自宅で最期を迎える人を医師が看取る「在宅看取り」を、町の診療所はどれくらい行っているのでしょうか。
2023年9月の実施件数を47都道府県で比べます。
使うのは厚生労働省の医療施設静態調査、2023年の数字。
東京都が2,201件で1位。
47都道府県の平均は382.3件、中央値は185件です。
1位と47位の間には47.8倍の開き、人口10万人あたりでは3.6倍の開きがありました。
47都道府県の単純平均
382件
診療所の在宅看取りの実施件数(2023年)
最も多い 東京都
2,201件
最も少ない 高知県
46件
在宅看取りが多い上位5都府県
在宅看取りが多い上位5都府県です。
東京都は2,201件、神奈川県は1,930件、大阪府は1,407件でした。
東京都は2位の神奈川県の1.14倍です。
4位は愛知県で1,213件、5位は埼玉県で1,108件。
上位5で全国の43.7パーセント、上位3で30.8パーセント、上位10で62.7パーセントでした。
1位だけで12.3パーセントを占めます。
47都道府県の平均は382.3件なので、1位は平均の5.8倍。
中央値の185件と比べると11.9倍にあたります。
6位以下は兵庫県で881件、千葉県で837件、静岡県で691件と続きました。
2位と3位の差は523件、3位と4位の差は194件でした。
上位5より下の42都道府県で、全国の56.3パーセントを分け合っています。
1位と2位を合わせると4,131件。
これだけで全国の23.0パーセントにあたります。
1位だけで全国の12.3パーセントを占めました。
人口の多さに沿った並びです。
人口あたりでは岐阜県が1位です
この分布の背景を、ここから考えてみます。
診療所の在宅看取りの件数の統計が答えを持っているわけではないので、以下はほかの数字と照らして立てた推測です。
人口10万人あたりで割り直すと、並びが変わります。
1位は岐阜県の25件、2位は和歌山県21.02件、3位は神奈川県20.92件。
4位以下は静岡県、群馬県と続きます。
逆に人口あたりの下位は滋賀県7.7件、高知県7.01件。
岐阜県と高知県では3.6倍の開きです。
人口あたりの1位は岐阜県です。
実数1位の東京都は人口あたりでは14位です。
在宅看取りには、訪問診療の体制と、家族や訪問看護の支えの両方が必要です。
件数の多い地域は、その体制が整っている地域だと読めます。
当サイトの自宅での死亡数の記事とあわせて見ると、望んだ場所で最期を迎えられるかという問いが見えてきます。
地方別に人口10万人あたりの平均を出すと、関東7都県が16件で最も多く、北海道が9.2件で最も少なくなります。
中部9県15.8件と近畿7府県15.1件がそれに続きました。
実数で見ると順位は変わる
在宅看取りが少ない下位5県
在宅看取りが少ない下位5県です。
47位の高知県は46件、46位の島根県は62件、45位の福井県は66件でした。
1位の東京都とは47.8倍の差があります。
44位は徳島県で68件、43位は秋田県で76件、42位は鳥取県で83件と続きます。
47.8倍という開きです。
自宅で亡くなれるかどうかは、住む場所でかなり違います。
47都道府県の中央値は185件。
平均は382.3件なので、平均が中央値の2.1倍です。
47位の高知県は平均の12.0パーセント、中央値の24.9パーセントにあたります。
下位5県を合わせても全国の1.8パーセントにしかなりません。
1位の東京都1つで12.3パーセントを占めるのとは対照的です。
47位の高知県は、1位の東京都の2.09パーセントにあたる水準です。
46位との差は16件、45位との差は20件でした。
1位の東京都と47位の高知県の間には2,155件の開きがあります。
地図で見る
| 項目 | 診療所の在宅看取りの実施件数 |
|---|---|
| 北海道 | 464件 |
| 青森県 | 173件 |
| 岩手県 | 119件 |
| 宮城県 | 354件 |
| 秋田県 | 76件 |
| 山形県 | 183件 |
| 福島県 | 260件 |
| 茨城県 | 306件 |
| 栃木県 | 258件 |
| 群馬県 | 345件 |
| 埼玉県 | 1,108件 |
| 千葉県 | 837件 |
| 東京都 | 2,201件 |
| 神奈川県 | 1,930件 |
| 新潟県 | 235件 |
| 富山県 | 105件 |
| 石川県 | 138件 |
| 福井県 | 66件 |
| 山梨県 | 96件 |
| 長野県 | 225件 |
| 岐阜県 | 479件 |
| 静岡県 | 691件 |
| 愛知県 | 1,213件 |
| 三重県 | 290件 |
| 滋賀県 | 108件 |
| 京都府 | 283件 |
| 大阪府 | 1,407件 |
| 兵庫県 | 881件 |
| 奈良県 | 157件 |
| 和歌山県 | 185件 |
| 鳥取県 | 83件 |
| 島根県 | 62件 |
| 岡山県 | 206件 |
| 広島県 | 311件 |
| 山口県 | 124件 |
| 徳島県 | 68件 |
| 香川県 | 123件 |
| 愛媛県 | 181件 |
| 高知県 | 46件 |
| 福岡県 | 514件 |
| 佐賀県 | 107件 |
| 長崎県 | 143件 |
| 熊本県 | 171件 |
| 大分県 | 139件 |
| 宮崎県 | 162件 |
| 鹿児島県 | 165件 |
| 沖縄県 | 188件 |
日本地図で見ると、色が濃く出るのは東京都です。
次いで神奈川県、大阪府、愛知県、埼玉県が続きます。
淡いのは高知県、島根県、福井県でした。
47都道府県の平均は382.3件、中央値は185件です。
東京都の2,201件は平均の5.8倍にあたります。
上位3で30.8パーセント、1位と47位で47.8倍の開きがありました。
人口10万人あたりに直すと岐阜県が25件で最も多く、開きは3.6倍になります。
実数1位の東京都は人口あたりでは14位、人口あたり1位の岐阜県は実数では10位でした。
| 順位 | 都道府県 | 診療所の在宅看取りの実施件数(件) | 地方 | 人口10万人あたりの診療所の在宅看取りの実施件数 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 2201 | 関東 | 15.52 |
| 2 | 神奈川県 | 1930 | 関東 | 20.92 |
| 3 | 大阪府 | 1407 | 近畿 | 16.07 |
| 4 | 愛知県 | 1213 | 中部 | 16.26 |
| 5 | 埼玉県 | 1108 | 関東 | 15.11 |
| 6 | 兵庫県 | 881 | 近畿 | 16.51 |
| 7 | 千葉県 | 837 | 関東 | 13.39 |
| 8 | 静岡県 | 691 | 中部 | 19.59 |
| 9 | 福岡県 | 514 | 九州 | 10.09 |
| 10 | 岐阜県 | 479 | 中部 | 25 |
| 11 | 北海道 | 464 | 北海道 | 9.2 |
| 12 | 宮城県 | 354 | 東北 | 15.75 |
| 13 | 群馬県 | 345 | 関東 | 18.25 |
| 14 | 広島県 | 311 | 中国 | 11.46 |
| 15 | 茨城県 | 306 | 関東 | 10.91 |
| 16 | 三重県 | 290 | 近畿 | 16.95 |
| 17 | 京都府 | 283 | 近畿 | 11.23 |
| 18 | 福島県 | 260 | 東北 | 14.92 |
| 19 | 栃木県 | 258 | 関東 | 13.69 |
| 20 | 新潟県 | 235 | 中部 | 11.2 |
| 21 | 長野県 | 225 | 中部 | 11.32 |
| 22 | 岡山県 | 206 | 中国 | 11.25 |
| 23 | 沖縄県 | 188 | 九州 | 12.82 |
| 24 | 和歌山県 | 185 | 近畿 | 21.02 |
| 25 | 山形県 | 183 | 東北 | 18.1 |
| 26 | 愛媛県 | 181 | 四国 | 14.18 |
| 27 | 青森県 | 173 | 東北 | 14.85 |
| 28 | 熊本県 | 171 | 九州 | 10.08 |
| 29 | 鹿児島県 | 165 | 九州 | 10.77 |
| 30 | 宮崎県 | 162 | 九州 | 15.68 |
| 31 | 奈良県 | 157 | 近畿 | 12.22 |
| 32 | 長崎県 | 143 | 九州 | 11.42 |
| 33 | 大分県 | 139 | 九州 | 12.81 |
| 34 | 石川県 | 138 | 中部 | 12.57 |
| 35 | 山口県 | 124 | 中国 | 9.68 |
| 36 | 香川県 | 123 | 四国 | 13.41 |
| 37 | 岩手県 | 119 | 東北 | 10.39 |
| 38 | 滋賀県 | 108 | 近畿 | 7.7 |
| 39 | 佐賀県 | 107 | 九州 | 13.58 |
| 40 | 富山県 | 105 | 中部 | 10.53 |
| 41 | 山梨県 | 96 | 中部 | 12.14 |
| 42 | 鳥取県 | 83 | 中国 | 15.63 |
| 43 | 秋田県 | 76 | 東北 | 8.47 |
| 44 | 徳島県 | 68 | 四国 | 9.93 |
| 45 | 福井県 | 66 | 中部 | 8.93 |
| 46 | 島根県 | 62 | 中国 | 9.66 |
| 47 | 高知県 | 46 | 四国 | 7.01 |
このグラフについての豆知識
ひと月に1万8千人
2023年9月に一般診療所が行った在宅看取りは全国で1万7,966件。
年間では20万件ほどの規模です。
自宅での死亡は年間26万2,883人。
その多くを、訪問診療を行う診療所の医師が看取っています。
3年に一度の医療施設調査
医療施設静態調査は、全国のすべての病院・診療所を対象に3年ごとに行われる調査で、これは2023年(令和5年)10月1日時点のものです。
実施件数は2023年9月の1か月間の数です。
年間の数ではないことに注意してください。
また、施設の所在地で数えるため、県境をこえたサービスのぶんは施設のある県に計上されます。
数字の開き
1位の東京都は2,201件、47位の高知県は46件。
両者の間には47.8倍の開きがあります。
上位3で全国の30.8パーセント、上位10で62.7パーセントを占めます。
中央値は185件、平均は382.3件です。
平均が中央値を上回るのは、上位のいくつかの都道府県が全体を押し上げているためです。
人口10万人あたりに直すと3.6倍の開きになります。
実数の順位がどこまで人口の多さを映しているかは、この2つを見比べると分かります。
順位の並びがにている記事
診療所の在宅看取りの件数の順位を、当サイトの全記事の並びと突き合わせてみました。
並びが最も重なったのは【国民年金の加入者】全国2,125万人、大阪府が人口あたりでも上位で、相関は0.95です。
正反対だったのは【図書館の数】が多い県ほど本を読むのか、47都道府県のデータで確かめましたで、相関は-0.78です。
これは並びが近いというだけで、片方がもう片方を生んでいるという意味ではありません。
地図を2枚ならべてみてください。
地方のなかで見た診療所の在宅看取りの実施件数
| 地方 | 最も多い(件) | 最も少ない(件) |
|---|---|---|
| 東北 | 宮城県 354 | 秋田県 76 |
| 関東 | 東京都 2201 | 栃木県 258 |
| 中部 | 愛知県 1213 | 福井県 66 |
| 近畿 | 大阪府 1407 | 滋賀県 108 |
| 中国 | 広島県 311 | 島根県 62 |
| 四国 | 愛媛県 181 | 高知県 46 |
| 九州 | 福岡県 514 | 佐賀県 107 |
まとめ
診療所の在宅看取りの件数を47都道府県で比べると、最も多い東京都で2,201件、最も少ない高知県で46件でした。
1位と47位の間には47.8倍の開きがあります。
上位3で全国の30.8パーセント、上位10で62.7パーセントを占めます。
47都道府県の中央値は185件、平均は382.3件でした。
人口10万人あたりに直すと3.6倍の開きになります。
診療所の在宅看取りの件数の数字を受け取る前に、3つ添えておきます。
1つ目は、2023年9月の1か月分の数であること。
2つ目は、施設の所在地で数えた数字であること。
3つ目は2023年の数字であることです。
人口10万人あたりでは岐阜県が25件で最多。
実数1位の東京都は人口あたりでは14位でした。
地方別に合計を出すと関東7都県が全国の38.9パーセントで最多、人口10万人あたりでは関東7都県が16件で最多でした。
自宅での死亡数や診療所の訪問診療を比べた記事とあわせて読んでみてください。
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出典
- 統計名: 医療施設静態調査(令和5年・都道府県別)
- 調査年: 2023年
- 公開元: 厚生労働省
- 参照URL: https://www.e-stat.go.jp/stat-search/database?statdisp_id=0004026600
- 備考: 2023年9月の1か月間に一般診療所が行った在宅看取りの件数。人口10万人あたりは2024年の総人口で割った参考値
注記: 2023年9月の1か月間に一般診療所が行った在宅看取りの件数。
人口10万人あたりは2024年の総人口で割った参考値
