糸をつむぎ、布を織り、衣服に仕立てる仕事です。
かつては日本の輸出を支えた産業でしたが、いまは生産の多くが海外に移り、国内では高い技術を要する分野が残っています。
今回は47都道府県の紡織・衣服・繊維製品製造従事者の平均月給を、2022年の厚生労働省「賃金構造基本統計調査」のデータを使って比べました。
千葉県が29万円で1位。
47都道府県の平均は19.92万円、中央値は19.2万円です。
最も高い29万円と最も低い16万円の差は13万円、倍率にすると1.81倍でした。
実数で見るか率で見るかによって並びは変わります。
この記事では率のほうを主に見ていきます。
47都道府県の単純平均
19.9万円
紡織・衣服・繊維製品製造従事者の所定内給与額(2022年)
最も多い 千葉県
29万円
最も少ない 高知県
16万円
衣服づくりの月給が高い上位5県
衣服づくりの月給が高い上位5県です。
千葉県は29万円、東京都は25.2万円、山梨県は25万円でした。
1位と2位の差は3.8万円です。
4位は岐阜県で24.3万円、5位は群馬県で23.7万円。
上位5はいずれも47都道府県の平均19.92万円を上回りました。
1位の千葉県は平均を9.08万円上回りました。
中央値の19.2万円と比べると9.8万円高く、平均に対する比では1.46倍にあたります。
6位以下は大阪府で23.3万円、三重県で23.2万円、静岡県で23.1万円と続きました。
2位と3位の差は0.2万円、3位と4位の差は0.7万円。
上位のなかでも順位が近いほど差は小さく、5位と8位の間は0.6万円でした。
1位から5位までの幅は5.3万円、1位から8位までの幅は5.9万円でした。
上位のなかでも順位が下がるにつれて差は緩やかになります。
千葉県は化学製品製造従事者の所定内給与額でも26位に入っています。
全国の値は20.1万円で、上位5はいずれもこれを上回りました。
1位は千葉県の29万円。
全国平均を9万円ちかく上回ります。
化学製品づくりの月給と並べて見ます
ここからは統計を離れて、衣服・繊維をつくる仕事の平均月給の背景を推測します。
確かめられた事実ではなく、ほかの数字と並べて考えた見立てとして読んでください。
化学製品製造従事者の所定内給与額で並べ替えると、順位が変わります。
1位は東京都の37.4、2位は神奈川県の33.6、3位は大阪府の33.2。
4位以下は茨城県、三重県と続きます。
逆に下位は北海道が23.3、高知県が22.6。
東京都と高知県では1.65倍の開きです。
繊維の仕事は、この統計で扱った職種のなかでも給与が低い部類です。
全国平均は19.9万円で、ビル清掃員の18.6万円に近い水準になります。
海外の安い製品との競争が長く続いた業界であり、その影響が給与にも表れていると考えられます。
当サイトの布や糸をつくる日本一のまちの記事とあわせて見てみてください。
地方ごとに県の平均を出すと、関東7都県が23.36万円で最も高く、東北6県が17.07万円で最も低くなります。
中部9県21.9万円と近畿7府県21.74万円がそれに続きました。
実数で見ると順位は変わる
衣服づくりの月給が低い下位5県
衣服づくりの月給が低い下位5県です。
47位の高知県は16万円、46位の秋田県は16.1万円、45位の島根県は16.2万円でした。
1位の千葉県とは13万円の差があります。
44位は宮崎県で16.3万円、43位は青森県で16.6万円、42位は長崎県で16.7万円と続きます。
最も低い高知県は16万円。
1位と47位の差は1.8倍です。
47都道府県の中央値は19.2万円、平均は19.92万円です。
47位の高知県は平均を3.92万円下回りました。
47位の高知県は1位の千葉県の55.2パーセントにあたる水準で、倍率にすると1.81倍の開きです。
46位との差は0.1万円、45位との差は0.2万円。
下位のほうは差が詰まっており、47位と42位の間でも0.7万円しかありません。
下位5県はいずれも47都道府県の平均19.92万円を下回りました。
47位から43位までの幅は0.6万円です。
高知県は化学製品製造従事者の所定内給与額では47位です。
全国の値は20.1万円なので、47位はこれを4.1万円下回っています。
地方別に見る
衣服づくりの月給は、県によって差が出ます。
地方ごとに県の平均を出すと、関東7都県が23.36万円で最も高くなります。
次いで中部9県が21.9万円、近畿7府県が21.74万円、四国4県が18.27万円と続きました。
低いほうは中国5県が17.88万円、九州・沖縄8県が17.65万円、北海道が17.4万円、東北6県が17.07万円でした。
最も高い関東7都県と最も低い東北6県の差は6.29万円です。
化学製品製造従事者の所定内給与額で見ると関東7都県が最も高く、北海道が最も低くなりました。
地図で見る
| 項目 | 紡織・衣服・繊維製品製造従事者の所定内給与額 |
|---|---|
| 北海道 | 17.4万円 |
| 青森県 | 16.6万円 |
| 岩手県 | 17.7万円 |
| 宮城県 | 16.7万円 |
| 秋田県 | 16.1万円 |
| 山形県 | 17.7万円 |
| 福島県 | 17.6万円 |
| 茨城県 | 21.5万円 |
| 栃木県 | 21万円 |
| 群馬県 | 23.7万円 |
| 埼玉県 | 21.6万円 |
| 千葉県 | 29万円 |
| 東京都 | 25.2万円 |
| 神奈川県 | 21.5万円 |
| 新潟県 | 17.5万円 |
| 富山県 | 19.7万円 |
| 石川県 | 22.6万円 |
| 福井県 | 20.9万円 |
| 山梨県 | 25万円 |
| 長野県 | 21.3万円 |
| 岐阜県 | 24.3万円 |
| 静岡県 | 23.1万円 |
| 愛知県 | 22.7万円 |
| 三重県 | 23.2万円 |
| 滋賀県 | 20.2万円 |
| 京都府 | 22.8万円 |
| 大阪府 | 23.3万円 |
| 兵庫県 | 20.8万円 |
| 奈良県 | 22.8万円 |
| 和歌山県 | 19.1万円 |
| 鳥取県 | 17.2万円 |
| 島根県 | 16.2万円 |
| 岡山県 | 17.4万円 |
| 広島県 | 20万円 |
| 山口県 | 18.6万円 |
| 徳島県 | 18.4万円 |
| 香川県 | 19万円 |
| 愛媛県 | 19.7万円 |
| 高知県 | 16万円 |
| 福岡県 | 19.2万円 |
| 佐賀県 | 19万円 |
| 長崎県 | 16.7万円 |
| 熊本県 | 18.2万円 |
| 大分県 | 17.8万円 |
| 宮崎県 | 16.3万円 |
| 鹿児島県 | 16.8万円 |
| 沖縄県 | 17.2万円 |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは千葉県です。
次いで東京都、山梨県、岐阜県、群馬県が続きます。
淡いのは高知県、秋田県、島根県でした。
47都道府県の平均は19.92万円、中央値は19.2万円です。
千葉県の29万円は平均を9.08万円上回ります。
1位と47位の差は13万円、倍率にすると1.81倍でした。
化学製品製造従事者の所定内給与額で並べ替えると東京都が37.4で最も高く、開きは1.65倍になります。
主指標で1位の千葉県は化学製品製造従事者の所定内給与額では26位、化学製品製造従事者の所定内給与額で1位の東京都は主指標では2位でした。
| 順位 | 都道府県 | 紡織・衣服・繊維製品製造従事者の所定内給与額(万円) | 地方 | 化学製品製造従事者の所定内給与額 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 千葉県 | 29 | 関東 | 28.2 |
| 2 | 東京都 | 25.2 | 関東 | 37.4 |
| 3 | 山梨県 | 25 | 中部 | 27.1 |
| 4 | 岐阜県 | 24.3 | 中部 | 28.4 |
| 5 | 群馬県 | 23.7 | 関東 | 29.9 |
| 6 | 大阪府 | 23.3 | 近畿 | 33.2 |
| 7 | 三重県 | 23.2 | 近畿 | 32.2 |
| 8 | 静岡県 | 23.1 | 中部 | 29.1 |
| 9 | 京都府 | 22.8 | 近畿 | 27 |
| 9 | 奈良県 | 22.8 | 近畿 | 27.2 |
| 11 | 愛知県 | 22.7 | 中部 | 29.7 |
| 12 | 石川県 | 22.6 | 中部 | 25.9 |
| 13 | 埼玉県 | 21.6 | 関東 | 29.6 |
| 14 | 茨城県 | 21.5 | 関東 | 32.7 |
| 14 | 神奈川県 | 21.5 | 関東 | 33.6 |
| 16 | 長野県 | 21.3 | 中部 | 31.1 |
| 17 | 栃木県 | 21 | 関東 | 30.9 |
| 18 | 福井県 | 20.9 | 中部 | 28.1 |
| 19 | 兵庫県 | 20.8 | 近畿 | 29.5 |
| 20 | 滋賀県 | 20.2 | 近畿 | 27.9 |
| 21 | 広島県 | 20 | 中国 | 30.7 |
| 22 | 愛媛県 | 19.7 | 四国 | 29.1 |
| 22 | 富山県 | 19.7 | 中部 | 28.8 |
| 24 | 福岡県 | 19.2 | 九州 | 27.7 |
| 25 | 和歌山県 | 19.1 | 近畿 | 25.9 |
| 26 | 香川県 | 19 | 四国 | 28.4 |
| 26 | 佐賀県 | 19 | 九州 | 24.3 |
| 28 | 山口県 | 18.6 | 中国 | 28.4 |
| 29 | 徳島県 | 18.4 | 四国 | 29.9 |
| 30 | 熊本県 | 18.2 | 九州 | 26.1 |
| 31 | 大分県 | 17.8 | 九州 | 31 |
| 32 | 岩手県 | 17.7 | 東北 | 29.7 |
| 32 | 山形県 | 17.7 | 東北 | 25.8 |
| 34 | 福島県 | 17.6 | 東北 | 26.7 |
| 35 | 新潟県 | 17.5 | 中部 | 28.3 |
| 36 | 岡山県 | 17.4 | 中国 | 28.1 |
| 36 | 北海道 | 17.4 | 北海道 | 23.3 |
| 38 | 沖縄県 | 17.2 | 九州 | 32.1 |
| 38 | 鳥取県 | 17.2 | 中国 | 31.7 |
| 40 | 鹿児島県 | 16.8 | 九州 | 26.3 |
| 41 | 宮城県 | 16.7 | 東北 | 25.6 |
| 41 | 長崎県 | 16.7 | 九州 | 25.1 |
| 43 | 青森県 | 16.6 | 東北 | 26.7 |
| 44 | 宮崎県 | 16.3 | 九州 | 29.7 |
| 45 | 島根県 | 16.2 | 中国 | 25.5 |
| 46 | 秋田県 | 16.1 | 東北 | 24.1 |
| 47 | 高知県 | 16 | 四国 | 22.6 |
このグラフについての豆知識
競争にさらされた産業
紡織・衣服・繊維製品製造従事者の月給は47都道府県平均で19.9万円。
この記事で扱う職種のなかで最も低い水準です。
一方で、高い技術で作る特別な布は世界から評価されており、産地では技能の継承が課題になっています。
職業名でみる賃金統計
賃金構造基本統計調査には、職種を145に分けた集計があります。
この記事はその「職種(特掲)」から、フルタイムで働く人の2022年の所定内給与を取り出したものです。
所定内給与は毎月決まって支払われる給与から残業代を除いたもので、賞与は含みません。
千円単位の公表値を万円に換算しました。
標本調査なので、その職種で働く人が少ない県では数字が大きくぶれることがあります。
順位そのものより、水準の目安として読んでください。
数字の散らばり
1位の千葉県は29万円、47位の高知県は16万円。
差は13万円、倍率にすると1.81倍です。
中央値は19.2万円、平均は19.92万円でした。
平均と中央値がどれだけ離れているかを見ると、一部の都道府県が全体を引っぱっているかどうかが分かります。
この指標では0.72万円の差でした。
化学製品製造従事者の所定内給与額で並べ替えると開きは1.65倍になります。
2つの見方を突き合わせると、順位の意味がはっきりします。
順位の並びがにている記事
この衣服・繊維をつくる仕事の平均月給の並びに近い記事を、全記事の順位から機械で洗い出しました。
最も似ていたのは【外国人住民】が多い都道府県ランキング、人口比で見ると意外な地域も(順位相関0.85)です。
反対に、並びがいちばん逆だったのは【スーパーの数】が多いのは大都市ではありませんでした、人口あたりで比較(順位相関-0.75)です。
似ているからといって理由が同じとはかぎりません。
それでも、2つを重ねると土地の性格が見えてくることがあります。
地方のなかで見た紡織・衣服・繊維製品製造従事者の所定内給与額
| 地方 | 最も多い(万円) | 最も少ない(万円) |
|---|---|---|
| 東北 | 岩手県 17.7 | 秋田県 16.1 |
| 関東 | 千葉県 29 | 栃木県 21 |
| 中部 | 山梨県 25 | 新潟県 17.5 |
| 近畿 | 大阪府 23.3 | 和歌山県 19.1 |
| 中国 | 広島県 20 | 島根県 16.2 |
| 四国 | 愛媛県 19.7 | 高知県 16 |
| 九州 | 福岡県 19.2 | 宮崎県 16.3 |
まとめ
衣服・繊維をつくる仕事の平均月給を47都道府県で比べると、最も高い千葉県で29万円、最も低い高知県で16万円でした。
その差は13万円、倍率にすると1.81倍です。
47都道府県の中央値は19.2万円、平均は19.92万円でした。
全国の値は20.1万円です。
化学製品製造従事者の所定内給与額で並べ替えると開きは1.65倍になり、主指標で1位の千葉県はその見方では26位に位置します。
衣服・繊維をつくる仕事の平均月給の数字には、但し書きが3つつきます。
1つ目は、パートタイムで働く人を含まないこと。
2つ目は、残業代を含まない所定内給与であること。
3つ目は2022年の数字であることです。
化学製品製造従事者の所定内給与額では東京都が37.4で最も高く、主指標で1位の千葉県はこの見方では26位でした。
地方ごとの平均では関東7都県が23.36万円で最も高く、東北6県が17.07万円で最も低くなりました。
布や糸をつくるまちや子供服への支出を比べた記事とあわせて読んでみてください。
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出典
- 統計名: 賃金構造基本統計調査(都道府県別 職種(特掲)DB)
- 調査年: 2022年
- 公開元: 厚生労働省
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/stat-search/database?statdisp_id=0003445758
- 備考: 糸・布・衣服をつくる人の所定内給与額。千円単位の公表値を万円に換算した。都道府県を足し合わせても意味がないため、合計や人口10万人あたりは載せていない。参考指標は化学製品製造従事者の所定内給与額
注記: 糸・布・衣服をつくる人の所定内給与額。
千円単位の公表値を万円に換算した。
都道府県を足し合わせても意味がないため、合計や人口10万人あたりは載せていない。
参考指標は化学製品製造従事者の所定内給与額
