69,818円 |
| 富山県 | 26,084円 |
| 石川県 | 18,012円 |
| 福井県 | 10,616円 |
| 山梨県 | 29,777円 |
| 長野県 | 30,507円 |
| 岐阜県 | 45,755円 |
| 静岡県 | 57,817円 |
| 愛知県 | 73,211円 |
| 三重県 | 30,733円 |
| 滋賀県 | 50,713円 |
| 京都府 | 74,914円 |
| 大阪府 | 77,510円 |
| 兵庫県 | 67,655円 |
| 奈良県 | 59,948円 |
| 和歌山県 | 27,442円 |
| 鳥取県 | 15,226円 |
| 島根県 | 15,599円 |
| 岡山県 | 33,813円 |
| 広島県 | 52,365円 |
| 山口県 | 24,820円 |
| 徳島県 | 20,261円 |
| 香川県 | 21,368円 |
| 愛媛県 | 13,331円 |
| 高知県 | 28,305円 |
| 福岡県 | 48,301円 |
| 佐賀県 | 11,274円 |
| 長崎県 | 48,605円 |
| 熊本県 | 32,020円 |
| 大分県 | 17,090円 |
| 宮崎県 | 19,918円 |
| 鹿児島県 | 36,171円 |
| 沖縄県 | 27,764円 |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは近畿と東海の都市部、首都圏、それに新潟県です。
淡いのは東北と北陸の一部、四国、九州でした。
47都道府県の単純平均は36,983円、中央値は30,733円です。
平均が中央値より6,250円高いのは、上位の都市圏が全体を引き上げているためです。
平均を超えたのは18都府県。
都市ガスは使う県と使わない県がはっきり分かれるため、なだらかな分布にはなりません。
| 順位 | 都道府県 | 都市ガスへの年間支出(円) | 地方 | プロパンガスへの年間支出 | ガス代合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 大阪府 | 77510 | 近畿 | 1100 | 78610 |
| 2 | 京都府 | 74914 | 近畿 | 2792 | 77706 |
| 3 | 愛知県 | 73211 | 中部 | 1451 | 74662 |
| 4 | 新潟県 | 69818 | 中部 | 5967 | 75785 |
| 5 | 兵庫県 | 67655 | 近畿 | 671 | 68326 |
| 6 | 東京都 | 65409 | 関東 | 1359 | 66768 |
| 7 | 神奈川県 | 62105 | 関東 | 7197 | 69302 |
| 8 | 奈良県 | 59948 | 近畿 | 13515 | 73463 |
| 9 | 埼玉県 | 58811 | 関東 | 9408 | 68219 |
| 10 | 千葉県 | 58225 | 関東 | 2885 | 61110 |
| 11 | 静岡県 | 57817 | 中部 | 15242 | 73059 |
| 12 | 広島県 | 52365 | 中国 | 14873 | 67238 |
| 13 | 滋賀県 | 50713 | 近畿 | 5897 | 56610 |
| 14 | 長崎県 | 48605 | 九州 | 14656 | 63261 |
| 15 | 福岡県 | 48301 | 九州 | 14796 | 63097 |
| 16 | 秋田県 | 47379 | 東北 | 10516 | 57895 |
| 17 | 岐阜県 | 45755 | 中部 | 23861 | 69616 |
| 18 | 宮城県 | 42618 | 東北 | 14278 | 56896 |
| 19 | 鹿児島県 | 36171 | 九州 | 20748 | 56919 |
| 20 | 岡山県 | 33813 | 中国 | 19135 | 52948 |
| 21 | 北海道 | 32698 | 北海道 | 38382 | 71080 |
| 22 | 熊本県 | 32020 | 九州 | 24864 | 56884 |
| 23 | 茨城県 | 30863 | 関東 | 28881 | 59744 |
| 24 | 三重県 | 30733 | 近畿 | 24517 | 55250 |
| 25 | 長野県 | 30507 | 中部 | 27442 | 57949 |
| 26 | 山梨県 | 29777 | 中部 | 32362 | 62139 |
| 27 | 群馬県 | 28919 | 関東 | 28236 | 57155 |
| 28 | 高知県 | 28305 | 四国 | 42101 | 70406 |
| 29 | 沖縄県 | 27764 | 九州 | 35825 | 63589 |
| 30 | 和歌山県 | 27442 | 近畿 | 16203 | 43645 |
| 31 | 福島県 | 26085 | 東北 | 31048 | 57133 |
| 32 | 富山県 | 26084 | 中部 | 18395 | 44479 |
| 33 | 山口県 | 24820 | 中国 | 27414 | 52234 |
| 34 | 岩手県 | 24181 | 東北 | 38471 | 62652 |
| 35 | 栃木県 | 24073 | 関東 | 28484 | 52557 |
| 36 | 香川県 | 21368 | 四国 | 24868 | 46236 |
| 37 | 徳島県 | 20261 | 四国 | 27802 | 48063 |
| 38 | 宮崎県 | 19918 | 九州 | 24308 | 44226 |
| 39 | 石川県 | 18012 | 中部 | 16654 | 34666 |
| 40 | 大分県 | 17090 | 九州 | 30242 | 47332 |
| 41 | 島根県 | 15599 | 中国 | 32967 | 48566 |
| 42 | 鳥取県 | 15226 | 中国 | 26945 | 42171 |
| 43 | 山形県 | 13580 | 東北 | 38079 | 51659 |
| 44 | 愛媛県 | 13331 | 四国 | 31149 | 44480 |
| 45 | 佐賀県 | 11274 | 九州 | 32263 | 43537 |
| 46 | 福井県 | 10616 | 中部 | 24708 | 35324 |
| 47 | 青森県 | 6491 | 東北 | 27987 | 34478 |
このグラフについての豆知識
都市ガスとプロパンガスは別の品目
家計調査では、都市ガスとプロパンガスが別の品目として集計されます。
同じ「ガス代」でも、集計上はまったく別の数字です。
都市ガスは導管で供給されるガスで、料金は使用量に応じて決まります。
プロパンガスはボンベで配送されるため、配送費が上乗せされる分だけ単価が高くなる傾向があります。
この記事の表には、都市ガスとプロパンガスに加えて合計も載せました。
県ごとのガスの使い方を知りたいときは、合計のほうを見てください。
数字は県庁所在市のもので、県全体の平均ではない
家計調査の品目別ランキングは、各都道府県の県庁所在市(東京都は都区部)で調査された二人以上の世帯の平均です。
ガスではこの制約が大きく効きます。
県庁所在市は県内で最も都市ガスの導管が整った地域なので、郡部を含めた県全体で見れば都市ガスの比率はもっと低くなるはずです。
また3年分を平均しているため、直近のガス料金の動きは表れにくくなっています。
順位の並びがにている記事
1世帯が1年間に払う都市ガス代の47都道府県の並びを、ほかの記事の並びと総当たりで比べました。
いちばん近かったのは【はり師・きゅう師の数】全国26万6,423人、上位3都府県で4割超で、順位相関は0.82でした。
正反対だったのは【自家用車通勤の割合】8割を超える県と1割に届かない都、通勤の景色はこれほど違うで、相関は-0.69です。
順位が近いことと、原因がつながっていることは別の話です。
それでも、見くらべると気づくことがあります。
地方のなかで見た都市ガスへの年間支出
| 地方 | 最も多い(円) | 最も少ない(円) |
|---|---|---|
| 東北 | 秋田県 47379 | 青森県 6491 |
| 関東 | 東京都 65409 | 栃木県 24073 |
| 中部 | 愛知県 73211 | 福井県 10616 |
| 近畿 | 大阪府 77510 | 和歌山県 27442 |
| 中国 | 広島県 52365 | 鳥取県 15226 |
| 四国 | 高知県 28305 | 愛媛県 13331 |
| 九州 | 長崎県 48605 | 佐賀県 11274 |
まとめ
47都道府県の都市ガスへの支出を比べると、最も多い大阪府は77,510円、最も少ない青森県は6,491円で、その差は11.94倍でした。
全国平均は39,035円です。
1世帯が1年間に払う都市ガス代の順位を見るときは、次の3点をあわせて見てください。
1つ目は、都市ガスとプロパンガスが別の品目として集計されること。
2つ目は、県庁所在市は県内で最も導管が整った地域であること。
3つ目は2023年から2025年の3年平均であることです。
プロパンガスを足したガス代の合計で並べ直すと、最大と最小の比は2.28倍まで縮みます。
11.94倍と62.74倍が、足し合わせただけで2.28倍になりました。
兵庫県は合計68,326円、高知県は70,406円でほぼ同額ですが、中身は都市ガス中心とプロパン中心で正反対です。
電気代や灯油への支出を比べた記事とあわせて読むと、その土地の光熱費の組み立て方が見えてきます。
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出典
- 統計名: 家計調査(二人以上の世帯、品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング)
- 調査年: 2023年〜2025年平均
- 公開元: 総務省統計局
- 参照URL: https://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html
- 備考: 数値は各都道府県の県庁所在市(東京都は都区部)で調査された二人以上の世帯の1年間の平均であり、県全体の平均ではない。都市ガスとプロパンガスは別の品目として集計される。ガス代合計は2つの単純合計
注記: 数値は各都道府県の県庁所在市(東京都は都区部)で調査された二人以上の世帯の1年間の平均であり、県全体の平均ではない。
都市ガスとプロパンガスは別の品目として集計される。
ガス代合計は2つの単純合計
