「日本の人口は何人ですか?」
そう聞かれたら、答えはひとつだけのように思えますよね。
ですが実は、国の公式な発表だけでも3つの異なる数字が存在します。
「どれかが間違っているのでは?」と思うかもしれませんが、そうではありません。
3つともすべて正しい数字です。
この記事では、なぜ同じ「日本の人口」なのに3つの数字が存在するのか、それぞれの違いや読み分け方をわかりやすく解説します。
データの出典(出どころ)を確かめることの大切さが、すっきりと納得できるはずです。
まずは3つの「日本の人口」を並べてみよう
現在、総務省などが公表している公式データには、次の3つの数字があります。
| 統計名 | 公表元・調査時点 | 全国人口 | 特徴・集計方法 |
|---|---|---|---|
| 人口推計 | 総務省統計局(2024年10月1日現在) | 123,803,000人 | 国勢調査をベースに、毎月の出生・死亡・出入国数を足し引きした推計値。 |
| 国勢調査 | 総務省統計局(2025年10月1日時点) | 123,049,524人 | 5年に1度実施。住民票の場所に関係なく「実際に住んでいる人」を全数調査。 |
| 住民基本台帳 | 総務省(令和8年(2026年1月1日現在)) | 123,767,642人 | 各自治体の「住民票」の情報をもとに集計された人口。 |
一番大きい数字と一番小さい数字を比べると、その差はなんと753,476人。
なぜ、これほど大きな違いが生まれるのでしょうか。
理由は大きく分けて2つあります。
数字が違う2つの理由
理由1:調べている「時点」が違う(時間のズレ)
まず「人口推計」と「国勢調査」を比べてみましょう。
その差は約753,476人(率にして約0.61%)です。
しかし、この2つは調査した時期が「2024年10月」と「2025年10月」で1年間のズレがあります。
現在、日本の人口は減少傾向にあるため、この差の大半は「1年間で減った人口」だと考えるのが自然です。
時期が違うデータを単純に引き算しても、調査方法の違いは見えてきません。
数字が近いとつい「同じ条件のデータ」として比べたくなりますが、まずは「いつのデータか」を確認して立ち止まることが大切です。
理由2:数えている「人」が違う(定義のズレ)
もうひとつの理由は、数えている対象そのものが違うことです。
「国勢調査」と「住民基本台帳」を比べると、住民基本台帳の方が約718,118人(約0.58%)多くなっています。
この2つの調査時期は3ヶ月ほどしか離れていないため、時間経過だけでは説明がつきません。
この差は、次のような「カウント方法の違い」から生まれています。
- 国勢調査:住民票のある場所に関係なく、「実際にそこで暮らしている人」を数える
- 住民基本台帳:「住民票を置いている人」を数える
進学や単身赴任で引っ越したものの、住民票を実家に残したままにしている人は多いですよね。
その場合、「実際に住んでいる場所(国勢調査)」と「住民票がある場所(住民基本台帳)」のそれぞれでカウントされるため、地域ごとの数値にズレが生じるのです。
地域ごとに見ると「向き」が変わる
全国平均では0.6%程度の差ですが、都道府県別に見るとこのズレはよりはっきりと表れます。
| 都道府県 | 住民基本台帳 | 国勢調査 | ずれ | |
|---|---|---|---|---|
| 住基が多い | 和歌山県 | 889,455人 | 864,262人 | 2.91% |
| 住基が多い | 香川県 | 931,812人 | 907,725人 | 2.65% |
| 住基が多い | 徳島県 | 691,229人 | 675,489人 | 2.33% |
| 国調が多い | 宮城県 | 2,209,215人 | 2,227,240人 | -0.81% |
| 国調が多い | 東京都 | 14,077,553人 | 14,246,219人 | -1.18% |
| 国調が多い | 京都府 | 2,457,815人 | 2,502,747人 | -1.80% |
例えば、大学や企業の多い京都府、東京都、宮城県などは、「実際に住んでいる人」が多いため国勢調査の数字が大きくなります(京都府では国勢調査が1.80%多い)。
一方で、地元を離れて進学・就職する人が多い和歌山県、香川県、徳島県などは、「住民票を残している人」が多くなるため住民基本台帳の数字が大きくなります(和歌山県では住民基本台帳が2.91%多い)。
まとめ方を変えると「見え方」も変わる
| 地方 | 県の数 | 国勢調査 | 住民基本台帳 | ずれ |
|---|---|---|---|---|
| 四国 | 4 | 348.7万人 | 355.7万人 | 2.01% |
| 中部 | 9 | 2,041.6万人 | 2,065.4万人 | 1.17% |
| 九州・沖縄 | 8 | 1,385.0万人 | 1,397.8万人 | 0.92% |
| 東北 | 6 | 808.0万人 | 814.5万人 | 0.79% |
| 中国 | 5 | 690.9万人 | 696.2万人 | 0.76% |
| 近畿 | 7 | 2,181.2万人 | 2,190.6万人 | 0.43% |
| 北海道 | 1 | 498.5万人 | 499.6万人 | 0.22% |
| 関東 | 7 | 4,350.9万人 | 4,356.9万人 | 0.14% |
都道府県単位ではプラスとマイナスに分かれていたズレも、「全国8つの地方単位」でまとめ直すと、なんとすべての地方で「住民基本台帳」の方が多くなります(四国で2.01%、関東で0.14%)。
京都府単体では国勢調査の方が多かったものの、近畿地方全体でまとめると周囲の県のデータに打ち消されるためです。
「どの単位で集計されたデータか」によっても見えてくる姿が変わるため、集計の枠組みを確認することも欠かせません。
順位にはあまり影響しない?
ここまで「数字がこんなに違う」とお伝えしてきましたが、実は都道府県の人口ランキング(順位)で見ると、ほとんど影響がありません。
「人口推計」と「国勢調査」のデータで都道府県を並べ直した際、順位が入れ替わったのは山梨県(41位↔42位)と佐賀県(42位↔41位)の2県だけでした。
残りの45都道府県はまったく同じ順位です。
つまり、「1位はどこか」「どの地域が大きいか」という大まかな傾向を知りたいだけなら、出典の違いはあまり問題になりません。
注意が必要なのは、「何人いるか」「全体の何%か」といった正確な実数や割合を扱うときです。
順位と実数の読み分けについては平均値と中央値のちがいにもまとめています。
【一覧表】47都道府県の3つの人口データ
自分の住んでいる地域や気になる都道府県の数値を確認できるように、47都道府県の3つの公式データを並べました(国勢調査の人口が多い順)。
※時期がそれぞれ異なる点にご注意ください。
| 順位 | 都道府県 | 国勢調査(2025年) | 人口推計(2024年) | 住民基本台帳(2026年) | 住基 ÷ 国調 | 地方 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 14,246,219人 | 14,178,000人 | 14,077,553人 | -1.18% | 関東 |
| 2 | 神奈川県 | 9,193,657人 | 9,225,000人 | 9,194,723人 | 0.01% | 関東 |
| 3 | 大阪府 | 8,764,578人 | 8,757,000人 | 8,775,326人 | 0.12% | 近畿 |
| 4 | 愛知県 | 7,449,403人 | 7,460,000人 | 7,473,297人 | 0.32% | 中部 |
| 5 | 埼玉県 | 7,287,169人 | 7,332,000人 | 7,368,548人 | 1.12% | 関東 |
| 6 | 千葉県 | 6,258,512人 | 6,251,000人 | 6,313,748人 | 0.88% | 関東 |
| 7 | 兵庫県 | 5,323,825人 | 5,337,000人 | 5,364,773人 | 0.77% | 近畿 |
| 8 | 福岡県 | 5,081,879人 | 5,092,000人 | 5,076,856人 | -0.10% | 九州・沖縄 |
| 9 | 北海道 | 4,985,419人 | 5,043,000人 | 4,996,492人 | 0.22% | 北海道 |
| 10 | 静岡県 | 3,468,845人 | 3,527,000人 | 3,544,228人 | 2.17% | 中部 |
| 11 | 茨城県 | 2,791,207人 | 2,806,000人 | 2,830,667人 | 1.41% | 関東 |
| 12 | 広島県 | 2,683,399人 | 2,714,000人 | 2,706,285人 | 0.85% | 中国 |
| 13 | 京都府 | 2,502,747人 | 2,520,000人 | 2,457,815人 | -1.80% | 近畿 |
| 14 | 宮城県 | 2,227,240人 | 2,248,000人 | 2,209,215人 | -0.81% | 東北 |
| 15 | 新潟県 | 2,068,476人 | 2,099,000人 | 2,083,103人 | 0.71% | 中部 |
| 16 | 長野県 | 1,954,950人 | 1,987,000人 | 1,995,882人 | 2.09% | 中部 |
| 17 | 岐阜県 | 1,891,489人 | 1,916,000人 | 1,935,253人 | 2.31% | 中部 |
| 18 | 群馬県 | 1,867,582人 | 1,890,000人 | 1,893,893人 | 1.41% | 関東 |
| 19 | 栃木県 | 1,864,833人 | 1,885,000人 | 1,889,901人 | 1.34% | 関東 |
| 20 | 岡山県 | 1,808,664人 | 1,831,000人 | 1,819,524人 | 0.60% | 中国 |
| 21 | 福島県 | 1,711,937人 | 1,743,000人 | 1,746,008人 | 1.99% | 東北 |
| 22 | 三重県 | 1,694,896人 | 1,711,000人 | 1,724,891人 | 1.77% | 近畿 |
| 23 | 熊本県 | 1,678,090人 | 1,697,000人 | 1,702,998人 | 1.48% | 九州・沖縄 |
| 24 | 鹿児島県 | 1,512,969人 | 1,532,000人 | 1,541,314人 | 1.87% | 九州・沖縄 |
| 25 | 沖縄県 | 1,468,220人 | 1,466,000人 | 1,484,002人 | 1.07% | 九州・沖縄 |
| 26 | 滋賀県 | 1,392,439人 | 1,402,000人 | 1,400,761人 | 0.60% | 近畿 |
| 27 | 奈良県 | 1,269,180人 | 1,285,000人 | 1,293,345人 | 1.90% | 近畿 |
| 28 | 山口県 | 1,264,006人 | 1,281,000人 | 1,274,535人 | 0.83% | 中国 |
| 29 | 愛媛県 | 1,260,088人 | 1,276,000人 | 1,279,431人 | 1.54% | 四国 |
| 30 | 長崎県 | 1,232,190人 | 1,252,000人 | 1,257,843人 | 2.08% | 九州・沖縄 |
| 31 | 青森県 | 1,140,395人 | 1,165,000人 | 1,166,578人 | 2.30% | 東北 |
| 32 | 岩手県 | 1,125,502人 | 1,145,000人 | 1,136,186人 | 0.95% | 東北 |
| 33 | 石川県 | 1,088,221人 | 1,098,000人 | 1,089,861人 | 0.15% | 中部 |
| 34 | 大分県 | 1,076,875人 | 1,085,000人 | 1,091,304人 | 1.34% | 九州・沖縄 |
| 35 | 宮崎県 | 1,018,904人 | 1,033,000人 | 1,036,017人 | 1.68% | 九州・沖縄 |
| 36 | 山形県 | 993,127人 | 1,011,000人 | 995,995人 | 0.29% | 東北 |
| 37 | 富山県 | 985,675人 | 997,000人 | 998,580人 | 1.31% | 中部 |
| 38 | 香川県 | 907,725人 | 917,000人 | 931,812人 | 2.65% | 四国 |
| 39 | 秋田県 | 882,100人 | 897,000人 | 890,524人 | 0.95% | 東北 |
| 40 | 和歌山県 | 864,262人 | 880,000人 | 889,455人 | 2.91% | 近畿 |
| 41 | 佐賀県 | 781,214人 | 788,000人 | 787,887人 | 0.85% | 九州・沖縄 |
| 42 | 山梨県 | 779,912人 | 791,000人 | 794,684人 | 1.89% | 中部 |
| 43 | 福井県 | 729,386人 | 739,000人 | 739,412人 | 1.37% | 中部 |
| 44 | 徳島県 | 675,489人 | 685,000人 | 691,229人 | 2.33% | 四国 |
| 45 | 高知県 | 643,437人 | 656,000人 | 654,213人 | 1.67% | 四国 |
| 46 | 島根県 | 629,460人 | 642,000人 | 634,459人 | 0.79% | 中国 |
| 47 | 鳥取県 | 523,732人 | 531,000人 | 527,236人 | 0.67% | 中国 |
よくある疑問(Q&A)
- 結局、どの人口データを使えばいいのですか?
-
「何を知りたいか(分析の目的)」によって使い分けます。
- 実際にその地域で生活している人数を知りたいなら → 国勢調査
- 税金や行政サービスの対象となる住民票の人数を知りたいなら → 住民基本台帳
- 直近の最新人口を知りたいなら → 人口推計
- 国勢調査はどうやって数えているのですか?
-
5年に一度、日本に住むすべての人と世帯を対象に「全数調査」を行っています。
サンプルを抜き出す「標本調査」ではありません。
住民票の場所ではなく「実際に住んでいる場所」でカウントするのが最大の特徴です。 - 人口推計はただの「予測・当てずっぽう」ですか?
-
いいえ、実際の記録をもとに算出されています。
国勢調査のデータをベースにして、その後に提出された「出生・死亡・入国・出国」の届出数を毎月計算して作られています。
ただし、5年経って次の国勢調査を行うと少しズレが見つかるため、そのたびに推計は修正・リセットされます。 - 家計や物価の統計も、県全体の数字ですか?
-
いいえ。
県庁所在市など、主要な都市だけを調べているものがあります。家計調査や小売物価統計調査がもとになっている指標は、県全体の平均ではありません。
この話は県庁所在地とは?にまとめました。
まとめ:データを見るときに確かめるべき3つのポイント
数字を比較したり引用したりする際は、出典の次の3点を確認する習慣をつけましょう。
- いつの数字か(時点):時期が違う数字を単純に引き算・比較しない
- 何を数えているか(定義):実住人口か住民票か、地域範囲はどこまでか
- どう作ったか(手法):実際に数えた全数調査か、計算による推計値か
データを使うときは、「数字そのもの」だけでなく「調査の背景や条件」までセットで確認することが、正しく情報を読み解く鍵となります。
出典
- 総務省統計局「人口推計」(2024年10月1日現在)
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/ - 総務省統計局「人口推計に関するQ&A」
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/qa-1.html - 総務省統計局「国勢調査(2025年10月1日・速報集計)」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/database?statdisp_id=0004050417 - 総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年(2026年1月1日現在))
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/jinkou_jinkoudoutai-setaisuu.html
- ずれの割合、地方別の集計、順位の入れかわりは、上記の公表値をもとに当サイトで計算した
